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2008/03/31
- 「人体実験シリーズ」に「エキザルべ軟膏を傷に塗るとどうなるのか」を追加。痛みはほとんどない軟膏ですが,数日で潰瘍を作っちゃいました。
- 「傷ついて皮膚にアクトシン軟膏を作用させる」人体実験をまた行いました。今度は皮膚損傷を軽度にして,損傷の程度による違いを検証しましたが,結局,浅い損傷でもそれより深い損傷でも,数日の経過で潰瘍を作りました。
- 【「コレステロール値、低いと危険」富山大調査で死亡率高め】という記事がありましたね。17万人を対象としたコーホート・スタディーでわかったようです。おまけに,「悪玉コレステロール」と悪者扱いされてきたLDLコレステロール値についても,低い人の方が死亡率が高い傾向だったらしいです。
「善玉を増やして悪玉を減らせば健康な体になる」という幻想が世の中に蔓延していますが,そういう単純なものではないということなんでしょう。LDLコレステロールについては全く知識はありませんが,ある部分では確かに動脈硬化を起こしているけれど,別の部分では他の疾患の発症を抑える因子として働いている・・・なんてことがあるんでしょうか。
これは「バタフライ効果」みたいなもので,色々な物質,現象が相互ネットワークで互いに影響しあっているシステムでは,一つのものを意図的に増減すると予想もつかない部分に予想外の現象が起きる,ということはありうることです。つまり,短期的には予想した効果が得られたのに,長期的にはそのメリットを打ち消すような副作用が生じることもあるんでしょうね。
2008/03/28
- 先日紹介した『自分の体で実験したい 命がけの科学者列伝』の感想を追加。多くの医者,医学部学生に読んでもらいたい本です。
- 尿素クリームの実験をやっていましたが,20%尿素クリームが尽きてしまい(・・・何しろこのサイトの読者の方からのいただいた,使いかけのものですから・・・),ここで一旦実験中止。カデックス軟膏なら沢山あるんだけどなぁ。
スーパーやドラッグストアで買おうと思ったんだけど,何しろ普段買わないものなんでなかなか見つけられないんですよ。
- 「エキザルべ軟膏を傷に塗るとどうなるのか?」という実験,終了。画像をまとめたら発表しますね。どうやらこいつも傷を深くしてくれる薬剤のようです。
2008/03/27
2008/03/26
2008/03/25
- 「人体実験シリーズ」に「アクトシンを傷に塗るとどうなるか その2」を追加。
- 昨日朝から,「正常皮膚に対する尿素クリームとワセリンの比較,今度はフィルムなし」という実験を始めました。もちろん数日で結果が出るわけはないので,ちょっと気長にやってみようと思います。
半日,尿素クリームを手背に塗ってしばらく置いてから皮膚をこすると,ボロボロと面白いように垢みたいなのが出てくることに気がつきました。尿素クリーム善玉説に立てばこの垢みたいなのは「余分な古い角質」ということになるでしょうし,尿素クリーム悪玉説に立てば「必要な角質まで落としている」ということになります。さて,どちらなんでしょうか。答えは数週間後に皮膚が教えてくれるはずです。
「余分な角質を序寄与して健康で美しい肌に」という化粧品の宣伝は,この現象を利用(悪用?)しているのかなぁ? 確かにこれだけ見ると,汚い角質がボロボロ取れてきれいな肌に変身できると考えそうです。
- 先日,脊損で坐骨結節褥瘡の患者さんが受診されました。褥瘡ができてからずっと安静のために入院生活を続けられていたようです。
「褥瘡治療のために治療が必要で,そのために入院が必要」というのは一見当たり前のようですが,褥瘡があっても普通に日常生活を送れるし,褥瘡があっても普通に仕事ができるのですから,この入院は不要だったと考えます。要するに,「褥瘡は治さないといけない」と考える主治医が入院を強制したと考えることができます。
しかし,褥瘡があっても問題ない,褥瘡と共存すれば普通に生活できるよ,とこの患者さんに説明する医者が一人でもいたら,とっくの昔に退院できたし,社会復帰もできたはずです。
このように,「褥瘡が治らないと退院できない」という理由で入院生活を強いる医者はそこらに沢山います・・・というか,そういう褥瘡治療の専門家だらけです。しかし,患者さんの側に立ってみると,こういう医者は患者さんの大切な時間を奪っていると言えないでしょうか。仕事をする場を奪い,社会で普通に生活する機械を奪っています。
脊損という根本原因が治らない限り,いくら褥瘡を治しても再発するのですから,褥瘡治療のために入院を強いたり,手術を強いるのは愚の骨頂です。
