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2008/12/31
- しょうもない竜巻パニック映画,《アトミック・ツイスター》を紹介。年末年始くらい,いい映画を紹介してよね,なんて言わないでね。年末年始の当サイトの更新はクズ映画のオンパレードの予定です。
2008/12/30
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,千葉県船橋市の船橋中央クリニック 元神賢太先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 先日紹介した『アメリカの宗教右派』に関連した追加のエッセイ。「神の御心に適うのはどっちらか?」という論争はなぜ起こるです。
- 日本各地で自治体主導の,鳥インフルエンザ対策を口実にした野鳥への給餌中止が広がっています。生態学的には全く無意味な中止措置なのですが,それに対してようやく,日本野鳥の会が公式サイトで「野鳥から人に感染した例はない」と掲示しました。
- さて,以前から構想していることをそろそろ文章化してみようと思っています。多細胞生物の誕生から進化論的に皮膚の機能とその役割,そして創傷治癒を包括的に説明する理論をゼロから構築してみようという試みです。ま,いわゆる一つの大風呂敷,ってやつですけどね。
問題は,あまりに風呂敷が広がりすぎ,一体どこから手をつけたらいいか,どこから説明を始めたらいいのかが,よくわからないことです。
- 今年も残すところあと2日ですが,当サイトは年末年始も可能な限り連日更新を続ける予定ですので(とは言っても,更新時間はバラバラになるでしょうが),大掃除の合間,あるいはおせち料理に飽きた頃にでも覗いてみていただけたらと思います。
2008/12/29
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,北海道北広島市の大曲皮フ科 梅津 修先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- インタープレス 健生ニュース12月15日発行号に「湿潤治療で治療するやけどと低温やけど」が掲載されました。
- 先日紹介した『アメリカの宗教右派』(飯山雅史,中公新書ラクレ)に関連して,ちょっとしたエッセイを追加。「ストイック競争」です。
ちなみに,宗教がらみのエッセイ,あと一回くらい書く予定です・・・多分ね・・・。
- 石岡第一病院は明日30日昼まで通常通りに外来診療です。そういうわけで,今日・明日と私も仕事です。
ちなみに,いつも食事している居酒屋さんも年末年始も通して営業してくれているそうなので助かります。
- 充電式の乾電池エネループはいいですね。これまで「乾電池なんてどうせ安いんだから,使い捨てでいいよ」と思っていたのですが,単4電池で駆動する「ポメラ」でエネループとそれ以外の単4電池を使い比べてみて,その持ちの違いは一目瞭然でビックリしてしまいました。
先月,秋田の実家に行く途中で「ポメラ」の電池が切れ,駅の中のコンビニで4本パックの単4電池(で一番安いやつ)を買ったのですが,ちょっと(?)使ったらすぐに電池切れになってしまいました。そのため,書きかけの文章の保存が正常にできなくなって,テキストファイルが一つ駄目になりました。安物買いの銭失い,の典型ですね。
で,スタミナをうたっているエネループにしてみたのですが,それ以後毎日,数時間使っているのに,まだまだ余裕のようです。もちろん,充電式で繰り返し使えるというのもメリットですが,何より,安心して長時間使えるというのがいいです。
2008/12/26
2008/12/25
- 何一つ見所のないパニック映画,《壊滅大津波》を紹介。こんな映画をクリスマスに紹介しちゃったよ。
2008/12/24
- 12月18日の日刊ゲンダイの連載「カリスマ医師の神ワザ」で『医学の定説覆した画期的「湿潤療法」の生みの親』と治療を取り上げていただきました。記事をお読みになりたい方はご連絡下さい。
それにしても,カリスマとか神ワザとか,かなり気恥ずかしいタイトルです。
- 来年2月14日の「第2回 湿潤治療に関するセミナー」の詳細が決まりました。
また,1月24日のエル・おおさかでの講演ですが,参加予定者多数のため,会場が「6階 606号室」に変更となりました。
- タイトルを見ただけでクズ映画とわかる《バイオ・アマゾネス》を紹介。やはりクズでした。
- オバマ大統領宣誓式、右派牧師を起用へ…リベラル派猛反発
