Top Page
2009/06/30
- かなり楽しめるドイツのテレビ用アクション映画,《アルティメイタム》を紹介。ちょっと設定に懲りすぎの感はありますが,アクションシーンは迫力満点で楽しめると思います。
- 病院経営者向けの雑誌「集中 MediCon.」7月号がまた送られてきました。一番面白かったのは次の,某市立病院で電子カルテ導入が「病院経営破滅」の原因になったという分析記事。
- 電子カルテ導入の際,事務が大手メーカーから接待を受け,そのメーカーの必要以上に高額なシステムを導入。
- 普段使いそうもない機能が満載で作業が複雑。必要な作業が見つけにくい。
- 請求のシステムが複雑すぎて請求項目が見つけにくく,仕事が忙しい医者は処置などの請求を出さなくなった。
- レセプト上は全く問題ないが,なぜか収入が頭打ちに。
- ソフトのバージョンアップでさらに多額の費用が必要になり,入力システムはさらに高度なものに変化。それにより,入力項目が増えてかえって事務作業に時間がかかるようになった。
- 医者はさらに請求に消極的になった。診療時間もカルテ入力作業のために長くなった。
かくして,IT投資すればするほど売り上げが落ち,患者数は減っていないのに売り上げが減るという負のスパイラルに!
その他の面白かった硬派の記事は次の通り。
- ソネット・エムスリー「MR君」の錬金術/製薬業界の営業費を飲み込み急成長中
- テルモ/高額医療機器を生み出すぼろ儲けのカラクリ
- 牽強付会の「クローン牛」安全宣言/しょくひん安全委員会が拙速な「お墨付」
- 「利得」で自民、「損失」で民主
「プロスペクト理論」からみた,民主党のとるべき戦略とは何か,という記事です。そうか,経済成長を論点にしたら民主党には勝ち目はないわけね。なるほど。
- <地デジ>著作権保護技術無効の装置出回る 有効な対策なし
2011年7月にアナログテレビが映らなくなると判っていて,私はいまだにアナログテレビを見ています。テレビが見られなくなってもそれほど困らないからです。15年前ならテレビは日常生活に「なくてはならないもの」でしたが,現時点では,「なくてもそれほど困らないもの」になっています。
しかも,地デジになると「録画データを使いまわせる(コピーしたファイルを移動できる)のは10回だけ」というけち臭い制限が課せられます。つまり,現在のアナログ放送より使い勝手は悪くなります。なぜこんな機能がついているかというと,メーカー側・著作権所有側は「視聴者は泥棒だ」と考えているからでしょう。不便なものが便利になるのがスジなのに,便利なものを不便にするというのですから,商売の論理からいっても通りません。
そこで登場したのが「不便なものを便利にする」上記の装置,というわけです。
いずれにしても,「著作権とは誰の権利を守るものなのか,著作権によって誰の権利が守られているのか,現在の著作権法は著作者の権利を本当に守っているのか」について問い直し,まずそこから議論を組み立てるべきです。現時点の著作権法で守られているのは「現行の著作権で利益を得る組織の利益」であって,著作者本人の権利を守るためのシステムにはなっていません。
- ネジのかっこよさにしびれる
「そうか,ネジってこういうのから,こうやって作るのか」という驚きに始まり,最近見かけないマイナスネジの意外な需要とか,個人的にはすごく面白かった記事です。
- 遅咲きの天才、晴れ舞台へ=楽天・草野「胸張って」-プロ野球オールスター
社会人チームを渡り歩き,プロ野球チームに入ったのは29歳,しかも入ったチームは弱小「楽天」。そして32歳の今年,首位打者をひた走っているのがこの草の選手です。
オールスターに選ばれたとわかった時の言葉,「僕みたいな地味な選手が出てもいいのかな」が格好いいです。
- 簡単にとじられます
NHKの「まちかど情報室」で便利で使えそうな書類ファイルが特集されていました。どれも,これまで不便だった点を改良していました。
2009/06/29
- 症例相談・BBSに「難治性下腿潰瘍」を追加。特に基礎疾患はなさそうですし,創傷治癒を阻害する因子は極力排除しているのに経過が思わしくありません。皆様のご意見をお待ちしております。
- 「プラスモイストP取り扱い薬局一覧」に,愛知県名古屋市の中部ろうさい病院 売店を追加しました。
- Windows 7が半額のオンライン先行予約キャンペーン開始、7月5日まで
マイクロソフトのOSはバージョン2になるまで待った方がいい,という鉄板の先人の知恵があります。私は今年暮れまでは使用中のAcerのネットブック(Windows XP)でしのぎ,各種フリーソフトがWindows 7に対応してのを見計らってから,Windows 7搭載機に買い換えようかなと思っています。
- ブラックバス釣り人を大量検挙 そのわけは…
私は基本的に,生態系を破壊することで可能になる遊び・趣味は20世紀でおしまいにすべきだったと思っています。固有種は一旦絶滅すると決して復活しないからです。遊び半分でしていいこととしていけないことがあり,バスを日本の湖沼に放流して釣る行為は後者です。
バス釣りをしたかったら,バスが本来暮らす五大湖やミシシッピ川に行って釣りをすべきです。趣味とは本来そういうものです。
- 衆院選8月2日か9日念頭=都議選直後の解散も-自民役員人事見送りへ・麻生首相
総理大臣の最大の権力は人事権と解散権です。この二つをここぞというところで発動するのが能力の見せ所です。麻生太郎氏はそれがわかっていないわけはないので,「自縄自縛状態」になっているんでしょうね。
この記事の通りだとすると,7月3日に東京都議会選挙告示,7月6日に麻生太郎氏はイタリアに旅立ち,8日からのサミットに日本国の指導者として参加し,11日頃帰国し,7月12日に東京都議会選挙の投票と開票があり,それからほどなく解散,というスケジュールになりそうです。
これで念願の「首相としてサミットに出席」が可能になりました。よかったね,太郎君・・・って,それしか考えてなかったりして・・・まさか,そんなことはないよね。
- <成果至上主義>研究者にのしかかる 7割「今後に不安」--労組が調査
基礎研究に成果主義を導入してはいけません。基礎研究が崩壊し,その結果,科学技術でしか生き残れないこの国の基礎を崩壊させます。
2009/06/26
- 第3回創傷ケア研究会の詳細について追加しました。
- オカルト風味のミステリー映画,《サイレント・ボイス》を紹介。こじんまりとした作品でした。
- IEをバンドルしないWindows 7 "E"で解決…となりそうもないMSとECの闘い
ということは,ブラウザ非搭載のパソコンが売られるということですよね。これって初心者にはどうなんでしょうか。買ってきたパソコンを立ち上げて各種の設定を終え,LAN端子とつなぎ,「さあ,インターネットでも見るか」と思ってもブラウザが入っていないんですよ。もちろん,FirefoxやGoogle Chromeをインストールすればいいんだけど,インストールするためにはまず最初にネットに接続してインストールファイルをダウンロードする必要があります。でも,肝腎のブラウザが入っていないのですから,ネット接続ができません。ネット接続できなければ,ファイルをダウンロードできません。
こうなると,事前にファイルをダウンロードしてUSBメモリなどに入れておく必要がありますが,そのためにはまずネット接続しているパソコンを所有していることが前提になります。
要するに,「ネット接続するためのソフトはネット接続していなければ手に入らない」というトホホな状況になるはずです。一体どうするつもりなんでしょうか,ECは・・・。
- 東国原宮崎県知事をめぐる一連の騒動だが,彼が政治家を目指してからの行動を見ていると,無駄な行動は一切していないように見える。常に,達成すべき目的を定めてそれを実現するための最短距離を走っているように見える。また,知事になってからの行動も「宮崎を有名にする,宮崎の農産物を全国的にする,宮崎の経済を立て直す」という点で首尾一貫していて,ぶれがないように思う。
そして,その政治行動の最終目的は「完全な地方分権」であるようだ。「地方自治体が生き延びるためには,地方自治体の裁量権を拡大しなければいけない。自己裁量権がなければ,地方自治体は国の奴隷に過ぎない」と明確に想定している。
では,完全な地方分権を実現するためにはどう行動するのが最短距離なのだろうか。恐らく彼はここで,どういう戦略の選択枝があり,それらが最終目的にどのように結びつくかをシミュレートしたはずだ。それが今回の「総裁候補」発言なのだろう。実際,東国原氏は自民党の古賀氏に,地方分権を確立するための政策をマニフェストに入れるよう,直談判したようだ。ここでも彼の主張と行動は首尾一貫している。
しかも,東国原知事はマスコミを熟知している。自分がこのように発言すればマスコミはどう報じるのかを全て読んでいて,その上で発言している。「私を総裁候補に」と発言して自民党議員の反発を買い,その上でテレビで「地方分権のための政策を自民党のマニフェストに入れて欲しくて」と発言する。そして,この発言がニュース番組を通じて,繰り返し放映されることまで計算しているはずだ。そうなると,自民党も民主党この主張を無視するわけにはいかなくなる。
このような彼の言動に対しての自民党や民主党の代議士たちの言動を見ていると,あまりにも次元が低い。どうやったら次の衆議院選挙で勝てるか,そのために誰を利用できるかという時限でしか発言していないのはミエミエであり,この問題に関して発言している自民党代議士の皆様,どいつもこいつもレベルが低すぎるのだ。二代目,三代目のボンボンの脳味噌には,そこらはわからないのかもしれない。
- 孤独な男どもよ、メシに「欲張りすぎるな!」/山田五郎×久住昌之 僕たちの好きな男飯
働く男が一人で飯を食う様子を描いただけなのに,無茶苦茶面白いのが『孤独のグルメ』(画・谷口ジロー 原作・久住 昌之)です。『男飯』も面白そうです。
- ゲルマニウムブレスレット「疲労和らぐ」根拠なし
どう考えてもインチキ商品がようやく薬事法の網に引っ掛けられました。この手の商品は根拠としている論文が一つあり,それを根拠とする孫引き論文が書かれ,それらを相互に引用するさらに多くの論文を書き・・・と,あたかも多数の医者,研究者が研究しているように見せかける,というトリックを使っていることが多いです。「マイナスイオン」はまさにこのトリックを使っていました。
提出された論文はクズでもゴミでも掲載しちゃう「物理・化学系雑誌」があるからこういうことになります。もちろん,医学にもこういう雑誌は・・・?