「根本原因(=脊損)を治療できない場合には,個々の症状(=坐骨部褥瘡)に対しては対処療法しかない」のは医学の常識ですが,なぜか日本褥瘡学会のお偉方もWOCナースも,褥瘡という個々の症状を治すことを最大の目的にしています。根本原因を除去できなければ,個々の部分症状は治しても再発する」ということに気がつかないんでしょうか。
褥瘡治療により患者さんは何を得るのか,その治療により患者さんは何を失うのかを,褥瘡が治ることで患者さんは何を得るのか,褥瘡を治すために何が犠牲になるのか,褥瘡治療に携わる医者も看護師も真摯に考えるべきではないでしょうか。
2008/03/24
- これまで北海道の阿寒病院で「外傷を湿潤治療している医師」に登録していただいていた磯部先生が,医療法人 清仁会 西村病院に移動されました。
- 先週土曜日は兵庫県の篠山市薬剤師会で講演でした。医師会との共催であったため,医師の参加も結構あり,質疑応答も活発でした。多数ご参加いただき,ありがとうございます。
ちなみに,朝7時に自宅を出て上の経由で東京駅に向かい,そこから東海道新幹線で新大阪へ,さらに「北近畿」に乗り換えて篠山口駅に到着。そして講演終了後は伊丹空港に向かってANA機に搭乗・・・。一日の総移動距離は1500キロメートル以上と忙しい一日でした。
- 「カデックス軟膏を潰瘍に使うと早く治る」,「デュオアクティブでなかなか治らない肉芽にアクトシンを使ったらすぐに治った」という症例は結構あると思いますが,そのトリックをほぼ解明しました。治ったように見えるが,実は全然治っていない,というのが真相です。後日,顕微鏡写真でトリックを証明する予定です。
- 上海問屋ですが,今度はカードリーダーつきの16GB SDカードが7,699円! どこまで行くんだ,上海問屋。
- 今週の石岡第一病院は引越し週間です。4月1日の開院に向けて,道路を隔てた新病院への引越しです。引越しって大変ですよね。
おまけに,電子カルテ新規導入も重なっているし・・・。
2008/03/21
- 「治療例」に「小児の乾燥肌の治療例」を追加。尿素クリームで治らなかった両手の乾燥肌が,ワセリンだけで数日で完治しました。少なくともこの患者さんでは,尿素クリームは全然効かなかったというか,使用により悪化したとのことでした。
- 一昨日(19日)は通常通りに夕方まで仕事をして,それから常磐線に乗って茨城県立中央病院で講演をしました。会場の同院会議室は満員状態で,多数の質問をいただきました。ご参加いただき,ありがとうございます。
その後は,同院のレジデントの先生,および血管外科の先生と宴会。ここでもいろいろな話をさせていただきました。そして,11時前に友部駅に向かい,常磐線で石岡駅へ。自宅に戻ったのは11時20分頃でした。遅くまでお付き合いいただき,ありがとうございました。
- そういえば,上海問屋にちょっと面白いアイデア商品がありました。MP3プレーヤー内蔵のスピーカでUSBメモリを差し込むだけで音楽が再生できる,というDonya ダイレクト DN-MPS100(USBメモリ内のMP3ファイルを直接再生MP3プレーヤー内蔵コンパクトスピーカー:Dony...)です。お値段は7,600円。要するに,パソコンのハードディスクからそこらに転がっているUSBメモリにMP3ファイルをコピーし,それをこのスピーカーに差し込み,あとはプレーボタンを押すだけ。ちょっとレトロなデザインがナイスかも。
「外来で音楽を流したいけれど,大規模なものはちょっと・・・」という先生には最適かもしれませんね。何しろUSBメモリは同じ上海問屋で8GBで3,000円ですからMP3プレーヤー本体より安上がりです。
2008/03/20
2008/03/19
- 「人体実験シリーズ」に「10%尿素含有クリームと20%尿素含有クリーム,どちらが皮膚に悪いか?」を追加。20%尿素を含むケラチナミン軟膏(R)を使いましたが,わずか数日で皮膚に病変を認め,皮膚表面は明らかに融解している感じです。どうやらケラチナミンもウレパールも,保湿剤どころか皮膚破壊薬でしかないようです。こんなのを塗ったら手荒れもアトピーも治るはずがありません。
- 次なる人体実験はカデックス軟膏です。昨日午後から実験を始めましたが,これまでで最高の痛みです。塗布して20秒後くらいから,ズキンズキンと熱を持ったような痛みが襲ってきます。しかもその痛みがなかなか消えません。これまでの激痛系といえばアクトシン軟膏,イソジンゲル,ゲーベンクリームでしたが,カデックスはそれらを凌駕する痛みです。これは,人様に塗ってはいけない痛み,治療薬でなく毒薬系の痛みです。
そういえば,T大学形成外科のT教授をはじめとする形成外科の教授には,「カデックス軟膏は人間に安全な軟膏で,しかも治療効果が高い」と学会などで吹聴なさっておられますが,この痛みをご自身で経験なさったことがあるのでしょうか? 経験した上で「これは安全で有効」と言っているのでしょうか?