なぜ同性婚や妊娠中絶といういわば個人の問題がそこまで大問題になるのか,なぜ国を挙げての大論争になるのか,無宗教人間の私にはいまいちピンときませんが,先週末の移動で読んでいた『アメリカの宗教右派』 (飯山雅史,中公新書ラクレ)を読んで,初めて納得できました。
この本を読むと,なぜ,アメリカにだけ福音派,会衆派,長老派,メソジストなどの宗派があるのか,なぜアメリカには無数の宗派があるのか,なぜ共和党を福音派などの宗教右派が支持しているのか,本来は「南部の民主党,北部の共和党」だったはずなのに現在ではそれが逆転しているように見えるのはなぜなのか,アメリカ以外の欧米諸国では宗教の影響がどんどん小さくなっているのにアメリカでは逆に影響力を増しているのはなぜか,そもそもアメリカにとって政教分離って何なんだ・・・という諸疑問が実によくわかるようになります。これほど,アメリカ宗教の歴史的変遷をわかりやすく俯瞰した本は滅多にないんじゃないかと思います。
最後まで読んだら,内容をまとめて評論を書こうと思っています。
- そういえば,『毎日かあさん』に第5巻が発売されていましたね。これもとてもいいです。西原家のお兄ちゃんも妹もしっかりしてきました。
- ブラジル人2人、強盗傷害容疑 「帰国の金ほしかった」
経済不況を理由に,突然の解雇が日々増えています。この年末,このような事件が増えてくることが予想されます。このままでは,社会がどんどん荒れてすさんできます。そのような時代に突入しているというのに,政治は機能不全に陥っています。個人ではどうでもできない問題が生じた時こそ政治の出番なのに・・・。
総理ごっこをしている場合でも,政権奪取のための工作をしている場合でもありません。全国民が知っているのに,当人たちだけが気がついていません。「百年に一度の危機」と口では言っていますが,「百年一日(もちろん,正確な表現は「十年一日」だよ)」のようなことばかりしています。
- 「ハケン切り」の品格
派遣労働者の解雇問題についての記事。本質的な部分を論じています。
2008/12/22
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,品川区の昭和大学 整形外科 前田悠先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
- 先週土曜日は和歌山市で開催された「第1回 創傷治癒の基礎と臨床」で講演でした。大阪から参加された方もいらっしゃったようで,とても熱心に聴いていただきました。多数ご参加いただき,ありがとうございます。
- 今回の講演で初めて関西国際空港を利用しました。土曜日の午後2時頃と日曜日の午前11時頃に利用したのですが,あまりに人がいなくてビックリしました。特に土曜日は閑散としていて,「ここは過疎県の○○空港か? 利用者が少なくて有名な▽▽空港か?」と思ったくらいの衝撃でした。日曜日の国際線乗り場はまだ人が沢山いましたが,国内線のロビーは「東北地方の某空港」と変わりない感じで,伊丹空港とは大違いでした。
ううむ,経営,大丈夫なんでしょうか?
そういえば,この関西国際空港は金属探知機ゲートを通ると売店がありません。「そろそろゲートを通って待合ロビーで週刊誌でも買おう」なんて思っていたら,当てが外れました。これって困りますよね。何とかして欲しいです。
そういえば,愛知の中部国際空港もゲートを通ってしまうと買い物が不便だったのを思い出しました。中部国際空港の場合はゲートを通ってすぐに土産物店がありますが,そこを通り過ぎて左右のウイングに行ってしまうと,あとは自販機のコーナーくらいしかないんですよ。これも不便でしたね。
- で,金属探知機ゲートを通る前に売店に立ち寄り,そこで見つけたのが「日本一辛い黄金一味 京あられ」というお菓子です。「黄金一味」は知る人ぞ知る京都産の激辛唐辛子です。私は行きつけの居酒屋さんに「マイ黄金一味」を置いているくらいのファンですが,普通の感覚で言えば耳掻き一杯分入れたら食べられないくらい辛い,という評価だと思います(もちろん,これくらいじゃ全然辛くないよ,と評価した激辛人間もいますが・・・)。最近,「暴君ハバネロ」にも「黄金一味味」が加わったのでご存知の方も多いと思います。
で,この「京あられ」ですが,これも結構辛いです。最初のうちは「何だ,全然辛くないよ」と思って口に数個まとめて放り込んでいたのですが,その5秒後くらいからいきなり辛さが襲ってきます。油断しているとひどい目にあいます。激辛というほどの辛さではありませんが,この手のお菓子が好きな人にはちょっといいかも。