2009/06/25
- パイナップルで肉は柔らかくなるのか
酢豚を食べている人の9割がたが「酢豚のパイナップルって邪魔臭いし,美味しくないよね」と鬱陶しく思っているんじゃないでしょうか。私も「パイナップル鬱陶しい」派です。でも,「パイナップルはお肉を柔らかくするために入れている」という「常識」があるもんだから,パイナップルだけ皿の端っこよけて置いています。
「この常識は本当に正しいの?」と立ち上がったのがデイリーポータルの食べ物系ライター,高瀬さん。いつも美味しそうな,読むだけでお腹がすいてくる実験を次々と考案しては実行している方ですが,今回も「本当にパイナップルでお肉は柔らかくなるのか」について,その他の「お肉を柔らかくしてくれそうなもの」と比較実験をしています。
結果については上記の記事で一目瞭然ですが,何より素晴らしいのは「柔らかくなったのは判ったが,それと美味しさは結びついているのか」を実際に食べて検証している点です。その結果,「柔らかくはなるが,だからといって美味しくなっているわけではない」という結論を出しています。これぞ科学の精神じゃないでしょうか。
恐らくこのパイナップルは,質の悪い硬い肉しか手に入らない時代に,硬い肉を何とかして食べられるようにしたいという工夫から生まれた生活の知恵ではないかと思われます。そしてこの習慣が定着するうちに,やがて,「肉にはパイナップルがつきもの」となって儀式化し,柔らかいお肉が食べられる時代になったのに惰性的にパイナップルが使われている,という構図じゃないかと思います。そして,「お肉はパイナップルで柔らかくなる⇒お肉が美味しくなる」という誤解が検証されないまま「常識」になった,ということでしょう。その意味で,実際にお肉を食べてみたという高瀬さんの姿勢は素晴らしいと思います。
ちなみに,「当初の目的が忘れられ,儀式として残っている」のはパイナップルだけじゃありません。医療現場のそこかしこにこういう「パイナップル」があります。
ちなみに,このような実験記事に対し,「RCTをしていない,統計処理をしていない,Nが1では話にならない,パイナップルで肉が美味しくならないことを証明した過去の論文はあるのか」と文句を言ってくる連中がいます。EBMお馬鹿さんです。
- 問題解決には「情報を集めない生き方」が有効
情報を集めて整理することが学ぶことではない,効率化することは善でも悪でもない,など,なるほどなと思うことが多いインタビュー記事でした。
- 世界初――128GBの大容量USBフラッシュメモリが実売49,800円
ついにUSBメモリも128GBに突入! まだちょっと高価ですが,いずれ上海問屋あたりで販売される頃には値段もこなれてくるでしょう。
- 「いまアメリカでは銃が飛ぶように売れているのです」
州議員時代から銃規制を重要政策としているオバマさんが大統領になってから,かえって銃がよく売れている,というレポートです。世界中の先進国の中で,アメリカが唯一「個人が銃を持って武装して身を守ることで,社会の安定が保たれている」と信じ込んでいます。これぞまさしく「銃=平和」パラダイムです。パラダイムだからこそ,「本人たちは超マジメだけど外から見ると馬鹿馬鹿しい」のです。
- 元秘書の立場から、鳩山邦夫という政治家を語ろう
たった一人の証言なので鵜呑みにするわけにはいきませんが,その頃から人格が変わっていないとすれば,直情型で理想家肌で,計算ずくの行動ができない人物のようです。
政治家としては大成しにくいタイプですが,一人の人間としてはとても魅力的です。
2009/06/24
- スタイリッシュでオサレなホラー映画を目指したのに,なぜか,何を言いたい映画なのか全然わからなくなってしまった駄作,《脳内監禁 ~nijyujinkaku~》を紹介。見るだけ,時間の無駄です。
- 『傷はぜったい消毒するな』(光文社新書,\882)ですが,発売1週間で増刷が決まりました。ご購入いただき,ありがとうございます。
- 感染症「排除」の意識、今も
今回の新型インフルエンザ騒動の構図は,かつてのハンセン病対策と同じだ,あの頃から日本人の考え方は変わっていない,ハンセン病の苦い経験から何も学んでいない,という鋭い分析です。
- ブルガリもベンツもお得意様~常識覆した“金属シール”で世界席巻
こういう,創意工夫で新たなジャンルの商品を開発していくメーカーの話を読むのは大好きです。
- 投手のテクニック
そういえば,麻生投手(?)っていろんな球種を持っていたんですね。いつもながら,松村師匠の筆は切れ味抜群!
- 名カラーフィルム、製造中止へ=デジタル化に勝てず-米コダック
まだ真面目に形成外科をしていた10年位前までは,コダクロームのフィルムは仕事の必需品であり,症例の術前術後の経過を「一眼レフ+リングストロボ+コダクローム」で撮影する毎日でした。コダクロームはネガでなくポジフィルムのため,そのままスライドにできたからです。皮膚科医,形成外科医にとってコダクロームのフィルムは治療機器であり必須のアイテムでした。
その頃QV-30という最初のデジタルカメラが誕生しましたが,30万画素と画質が低かったため,仕事では使い物にならず,コダクロームは安泰でした。その後,デジカメは長足の進歩を遂げて解像度はアナログカメラに肉薄し,動画撮影機能まで持つまでになりましたが,一方でアナログカメラは進歩も改良もなく,昔のままでした。
そして,コダクロームが消滅する日がやってきました。
- 地球の磁場の変動、原因は海流か?
「地球の中心には固体鉄があり,その周囲を液体鉄が取り囲んでいる。そして地球の自転とともに液体鉄が回転し,その運動によって磁場が生まれ,それが地磁気である」というのが現在の定説です。それを真っ向から否定する新説です。当然のことながら,地球物理学者は激怒し,この説を頭から否定しています。
世界を敵に回しても自分の正しさを主張したい,自分の正しさを主張するためなら世界を敵に回してもいい,という科学者としての勇気ある姿勢に敬意を表します。
2009/06/23
- 以前紹介した,「形成外科医より3度熱傷といわれ,植皮術を勧められた11ヶ月女児の手背熱傷」のその後の経過です。瘢痕を残さずに治癒しています。一体どこが3度熱傷だったんだか・・・。
こういう「全国各地の大学病院形成外科,熱傷センターで3度熱傷と診断され植皮が必要と説明を受けた」患者さんが逃げてきて当科を受診されたり,「本当に植皮が必要でしょうか?」とメールでの相談を受けています。悲しいことに,全国各地の大学病院から患者さんが逃げ始めているようです。
- ラーメン
なんて深くていい作品なんだろうか。戦場でラーメン・ガイドブックを肌身離さず持っていた鴨ちゃん,そして今,鴨ちゃんはもういなくて,その代わりに二人の子供が隣の席に座ってラーメンを食べているという不思議さ。これぞサイバラ,という佳作である。まさに,「サイバラの前にサイバラなく,サイバラの後にサイバラなし」
- 『傷はぜったい消毒するな』(光文社新書,\882)ですが,紀伊国屋書店 新書 週間ベストセラー(6/15~6/21)では52位に入っていました。また,全国各地の書店で満遍なく売れているようだ,という連絡もいただきました。これで少なくとも,初刷り分が売れ残ることはなさそうです。
- 最高地の微生物コロニー、噴火口で確認
どういう種類の細菌が同定されたのかはこの記事からは不明ですが,恐らく古細菌ではないかと思われますが,実際はどうなんでしょうか。
- 太陽活動の停滞、帯状流の弱さが原因か
こういう記事を読むと,地球に最も近い恒星の太陽ですら,わかっていないことだらけだということがわかります。
- マングースついに本土上陸、生態系崩れる危険 鹿児島市
先日,沖縄に講演で車で移動の際,道路を横切る黒い動物に数回遭遇し,それが実はマングースでした。もともと沖縄にいないマングースを持ち込んだのはもちろん人間で,1910年のことです。当時,ハブに咬まれて命を落とす人が多く,「インドにいるマングースはコブラを倒す。それならハブも倒すはずだ」という東京大学の教授の進言により,インドから21匹が持ち込まれ,沖縄の大地に放たれました。
しかし,マングースはハブを食べてくれず,人間の飼っている鶏などをターゲットにするばかりで,それどころか固有種のヤンバルクイナ,アマミノクロウサギまで食い荒らし始めた・・・という,悲惨な結果を招きました。
マングースはハブが大好物というわけでなく,目の前に毒を持つハブと毒はなく動きものろいヤンバルクイナがいたら,ヤンバルクイナをまず標的にするのは当たり前です。「ハブだけを食物にする」と「ハブも食物にする」は大違いなのです。こんな簡単なことをなぜ東大教授は思いつかなかったんでしょうか。
以前から鹿児島にマングースが上陸するのは時間の問題とされていましたが,ついに鹿児島市でマングースが確認されました。
生物に国境はありません。生物にとって移動を制限する唯一のものは,そこが生育に適さない環境であり栄養源とするものがない場合だけです。しかも,人間の経済活動は生物にとって,強力な移動手段となりました。要するに,マングースもセアカゴケグモも新型インフルエンザも同じです。
- 冷静かつ大胆な“更迭大臣”鳩山邦夫氏の次なる行動を読む
要するに,鳩山さんは途中から確信犯的に行動していた,更迭されることは織り込み済みだった,という分析です。「正義は我にあり」と繰り返す言語感覚の鋭さも,恐らく計算ずくでしょう。
そして,この鳩山さんに前に立ちふさがるのは小選挙区制という選挙制度そのものです。選挙地盤が心もとないため,国民的人気は得票に結びつかないのです。
2009/06/22
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,大阪狭山市の森田クリニック 森田美佳先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
- 講演用のスライドをマイナー・バージョンアップしました。最新版は6月19日作成のものとなります。今回の更新で,治療法の説明をフローチャートに全面的に書き換えました。フローチャートにななると,どれだけシンプルな治療法なんだろうとあきれちゃいますね。
ご覧になりたい方は本名,所属を明記してメールでご連絡下さい。なお,以前ダウンロードしたことがある方は同じアドレスからダウンロードできます。
- 細菌(微生物)についてもうちょっと基礎的なところを勉強したいと思い,本屋さんで『微生物学 地球と健康を守る』(坂本順司,裳華房)を購入。細菌の代謝を中心に,いろいろな細菌について詳しく述べている本のようです。2色刷りで各章の終わりには「練習問題」が20題ほど並んでいるので,講義用の教科書なのかもしれません。ま,私のような素人にはちょうどいいような感じです。
- 難産のすえに開港の静岡空港/早くも不測事態の前途多難
やはりというか,無駄空港の見本になりつつあるようです。搭乗率は70%すれすれで,開港当時は「ご祝儀搭乗」があるでしょうから,いずれ搭乗率はさらに下がります。さらに,霧が出やすく視界不良で着陸できないことがある,となると,危なくて仕事では使えません。どうせ中部国際空港に降ろされるなら,最初から中部国際空港で降りて新幹線で静岡に向かいますよね。
ちなみに県の開港時の需要予測(利用客数)は106万人で,これを実現するためには一日あたり2900人の利用客が必要です。ということは,150席の飛行機が常に満席で,それが一日あたり15往復しないと達成できない数字です。
- xDカードがなくなる? オリンパスと富士の方針転換に不安の声