自分の傷口にカデックスを塗る実験をすると,とてつもない痛み,具合が悪くなるほどの痛み,仕事に差し支えるほどの痛みがあることがわかります。その上で「カデックスは安全」と言っているのだとすると,よほど我慢強いか,痛覚が欠如しているとしか思えません。
2008/03/18
- 「人体実験シリーズ」に「イソジンゲルを傷に塗るとどうなるのか? その2」を追加。見事な皮膚潰瘍を作ることがまたもや確認できました。いやはや,とんでもない毒薬です。
- 私がしている人体実験なんて大したことがないし屁でもないよ,ということを教えてくれる本が『自分の体で実験したい 命がけの科学者列伝』(レスリー・デンディ+メル・ボーリング,紀伊国屋書店)だ。自分自身の体を使った18世紀以降の有名な実験をまとめた本だが,ある科学者は実験で命を落とし,ある科学者は実験の後遺症に一生悩み,死ななかった科学者たちも死の恐怖におののきながら実験を進めていった。その姿は悲壮であり,滑稽であり,とんでもない馬鹿者に見えるだろう。
なぜ彼らが自分の命をかけた実験をなぜ始めたのか,私にはわかる気がする。彼らはその薬剤で人間の体がどうなるか知りたかっただけだ。名誉心というより好奇心だ。好奇心が恐怖より勝ってしまったのだ。だから彼らは一線を踏み越えた。
それが危険な実験であり,安全は一切保証されていない。それでも,知りたいことがある。しかも,それは動物実験では結果が得られない。だから人間を実験台にするしかない。危険であれば他人を実験台には使えない。ならば,使えるのは自分の体しかない。自分の体なら,何が起こっても恨みっこなしだ。なら,やっちゃえ!
彼らのあるものはその勇気を賞賛され,あるものは実験による死を自殺と疑われた。しかし,実験した本人には,そういう外部の評価はどうでもよかったのではないだろうか。
身の危険を顧みず科学への愛に殉じた彼らの姿が胸を打つ。そして,怜悧な頭脳と冷静な科学的思考を持つ無謀な実験魂が科学の新しい地平を切り開いていった。
- 南北戦争から帰還した夫は以前と全く別人に変化していた・・・というサスペンス映画,《ジャック・サマースビー》について。ジョディ・フォスターの迫真の名演技が楽しめますが,基本的設定部分でちょっと無理が・・・。
2008/03/17
- 「人体実験シリーズ」に「イソジンゲルを傷に塗るとどうなるのか?」を追加。予想通り,イソジンゲルは非常に痛いです。まさに,傷に塗ってはいけない毒物です。
嘘だと思ったら,私と同じ実験をして確かめてみてください。ガムテープさえあれば5分でできる実験です。是非,試してみてください。塗ったことを後悔するはずです。
- 軟膏や消毒薬の体を張った人体実験を続けていますが,尿素含有クリームを含め,どれもこれも皮膚や傷に有害な物質であることが判明しました。ということは,製薬メーカーは「傷をいう潰瘍をより深くし,痛みを与える」という薬剤にあるまじき副作用があることを確認せずに販売しているということになります。