ちなみに「黄金一味」のメーカーでは「祇園七味」というのも出していて,こちらは「日本一山椒の香りが利いていて,しかも本格的に辛い」七味唐辛子です。煮込みうどん,鍋焼きうどんなどに最高に合う香辛料じゃないかと思います。ちなみに,祇園七味風味のあられも売っていました。
- 空港といえば,茨城空港というのが開港するんだそうです。上述の関西国際空港の状態を見ると,それより悲惨な状況になるような気がします。私は全国各地の地方空港を利用していますが,どこもひどいものです。「発着便数が足りない⇒不便なので利用者が減る⇒さらに便数が減る・・・」という悪循環に陥るからです。いくら,「新空港ができれば新千歳空港まで1時間」だとしても,その飛行機が3~4時間に1本だったら,最悪,4~5時間かかるのです。山手線なら隣の駅まで常に2分で行けますが,1時間に1本のローカル線では隣の駅まで1時間かかるのです。これと同じです。
多分,茨城空港もそうなります。要するに,新千歳便が一日2本や3本しかなかったら,多少遠くても羽田に向かった方が結果的に速く到着できるのです。
また,予定機が欠航になった場合,大きな空港だったらすぐに代替機が用意されますが,一日に数本しか発着しない空港ではそれは不可能です。この点でも,最初から大きな空港に向かったほうが安全です。
- いつも感じることですが,空路というのは余計な時間がかかるもんですね。出発の15分前にはゲートをくぐらなければいけませんから,30分前には空港に到着してチェックインできと不安です。さらに,向こうに着陸したからといってすぐに飛行機から降りられるわけでありませんし,さらに目的地である市街中心地に行くのにも30~60分かかります(例外は福岡空港だけ)。新幹線だと,出発5分前でも余裕だし,着けばすぐに目的地です。
東京から大阪に行くのに飛行機に乗っている時間は60分でも,結果的に2時間半かかり,新幹線で行くのと実は大差ありません。しかも便数は新幹線の比ではありません。
2008/12/19
- 私の本のイラストをいつもお願いしているCHIMAさんのホームページに彼女のお仕事のページが追加されましたので,勝手に宣伝しちゃいます(CHIMA WORKS)。とても素敵な旅行のルポで,これを見ただけで行ってみたくなりませんか?
- タイトルを見ただけでB級映画ファンはそそられるはずです。その名は《ギリシャ・ゾンビ》。「俺たちは世界の誰もまだ作っていないゾンビ映画を作りたいんだぁ・・・金はないけど・・・」という声がビンビンと伝わってくる映画です。私はこういうお馬鹿映画が好きです。
- 顔のほぼ全部を移植…米国で大けがの女性に
同様の手術については以前にも掲示板で話題になりました。なにやらものすごい手術のように思われるかもしれませんが,実は技術的には余り大したものではありません。
しかし,この手術の真の問題は手術成功後に襲ってきます。患者さんの精神の問題です。何しろ,全く違う顔になってしまうのです。考えてみてください。夜中に洗面所に行ってふと鏡を見ると,そこには別人の顔が映っているのです。ホラー映画ならよくあるシーンですが,現実の鏡に別人の顔が映るとなると話は別です。どれほど怖い状況なんでしょうか。「こういう顔になるよ」という事前の説明を十分に受けて納得して手術を受けたとしても,このような恐怖感と違和感を取り除くことは不可能じゃないでしょうか。
実際,このような手術を受けた患者さんは精神に異常をきたしているようですし,私が経験した患者さんも統合失調症になってしまいました。顔という最高度のアイデンティティが変化するというのは,それほど凄まじい体験なのでしょう。
恐らく,この手術をするのであれば,患者さんの過去の記憶をすべて消去し,全く新しい人間として生まれ変わらせる操作を同時にしなければいけないのかもしれません。要するに,手術のみ行っても意味がないのかもしれません。顔かたちは人間の意識の根底と切り離せないものだからです。
技術的にできるということと,それをしていいということは同義ではないのかもしれません。やろうと思えば,どんな難しい手術でもできますし,手術が成功すれば医者は満足します。しかし,患者さんはその手術の結果を背負って残りの人生を生きていかなければいかないのです。患者さんの本当の問題は,退院してから始まるのです。
そのあたりについて,医療者側の配慮はあまりに希薄だったような気がします。手術の種類によっては,手術結果の評価は医者と患者でタイムラグがあるということを考えてもいいのではないかと思いながら,上記の記事を読みました。
では,こういう顔面を失った怪我人に対してどういう治療をすればいいのかですが,形成外科の手術技術だけでは限界があるというしか私にはわかりません。
