《サイレント・ボイス》★★★ (2007年,アメリカ/カナダ)


 可もなく不可もないオカルト風味のミステリー映画,といったところでしょうか。話としてはきれいにまとまっていて,謎解き部分もしっかりしていて,説明不足の部分もなければ,意味不明のエピソードもありません。見終わって,ああ,なるほどね,と納得できます。

 しかしいかんせん,話はこじんまりしていて,せいぜい,登場人物の半径10メートルの範囲の広がりしかないんですね。主人公の精神分析医(?)の子供の頃のエピソードと医者になってから診た一人の患者,そして一人の女の子と彼女の周りの数人が絡んでいるだけで話(世界)が完結しているために,整合性は十分なんだけど,「でも,それって結局,君たち数人だけの問題ですよね」という感じなのです。「未練を残した死者が伝えようとしていることがある」という大風呂敷を広げてくるかと思っていたら,風呂敷じゃなくて小さめのハンカチ程度でした。

 主人公は女性精神分析医のフェイス(ミア・カーシュナー)。彼女には,16歳の患者が治療中に行方不明になったという経験があり,それに罪悪感を感じて臨床の仕事ができなくなり,もっぱら著述の仕事をするようなっています。そんな彼女の元に,有名な若手カメラマンから「姪を診てほしい」という依頼があります。姪の女の子(10歳くらい)は,両親と一緒に別荘(?)に向かっている時に自動車事故に遭い,彼女だけが助けられたという1年前の辛い経験から立ち直れず,心を閉ざしているのだと言います。

 フェイスは彼女に会いますが,実は女の子には誰にも見えない人間の姿が見え,その声が聞こえていたのです。そして,治療を始めたフェイスの目の前でもポルダーガイスト現象が起こり始めます。そして,次第にフェイスの過去と少女に聞こえる声の正体の関係が明らかになり,恐るべき事実が・・・という作品です。


 ホラー映画風味の映画ですが怖がらせるような演出は皆無で,幽霊(?)さんも普通の姿をしていますし,突然出て驚かすようなことはしません。逆に言えば,DVDジャケットの写真と説明を読んで,「ホラー映画でも見るかな」というノリでこの映画を見たら,多分,拍子抜けするはずです。要するに「夜一人で見ても大丈夫なホラー映画」ですね。

 登場人物は少ないです。フェイス,フェイスのかつての患者,女の子とその両親,叔父であるカメラマン,家の家政婦さんと主要登場人物はこれだけ。あとは,フェイスの知人のオカルト学者がちょっとでる程度かな? これだけの人物に起きた出来事が,小さな閉じた輪の中で絡み合っているのです。なぜフェイスが女の子のカウンセリングを依頼されたのか,家政婦さんのちょっと不審な言動の理由は何なのか,なぜフェイスのかつての患者が絡んでくるのか,なぜ水盤に人の顔が浮かび上がるのか・・・という様々な謎は,最後にすべて結びつきます。

 確かにこういう理由なら納得,納得なんですが,あまりにもきれいに説明しようとしたため,登場人物たちに起きた事件をすべて結びつけることになり,そこらはかなり「無理矢理感」が強いです。そして同時に,すべてをきれいに説明しようとしたために話のスケールが小さくなり,あっさりした印象しか残しません。


 それにしても,あの霊魂さんがこの世に未練があった理由はよくわかったけど,それを伝えるために女の子に話しかけ,さまざまな怪奇現象を起こすというのは,どう考えても回りくど過ぎませんか。というか,この霊魂さんがいったい何をしたかったのか,フェイス先生に何を伝えようとしたのかが,イマイチわからないのですよ。▲▲が水底に眠っていることを伝えたいのか,自分が失踪した真相をフェイス先生に伝えたかったのか,○○に復讐したかったのかが,すべての真相が明らかになった後でもよくわからないのです。しかも,霊魂さんの▲▲はすぐに浮いてきて見つかるはずじゃないですか?

 ちなみに,フェイス役の女優さんはとてもきれいで魅力的です。女の子役もかわいくて演技も上手でした。

(2009/06/26)

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