傷にイソジン(R)を塗るとどうなるのか? -その2-


【目的】
 これは前回の人体実験と同じだが,角層の破壊をより念入りに行った。


【Material and Method】
 実験部位は筆者自身の右前腕近部部橈側。今回の角層破壊は50回とし,より深く皮膚を破壊してみた。実験部位は三等分し,イソジン塗布,乾燥,そして湿潤状態としたが,今回の湿潤治療はプラスモイストで行った。撮影はいつものDino-Lite Plusで行い,拡大率は60倍とした。


【結 果】

3月5日:実験前の正常皮膚 角層破壊終了後の状態 正常部分と破壊部の境目

 3月5日の実験開始前と,角層破壊後の状態。破壊部は滲出液のためにピカピカ光っていて,うまく写真が取れなかったため,非破壊部との境界部も撮影した(上が正常部分,下が角層破壊部分)。なお,右端の写真の黒いものは,破壊部を決めるために油性マジックで書いた線である。
 プラスモイスト貼付部は痛みが次第に軽くなったが,イソジン塗布部は塗布して少し時間がたってから痛みがひどくなった。


12時間後のイソジン部 乾燥部 プラスモイスト貼付部

 実験開始から12時間後のそれぞれの様子。プラスモイスト部は滲出液でピカピカ光っていて,乾燥部はそれより滲出液が少なく,イソジン部は滲出液がなく乾燥している。
 この間,数回,実験部位を洗ってはイソジンを塗布したが,イソジンを塗布するたびに痛みが強くなった。


3月6日:イソジン 乾燥部 プラスモイスト貼付部

 翌日の3箇所の状態。プラスモイスト貼付部は皮膚紋理のような構造が見られるようになり,滲出液はほとんどなくなり,痛みは完全になくなった。一方,イソジン塗布部も滲出液は全くないが,塗布後の痛みは一段と強くなった。


3月7日:イソジン イソジン イソジン

 3月7日のイソジン塗布部の状態。痛みはさらに強くなり,実験継続が難しくなったために実験終了とした。
 顕微鏡で見ると小さな潰瘍が多発し,正常皮膚の構造は全く見られなかった。見事なまでの破壊力である。


3月7日:乾燥 プラスモイスト 全体像

 実験終了後の乾燥部,プラスモイスト貼付部,そして全体像である。
 乾燥部にも小さな潰瘍が多発しているが,潰瘍のサイズはイソジン部より小さく,痛みもイソジン部ほどはひどくない。プラスモイスト部には全く痛みはないが皮膚紋理はまだ完全に戻っていない。
 肉眼的には,発赤はイソジン部,乾燥部,プラスモイスト部の順に薄くなっていることがわかり,皮膚紋理もプラスモイスト部では認められるが,イソジン部には認められないことがわかる。


3月7日:イソジンと正常の境界 プラスモイストと正常の境界


【考察・・・みたいな雑感】
 前回のイソジン実験の結果を受けて,角層の損傷をより激しくしてみたが,実験開始から3日目でイソジン塗布後の痛みに耐え切れず,実験終了となった。やはり,イソジンの組織破壊力はすごいものだと思う。こんなのを傷に塗っていたら,治る傷も治らなくなることを身を挺して(?)確認した。イソジンとは人体にとっては,単なる毒物に過ぎず,しかも破壊力抜群の毒物である。
 これまで医者はこんなとんでもない毒物を患者さんの傷に塗りたくり,それを治療だと嘘をついてきたわけだ。また,こんな毒物を傷に塗られた患者さんの痛みはいかばかりだったかと思うと胸が痛くなる。

(2008/03/11)