それにしても,「飼い犬に口周囲を咬まれ,下あごを除き、ほぼ目線から下の顔面をえぐられるような外傷を負い,そのままでは呼吸や食事もできなくなった」というのがちょっと理解できません。「口周囲を咬まれ」という受傷原因がなぜ,「呼吸も食事もできない」という結果をもたらしたのでしょうか。途中の創処置に問題があったのではないか・・・なんて疑ってしまいます。
- いよいよ本日夜,病院の忘年会で『ショパンの第3ソナタのフィナーレと巨人の星のテーマの交響的融合』をお披露目予定です。ま,何とかなるでしょう。聞いているほうも適度に酔っ払っているでしょうしね。
その後,カプースチンに挑戦してみましたが,技巧の難易度の高さとリズムの取りにくさ,不規則な指使いの問題など,私にはちょっと無理みたいです。やはりこういう曲は10代から20代の頃に覚えないと駄目で,素人中年が一念発起して弾けるような曲ではなかったようです。
そこで,昔弾いた曲なら何とかなるかなと思い,ラヴェルの『水の戯れ』と『水の精』を20年ぶりにちょっと弾いてみました。やはり,昔よく弾いていた曲は多少でも指が覚えているためか,テンポを落とせば結構弾けるんですね。こういう細かくて速いパッセージが少しずつでも弾けるようになるのは楽しいし,指も嬉しがっているようです。多分,ボケ予防にもなるでしょう。ちなみに,『水の精』は右手が高音域から重音連続で降りてくる部分の前までなら何とか弾けます。この曲,ここから先が難所の連続なんですけどね。
それにしても,この電子ピアノで『水の精』を練習する日が来るとは思ってもいなかったな。
2008/12/18
- 「こんなの買っちゃった」に「替刃タイプの髭剃り砥ぎ機」を追加。
- <臨床研修>1年に短縮へ 医師不足で10年度から
どうやら,現在2年の臨床研修を1年にして,研修する診療科も内科や救急など少数にする,という見直し案らしいです。背後にあるのはもちろん医師不足です。泥縄的見直し,という言葉がちらついて見えます。
そもそも,臨床研修制度は何を目的にしたものかといえば,厚生労働省は次のように明記しています。臨床研修は、医師が、医師としての人格をかん養し、将来専門とする分野にかかわらず、医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ、一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう、プライマリ・ケアの基本的な診療能力(態度・技能・知識)を身に付けることのできるものでなければならない。(厚生労働省:臨床研修制度の概要より)
要するに,専門馬鹿医者ではなく,広くプライマリ・ケアの知識を持った医者を育てよう,というのが目的だったようです。ということは,厚生労働省が考える「プライマリ・ケアができる医者」を育てるのに2年では長すぎて1年で十分だ,と考えているのでしょうか。
しかし,「1年研修するだけでプライマリ・ケアができる医者は育てられる」というのは机上の空論です。なぜかというと,人間は忘れる生き物だからです。使っている知識は忘れませんが,使わない知識はすぐに忘れてしまうからです。人間の脳みそはそのようにできているからです。
私は東北大学を卒業しました。この大学では,現在の臨床研修制度を30年以上前から行っていて,卒後すぐに医局に入局する医者と,とりあえず市中病院で数年間研修し,それから医局に入局するパターンの二つがありました。私は後者の道を選択し,2年間,市中病院で外科,内科,麻酔科を研修し,そのあと大学に戻って形成外科に入局しています。この2年間で気管内挿管,心肺蘇生,全身麻酔の管理など,一通りのことは一人でできるようになりました。プライマリ・ケア医としてはいっぱしのことはしていたと思います。
しかしそれからはや20年,全ては忘却のかなたです。今では気管内挿管もできなければ点滴を入れることすらありません。採血だって怪しいものです。心電図も読めませんし,腹部エコーもできません。25年前は毎日のように点滴を入れ,気管内挿管し,人工呼吸器を一人で管理できていたのに・・・。
要するに,使っていない技術はすぐに錆び付きます。必要ない知識はすぐに忘れます。必要な知識を保持するのすら大変で,必要のない知識を記憶にとどめておくほど人間の脳みそは暇でないのです。
しかも,治療機器も診断機器もどんどん進化します。私が研修医の頃使っていた人工呼吸器なんて,今は骨董屋にも置いていないでしょうし,今の人工呼吸器を使おうと思っても使い方がわかりません。これは要するに,昔のダイアル式黒電話しか知らない人間に,携帯電話を渡して電話しろというようなものです。黒電話しか知らない人間はたとえ相手の番号をボタンで押せたとしても,通話開始ボタンを押すことを知らないのです。