βとVHSの攻防みたいなもので,記録メディアも標準になれた規格となれなかった規格があります。SDカード(SDHCカード)は多機種のデジカメやビデオに採用されていることに加え,最近のノートパソコンの多くにSDカードリーダーが標準装備されていることも有利に働いているのでしょう。
コンパクトフラッシュ(CF)もまだ一眼レフのデジカメに搭載されていますが,対応機種は次第に少なくなっているような印象です。また,以前はノートパソコンには必ずといってもいいほどCFカードリーダー(ExpressCard/34)が装備されていましたが,ネットブックを中心に非搭載マシンが増えてきました。これも今後,どうなるんでしょうか。
- なぜかキミの大切なメールが「迷惑」扱いされてしまうナゾ
原因に次のようなものなどがあるそうです。
- 件名や文中に特定の単語がある
- 同じドメインのメールアドレスが「迷惑指定」を受けている
- 受信者の操作ミス
インターネット(メール)は本来,特定の専門家同士の情報のやり取りを想定してくみ上げられたシステムじゃなかったでしょうか。そのため,「性善説」を根底に置いています。だから逆に,悪用しようとすればいくらでも悪用できます。性善説で組み立てられているからです。メールボックスがスパムメールだらけなのもそのためで,インターネットの根本システムを組み立てなおさない限り,迷惑メールは減らないはずです。
迷惑メールを減らす唯一の手段は,「メールは1ヶ月300通までは無料,それ以上は1送信ごとに○○円」と課金するしかないような気がします。つまり,無料メールアドレスであっても,申請にはクレジットカード登録が必要で,300通を超えたら自動的に引き落とされる,というようなシステムです。本当に必要なメールしか出せなくなり不便になりますが,それでも,メールボックスに一日300通のスパムメールが来るのに比べたらましでしょう。
これでも,そのうち課金逃れの手段を見つける連中が登場するでしょうが,当面はこれで何とかなるはずです(・・・多分)。
- 急な会議を録音できる名刺サイズのICレコーダー/ベセトジャパン「VR-NC200」を試す
他のICレコーダーに比べるとちょっと割高だけど,このサイズは魅力です。不意に浮かんだアイディアを録音するとか,相手に知られずに録音を開始できるとか,いろいろな使い方ができそうです。
- JR「直線で」、長野「迂回を」…リニア新幹線ルート調整本格化
長野県,山梨県では「オラが県にも停車駅を」と熱心ですが,これはようするに,超高速ジェット機を開発したのに,「上空を通過しないで途中の全ての空港に立ち寄るようにして欲しい」というのと同じ。リニア新幹線の目的はただ一つ,東京と名古屋,大阪を最短時間でつなぐことです。
2009/06/19
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,静岡県三島市の岳東クリニック 藤田 正先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 携帯電話,盗撮動画,動画投稿サイト・・・という,いかにも今風のテーマを扱ったタイ製の社会派サスペンス映画,《セルラー・シンドローム Video Clip》を紹介。結構面白かったです。
- 臓器移植法改正A案衆院可決 子供の国内移植に道
今回の臓器移植法の問題だが,議論の順番が間違っていると思う。このため,枝葉末節の問題と本質的な問題がゴチャゴチャに議論されているからだ。まずすべきは根本の大原則を定めることだ。そして,大原則を決めてから枝葉末節の技術論的問題を議論すればいい。脳死判定問題は所詮,枝葉末節の問題に過ぎないのである。
では,今回の議論の大本,一番最初に決めるべき大原則とは何か。それは「脳死臓器移植でなければ助けられない日本人患者を日本では助けるのか,助けないのか」である。そういう患者がいるのは事実なのだから,まずこれらの患者を救うのか,救うことを諦めるのかを決めるべきだ。そうすれば,次に進むべき道は明らかになり,その大原則に応じて,脳死判定条件などの付帯事項を決めるだけになる。原則が決まれば,方針がぶれることもなくなる。
だからもしも,「そういう患者はすべて助けるべき。海外では脳死臓器移植で助けているのに,日本だけは別というのはおかしい」と決めたなら,心臓移植に使える心臓という観点から脳死判定基準を決めればいい。この場合,「脳死状態と判定されても数千例に1例は意識を回復した症例がある」という議論はしない。そういう1例より,心臓移植で助かる数百例を優先すべきというのが原則になるからだ。
逆に,「海外ではどうか知らないが,移植が必要な心臓病の治療は日本では行わない。日本人はまだ暖かい体から心臓を取り出すようなまねをしてまで生きようとは考えない民族だ」と宣言すればいい。そしてその方向に断固として進めばいい。
根本的な議論を避けて技術論的議論(=脳死判定問題)ばかりしているから,問題の本質がわかりにくくなる。問題は極めてシンプルだと思う。
- 新しい恐竜化石が示す鳥類の祖先
示指,中指,環指の3本を持つ恐竜リムサウルスが発見され,〔リムサウルス⇒羽毛恐竜⇒鳥類〕という進化・分化の過程がより確かになったようです。
- 12万年前の極小微生物の蘇生に成功
細菌には基本的に「死」という概念がありません。適切な条件さえあれば,永遠(?)に分裂を続けます。また,「熱と水」さえあればそこには細菌が生存できる(=誕生しても不思議ない)ことがわかっています。やはり,真核生物とは全く異なる生物です。
- 鳩山大臣更迭で支持率暴落/麻生首相が迫られる「最後の決断」
昨年の9月24日に誕生した麻生政権の唯一の仕事は解散総選挙でした。人気の高い人物を首相に据え,その人気で選挙を戦い,自民党政権を磐石のものとする,それが首相としての麻生太郎氏に求められた唯一のものでした。そして,衆院解散権は首相の最大の武器であり,どのタイミングでその武器を使うかは首相の能力の見せ所なのです。
その後,麻生氏個人の能力が問題視され,数々の失言があり,おまけにリーマンショックという予想外の出来事まで起き,内閣支持率は地に落ちました。その後,民主党の「オウンゴール」があり,支持率は一時持ち直しましたが,解散権を使うタイミングはここだったような気がします。あそこで決断していれば,と自民党員は今思っているはずです。
その後も,麻生氏はズルズル決断を延ばし,選択枝はどんどん自ら狭めています。「しなければいけない決断」の先延ばしです。そして何をしたかといえば,「鳩山か西川か」というしなくていい決断に着手したわけです。その結果,一時持ち直した内閣支持率は再度急降下。このあたりの政治勘のなさは目を覆わんばかりです。
もしかしたらこの人は,「嫌なことは先延ばしにしておけば何とかなる」と考えているんじゃないでしょうか。「明日の朝,目が覚めたら学校がなくなっていたらいいな。そうしたら給食のピーマンを食べなくてすむんだけどな」と考える小学生みたいに・・・。
2009/06/18
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,神奈川県大和市のあいクリニック泌尿器科・皮膚科/増田愛一郎先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 昨日,Windows VistaマシンでUSBメモリもSDカードも認識されなかった,という話を書きましたが,早速,「これが原因では?」と解説しているサイトをご紹介いただきました。
その他の方からも「ドライブレターの問題でしょう」というご指摘をいただきました。ありがとうございます。
- コンセント不足への究極解
どういう技術なんでしょうか。この壁の裏側はどうなっているんでしょうか。でも,とにかく便利そうです。
- 昨日発売開始となった『傷はぜったい消毒するな』(光文社新書,\882)ですが,昨日のamazon.co.jpの「光文社新書」人気ランキングでは第2位~第5位のあたりをウロウロ,amazon.co.jp全体では500位~950位くらいをウロウロしていました。
発売開始日でこの数字,感謝,感謝です。
そしていよいよ,本日18日版のの朝日新聞東京版・北海道版の第3面に,光文社新書の同時出版の本とともに宣伝が掲載されます。
- 米の小児心臓移植,日本人患者に高額請求…4億円前払いも
今年1月にWHOが「臓器移植の自国内完結」を求める新指針の採択方針を表明しましたが,その頃からいずれこうなるだろうなと予想されていた事態が現実になりました。アメリカだって臓器が余っているわけではありませんから,いずれ日本人患者は締め出されるか,さらに高額を請求されるようになるはずです。「日本人患者はもうアメリカでは面倒を見切れないよ。こっちだって手一杯なんだ。日本人は日本で治療してよ」ということでしょう。
で,「臓器移植法の4改正案,18日に衆院で採決」がどうなるかが目下の焦点ですが,「一人が生き延びるためには,一人の脳死が必要」という厳然たる事実と折り合いがつけられるのか,という問題です。
- 発熱外来の原則廃止を検討,検疫態勢縮小へ 厚労省
厚生労働省もようやく冷静で現実的な対応ができるようになりました。あの新型インフルエンザ騒動のさなかに麻生首相は「国民の皆さん,冷静に行動してください」といっていましたが,その前に「厚生労働省の皆さん,どうか冷静になってください」じゃなかったかと思います。
- 広告クリック率が8%もアップ!/マイクロソフト新検索エンジンは本物か?
最近ちょっと話題になっているのが検索サイト「Bing」です。まだベータ版ですが結構面白いです。
2009/06/17
- 本日より,『傷はぜったい消毒するな』(光文社新書,\882)が発売となり,全国各地の書店店頭に並ぶはずです(・・・多分)。よろしかったらお手にとって立ち読みでもしてください。
なお,朝日新聞,日経新聞の朝刊に次のスケジュールで宣伝が掲載されます。いずれも第3面です。
- 6月18日(木):朝日新聞東京版/北海道版
- 6月19日(金):朝日新聞大阪版/名古屋版,日経新聞
- 6月20日(土):朝日新聞西部版
- イギリスのロシア・マフィアの姿を描く傑作サスペンス映画,《イースタン・プロミス》を紹介。残虐な場面があるため万人にはお勧めしないが,これは掛け値なしの大傑作だ。
- 一昨日,小倉で講演をしましたが,その講演前にちょっとコンピュータのトラブルがありました。私が持参したUSBメモリが主催者側のパソコン(Windows Vista)で認識されず,おまけにSDカード(SDHC)も認識されなかったため,最新の講演ファイルで講演できないという事態になりました。USBメモリも駄目,SDカードも駄目,会場内には有線LAN端子もなければ無線LANも使えないとなると,データのやり取りは極めて難しいです。
残る手段としては,私が所有しているUSBタイプのe-mobile末端を主催者側のパソコンにいれてネットに接続し,私の個人サイトからファイルをダウンロードする,という方法くらいしか思いつきません。ところが,主催者側のパソコンのUSB端子にe-mobileを接続しても「ドライバがありません。ネットに接続しますか?」と表示されるだけで認識されないのです。「ネットにつなぐための機器をつなぐためにはネットにつながっていなければいけない」というトホホな状況です。
要するに,USB端子が「新しいUSB機器」を一切受け付けないのです(多分,ネットにつながっていればドライバをダウンロードしてくれるんでしょうが,何しろLANにつながっていないのです)。こうなると,私の知識ではお手上げです。
これでますます,Windows Vistaが嫌いになりました。セキュリティが高いのもいいけど,汎用のUSBメモリ,SDカードくらい無条件で認識しろよ!
