アクトシン軟膏(R)は傷の治癒を阻害する


【目 的】
 アクトシン軟膏は皮膚潰瘍や熱傷,褥創の治療に広く使われている軟膏であるが,実際に使ってみると早く治る(ような印象のある)症例と,なかなか治らない症例があり,その効果がいまいちはっきりしない軟膏である。実際のところどうなのか,自分の体で実験してみた。


【Material and Method】
 自分の右前腕近部部背側に1×5センチの局面にガムテープを張っては剥がす作業を50回繰り返し,角層破壊創面を作成した。ここを三等分し,各々,アクトシン塗布,乾燥,プラスモイスト貼付し,経過を観察した。創面の様子は実体顕微鏡Dino-Lite Plusで行い,拡大率は60倍とした。


【結 果】

3月10日:実験前 角層破壊終了後 発赤している

 実験前の正常皮膚の状態と,角質損傷終了後の創面の状態を示す。


アクトシン塗布,プラスモイスト貼付 アクトシン塗布後3時間

 そしてアクトシン軟膏塗布実験開始。ところが塗布直後からかなりの疼痛が出現。これまで行ったさまざまな人体実験で最強・最凶の痛みであり,しかも30分くらい痛みが持続。イソジン消毒実験より痛かった。3時間後に顕微鏡で観察すると,創面は乾燥し,ところどころ,発赤が出現していることがわかる。
 この時点で,実験をしたことを後悔した。それほど痛かった。


3月11日:アクトシン 乾燥 プラスモイスト

 翌日の状態。アクトシンを塗布する際の痛みはさらに強くなり,顕微鏡で見ると小さな潰瘍が出現していることがわかる。一方,プラスモイスト貼付部位には痛みは全くなく,皮膚紋理らしいものが再生しかかっていることがわかる。


3月11日:アクトシンと正常部の境界 プラスモイストと正常部の境界

 正常皮膚と比較すると,アクトシン塗布部の創面は乾燥し,プラスモイスト貼付部の創面は滲出液で潤っていることがわかる。


3月12日:アクトシン 乾燥 プラスモイスト 上がアクトシン,下がプラスモイスト

 アクトシン塗布部は全体に潰瘍形成が認められ,アクトシンを塗布した直後から激しい痛みがあった。この痛みは30分以上続いた。邪悪ささえ感じられるあまりの痛みに実験を断念!
 乾燥部も浅い潰瘍形成が認められ,触るとヒリヒリ痛い。プラスモイスト貼付部に痛みはない。
 右端の写真ではアクトシン塗布部(上)は赤く,乾燥部(中央),プラスモイスト貼付部(下)になるほど色が薄くなっていることがわかる。


3月12日:アクトシンと正常の境界 乾燥と正常の境界 プラスモイストと正常の境界

 正常な皮膚との移行部を見ると,アクトシン塗布部が潰瘍化し,荒廃していることがよくわかる。


【感 想】
 今回の実験で一番驚いたのが,アクトシンを塗布した直後に起こる痛みだった。イソジン消毒よりも強烈な痛みであり,それは塗布後30分以上続き,日を追うごとに痛みは強くなった。凶悪,邪悪な痛みであり,3月12日に実験終了とした。
 しかも,ガムテープで作った浅い皮膚表層の損傷は,アクトシンを塗布することでどんどん深くなるのである。

 主剤が悪いのか基剤が悪いのかわからないが,全ての製品ロットでそうなのかは不明だが,今回の実験ではアクトシン軟膏は痛みを増強させ,潰瘍を深くする効果(?)しか持っていないようだ。

 なお,この1回の実験のみでアクトシンを断罪するつもりはなく,今後追試を行う予定である。それでもまだなおアクトシン塗布で痛みが出現するようだったら,こいつもクズ薬剤の殿堂入りとしよう。

(2008/03/13)

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