つまり,プライマリ・ケアができる医者になるためには,一生涯,プライマリ・ケアの勉強が必要であり,常に知識を更新し続けなければいけないのではないでしょうか。2年間で覚えた技術や知識は,2年使わなければ使い物にならなくなるのです。
2008/12/17
2008/12/16
- ここ数日,頭の中で渦巻いているのは「多細胞生物の進化の歴史で体表(皮膚)はどのように進化したのか。そもそも体表とは何だったのか?」という命題です。皮膚に常在菌が共生する様になったきっかけは何だったのか,表皮のターンオーバーはなぜ必要になったのか,原初の多細胞生物にとって創傷治癒は何のために必要だったのか・・・などについて,絶え間なく思考実験を繰り返しています。
私の考察が正しいかどうかは不明・・・というのが最大の問題ですが(・・・オイオイ)ですが,人間の皮膚のさまざまなトラブル,皮膚の創傷治癒に内在する非合理性などについて,あと少しで合理的な説明がつけられそうな感じです。
ちなみに,なぜ体表面に常在菌との共生が必要だったのか,それは最初の真核生物,最初の多細胞生物が水中(海水中)で誕生し,その後数億年,水中で進化してきたから,というのが理由でしょう。水中だったからこそ,常在菌との共生が不可欠だったし,それ以外の選択枝はなかったのです。そして,共生関係はきわめて早い時期(恐らく,先カンブリア紀の最初期に)に始まったはずです。このあたりの説明にはかなり自信があります。
真核生物の進化の歴史を見ると,「新しい問題にぶつかった時は今持っている組織や器官をやりくりしてそれに対処する」の連続です。生命体としての基本部分は実はあまり変わっていません。
現在の人間の器官(例:皮膚)のトラブルを現在の医学知識からだけ見ても根本的な解決できないことが多いのですが,皮膚の進化の歴史を俯瞰できれば,新たな解決法が見つかるはずです。
そして,昨日から考えているのは「皮膚のターンオーバーはなぜ必要だったのか? ターンオーバー以外の選択枝はなかったのか? ターンオーバーすることで何を得,何を失ったか?」です。次から次へと面白い命題が浮かび,寝ている時以外は脳みそフル回転状態です。
- 何とも中途半端なヴァンパイア系ホラー映画,《ブラッド・エンジェルズ》について。基本設定が無茶苦茶なのが欠点ですが,(それなりに)きれいなお姉さんが6人も登場するのが唯一の救いかも・・・。
2008/12/15
- 来年2月14日(土)に博多で,3月28日(土)に京都でそれぞれ「湿潤療法(うるおい療法)に関するセミナー」を行います。よろしかったらご参加ください。
- 冬といえば手荒れの季節です。「手荒れ・主婦手湿疹の治療」をお読み下さい。同じ方法で,かかとのガサガサも数日で治りますよ。もちろん,手荒れの予防にもなります。白色ワセリンは無味無臭だし,口から入っても安全ですからお料理を作る前に手に塗っても大丈夫です。
なお,手荒れ用ハンドクリーム,尿素入りクリームは全く役に立ちません・・・というより,かえって手荒れがひどくなります。
なお,なぜ尿素入りクリームは手荒れを悪化させるのか,白色ワセリンでなぜ治るのかについての,ほぼ完璧な説明に到達しました。ほぼ完璧な論理的説明でしょう。そのうち公開しますね。
- 数日前,道を歩いていて不意に「皮膚の痒みを進化論的に解釈すると,全く違った様相が見えてくる」ことに気がつきました。医学の歴史でこれまで誰も考えてこなかったであろう新しいアイデアです(・・・多分)。医学はどうしても「脳⇒皮膚」というヒエラルキーで考えがちですが,そういう考え方の「癖」がある,ということに気がつけばよかったんですね。
説明しようとすることは大したことがないんだけど,理論的には膨大な体系となります(何しろ,真核生物の誕生から説明しないと理解してもらえそうにありません)。これもまとまったら公開します。
- 麻生首相「しのぎにする」と環境対策評価
麻生首相,またすごいことを言っちゃったよ。「しのぎ」というのは一般用語ではなく,あくまでも暴力団方面,暴力団を取り締まる警察関係の方々しか使わない「専門用語」です。だから首相の発言は「環境対策を金にするとは,暴力団が覚醒剤を売って資金源にするのと同じ発想で素晴らしい」と誉めている(?)のと同じです。
これまでどんな人とこれまでお付き合いしてきたら,こういうお言葉がひょいと口から出るんでしょうか。いつも使っている言葉だから,つい口から出ちゃうんだろうな。
そして,周りでそれを聞いた人も「いまさら60過ぎた爺さんに,それはやーさん専門用語ですよ,って注意するのもなんだし,第一,人から注意されるとこの人,すごく怒っちゃうんだよな。注意するの,止めとこっと」って見逃してきたんだろうな。