アクトシンにしろゲーベンにしろ,それらが有害なものか無害なものかは,研究者自身が自分に傷を作って塗ってみれば数分でわかります。どれもこれも,傷に塗るとムチャクチャ痛いです。薬剤メーカーはそういう簡単な実験すらしていなかったのでしょう。薬に有害な作用がないかどうかを調べるのはメーカーの責任だと思うんだけど・・・。
- 先日,「アクトシンを傷に塗るとすごく痛い」ことを報告しました。現在,その追試中ですが,やはりアクトシンを傷に塗ると痛いことを確認しました。この軟膏,基本的なところで何かが狂っている感じです。そうでなければ,これほどの痛みは生じないはずです。ちなみに,アクトシン塗布部分に潰瘍を確認したため,そろそろ実験中止しようかと。
2008/03/14
2008/03/13
- 急遽,来週水曜日(3月19日)に茨城県立中央病院で講演することが決まりました。
- 「人体実験シリーズ」に「アクトシンを傷に塗るとどうなるのか」を追加。
- 講演で使用するスライドですが,さらにバージョンアップし,最新版は3月12日作成となります。以前ダウンロードしたことがある方は同じアドレスからダウンロードできますし,新たにダウンロードをご希望の方は本名,所属を明記してメールでご連絡下さい。
- 私がいつも夕食を食べている居酒屋のカウンターでの雑談。
- 魚肉ソーセージって美味しいよね。さっとあぶっても美味しいし,フライにしても美味しいしさ。
- そうそう,添加物だらけなんだけど,私らの年代ではある意味,お母さんの味ですよ。
- 魚肉ソーセージが好きな人間に悪人はいないね。悪いことを考えている奴は魚肉ソーセージの美味しさがわからないに決まってるよ。魚肉ソーセージを食べているだけで悪人面には見えないもん。
- 悪い奴がいないといえば,ポテトサラダが好きな人に悪人はいないよね。いかにも純朴で素朴で裏表がない人に愛されるのがポテトサラダ。
- そうそう。いい加減に潰したジャガイモとシャリシャリのスライス玉ねぎ,そしてちょっと多すぎるマヨネーズは悪人には似合わないよ。
- 確かに,マフィアのボスとか暴力団の組長がポテトサラダを食べているのを想像すると,かなり笑えるよね。
- ってことは,魚肉ソーセージ入りのポテトサラダはキング・オブ・善人料理,それが好きな人はキング・オブ・善人ってことですね。
2008/03/12
2008/03/11
- 「人体実験シリーズ」のイソジン消毒第2弾。最初の角層損傷の程度が深いと,わずか3日でここまで皮膚を破壊するのがイソジンという毒物です。
イソジン大好き先生やイソジン開発・販売メーカーの方々は,私と同じ実験を自分の体でして見てください。実験は簡単にできますし,結果はすぐに得られます。患者相手に「傷をイソジン消毒」という人体実験をする前に,まず自分の体で実験しましょうよ。
- 4月26日(土)に大阪市北区の財団法人田附興風会医学研究所 北野病院で講演することが決まりました。
- 講演で使用するスライドですが,さらにバージョンアップし,最新版3月9日作成となります。以前ダウンロードしたことがある方は同じアドレスからダウンロードできますし,新たにダウンロードをご希望の方は本名,所属を明記してメールでご連絡下さい。
- 現在の私の左肘から前腕にかけての状態です。体を張ってますね。この傷,残っちゃうのかなぁ?