このような状況下でWindows Vistaマシンにデータを入れるためには,他にどういう手段があったんでしょうか? ちなみに「その場でCD-Rにデータを焼いて読み込ませる」という手段は取れません。私のパソコンにDVDドライブがないからです。
- 「もう50代になっちまったけど,マイコン少年のピュアな心は失っていないぜ!」というオジサンたちにとっては感涙物が発売されます。あの伝説の「4ビットマイコン」が『学研 大人の科学』シリーズで復活します。発売は6月30日。
- 山形県の病院に3年ほどいたことがありますが,暑い時期になると必ず思い出す「山形ソウルフード」があります。「だし」と「冷やしラーメン」です。
「だし」はナスや茗荷などの夏野菜をみじん切りにして醤油に漬けただけのシンプルな料理(?)ですが,これが感動的に美味いのです。豆腐に載せてよし,ご飯に乗せて食べてもよし,蕎麦に乗せて食べてもよし,と万能選手です。さっぱりして冷たくて,夏にはぴったりです。
一方の「冷やしラーメン」は,味の基本は氷が浮いている冷たい醤油ラーメンです。冷たいのにコクがあって味も深いのです。一度これを食べたら,普通の「冷やし中華」なんて比較対照の相手にすらなりません。
- 割高なプロ野球の入場料金/不況に見合う低価格路線への転換も必要か
そういえば私,サッカーの地元チームの試合は見たことがあるけど,野球場で野球は見たことがありません。この記事で「内野席で3000円」というのはやはり高いですね。「空席があるのなら,チケットを安くしてでも埋める。そんななりふり構わない営業も,今のご時世には必要なのである」という指摘はもっともです。
- 西川・日本郵政社長は,本当に辞めないつもりなのか?
ここまで事態が混乱し,しかも,「かんぽの宿」「ニセ障害者団体」問題などの経営の問題点を改善しようともしないのが西川さんです。いつまで居座り続けようとするのか,居座るのはどういうメリットが西川さんにあるからなのか,という分析です。
2009/06/16
- 講演用のスライドをマイナー・バージョンアップしました。最新版は6月15日作成のものとなります。ご覧になりたい方は本名,所属を明記してメールでご連絡下さい。
なお,以前ダウンロードしたことがある方は同じアドレスからダウンロードできます。
- 小倉のホテルで更新しています。また二日酔い状態です。
2009/06/15
- 9月4日(金)に大阪で開催される第3回創傷ケア研究会で講演することが決まりました。
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,東京都墨田区のさくらライフクリニック/中田賢一郎,飯田竹美,松崎吉紀先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 先週土曜日(13日)は日経ラジオの『薬学の時間』の収録がありました。7月9日の20:10~20:25に放送予定です。短波ラジオ(3.925/6.055/9.595MHz)ですが,「メディカル・ライブラリー」の「ライブストリーミングを聴く」バナーをクリックすると,ネット上で聴取できるようです。
- 私がコンピュータで最もよく使っているソフトはエディタのWZ Editor 6です。これで本の原稿や論文を書き,ホームページのHTMLファイルを編集しています。
このソフトは昨年11月から使っていますが,マイナーバージョンアップのスピードがすごく,現在までに44回のバージョンアップを繰り返し,そのたびに不具合が修正されていて,かなり使いやすくなってきて,ますます手放せなくなりました。
- ポケットに入る4つ折り4画面モバイル CTD Dragonfly
うわぁ,すげぇ! こうきたか。実用化・商品化されたら,絶対に欲しい! どうやら二つ折りのキーボードと二つ折りの液晶画面を合体させるというアイデアのようです。
- カネは世間に落ちている。拾い方を考えろ――「軽トラ」で始めた町おこし/鍋合戦の川南町発,地域を元気にする方程式
こういう創意と工夫が示されている記事を読むのは好きです。
- 鳩山前総務相,地元で辞任の経緯説明
鳩山邦夫総務大臣,ついに辞任。この人のこれまでの言動(やたらと失言が多い)や行動(一貫した政治理念が見えてこない)を見ると,深慮遠謀の結果として行動を起こしているように見えないのだ。考える前に口走り,考え直す間もなく行動しているように思われる。政治的な駆け引きの結果として自分の意見を通すのでなく,とりあえず飛び出して走っていれば皆はついてくるはずだ,と考えているんじゃないかと思う。
今回の騒動の発端は「かんぽの宿売却問題」だった。確かに売却の経緯も不透明なこともあり,世の中をとりあえず「正義と悪」に分け,「あいつらは悪だ,正義は我らにあり」と宣言するのは戦術的には正しいと言える。
問題は,その行動がどこを目指したものか,何を達成するための戦術なのか,と言う点にある。ただ単に郵政公社の社長の首をすげ替えることが最終目的だったのか,もっと大きな最終目的のための布石だったのか,それが鳩山さんの言動からあまり見えてこないのである。
現時点では,鳩山邦夫辞任は麻生内閣に大打撃を与えるだろうし,来る衆議院選挙で自民党が敗北した場合には,「あの鳩山の行動が自民党に引導を渡した」と評価されるかもしれない。だが,少なくとも「かんぽの宿」を問題にした当初の鳩山さんの言動を見ると,そこまでは考えていなかったように思うのだ。何しろ鳩山邦夫と言えば,麻生内閣成立の大立者であり麻生太郎の盟友だったのである。
もしもこれが,「15年後に鳩山兄弟政権を作ろう」という目的があり,そのために兄弟で袂を分かったように見せかけ,邦夫は自民党に入って10年後に総理になりそうな人物の腹心として取り入り,その人物が総理になったとたんに反旗を翻すチャンスを窺い,ついに「かんぽの宿」という絶好の機会が訪れた・・・というのなら,三国志的大河長編小説になるが,そうではなかったと思う。どう見ても,行きあたりばったりで行動してきたのではないかと思うのだ。
一方,麻生さんはどう行動するのがベストだったのか。後出しジャンケン的に考えると,鳩山さんが騒ぎ初めて騒ぎが大きくなり始めた時点で,西川さんを辞任するように進言し(不祥事があったことは事実だから),西川さんの考えに近い人物を社長につけるように工作し,鳩山さんは「西川の首はとったからこれ以上騒がないように」と厳重注意にとどめる・・・と,これだったかなと思う。
しかし,麻生さんは決断を先送り,先送りしてきた。そして,結果(=衆院選挙)は恐らく最悪になると思う(自民党支持率急降下中ですからね)。この人は他人の意見を求めずに勝手に走り出して勝手にこけてしまうか,決断したくないことはなるべく先送りしてどうにもこうにもならなくなって最悪の選択枝しか残らなくなってからをそれに決める,という行動原理のように思えてしまう。
- 今日は午前10時半まで外来診療をし,11:13に石岡駅を出発して羽田に向かい,北九州に移動して講演です。そして明日は午前中のうちに北九州から帰ってきて,午後は外来です。仕事してます。
2009/06/12
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,なんと海外の病院から参加いただきました。上海の上海国際クリニック(上海国際旅行保健問診部) 林 啓一先生です。ご参加ありがとうございました。
- 無茶苦茶レベルの低いクズ・ゾンビ映画,《ゾンビ 2009》を紹介。映画と呼べる最低レベルはクリアしていますが,それより上のレベルの作品ではありません。クズ映画ファンなら必見だ!
- <新型インフル>警戒度6「世界的大流行」宣言…WHO
確かにWHOの定義からするとフェーズ6なんだろうけど,すごく違和感がある。現時点ではこの新型インフルエンザは従来型のインフルエンザと症状の上で区別がつかないからだ。だから,合併症があって重症化する人は射るがその数は少なく,大多数の感染患者は安静にしていれば自然に治ってしまう。特殊な治療は不要だ。だから,インフルエンザの研究者からすれば「新しいインフルエンザが発生」だが,患者の立場から言えば「普通のインフルエンザ」なのである。
もちろん,「今後,変異を繰り返して強毒型に変化したらどうするのか。今から注意しておく必要がある。そのためのフェーズ6宣言だ」という考えもあるかもしれないが,フェーズ6と宣言し,注意していれば強毒型への変化を未然に防げるわけではないのだ。フェーズ6だと宣言されたインフルエンザが,変異を止めて大人しくしていよう,と反応するわけでもないのだ。
しかも,インフルエンザのように「感染力が強く,潜伏期が7日くらい」という感染症が社会に広まるのを防げるのか,という根本的な問題もある。社会生活を全て停止し,戒厳令を出して外出禁止令を出し,外出した人間は逮捕,というくらいのことをすれば蔓延は防げるだろうが,人間の社会生活を「産業活動が停止しない程度」に制限したままでインフルエンザ感染蔓延を防ぐというのは机上の空論だと思う。
しかも,医療資源は有限である。だから,新型インフルエンザ対策に医療資源を振り分ければ,新型インフルエンザ以外の病気や怪我に振り分けるべき医療資源は削られる。医療資源の配分のバランスを崩してまで,新型インフルエンザに対処すべきかどうかなのである。
以前にも引用した「WHO予算配分は感染症に偏りすぎ:バマコ2008会議に向けて」という論文にも指摘されていたように,WHOの感染症対策グループにとっては,感染症の恐怖を常に煽り続ける必要があるはずだ。そういう「努力」を続けなければ,予算が減らされるから・・・。
- 昨日,出来上がったばかりの『傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学』(光文社新書,\882)が届きました。8冊目の本ですが,毎回,刷り上ったばかりの本を開くのはドキドキものです。誤植はないか,間違った記述はしていないか,誤解を受けるような書き方をしていないかと,心配の種は尽きません。3回校正したはずなのに,それでもまだ見落としは必ずあるんですね。
来週水曜日か木曜日の朝日新聞,日経新聞に宣伝が載るはずです。
「もしも,この本が売れて話題になり,出版社から執筆依頼がきたらどうしよう。もう書くネタが残ってないよ。コネタをつなぎ合わせて250ページに膨らませるのは辛いよ。本を書いて,って言われてらどうしようか」と,しばし妄想に耽っておりました。
オイオイ,まだ一冊も売れてないんですけど・・・。売れてから心配しろよ>俺
- ヒトの祖先は欧州発か,化石の新研究
これまでは,最初の人類(猿人)は700万年前にアフリカの大地溝帯のサバンナで誕生した,というのが定説でしたが,さらに400万年前に「扁平な顔をした類猿人」の化石を発見したという研究です。一時,影の薄かった「ヨーロッパ起源説」ですが,これでちょっと息を吹き返すのでしょうか。
- 末期的「麻生パフォーマンス」の振り付け師/ミス・ユニバースまで頼る官邸の支離滅裂ぶり
首相の秘書官である岡本氏が次々と人気回復のためのパフォーマンスを企画していますが,それが首相の欠点をことさら強調するような効果しか挙げていない,という分析です。
- ダンディ坂野の一発屋と呼ばれて
ちょっといいインタビュー記事です。そうだよな,自分の基本的スタンスは変えられないもんな。「ヘキサゴン」に出るようになった時のエピソードがいいです。
- ガード下で酒が飲める男になりたい!