ま,漢字が読めなくても,やーさん用語で話しても,カップ麺の値段を知らなくても本当はいいです。まともな政策を提示してくれたらいいんです。それをしていたら,漢字の読み違えなんて誰も問題にしませんよ。
2008/12/13
- 雑誌「週刊SPA!」12月16日号に取材記事『怪我に病気に健康に。その”常識”は正しい?』が掲載されました。
2008/12/12
- 「創感染」シリーズに「安上がりな防衛戦略」と追加。真核細胞の生物が細菌との共生の道を選んだ理由を,感染症の面から考察してみました。
- 音楽映画と頑張る青少年映画に評価の甘い私ですが,この映画に対しては「最悪のクズ映画」と評価を下すしかありませんでした。《ブラブラバンバン》です。主演女優のセーラー服姿がどうしても「アダルトビデオのお姉さん」にしか見えません。おまけに,演奏シーンも無茶苦茶とあってはどうしようもありません。
2008/12/11
- 「プラスモイストP取り扱い薬局一覧」に長野県松本市の3つの薬局を追加しました。
- 講演で使用するスライドをマイナーバージョンアップし,12月10日作成のものが最新バージョンとなります。
以前ダウンロードしたことがある方は同じアドレスからダウンロードできますし,新たにダウンロードをご希望の方は本名,所属を明記してメールでご連絡下さい。
- 性同一性障害で性転換手術を受ける直前の男に突然,「あなたには子供がいる」と告げられたら・・・という映画,《トランスアメリカ》を紹介。これはいい映画です。
- 昨日のこのコーナーで「全国の研修医で湿潤治療を知らない医者はほとんどいないようだ。今はまだ彼らは一番下っ端の医者だが,5年後には彼らが臨床現場の先頭に立つことになる。その時,医療現場で一挙に革命が起こる」と書きました。それを読んだ数人の研修医から「勇気付けられました。確かにその通りです。少なくとも私の周囲の研修医は全員知っています」とメールをいただきました。
私は国内各地で講演をしていますが,その後の懇親会などで研修医の先生方と話しをしますが,どこに行っても「研修医は全員知っています」と聞きます。話半分としても,研修医の半分は知っているのでしょう。
研修医の半分が知っていれば,もうこちらのものです。果実が熟して自然に落ちるように,機が熟すのを待つだけです。それが5年後です。
2008/12/10
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,和歌山市のにしばた形成外科クリニック 西端和哉先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- このようなメールをいただきました。
私は○○大を卒業して○年目の医師です。現在は診療所で一人勤務です。創傷治療をやっと最初から最後まで自分で出来るようになりました。
この先生と同じように,「湿潤治療については知っていてやってみたいと思っていたが,先輩医師がいい顔をしなかったためできないでいる」という医師は多いようです。しかし,この先生のように少人数の診療所では自分の医師で治療法を選択できるし,専門外の怪我ややけどの患者さんも治療しなければいけません。そういう時こそ湿潤治療の独擅場でしょう。片手間治療でも火傷も深い傷も治ってしまいますし,外傷だからと身構えて治療する必要もありません。
そして,全国各地の研修医たちはすでにこの治療を最初から知っています。知らない研修医は少数派なようです。今は一番下っ端で,先輩医師に「消毒しろ」といわれたらその通りにするしかありませんが,5年後には彼らは卒後6年~10年選手になり,臨床現場の先頭に立ちます。その時彼らが「消毒してガーゼで乾かす」治療法をするとは思えません。
そしてその時,日本の医療現場は一挙にパラダイムシフトを迎えるんじゃないでしょうか。
- ある方から『床下が危ない』というシロアリ研究者によるシロアリについての本を貸していただき,少しずつ読んでいる。まだ最初の方しか読んでいないが,これが結構面白い。
「卵から浮かしたシロアリはすぐに歩き出し,未成熟の状態で働きアリになる。このため,シロアリの体表面は軟らかく,いわば未熟な状態のままである。そのため,巣穴を頑丈にして身を守る必要がある。巣穴の内壁はシロアリの外骨格なのだ」
なんて記述にちょっと興奮。知らないことを知るってのは,どんなことでも楽しいものです。
2008/12/09