- さて,「いろいろな軟膏を求む!」とホームページに書いたところ,早速アクトシン軟膏をある先生から送っていただきました。それで,昨日からアクトシン人体実験を開始しました・・・が,傷口にアクトシン軟膏を塗布するととんでもなく痛いです。イソジンよりも痛い感じで,半端じゃありません。私の傷口は,「これはやばいよ,毒物だよ」と警告を発しています。しかも,アクトシンを塗布した部分だけ,肉眼でもわかる程度の腫脹しています。
アクトシン軟膏の主剤が悪いのか基剤が悪いのかは不明ですが,なんだか凄いことになりそうです。
アクトシン大好き先生やアクトシン開発メーカーの方々は,私と同じ実験を自分の体でして見てください。実験は簡単にできます。そして,結果はすぐに出ます。
2008/03/10
- 先週金曜日は埼玉県整形外科医会で講演でした。昨年の同会の倍の方が参加され,色々な質問をいただきました。中には非常に鋭い質問もあり,とても有意義でした。多数お集まりいただき,ありがとうございました。
講演後は数人の先生方と会食。ここでもとても活発な意見交換があり,面白かったです。遅くまでお付き合いいただき,ありがとうございました。
- さて,いよいよ「人体実験シリーズ」でイソジンが登場! 傷にイソジンを塗るとどうなるかという恐怖写真をご覧に入れます。イソジン大好き先生が周囲にいたら,是非この写真を見せてやって下さい。
なお,同じ実験を対側の前腕でも行っていて,こちらはさらに劇的な破壊力を見せています。後日,公開します。
- メリル・ストリープとダイアン・キートンという大女優の豪華な饗宴と,10代後半のディカプリオの初々しさがちょっとまぶしい映画,《マイ・ルーム Marvin's Room》について。美しい映画だが,内容はちょっと甘めかな。
2008/03/07
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,宮崎県都城市の海老原記念病院外傷救急センター 榮福亮三先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- プラスモイストの開発・販売をしている瑞光メディカルの公式サイトにリンクしました。
- 今日は夕方まで外来診療をして,それから上野経由で埼玉県に向かい,20:00から埼玉県整形外科医会で講演です。
- ナチスがドイツを支配する前夜の1932年のベルリンを舞台として,二人のユダヤ人の運命を描く秀作映画,《神に選ばれし無敵の男》について。
- 現在,自傷行為(?)で傷を創った皮膚を3分割し,イソジン消毒,乾燥,プラスモイスト貼付の効果を比較しています。イソジン消毒はやはりかなり痛いです。ゲーベンクリームも痛かったですが,イソジンは輪をかけて痛いです。実験開始から既に4日経過しているのに,イソジンを塗布した直後はビリビリと痛く,ちょっとばかり苦痛です。
で,今後も両腕の皮膚で無傷の部分が残っている限り(左前腕橈側は既にかなり瘢痕が残っている),以前から効果に疑問を持っていた薬剤の人体実験を続ける予定です。
2008/03/06
- 「湿潤治療の講演を行っている医師」に,徳島県徳島市の健生内町診療所 岡 信晃先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
- ちょっとした手術のTipsです。ばね指手術の術野展開に鼻鏡がとても有用です。腱鞘上まで剥離したら鼻鏡を突っ込んで開くと腱鞘が露出し,指神経は左右に鼻鏡に押しのけられるため,指神経を傷つける危険性がなくなります。あとは助手に患者さんの指をピンと伸ばしてもらうと簡単に腱鞘切開できます。
- 数々の人体実験を行っているわけですが,改めて人間の皮膚の再生能力を再認識しています。ちょっとやそっとの傷の深さでは,乾燥しようと消毒薬をつけようと治ってしまうんですね。だから,損傷が軽微だと実験結果がうまく出ません。
しかし,ある臨界点を超える損傷があると,そこから一気に悪化するみたいです。つまり,私と同様の方法で治療法の効果や薬物の作用を調べようと思ったら,最初の角層剥離を十分に(過激に!)行って実験を始めたほうがいいようです。
というわけで,連日,自分の体を使って人体実験をしています。この実験のいいところは,他人を絶対に傷つけないという点です。自分さえ痛みと不快感を我慢すれば確実に実験結果が得られます。自分さえ我慢すれば何とかなり,誰にも迷惑をかけない,というのは心理的に楽です・・・肉体的には苦痛ですが・・・これまで散々,人様に迷惑をかけてきましたから・・・。
- 最近,以前より新書を買わなくなった。なんだかここ数年,新書全体の質が落ちているような気がするからだ。昔は『ゾウの時間,ネズミの時間』などの長い期間にわたって読まれ,版を重ねる新書が何冊もあったが,最近は一発ネタの新書とか,やけに余白が広くて文字も大きくて中身がスカスカの新書が増えたような気がする。おまけに,新書出版に新規参入する出版社もどんどん増えています。恐らく,
「最近,新書が売れていますね。新書にすれば売れるんじゃないですか?」