私はよく上野駅を利用するので,アメ横のガード下のお店,結構詳しいです。自宅で飲むホッピーはあまりおいしくないけど,ガード下で飲むとなぜかホッピーは美味しいんですよ,これがまた。
2009/06/11
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,福岡市のタカハラ整形外科クリニック 高原一洋先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 蛇行のしくみを解明――力の調整
なるほど,くねって曲がっている部分は中に浮き,それ以外の部分で接地していて,浮いている部分と設置している部分を次々に変化させることで蛇行しているのか。
この記事を取り上げたのは,研究方法がユニークだからです。やはり研究は発想が全てです。
- 昨日,ヴァン・クライバーンについてちょっと書きましたが,ここで取り上げた「スクリアビン 練習曲嬰二短調 Op.8-12」について,「この曲について言わせてくれ!」というスクリアビン・ファンの方から熱いメールを幾つかいただきました。やはりこの曲は,ピアノ弾きの心を熱くさせる「何か」を持っている曲なのです。この曲を聞いたピアノ弾きは心穏やかでいられないのです。そういう魔力を持った曲です。
スクリアビンの魅力は何か。それは「魔性の旋律美,魔性の和声美」です。彼の作曲様式は,ショパンを思わせる最初期のものから45歳で悪性黒色腫で亡くなる晩年まで,さまざまに変化しましたが,その根底にあるのは「美」に対する強烈な意識だったと思います。そして,その「美」を実現するために要求される演奏技巧の困難さがあるからこそ,ピアノ弾きを魅了してやまないのです。
スクリアビンが14歳で作曲した「練習曲嬰ハ短調」,初期の傑作「ピアノソナタ第2番」,至難の演奏技巧を要求する「幻想曲ロ短調 Op.19」などの初期の作品からスクリアビン独特の「魔性の旋律美,魔性の和声美」は聞くもの,弾くものの心を捉えます。
「練習曲嬰二短調 Op.8-12」はこの時期の作品です。主部の左手の広い分散和音と,それを背景とした右手の悲壮でヒロイックなメロディーの魅力は,この曲を聞けば誰にでもわかりますが,中間部のエロティックなまでの和声の絶妙な変化は,恐らくこの曲を弾いた人にしかわからないはずです。恐るべき左手の連続跳躍の中が初めて現実のものとなる「魔性の美」です。
そして,「至高のエチュード」ともいうべき「練習曲嬰ハ短調 Op.42-5」! 怒涛逆巻く嵐のような分散和音,そしてその混沌の中から浮かび上がる第2主題は悲壮で健気で伸びやかであり憧憬に満ちている。
そして,あの恐るべき「炎に向かって Op.72」。ピアノ曲史上の異形の傑作です。ここでピアノの鍵盤は持ちうる限りの能力を全て開放します。ピアノの全鍵盤は眩いばかりの光を放ち,ピアノの全音域を揺るがす重音トリルと痙攣するような高音域和音連打で前代未聞のクライマックスに到達し,紅蓮の炎に包まれるのです。これぞまさに,奇跡のピアノ曲です。
- 大質量ブラックホール,更に重いと推定
これでまた,宇宙に関する理論値と実測値が近づきました。ブラック・マターとは何なのか,なぜそれは観測できないのかという謎が残っていますが,それらの解明には相対性理論と量子理論を統合した「量子重力」が完成しなければいけない,と考えられています。
- 「かぐや」11日未明,月に落下へ
2年近くにわたり,感動的なほど鮮明な月の画像と動画を私たちに送り続けてきた「かぐや」に感謝!
- 鳩山更迭でも西川辞任でもない/日本郵政問題に幕を引くもう一つの選択肢
なるほどね。確かにこれなら一挙に問題解決,というか,問題にならなくなります。ただ,この場合は東京都議会選挙直前になってしまいますよね。
- 業態や戦略の違いで明暗くっきり!/“SPA最強神話”の意外な盲点
SPAだから強いのでなく,「明確な商品ビジョンを持ち,その目的達成の手段としてSPAが適している」という業種が強いのでしょう。要するに,「手段」ではなく「目的」が重要なのです。
2009/06/10
- 来週月曜日(6月15日)の北九州市小倉外科会の参加問い合わせ窓口の情報を追加しました。
- 『プリンキピアを読む ニュートンはいかにして「万有引力」を証明したのか?』の書評を追加。ニュートンの発想がとにかく面白いです。
- 新型インフルエンザ:「ワクチン開発のためダチョウのオーナーに」 便乗詐欺にご注意
インフルエンザワクチンを作っている人を知っていますが,「ダチョウの卵を使ったら大量のワクチンが作れるのでは?」と質問したら,無理ですねとあっさり一蹴されました。卵の殻だけ切る機械など,ワクチンの製造ラインの機械が全て鶏卵専用に設計されているため,ダチョウの卵は使えないそうです。
というわけで,こんな電話がかかってきても騙されないでね。
- 昨日,関東地方にある某大学病院熱傷センターで治療を受けている患者さんが,「もっとよくならないでしょうか?」と受診されました。今年1月に事故で顔面,両手,左下肢に熱傷を受傷された患者さんで,消毒と軟膏ガーゼによる局所治療と,その後は植皮術を受けています。
顔面全体は硬い瘢痕で覆われ,下肢はmesh graftの網目がくっきりと残り,しかも瘢痕拘縮のため膝関節は伸展障害です。両手指も瘢痕拘縮と関節拘縮で高度機能障害と思われます。これほど無惨な治療例を見たのは10年ぶりです。どうやったら,こんなひどい治療ができるのか,怒りを覚えます。
これが大学病院の熱傷センターと大学病院形成外科の熱傷治療の現状です。私から見れば治療以前の惨憺たる状態としか表現する言葉がありませんが,大学病院や熱傷センターでは「救命しえた治療例」の一つとなり,「当科での優れた治療例」となります。
「もっとよくならないでしょうか?」と言われても,この状態からではさすがの私も打つ手がありません。このような瘢痕治癒した熱傷,植皮で治癒させた熱傷の傷跡は治療不能です。「おそらく30年くらいすると目立たなくなりますから,それまで待ってください」と説明することくらいしかありません。
この患者さんを見てショックを受けたのは外来の看護師でした。このような熱傷患者を見たことがなかったからです。mesh graftされた下肢を見て,皮膚が鱗のようになる皮膚の病気なのかと不思議に思い,真っ赤な顔を見て「これも皮膚の病気なんだろうか」と思ったそうです。熱傷がまさかこんな治り方をするとは想像もしていなかったからでしょう。「原爆の被爆者の写真を思い出しました」と言っていましたから,どれほどショックだったかがわかります。
逆に言えば,この患者さんの治療をした某大学病院形成外科の医者にとっては,これ以外の治り方を見たことがないため,これが「普通の治り方・正常な治り方」になります。
「凄惨な20世紀の熱傷治療に固執している病院」のリストにまた一つ加わりました。TK大学病院熱傷センターです。TK大学というと幾つか思いつくと思いますが,実はそのすべての大学がこの「リスト」に載っているんですよ。TK大学病院では今後もこのような悲惨な「治療例」を量産していくことでしょう。
- 「敵に塩を送る」の北朝鮮対策/オバマ「プラハ宣言」以降の新非核原則と戦略
「防衛の目的は敵の殲滅ではなく,私たちの存続にある」,そのためには北朝鮮に対しどういう戦略をとればいいのか,という読み応えのある内容です。
越後の上杉謙信が戦っている甲斐の武田信玄に塩を送ったというのは美談と思われていますが,どうやら武田側に最大の打撃を与える戦術だった,というのをこの文章で初めて知りました。なるほど,高値で塩を売りつけ,甲斐国内の財貨と作物を搾り取るわけか。上杉謙信,頭いいです。
- 【辻井さん優勝】「心から楽しんで演奏できた」「本当に光栄」
辻井さんの優勝ですっかり有名になったヴァン・クライバーンコンクールだが,このコンクールの名前の由来であるピアニストのヴァン・クライバーン(Van Cliburn, 1934年~)も数奇な運命をたどった人だった。
アメリカでもほとんど無名だった23歳のピアニストはある日突然,もっとも有名なアメリカ人になった。1958年に開催された第1回チャイコフスキーコンクールで優勝したからだ。当時は東西の冷戦真っ只中で,アメリカとソビエトはことあるごとに対立し,厳しい緊張状態にあった。その敵国ソビエトが国民的大作曲家チャイコフスキーの名前を冠したコンクールを開催したわけである。当然,東側陣営を率いるソビエト連邦の威信がかかっているのだ。おまけに,その前年の1957年,ソビエトは世界初の人工衛星「スプートニク1号」の発射に成功し,宇宙開発で大きくアメリカをリードしていたこともあり,アメリカは苦杯を舐め続けていた時代だ。
そういうソビエトで開催されたチャイコフスキー・コンクールはさながら米ソの代理戦争みたいなものだ。そこでアメリカの無名の若くてハンサムな青年が優勝したのである。これでソビエトに一矢を報いることができたと,アメリカ全土が若き英雄に熱狂したのは当たり前である。この彼の偉業をたたえて,1962年にヴァン・クライバーンコンクールが開催されたのだ。
祖国に凱旋帰国したクライバーンのリサイタルはどこも満員で,その年に録音した「チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番」のLPはなんとビルボードで7週連続1位となった。クラシックのレコードがビルボードでトップになったのは後にも先にもこれのみである。
しかし,聴衆がクライバーンに求めるのは「チャイコフスキーの第1番」だけだった。アメリカ全土で演奏会を開くが演奏曲目はいつもチャイコフスキーだけだった(後に,同じロシアのラフマニノフの協奏曲も曲目に追加されたが)。要するに,クライバーンは常に「ソビエトのチャイコフスキー・コンクールで優勝したクライバーン」を演じ続けることを要求されたのだった。彼はアメリカン・ドリームの具現者でありアメリカの若き英雄となったが,英雄であることを求め続けられたため,彼はピアニストとして普通の活動ができなくなってしまったのだ。
そしてクライバーンはピアニストとして長い低迷期に入ってしまい,やがて忘れ去られていく。まさに,歴史に翻弄されたピアニストだった。
私がクライバーンの演奏を始めて聞いたのは中学生か高校生の頃で,"My Favorite" というようなタイトルのLPだった。このLPは小曲集だったが,その中に含まれるSchumann/Lisztの「献呈」,Szymanowskiの「練習曲変ロ短調 Op.4-3」,Rachmaninoffの「練習曲変ホ短調 Op.39-5」,そしてScriabinの「練習曲嬰二短調 Op.8-12」に私は夢中になった。なんて格好いい曲なんだろう,なんてすごい曲なんだろうと,毎日毎日LPが擦り切れるまで繰り返し聞いた。特にスクリアビンのエチュードの壮大な響きと悲壮なメロディーは当時の私にとって衝撃的だった。こういうピアノ曲が弾きたいと心底思ったものだった。
そしてその後,楽譜を入手でき,これらの曲は私にとっても "My Favorite" となり,主要な演奏レパートリーとなった(もちろん今ではラフマニノフもスクリアビンも弾けないが,「献呈」とシマノフスキの「エチュード」は今でも何とか弾ける)。シマノフスキのピアノ曲は現在でもあまり演奏されないことを考えると,このクライバーンのLPに出会わなかったらおそらく弾くことはなかっただろうと思う。曲との出会いというのも不思議なものである。
- 人様の役に立つ それが働くことの醍醐味/日本理化学工業 会長 大山泰弘
感動した記事です。学校などで使われるチョークの全国シェア3割以上の企業でありながら,従業員の7割以上が知的障害者という会社が存在しているという事実の重みに圧倒されました。すごいです。
「人間の究極の幸せは,愛されること,誉められること,役に立つこと,人に必要とされる事の4つです。愛されること以外は,働いてこそ得られます」という言葉は深いです。
- 交代して後退
松村師匠,お見事! 「3代目に世襲」した政治家,首脳が沢山登場します。
- 新型インフルエンザ対策・過剰騒ぎの裏にある無責任(上)
誰も責任を取りたくないから,過剰な対策をとり,それが現場を混乱させた・・・という構図がよくわかります。
このような「何か起きたらどうするんだ」というネガティブ思考は多いです。以前,講演の質疑応答で「傷の消毒を止めて化膿したらどうするんだ。一例でも傷が化膿したらお前は責任を取れるのか!」と烈火のような勢いで抗議してきた医者がいたな。こういうタイプの医者は,「道を歩いていいとお前は言うが,道を歩いていて交通事故にあったらどうするんだ。道を歩いていいとお前は言えるのか」と考えているんだろうな。
- 首相は「こうしろ,ああしろと言わなかった」…鳩山総務相
「鳩の乱」はまだまだ続いていますが,それに火に油を注いでいるのが「何も決断しない(できない?)」首相様の態度じゃないでしょうか。首相殿の決断が遅れれば遅れるほど,内閣支持率が下がっているんですけど・・・と思っていたら,総務相認可なければ「法に従う」西川社長が解任受け入れ意向との発言が・・・。ううむ,この二人はずっとバトルして欲しいなぁ。
2009/06/09
- インターネット時代の闇を描くサスペンス映画《ブラックサイト》を紹介。
- 辻井伸行さん:「一言でいうと夢のよう」と喜び語る
ご存知のように,生まれつきの全盲のピアニスト,辻井さんがヴァン・クライバーン国際コンクールで優勝しました。YouTubeで検索すると,幾つもの演奏画像が見つかると思いますが,私が一番好きなのはKapustin/"8 Concert Etudes for Piano Op.40-2" Tsujiiです。この,高度な技巧を必要とするジャズ・エチュードを軽々と何事もないかのように弾いています。是非,「8つの演奏会用エチュード」全曲を弾いて欲しいです。
報道によると,初めの頃は点字楽譜で練習していたようですが,点字楽譜には限界があることから,徹底的に耳で覚えてそれを鍵盤で再現するスタイルになったとのことです。だから,彼の演奏映像を見ると,通常の指使い,手の配分と異なる部分があることがわかりますが,それが実は,人間工学的に理に適っているように思われます。
そして辻井さんの演奏を目の当たりにすることで,「楽譜を再現することを目標にする」か,「音を再現することを目標にする」か,どちらが重要なのかという本質的な問題が浮かび上がってきます。
- 続・「悲鳴を上げる中国農業」/もはや中国だけでは解決はできない。食の安全のため「東アジア農業共同体」を
以前紹介した中国の農業と農業を取り巻く現状のレポート第2弾。非常に読み応えがあります。日本の食の安全性の危うさが見えてくるとともに,その向こうには,地球に体重50キロの単一生物種が60億も生きていることの異常さが透けて見えてきます。
- “光子通信”,未来の暗号化通信技術
この記事に出てくる「もつれ合い光子対」ってどこかで読んだことがあったな,と思ったら,この本でした。やはり,読んだ本の内容を自分なりに要約して文章化すると,結構内容を覚えているもんですね。
- 合理的に考えれば「投票はしない」/【第1講】民主主義が機能しない理由
なるほどなぁ,そういう見方もできるんだなぁ,とちょっと面白かった記事です。民主主義とは何か,民主主義は歴史の必然なのか,という人間の精神の根源にかかわる問いかけにもなります。
- なぜ使いにくいシステムができるのか?