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,東京都目黒区の自由が丘MCクリニック 大谷伸久先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
- 典型的なB級クズホラー映画,《ウルフヴィル》を紹介。
- 以前このコーナーで紹介した熱傷患者さんですが(11月26日の記事参照),順調に回復し,形成外科医が「これは植皮しなければ治らない」と断言した部分もすでにかなりの部分が上皮化しています。もちろん,瘢痕拘縮も起こらず,普通に走り回っています。以前の主治医の診断は全て間違っていたことがわかります。
この患者さんのお母さんは次のように話していらっしゃいます。
以前通院していた病院では,主治医(上記の形成外科医)の先生に会うたびに,「これは重症熱傷だから手術しないと治らない。皮膚移植をしないと絶対に治らない。植皮をしないと歩けなくなる」とばかり説明を受け,手術を受けさせることが親の義務だと思っていました。だから,この病院に来て,「これは手術しなくても治るよ。これは重症熱傷でもないから簡単に治るよ」と言われてもすぐに信じられず,こんな軟膏もつけない治療を受けていたら,今に歩けなくなるんじゃないかとずっと不安でした。でも,実際に治ってくる様子を見て,細菌ようやく安心できました。
今考えると,あれは医者による洗脳だったのですね。患者の親を洗脳して不安に陥れ,医者の都合のよい治療を押し付けるための洗脳だったのですね。
もちろん,この「洗脳」は上記の医者だけがしているのでなく,日本中のあちこちで今日も行われています。形成外科医だけでなく,全ての診療科の医者にこういう「洗脳医」はいます。
2008/12/08
- 「共生のエネルギー戦略」を追加。まぁ,常識と言えば常識なんですけどね。
- 来年1月18日(日)に茨城県小児救急講習会で講演することが決まりました。会場は筑波メディカルセンター病院です。
- 「プラスモイストP取り扱い薬局一覧」に茨城県内の二つの薬局を追加しました。
- サッカーのJリーグを見ていていつも思うのだが,最終戦が近づき優勝チームが決まってもまだ面白い。J1の下位3チームとJ2の上位3チームの入れ替えがあるからだ(ちなみに,今年までは3位同士のチームの入れ替え戦があるが,来年からは問答無用で入れ替えになるらしい)。だから,下位チームほど必死になって最後まで緊迫した試合が続くし,J2だって3位になるのと4位になるのでは天地の差があるから最後の最後まで目が離せない。当の選手・チームにとっては厳しい制度だと思うが,J2側から見れば,確実に努力が報われるわけで極めて公平な制度といえる。
それから見ると日本のプロ野球は詰まらない。以前にも書いたことがあるが,日本プロ野球も上位6チームと下位6チームに分け,毎年1,2チームの強制入れ替えをすべきなのだ。そして,そのくらいの荒療治をしない限り,日本のプロ野球には明日はないのではないだろうか。
2008/12/05
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,茨城県北茨城市の北茨城市立総合病院 麻酔・救急科 米加田啓介先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
ちなみに米加田先生は以前,同じ病院で働いたことがあります。
- 講演で使用するスライドをマイナーバージョンアップし,12月4日作成のものが最新バージョンとなります。
以前ダウンロードしたことがある方は同じアドレスからダウンロードできますし,新たにダウンロードをご希望の方は本名,所属を明記してメールでご連絡下さい。
- 「プラスモイストP取扱店一覧」を地図形式にしてみました。どっかで見たことがある・・・なんて言わないように。
- 久しぶりに心に染み入るようないい映画を観た。それが《サン・ジャックへの道》だ。
- 忘年会用に練習している『ショパンの第3ソナタのフィナーレと巨人の星のテーマの交響的融合』ですが,ま,このくらい弾ければいいかな,程度には仕上がりました。細かく見ていけば怪しい部分は結構あるのですが,51歳の素人が仕事の合間にちょっと練習するくらいでは,演奏精度をこれ以上磨き上げるのはちょっと無理みたいです。
結構指が動くようになってきたので,以前から弾いてみようかと思っていた曲があるので,ちょっと挑戦しようかと思っています。カプースチンの「練習曲第3番 トッカータ Op.40-3」です。どんな曲かというと,下記のYouTubeの演奏画像をご覧ください。最高に格好いい曲です。難点は,上記の「巨人の星」に輪をかけて難しいことだけですね。弾けたらいいのですが,弾けるかなぁ?