「そうか,それならわが社も新書を出そう」
ってな感じなんでしょう。
なんて書いてみましたが,「新書を書いてみませんか? 内容は同じでいいですから」というお誘いを出版社からいただいたら,ホイホイ書いちゃったりして・・・。
2008/03/05
- 人体実験シリーズ,今度は創傷治療の基本である「湿潤状態の維持」が本当に正しいかを実験しました。からだ張ってます。
- 「創面に対してイソジンがどう作用するのか」という人体実験中です。左前腕遠位部背側を実験部位にしているため,処置をするたびに患者さんから「それどうしたの?」と尋ねられます。そのたびに「消毒が傷に対していいか悪いか,患者さんで試すわけにいかないから,しょうがないんで自分で実験しているんですよ」と事情を説明しているんですが,同情されたり尊敬されたりしています。
このイソジン実験,やはり痛いです。特に初日より二日目のほうが痛みが強い感じです。そして塗った直後よりちょっと時間を置いてから痛みがやってきます。
そして気がついたのが,「イソジンを洗い流すと,イソジンを塗った傷の部分だけ水に濡れている」という現象です。乾燥治療をしている部分は水をはじくのに,イソジン部だけ濡れています。確かイソジンには界面活性剤が含まれていると思ったけど,その作用なんでしょうか。
2008/03/04
- 昨日は,芳賀日赤病院の馬場先生が外来見学にいらっしゃいました。色々な症例をお見せできてよかったです。
- 昨日,他院で初期治療を受けた手背犬咬傷の患者さんが来院されました。前医では整形外科医が治療していましたが,治療内容は「咬まれて裂創になっている部分をテーピングで閉じ,セフェム系(第2世代)の抗生剤の点滴,セフェム系の内服薬処方」でした。
で,どうなったか。もちろん,手背の創は腫れて圧痛があり,局所麻酔をして創を開いたら膿が・・・といういつものパターンでした。当科としてはナイロン糸をドレナージ用に入れて治療終了。
ここで重要視したいのは,抗生剤が創感染予防に全く無効だったという事実です。抗生剤が感染予防に効いているなら感染は防げていたはずなのに,点滴をしても感染は防げなかったのです。創感染の予防は抗生剤の投与でなく,感染源の除去,つまりこの場合は咬創の創腔にたまる血液などの除去としてのドレナージです。
この症例に限らず,動物咬傷の治療で「抗生剤投与したがドレナージなし」の症例では感染が起きていますし,「ドレナージのみで抗生剤投与なし」の症例のほとんどは感染が起きていません。つまり,抗生剤投与は感染予防に効果がないのです。
- 大昔に経験したある褥創症例の思い出です。
認知症(当時はまだ痴呆と呼んでいましたね)があり大転子部の褥瘡がひどいために内科に紹介されて入院となった患者さんで,すぐに私が呼ばれました。黒色壊死を切除し,当時はまだカデックス軟膏を使っていたのでそれを塗布しました。しかし,連日,大量にカデックスを塗布しているのに悪臭は消えません。膿の量も性状も初日と変化なし。また,患者さんは体位交換のたびに顔をしかめたりうなり声を上げていました。
そして10日ほど経ったある日,大腿の肢位が変なことに気付き,恐る恐る触ってみると大腿部が骨盤と連動していないのです。すぐにレントゲン写真を撮ると,なんと大腿骨頚部骨折でした。そこで局所麻酔をしながら創を広げ,遊離している大腿骨骨頭を局所麻酔下に摘出しました。まさかベッドサイドで大腿骨部分切除することになろうとはと,形成外科医が目にすることが滅多にない大腿骨骨頭を手にして,しばし呆然としたことを覚えています。
この患者さんの病態を後から考えると,次のような状況だったと考えられました。
- 大腿骨頚部骨折がいつかの時点で起きた・・・が,家族は気がつかなかった。
- 骨折部が痛くて動けなくなった。
- 骨折側の大転子部に褥瘡ができた。
- 褥創で入院したために「寝たきりで痴呆の高齢者によくある大転子部褥創」と皆考え,その他の病気については誰も可能性を考えなかった。
- 体位交換で唸っていても,それが痛みのためと考えてしまった。
ちなみに,大腿骨骨頭切除術(?)を受けた後,患者さんは痛みを訴えることもなくなり,褥創もあっけなく治癒しました。どうやら,褥創ではなく,「大腿骨骨折⇒褥創が深くなる⇒骨折面と創面が連絡⇒骨髄炎⇒難治性潰瘍」という潰瘍だったと考えられます。
患者さんをよく診察しろ,丁寧に触診しろ,五感を働かせろ,想像力を働かせろ,もっと脳味噌をつかえ,ということをこの患者さんから教えてもらいました。
医者の最良の教師は患者です。治療がいいか悪いかは,患者さん(あるいは傷)が教えてくれます。目の前の患者を見ろ,先入観を持たずに観察せよ,思い込みを極力排除せよ,患者の訴えは些細なものでも無視するな・・・ということをつくづく思い知らされた症例でした。
- あのお馬鹿映画,《キングスパイダー》になんと続編が作られていた。《キングスパイダーvsメカデストラクター CREEPIES2: LAS VEGAS ATTACK》だ。しかも今度は巨大ロボが登場だ!