使いやすいシステムとは何か。徹底的に使い手側に立って作りこまれたシステムでしょう。この問題を言い換えると,よいサービスとは何かということにもなります。
今,どの病院でも「接遇」を重要視していますが,これは根本的に間違っています。「病院側が提供できるサービス」を患者に押し付けているだけで,「患者が求めているサービス」ではないからです。商売で言えば,市場調査をせずに商品開発しているようなものです。作り手が作りたいものであっても,それが消費者に求められていない商品であれば売れません。それと同じです。求められていないサービスに腐心するのは時間の無駄です。
- 手本にならないオヤジのヤジ
青島健太さん,いいこと書いています。確かに国会での野次はただうるさいだけで,国会中継は子供の教育によろしくないですね。あんな下品なオヤジどもの姿,子供には見せられるもんじゃございません。「騒ぐんじゃねぇ,お前らサルか!」って誰か国会で一喝してくれないでしょうか。
- マイカセットコンロバーベキューのススメ
そうなんだよ,バーベキューセットでかなりかさばるし,準備も大変だし,手軽じゃないんだよ。その点,一人一つずつカセットコンロを持ってくれば簡単なはず,というすごい発想。単なる宴会だろ,と自分でツッコミを入れてますが,その様子は楽しそうです。
- 「国営マンガ喫茶」に,自民党PTが「不要」を宣告
本当に麻生首相が「漫画,アニメは日本の誇る文化」だと考え,それを育てようとするのであれば,「国立メディア芸術総合センター」なんてハコモノを作るのではなく,漫画やアニメの製作者が安心して漫画・アニメ製作に専念できる環境を作り,彼らの労働に見合うだけの収入が得られるようにすることです。
ちなみに数年前,麻生さんは「自分はアニメ,漫画が好きだ」といって若者の人気を得ましたが,私は彼が本当の漫画好き,アニメ好きだとは思えません。漫画しか読めない(=長い文章が理解できない)ことと漫画好きは別物ですから・・・。
- 「お疲れ様」と「ご苦労様」
私は「お疲れ様」という挨拶が大嫌いです。特に,朝から「お疲れ様」と挨拶されると,こいつ,馬鹿じゃないかと思ってしまいます。朝から疲れてどうするんだ,と不愉快になります。第一,疲れていない相手に「お疲れ様」は挨拶にもなっていないし,労苦をねぎらう言葉にもなりません。
朝,顔をあわせたら「おはようございます」,一日の仕事が終わって一足先に帰るなら「お先に失礼します」・・・これが普通の挨拶じゃないでしょうか。
- 「1県1駅」を正式表明=中央リニア,地元調整難航も-JR東海
「1県1駅」じゃ「のぞみ」と」同じになるんじゃないですか? いくら直線部分でのスピードが速くても,停車駅ごとに減速⇒停止⇒加速が必要になるからです。本気でリニアの性能を生かすなら,「な経路は直線,途中の停車駅なし」でなければいけません。要するに,東京-大阪をノンストップにしなければ,リニアにする意味がありません。
まぁ,最終的には「通過する全ての県に停車駅はあるが,停車するのは1時間1本でその他は通過」に落ち着くんでしょうが。
- 出会えない出会い系…元国家公務員“実体験”を赤裸々
毎日,メールボックスには500通を超えるスパムメールがあり,その大多数は出会い系サイトに誘導するものです。まさかこれに本気で引っかかるとは! 常識的に言えば,この人は犠牲者ではなく単なるアホです。ネギと調味料を背負った鴨が勝手に鍋に飛び込みカセットコンロに火をつけたようなものです。
- 高齢者の交通事故死最悪ペース 大阪府警が対策 無理な横断やめてね
高齢者ばかり増える社会になるということは,車の運転をするのも高齢者,歩行者も高齢者という社会になるということです。だから,高齢者の加害者・犠牲者が増えるのは自然な成り行きです。
高齢者の交通事故死を減らそうという大阪府の方針は判るけれど,この方針を突き詰めていくと,「高齢者は交通事故で死んではいけない,病気で死んではいけない,インフルエンザでもガンでも死んではいけない」となりませんか?
2009/06/08
- 「小指の挫滅による皮膚壊死,植皮しますか?」のその後の経過です。もちろん,1ヵ月半できれいに治癒しました。
- 7月11日の山口市での山口県臨床整形外科医会教育研修会の会場情報を追加しました。
- 掲示板(BBS)に熱傷学会,褥瘡学会の報告が追加されました。褥瘡学会のほうがまだまし,という感じでしょうか。熱傷学会のお偉方,大学病院形成外科はまだまだ「消毒とゲーベンガーゼ」ですね。恐らく,一般市民(患者さん)から,「ヤケドで大学病院に行くのは危ない」と言われるようになるまで続くでしょう。
- 「過酷な」勤務実態で産科女医の就労継続困難に
<産科医>大学病院の在院,月312時間 過労死基準超す実態--日産婦,初の調査
現場の医師からは「何をいまさら」というところもありますが,今まで話題にすらされていなかった実態がようやく「表で議論」されるようになったのでしょう。
現在の産科医療,救急医療の現場は,個々の医者の使命感と超人的努力と自己犠牲で何とか維持されているドミノみたいなものです。一つのドミノが倒れた時,それは全体が崩れる前触れです。
- この週末は2日間,ぼうっとしていました。この2週間,新書の怒涛の校正作業,そして雑誌「レジデントノート」からの依頼原稿などが重なり,土曜日の朝目覚めたら脳みそが「もう仕事はしたくない」モードにギアチェンジしちゃって,そのまま気がついたらもう夜。やはり,突っ走ったあとは休むのが自然なようです。
とはいっても,日曜日にはまた「文章を書きたい」状態に戻り,以前紹介した『プリンキピアを読む ニュートンはいかにして「万有引力」(講談社ブルーバックス)を証明したのか?』を読了して内容の要約を書いたり,『新書アフリカ史』(講談社現代新書)を何とか読み終えたりしました。『プリンキピア』の感想は,もうちょっと文章に磨きをかけてから公開しようかと思います。『アフリカ史』の方は,厚さ2センチを超える大著で,600万年前の人類創世記から1995年頃までのアフリカの歴史を詳細のまとめた力作。教科書調の文章で気軽に読める本ではありませんが,アフリカについて何か知りたくなったら,とりあえずこの本を開けば何とかなりそうです。
2009/06/06
2009/06/05
- 来年の話をすると鬼が笑うと申しますが,来年7月3日(土),日本褥瘡学会東北地方会(仙台)で講演することが決まりました。褥瘡学会と熱傷学会と形成外科学会からは絶対に呼ばれないと思っていたのでちょっとビックリしました。
- 静岡県の和田先生から「釣り針の論文を読んでいたら,釣り針の患者さんが受診されました。思い切って引き抜くというところが初めてなので勇気がいりましたが,大変うまくいきました。患者さんによると痛いのは一瞬だそうです」という連絡をいただきました。あまりのタイミングのよさにビックリしますね。
何はともあれ,痛みもなく釣り針が抜けてよかったですね。
- アメリカで大ヒットしたサスペンス映画,《フィクサー》を紹介。アカデミー賞助演女優賞受賞作品で,評判もいいんだけど,それほどすごい作品ではないような気がします。意味不明のシーンと意味不明の行動と説明不足の部分が多すぎるからです。
- ウジ虫エキスで傷の治りが早まる
「ウジの消化液から壊死組織融解物質と創傷治癒促進物質を抽出した」という研究です。欧米の研究者は本当にウジが好きですね。
これは,いわゆる「マゴット治療」の延長線上にある研究と思われます。そしてその根拠となる事実は,昔ながらの「ウジ虫のわいている傷口の方が清潔な傷口よりも治りが早いという臨床事実」だけのようです。
以前から,マゴット治療については疑問を持っていますが,今でもその考えは同じです。ウジがいようといまいと,人間の肉芽組織は蛋白分解酵素を分泌し,肉芽上の壊死組織は湿潤環境下では速やかに融解しているからです。
この記事では「ウジ虫のわいている傷口の方が清潔な傷口よりも治りが早いという臨床事実」を論拠に揚げていますが,「清潔な傷口」がどういう状態なのかが不明です。ウジが生きていける環境(=ウジは乾燥状態では生きていけない)は基本的に湿潤環境であり,一方,「清潔な傷口」=「乾燥して細菌のいない清潔な傷口」という意味であれば両者を比較するのは無意味です。case-control studyになっていません。
さらにこの記事では,「ウジの消化液を抽出して軟膏とし,壊死組織の上から投与する」という使い方をするようですが,これは上述の「壊死組織の表面からの分解」と同じであり,物理的に考えると極めて効率が悪いのです。そして,ウジの消化液は恐らく加水分解酵素でしょうから,水分のない壊死組織表面では壊死組織融解作用は発揮できないはずです。要するに,純粋に科学的に考えれば考えるほど,この治療には効果はないはずです。
とは言うものの,「欧米の治療は世界最高の治療」と信じている連中は日本医学界に多いから,早速飛びつく研究者がいるんだろうな。こういう連中が,「ウジウジ」と騒ぐんだろうな。鬱陶しいな。こういう連中を「五月蝿い」って言うんだな。
- 宇宙を覆う“メガ”ニュートリノ
最近の記事の中で最も気宇壮大なものの一つがこれ。ただし,理解するのはかなり大変。不確定性理論とビッグバン以後の時空の膨張をもとに,宇宙創生直後に誕生したニュートリノの存在可能範囲は時間の経過とともに拡大した,という解釈でいいのでしょうか。いずれにしても,存在可能範囲が広いだけで,ニュートリノ自体が大きいわけではありません。
- ドラッカーが60年前に指摘したGM危機の本質
「成功体験におぼれるな」,「次世代のリーダーを育てることのほうが製品を効率よく低コストで生産することよりも重要である」というドラッカーの60年前の分析は今でも正鵠を射ています。
- 新型ウイルス 5月5日以前に国内侵入か