なお,楽譜は全音から出版されています。
2008/12/04
2008/12/03
2008/12/02
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,大阪市淀川区の西中島クリニック 岡崎 誠先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 「医学の細菌学だけがおかしいのではないか? -パスツールの呪縛-」を追加。まず第一弾ですが,暇を見て書き足していこうかと思います。
- 治療中の指腹部の全層欠損の患者さんがいます。あと1ヶ月くらいで指が再生するんじゃないかと思いますが,その再生した指の指紋って,元の指の指紋と同じなんでしょうか,それとも違う指紋になるんでしょうか。
真皮下層が保たれている場合には同じ指紋が再生するような気がしますが(・・・さしたる根拠はないけど),骨が露出するような皮膚軟部組織欠損の場合はどうなんでしょうか。もちろんこれは,「怪我をする前に指紋を採取し,その後に指尖部全層皮膚損傷を受傷し,湿潤治療を受けて再生した指尖部の指紋を採取して,以前の指紋データと照合」すれば簡単にわかることなんですが,さすがにこれを自分の指で人体実験はしたくないです。
2008/12/01
- 来年7月12日(土)に山口県臨床整形外科医会で講演することが決まりました。
- 過去の分析で将来起こることを予測できるだろうか? 日曜日朝のテレビでの経済学者や政治評論家の「今後どうなるか」という予測を聞いて,ふとそんなことを考えた。だって,1年前の週刊誌を読み返してみると,経済学者,経済評論家の予測はほぼ100%外れているんだもの。
政治学も経済学も,過去どんなことが起きたのか,現在はどういう状況なのかについての分析は可能だが,それが未来の政治や経済とどうつながるのだろうか? 未来の政治や経済の状況が現時点と同じであれば予測できるだろうが,変化してしまったら予測はできないはずだ。これは歴史学と経済学と政治学は「過去と現在の分析」しか研究の手段がないということを意味していないだろうか?
もちろん,だから政治学はおかしい,と主張しているのでなく,そもそもそういうものではないのか,と言っているだけである。
ベートーヴェンの32曲のピアノソナタを分析して、ベートーヴェンが書いたであろう33番目のソナタを作曲できるだろうか?
シェイクスピアの全戯曲を分析したら、新しいシェイクスピアの戯曲を作れるだろうか?
ショパンの全作品を知っていれば、目の前の楽譜の曲がショパンの曲であるのかないのかは判断できるが,ショパンかもしれない未知のピアノ曲が発見されたとき、譜面だけからそれがショパンかどうかは判断できるのか?
過去と現在のデータから未来の状況を予測する,と言うのはつまりそういうことである。
- 父親の13回忌のため,先週金曜日午後から実家のある秋田に向かい,久しぶりに兄弟3人が顔を合わせた。お互いにろくすっぽ連絡も取らない男兄弟である。
そして,13回忌も無事に終わり(・・・無事に終わらない13回忌ってのはないと思うけど),母親(既に後期高齢者である)とともに近くの温泉に一泊。
というわけで私は数年ぶりに温泉に入ったわけだ。今まで講演がらみで温泉付きのホテルに泊まることは何度もあったが,時間がなくて温泉に入る暇がなかったのだが,今回は時間はたっぷりあるため,何度か温泉のお湯に漬かることができた。
そこで思ったのだが,温泉にゆったりつかるというのは結構大変なのである。「ゆったり」というのが難しいのだ。外の風景は見えるが数分で見飽きてしまうし,裸のおっさんを見てもつまらないし・・・というわけで,結局,5分ほどで上がってしまった。どうも私は「温泉に入って癒される,温泉で疲れをとる」というのが苦手らしい。
で,夕食まで時間が空いて暇だな,と思っていたら弟がテレビの上に「ザ・ティー The T」というゲームを発見。これは,木で作られたピースを並べて指定の形を作るという頭脳ゲームなんですが,何しろ3人揃って理系の仕事で飯を食っている人間なので,こんなの解けないわけがないと本気モードに突入。ところが,これがなかなかの難物でして,10分たっても20分たっても1問も解けない有様。しかし,ちょっと発想を変えてパズル・ピースを見てみたら,いきなり解答に到達。この「見方を変える」という糸口さえ見つかってしまえば簡単で,その後は5分ほどで次々と全問正解してしまいました。やはりどんな分野でも,見方を変える,発想を変えることが大事なようです。