2008/03/03
- 先週金曜日は千葉県野田市のキッコーマン総合病院で講演でした。近隣の病院の先生も参加され,会場は満員で後ろでは立っていらっしゃる人も結構いました。質問も多数いただきました。ご参加いただき,ありがとうございます。
講演後は5人の先生方と懇親会。ここでも長い時間,楽しく話させていただきました。遅くまでお付き合いいただき,ありがとうございます。そして,夜11時過ぎにお店を出て,タクシーで石岡のアパートまで移動。何とか午前零時直前に戻れました。
ちなみに,おみやげということでキッコーマンのワインをいただきました。美味しかったです。
- 「剥離刺激を繰り返して角化層を破壊した皮膚にゲーベンクリームを塗るとどうなるか」という人体実験をしていますが,これまでにない破壊力を発揮しなんだかものすごいことになっています。(まだ)皮膚潰瘍は生じていないのですが,ゲーベンを塗布した部分だけ黒ずみ,顕微鏡で見るとこれまで見たことがないようは凄まじい瘢痕になっていて,おまけにとても痛いです。よく患者さんから,ゲーベンを塗られると非常に痛い,という経験談を聞きますが,身を持って体験しています。塗るたびにぴりぴり痛く,人体実験を続けるのが苦痛になりつつあります。患者さんの痛みはこんなもんじゃないんだろうなぁ,と我慢しながらゲーベンを塗っています。
ゲーベンを傷に塗るのは犯罪行為です。これはとんでもない毒物です。嘘だと思ったら自分の傷に塗ってみてください。
次はいよいよ,傷にイソジンを塗る実験か・・・。これは痛そうだな。ちょっといやだなぁ。止めようかなぁ。止めるなら今のうちだよなぁ。
- その土地,その土地の素朴な郷土料理があり,いずれも味わい深いものがあります。茨城の郷土料理(?)で最近はまっているのが「しょぼろ納豆」です。納豆に切干大根を混ぜたようなものらしいですが,大根おろしに乗せて食べるととても美味ですし,もちろん,ご飯との相性も抜群。茨城はさすがに納豆の本場だな,という感じです。
納豆嫌いには耐えられないものでしょうが,納豆好きにはたまらない逸品かと思います。もちろん,日持ちもするみたいです。
- ご存知,上海問屋で「有機ELディスプレー,4GBのMP3プレーヤー」がなんと4,999円! レビューを見る限り,結構よさげ。しかも,ファイル転送はエクスプロラーでできて,専用ソフト不要らしいです。
- その上海問屋でついに32GBのコンパクトフラッシュが! しかもお値段19,999円! もうハードディスク並みの容量ですね。
- 「鹿児島、宮崎でたばこ購入カード「タスポ」全国初導入」。どうやら子供がタバコを自販機で買えなくするための方策らしいが,当初の思惑通りにことが運ぶんだろうか。そのうち「タバコを吸わない成人の方に朗報,小遣い稼ぎしませんか?」みたいなのが携帯サイトの掲示板に登場し,タバコを吸わない成人に taspo カードを作ってもらっては買い取る業者が現れ,それを闇販売し・・・というのが目に見えていると思うんだけど。
未成年にタバコを吸わせないためには,買えないくらいに高価にすればいいだけのことで(もちろん,これで全て解決するとは言わないが),こちらの方が簡単だし金もかからない。
なぜ,簡単にできることをせずに,わざわざ面倒なことをするかといえば,もちろんそこには利権が絡んでいるからでしょう。taspoを作っているメーカーとか,taspo対応自販機強制設置とか,利権のかほりが・・・。そう言えば,たばこカード「タスポ」、その導入経緯に怒れ!なんて記事もあったな。
ま,そもそもが,酒にしろタバコにしろ販売相手に年齢制限という販売規制がある商品なのに,そこらの自販機で売っているという状況のほうが狂っているわけで,自販機を無くすほうが筋というものです。自販機と言うのは販売規制のない商品でしか許されないからです。つまり,販売制限をしているのに自販機で売ていること現状の方が狂っているのです。