「お前らが日本にウイルスを持ち込んだんだ」とバッシングの嵐を浴びた神戸の高校生たちより4日も早く,渡航暦のない人に新型インフルエンザは発生していたんだって。
「新型インフルエンザ=海外での感染者だから,海外渡航者を調べれば国内への持込はない」ということを大前提にした厚生労働省の対策は,最初から無理だったことがここでも証明されました。潜伏期が7日もあり,特異な症状のない感染症は,保菌者を見分けることは不可能です。
- 天安門事件に寄せて~民主化未達成のツケが10年後にやってくる
「中国は今後,急速な高齢化と生産年齢の減少により,GDPは2010年がピークで2015年から低下する。そして,民主化しないまま超高齢化社会になる。その時,非民主国家の中国に何が起こるか」という分析です。
ご存知のように,現在の中国の繁栄は,国内の不合理な戸籍制度がベースになって生まれたものです。国民を農村戸籍と都市戸籍に分けて両者を厳しく区別し,農村から都市への人口移動を制限したのがそもそもの発端です。なぜこんな戸籍制度を作ったかというと,1950年代以降,重工業を重視する計画経済を達成するためには食糧生産を安定させる必要があり,都市住民の社会保障を確保するためでした(その裏返しで,農村戸籍の国民の社会保障はないも同然になった)。その後,中国は開放改革の時代に入り,年での労働力需要が高まったために移動制限は緩和されますが,地域間経済格差はさらに大きくなり,「農工民(=身分は農民の労働者)」というその場しのぎの制度が生まれます。
しかし,出生時に決まる「農村戸籍か都市戸籍か」の区別は一生ついて回り,生活保護から教育にいたる全てで後者が大きく優遇されるというシステム自体は変わっていません。そして農工民でこの問題に気がついている層がまだ薄く(=権利意識が希薄),「気がついていない農工民」に犠牲を強いることで「世界の生産工場」が維持されているのだそうです。
このような中国社会の根底のシステムから見ると,今後,短期間で民主主義国家になるのは難しそうです。
- 働かないという選択肢はない 今も大バクチの最中/漫画家・西原理恵子さんインタビュー(後編)
やはりサイバラはすごい。まさに,「サイバラの前にサイバラなく,サイバラのあとにサイバラなし!」。
- 超低高度で月面を捉えた「かぐや」映像公開~若田飛行士帰還日時も決定
これは圧倒的な動画です。月表面から1万メートルの位置から撮影した月面の動画です。1万メートル上空といえばジェット機の高度と同じで,驚くほど鮮明な,悪く言えばCGじゃないの,と疑うほどの画質です。まさか,生きているうちにこんな画像が見られるとは,想像もしていませんでした。
JAXAといえば,次の映像がまた感動的です。水の惑星という奇跡がそこにあります。
2009/06/04
- 「小指の挫滅による皮膚壊死,植皮しますか?」というアンケート(BBS付き)を追加。
- 一昨日,公開した「刺さった釣り針のはずし方」ですが,岡崎先生から関連する論文をいただきました。末永先生という方が1999年のフライ・フィッシングの雑誌に書かれている論文です。なぜこの方法をするようになったのか,なぜこの方法で針が抜けるのか,他の方法に比べ何が優れているのかについて,詳細に述べられています。
この論文をお読みになりたいという方は,メールでご連絡下さい。
- 病院経営者のための月刊誌が『集中 MediCone』である。以前,この雑誌に原稿を書いたことがあるが,それから毎月,律儀に雑誌が送られてくる。余計な宣伝がなく,薄い割には読み応えのある記事が多く,かなり面白い雑誌である。
最新号となる6月号も面白い記事ばかりだったが,中でも『ミツバチ大量死の犯人は農薬「ダントツ」か』というのは興味深かった。
ダントツは水稲のカメムシ防除に使われる農薬で,ネオニコチノイド系のクロチアニジンを主成分とし,昆虫の神経伝達形を破壊するタイプの薬剤らしい。日本では2005年8月の岩手県でのミツバチ大量死事件の原因がこれではないかと言われていて,その後も各地でこの薬剤が原因と思われるミツバチ大量死事件が続いているらしい。
以前紹介した『ハチはなぜ大量死したのか』という本では可能性の一つとされているが,『悪魔の新・農薬「ネオニコチノイド」―ミツバチが消えた「沈黙の夏」 』という本では犯人と名指しされている。そして,ドイツ,オランダ,フランスでは使用禁止になっているのだ。
しかし日本ではまだ使用されているのである。『集中』の記事によると,農薬会社と密な関係を築き,利幅の大きい農薬を売れば売るほど利益を得ている農協(JA)が,養蜂家の警告を無視し続けているのが原因だと断言している。生態系を破壊する農業は異常だ,とこの記事は鋭く指摘する。
こういう記事以外にも,「病院経営破滅への道」という連載記事があり,経営破綻した病院がなぜ破綻したかを個別に分析しているが,この記事が毎回面白い。
- 出生率1.37,3年連続上昇=人口減少幅は戦後最大-厚労省
出生率が上昇・・・といっても,前年比で0.03ポイントの変化ですから,微々たる物です。実際,人口の自然増減数でみるとは5万人以上の自然減少となっています。冷静に考えると,2008年はうるう年ですから,1日分の出生数が増えただけではないの,という気がしますしね。
ちなみに,人口が減少しないための合計特殊出生率(=一人の女性が一生に産む子供の数)は2.08です。
- <静岡空港>あす開港 不況に新型インフル追い打ち 一部欠航,続く苦闘
どう考えても,静岡に空港は必要ないです。私はそれこそ全国の空港を利用していますが,乗客で一杯な空港は全国で数えるほどしかなく,大部分の空港は悲しくなるほど閑散としています。そして機内に乗り込んでも空席の方が多い場合がほとんどです。その空港に発着する飛行機の数から考えると,恐らく,全機満席だとしても黒字にはならないでしょう。
今日開港する静岡空港も「国内便48便のうち満席は沖縄,札幌,福岡便の3便だけ」という体たらく。開港初日にはご祝儀で乗る人もいるのにこれですから,今後はもっと利用者は減るはずです。恐らくこれからも,恐るべき赤字を垂れ流し続ける空港になるでしょう。
なんて書きましたが,来年3月には茨城空港も開港します。「札幌,大阪,福岡,沖縄の国内4路線で年間81万人が利用し,開港後の経済波及効果が300億円。」というように茨城県は大甘の計算をもとに大風呂敷を広げていますが,常識的に考えると,「そりゃ,寝言か?」というくらい現実味のない数字です。何しろ,地方空港の唯一のドル箱路線は羽田空港と結ぶものですが,茨城と東京じゃ近すぎて,羽田乗り入れ便がありません。「年間81万人の利用」ということは「一日あたり2200人以上が利用」です。100席の飛行機が満席になり,それが1日20便飛んでもまだ足りません(ちなみに静岡空港の飛行機は80~180席)。そういう状態が毎日毎日続くという計算を基にしているわけです。誰が考えても机上の空論です。
- ケニアの野生動物を脅かす中国の採石場
北朝鮮といいミャンマーといいスーダンといい,世界の「困ったちゃん国家」の背後にいるのは中国ですが,ケニアでも「困ったちゃん国家」のようです。そのうち,なんだ,また中国か,しょうがねえなぁ,と言われるようになるんではないかと・・・。
- 精神科病棟の入院患者が不審死「頭部強打→腸管破裂」大阪・狭山
これまた不可思議な事件・・・というより,裂傷を伴う頭部打撲と腸管破裂と言ったら原因は人為的なものだろうと,誰しも考えます。真相はどうでしょうか。
- 世襲制限導入の見送りに,自民党の限界を見た
地盤も後援会も非課税で手に入れられるのが世襲政治家です。世襲政治家の何が問題なのかもわかっていないのが自民党です。
そんなこと言ったって,民主党に政治を任せて大丈夫なんだろうか,という人はこちらの記事を読んでみて下さい。
- “傲慢なのに打たれ弱い” 未熟でワガママな若手社員はなぜ増えたのか?
ロゼッタストーンの昔から「近頃の若い連中ときたら」というのが繰り返されてきましたので,こういう傾向が社会全体のものなのか,それは社会にどういう変化をもたらすかは未来にならないとわからないことですが,数年後には「未熟でワガママ」な性格の医者が医療現場に次々登場するのは,やはりちょっと困るな,と思ったりします。
2009/06/03
- 「外来でのちょっといい話」を久しぶりに更新。
- ちょっとした気晴らしのゲームのはずだったのに・・・という映画,《ゲーム》を紹介。あっと驚くようなすごく凝った展開で最後まで目を離せない作品ですが,この目的のためにこれはやりすぎだろう,という気がして,後味がいまいちよくありません。
- もはやオバマでも手出しできない? 大国パワーの十字路・北朝鮮の「地政学的意味」
中国,ロシア,アメリカの3大国のパワーバランスの狭間というニッチを開拓した北朝鮮が,アメリカはイラクとアフガニスタンで手一杯という状況で北朝鮮には手が回らないはず・・・という微妙な状況をを見越しての威嚇行動,という分析です。
- 金総書記後継は三男・正雲氏,国家情報院が公式確認
3代続けての世襲ってのは,共産主義国家の前提を思いっきり崩してますな。朝鮮民主主義人民共和国という国名が泣きます。世襲ってのは民主主義でもなければ共和国でもないってことだし,もとから人民はどっかに行っちゃってるし・・・。
確か,金日成から金正日への政権移譲の際に中国が「共産主義国家なのに世襲とは何事だ!」と文句を言ったはずだけど,今回の三男への後継に対して中国はどう反応するんでしょうか。
- 北朝鮮ミサイル,南東部でも発射準備か…韓国政府関係者
多分,「これはミサイルでなく,金正雲氏の総書記継承を祝っての祝砲だ。また日本は祝砲をミサイルと嘘をついてわが国を非難している。言いがかりである」って言い張るつもりなんでしょう。
- 新型インフル,「終息」とは?
