カデックス軟膏(R)を傷に塗るとどうなるのか


【目 的】
 褥瘡や感染創の治療に広く使われているのがカデックス軟膏だ。ポリマーにポピドンヨードに混ぜて徐放剤とした軟膏だ。褥瘡治療の専門家の間では評価の高い薬剤である。これを傷に塗るとどうなるのかを調べた。


【Material and Method】
 筆者自身の左上腕外側に皮膚表層損傷創を作成し(荷造り用が無テープを50回張って剥がした),これを二つに分け,一方をプラスモイストで覆い,もう一方にカデックス軟膏を塗布してガーゼで覆った。
 観察は実体顕微鏡Dino-Lite Plusで行い,拡大率は60倍とした。


【結 果】

3月18日夕方:実験前 皮膚表層破壊後

 いつもながら,ガムテープを剥がすのは痛い。20回目を越えるあたりから痛みが強くなる。


3月19日朝:プラスモイスト カデックス

 実験開始からおよそ12時間後。カデックスを塗布した部分はかなり痛いが,プラスモイスト貼付部は安静にしていれば痛みは全くない。
 カデックスの痛みはイソジンやイソジンゲルと違い,塗布直後は痛みはないが,数分たった頃から徐々に痛みが出現し,時間の経過とともに痛みが増強する。さすが徐放剤は痛みも徐放性なのかと感心してしまった。


3月20日夕方:プラスモイスト カデックス カデックス

 実験開始からおよそ48時間後。プラスモイストで覆った部分は既に滲出液はほとんどなく,ピカピカと光る皮膚で覆われ始めている。ウロコの様に見える楕円の形はプラスモイストのメッシュの痕らしい。
 一方,カデックス軟膏を塗布した部分は二つに分かれた。真ん中の写真に見られるような潰瘍の部分と,右側の写真に見られるように乾燥している部分だ。もちろん,どちらも痛いことでは違い。


3月21日朝:プラスモイスト カデックス

 実験開始から60時間で潰瘍部の拡大が認められ,実験終了とした。痛みはマックス!
 カデックス塗布部はかなりの部分が潰瘍となり,前日,乾燥していた部分も結局潰瘍になった。これは皮膚が再生して乾燥したのでなく,痂皮ができて乾燥したものだったらしい。
 一方,プラスモイスト貼付部は滲出液は全くなく,痛みも全くない。


【わかったことなど】
 カデックスは痛いし,傷を深くするし,疼痛徐放薬(?)であり創破壊薬だった。いかに抗菌力があろうと,患者に使ってはいけない薬剤の一つと思われる。少なくとも,私が患者だったら絶対に拒否したくなる痛みだった。
 それにしても,ポピドンヨードの徐放剤というのは,痛みも徐放されるというのは興味深い現象だった。被験者としては「これは痛くないのかな?」と油断した頃に忍び寄るように痛みが襲ってくるわけで,いわば性悪な痛みである。

 なお,上述の「カデックス塗布で痂皮ができる」ことは追加実験で確認している。

(2008/03/26)

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