いつも難しいのは,どこで打ち切るかです。「危険だから」と制限を強めるのは簡単ですが,一旦強めてしまった制限を緩めるのは大変です。
「9.11」で日本中の新幹線の車中と新幹線ホームからゴミ箱が撤去されたのは,まだ記憶に新しいと思います。そして,大規模テロから国民を守るため,という理由でゴミ箱がなくなりました。その後,ビン・ラディンは姿を消し,イラクのフセインはアメリカで処刑されましたが,新幹線のゴミ箱はその後もずっと封鎖されていました。この「ゴミ箱撤去」でテロ事件が未然に防げたのかどうかはいまだに不明です。
そして,気がつくと新幹線のゴミ箱はいつのまにか再開されていました。なぜ再開していいと判断したのか,何か状況は変わっての決定なのか,これまたよくわからないまま,なし崩し的に再開されていました。
- 競技用タイム計測装置で世界トップ ファースト電子開発
アナログの無線技術を極限まで突き詰めることで,デジタル技術に走るライバル社を蹴散らし世界トップに立つ・・・というなんだか嬉しくなる記事です。
2009/06/02
- 7月17日に日本旅行医学会登山医学セミナーで講演することが決まりました。
- 茨城県常陸大宮市の岡崎外科医院 岡崎匡雄先生から「刺さった釣り針のはずし方」という動画が送られてきましたので,許可を得て公開させていただきます。返しが皮内に入っている場合,糸を巻きつけてはずすのですが,ちょっとした痛みだけではずせるそうです。
- マスクは結局,しなかった。
新型インフルエンザ騒動の最中にテレビで繰り返し流されたのが,麻生総理の「冷静に行動してください」という日本政府お墨付のコマーシャル。それについての鋭い指摘がこの記事だ。
慌てている人間に言ってはならない言葉,言っても意味がない言葉,それが「冷静になれ」という言葉である・・・という指摘です。だから,いくら総理が「冷静になれ」と呼びかけても事態は沈静化しなかったわけです。いわゆる一つの無駄広告です。確かに,興奮して暴れている相手に,「冷静になれ,興奮するな」と話しかけても効果はないよね。
麻生さんの言葉を操る能力がいかに低いか,この一件でもよくわかります。言葉を操れない政治家って・・・・・・ダメじゃん。
- カンザス州の中絶医が教会で射殺,大統領が非難声明発表
ここ数年,アメリカの犯罪数は減少しています。その理由は,よく言われる「割れた窓効果」ではなく,人工妊娠中絶を認める州が増えたからといわれています。つまり,「望まない妊娠,中絶もできない」⇒「産んでも育てられない」⇒「育児放棄」⇒「子供は犯罪するしか生きる手段がない」⇒「犯罪者増加」⇒「望まない妊娠増加」・・・という悪循環が断ち切られたから,というのが理由らしいです。
この分析は,アメリカを研究するアメリカ以外の国ではほぼ常識となっているようですが,アメリカ国内では議論にすらなっていません。人工妊娠中絶を論じること自体がタブーだからです。なぜタブーかというと,国を作ったそもそもの理由が否定されるからです。
- 子ども発熱外来,小児科学会「廃止を」 重病見逃す恐れ
以前にも書いたけど,「発熱外来」が意味を持つのは「発熱が新型インフルエンザ特有の症状であり,他の疾患では見られない」場合だけだ。この場合,「発熱者=感染者」となり発熱者を見つけるのは有意義な行動となる。しかし,「発熱」が他の疾患でも見られる症状となると「発熱」と「感染者」の関連性は薄くなり,「発熱」が不特定多数の疾患で見られる症状では関連性は限りなくゼロになる。この場合,「発熱外来」は無用の長物である。
そして,本来もっと議論しなければいけないのは,「感染者を見つけることが目的」なのか,それとも「重傷者を見つけることが目的」なのか,という論点だ。現時点では季節型インフルエンザと同じ症状,同じ重症度であるのが判っているのだから,感染者を見つけることは意味がない。感染しているかどうかがわかったとしても,治療は季節型インフルエンザと同じだからだ。
だから,「今日の感染者は○人」,「新たに○件でも発生」という報道も全く無意味だ。
今後,強毒型のパンデミックになるかもしれないから今から注意しているのだ,という考えもあるようだが,現時点で感染者を見つけたからといって「パンデミック化」「強毒型への変化」を防げるわけでないのだ。厚生労働省の努力の方向性は完全に間違っているのだ。
要するに,日本政府,厚生労働省は「こんなに努力したけれど,努力の甲斐なくパンデミックが発生してしまいました」というアリバイ工作のために無駄な行為を積み重ねているだけだろうと考えるしかない。
2009/06/01
- 講演用のスライドをマイナー・バージョンアップしました。最新版は5月29日作成のものとなります。ご覧になりたい方は本名,所属を明記してメールでご連絡下さい。
なお,以前ダウンロードしたことがある方は同じアドレスからダウンロードできます。
- 今回の新型インフルエンザで機内検疫,空港での検疫を行ったのは日本と中国の2カ国のみです。WHOは早い時期に「SARS流行時,検疫には科学的な予防効果は認められなかった。世界各国は検疫をしないように」と警告を発していましたが,日本政府はそれを無視して検疫を強行したようです。
In this regard, let me make a strong plea to countries to refrain from introducing measures that are economically and socially disruptive, yet have no scientific justification and bring no clear public health benefit.(2009/05/04, WHO)
また,旅行者の移動を制限してはいけないこと,旅行者を拘束すべきでないということも繰り返し発表していますが,これは日本を対象に出された提言とされています。しかし,厚生労働省はまたも無視して旅行者を拘束しました。Countries that adopt measures that significantly interfere with international traffic (e.g. delaying an airplane passenger for more than 24 hours, or refusing country entry or departure to a traveler) must provide WHO with the public health reasoning and evidence for their actions.
要するに,今回厚生労働省が取った対策はどれも非科学的であり,非人道的であり,何の効果もなかったということです。
- 明らかとなった皮膚細菌の生息マップ
何で今頃,こんな論文がScience誌に載るの? というくらいの内容です。日本では10年前にこの論文より詳細な書籍が出版されています。もしかしたら,アメリカの研究者・医者は皮膚常在菌のことを本当に知らないんじゃないでしょうか?
だからCDCの対策は的外れなんじゃないのか,という気がします。手には病原菌がウジャウジャいる,って信じ込んでいるんだろうな,連中は・・・。アメリカ人って,アメリカの常識が世界の常識と思い込んでいる人種だからなぁ・・・。
- 2008年の新種―最古の“胎生”動物
臍の緒のついてお魚,なんか可愛いぞ。
- 2008年の新種―世界最長の昆虫
ナナフシには巨大なものがいますが,さすがに全長60センチというのは圧巻です。
ちなみに,古生代石炭紀にはメガネウラという巨大トンボ(翼開長70cm!)が空を滑空していたと考えられていますが,これは酸素濃度が現在よりかなり高かったから(35%と推定されています)とされています。昆虫は体表面から気門という管を通して酸素を取り入れているため,取り込める酸素の量は酸素分子の拡散速度に依存し,拡散速度は酸素濃度と大気温に依存するからです。
この巨大ナナフシは体長は大きいものの,体の太さ(直径)は1センチくらいでしょうから,酸素取り込みの面での不利はないんでしょうね。
- <ポスドク>加速する頭脳流出 若手研究者,職なく41%が海外へ
手間と金をかけて育てた人材が日本国内で就職できず,海外に流出しています。日本という国は資源に乏しく,耕作面積が狭い国です。だから人材が唯一の資源です。その唯一の財産が国外に流出しています。
これを危機と言わず,何を危機と言うのでしょうか。
- 先週金曜日は一年ぶりの沖縄での講演でした。土曜日の飛行機が午後2時過ぎだったため,病院の事務の方から「どこかに行きたいところはありませんか?」との言葉に甘え,
- 二日酔いの朝に「ゆし豆腐」が食べたい
- 無理かもしれないけど,美ら海水族館を見たい
とわがままを言わせていただきました(・・・この非常識オヤジ! って言わないでね)。
前者は,生まれて初めて沖縄で講演した時,その翌日,市場の片隅にある小さなお店の店先で食べた「ゆし豆腐」が二日酔いの胃袋と脳みそに優しく染み渡って驚くほど美味かったからです。まさにあの味は滋味でした。その後,内地の沖縄料理店に幾つか行きましたが「ゆし豆腐」は置いていないし,あっても「二日酔いの朝」でもありません。「二日酔いの朝にゆし豆腐を食べたい」とずっと恋焦がれていた料理なんですよ。
それで今回,駄菓子屋さんのように小さな定食屋さんで食べたのですが,穏やかな滋味が五臓六腑に染み渡りました。これがあるなら毎日二日酔いになってもいいや,なんて本末転倒のことを考えたりしました。
そして美ら海水族館。ここは沖縄県の北部にあって往復に数時間かかるため,これまで諦めてきましたが,今回は「じゃあ,頑張って行ってみましょう」とのことで訪れました。
大水槽に泳ぐ3頭のジンベイザメの巨体は感動的というか畏怖を覚えるほどの存在感で圧巻でした。巨大な魚が悠然と泳ぐ様に,時間を忘れて見とれてしまいました。巨大な生物は人間を謙虚にさせます。
その他,個人的にはオオグソクムシの実物に会えたのも嬉しかったです。プラモデルみたいな大きな三角目玉をもつ「海中巨大ワラジムシ」ですが,実に格好いいのですよ。。
ちなみに,金曜日の昼に石岡駅を出てから,日曜日の夕方に同駅に戻ってくるまでの間の総移動距離は4504.7kmになりました。石岡駅を発ってから到着するまで54時間かかりましたから,単純計算で時速83.4km/hrですね。これもなんだかすごいぞ。
- 光文社新書の最終校正終了。あとは出版を待つだけです。5月初めから,怒涛の校正作業でした。
- 48歳の英歌姫,優勝逃す=でも前途は洋々?
さすがにプレッシャーがすごかったらしく,歌も本調子ではなかったらしいです。しかし,2ヶ月前までは「誰にも知られず,誰からも愛されたこともない(本人談)」おばちゃんだったことを考えれば,やはりすごい才能です。本物の才能はやはり強いのです。