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2007/08/31
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,東京都荒川区の町屋皮フ科医院 布施暢子先生先生にも御参加いただきました。ありがとうございます。
- 「小児の手掌3度熱傷治療例」を追加。プラスモイストを使った小児の手熱傷のドレッシングはこういう方法もあります。
- 「医療事故:400倍高濃度の消毒液、モデル学生ら3人やけど--東京・日野市立病院」というニュースがありましたね。使われていた消毒薬はヂアミトール,つまり逆性石ケンの塩化ベンザルコニウムです。ニュースを読むと顔面や頚部の化学熱傷のようですが,間違ってもゲーベンクリームなんかを治療に使われていなければいいなと祈るばかりです。
日野市立病院の主治医の先生,なるべく痕を残さない熱傷治療,なるべく早く治す熱傷治療についていささかでもノウハウがありますので,この患者さんのために是非,御連絡いただけましたら幸いに存じます。
- ここ1ヶ月ほどで立て続けに,アメリカ在住の方から「ひどい擦りむき傷だったので近所の医者に言ったらしっかりと消毒され,軟膏ガーゼで処置された」とか,「火傷で医者に行ったら,化膿しないようにしっかりと消毒し,軟膏を塗ってガーゼをあて,絶対にぬらさないようにと説明された」というメールを幾つもいただいています。
というわけで,「消毒してガーゼをあてる」という治療はアメリカでも健在なようです。
- 今日は午前9時半まで外来を1時間だけして,それから上野⇒羽田と移動し,19時から沖縄の南部徳洲会病院で講演です。午前中に1時間だけでも患者さんの診察ができると安心できます。1時間に13人ほど診察するのはちょっと大変ですが・・・。
2007/08/30
- 11月9日(金)に佐賀県保険医協会で講演することが決まりました。
- エログロシーンと残虐シーンの連続なんだけど,見終わった後にすごく爽快な映画,《マーダー・ライド・ショー 2 デビルズ・リジェクト》について。
- 日本褥瘡学会のホームページから,いつの間にか掲示板がなくなっていましたね。もっともこれまでだって,質問を書き込んでも学会からの解答があるわけではなかったため,あってないような掲示板でしたが,ついに「あるだけまし」の掲示板すら消えてしまったようです。
そして,2週間後(9月7~8日,前橋市)に迫った第9回日本褥瘡学会学術集会ですが,全然盛り上がっていないようです。これまでなら,ラップ療法を攻撃する学会側と,何とかラップ療法を定着させようとする先鋭的少数派との間での前哨戦があって盛り上がっていたものですが,今年はどうも様相が違っているような感じなんですね。「ラップ療法掲示板」も全然書込がないし・・・。
2007/08/29
2007/08/28
- 本日発売の週刊朝日のメーカーとのタイアップ記事(見開き2ページ)で,湿潤治療が取り上げらる予定です。
- 盟友にして戦友,鳥谷部先生の新しいDVDが発売されました。『褥瘡治療最前線! Dr.鳥谷部の超ラップ療法』です。サンプルムービーもここから閲覧できるようですので,御興味をお持ちの方は是非ご覧下さい。
- タイムリミット型サスペンスアクション映画,《アウト・オブ・タイム》について。
- ふと思ったんだけど,安部さんってさ,ストーカーと同じ心理なんじゃないでしょうか。もちろん,安部ちゃんが女性に付きまとっているわけでもないし,拳銃で撃ち殺したわけでもないんだけど,ストーカーが「自分は相手から好かれている」ことを前提に考え,実は嫌われているなんて微塵も考えないのと,安部ちゃんが「自分の基本政策,国作りの基本姿勢は国民に受け入れられている」と一方的に信じ込んでいるのは,傍目から見ると同じなんだよね。
この前の参議院選挙で安部ちゃんは,「私を選ぶか小沢さんを選ぶか,どちらなのか?」って大見得を切って大敗したんだから,誰が見ても「私はどうやら選ばれなかった」と判断すべきなのに,なぜかお坊ちゃん首相は,「私の考える戦後レジームからの脱却は国民に受け入れられている。だから40議席近くが取れたのだ。負けたのは問題閣僚がいたからであって,自分が負けたわけではない。国民からの信任に応え使命を全うするのだ」なんて考えちゃう。
ま,ポジティブシンキングって言い張ることは可能だけど,空気が読めてない点がストーカーと同じです。
森前総理が「年少さん内閣から年中さん内閣になったな」というのは,座布団一枚!。だけど,森さんの支持率って安部内閣より低い10%以下だったような気が・・・。なんだかなぁ。
第二次安部内閣の陣容をみてみると・・・・・・「重厚内閣」ともいえるけど,「この顔ぶれ,なんだか見たことがあるぞ」という感じがしてきませんか。という意味で「デジャブ内閣」ってのはどうでしょうか。
2007/08/27
- 先週金曜日は高知整形外科医会で講演でした。通常の同会の倍以上の80人ほどが参加し,質疑応答もその後の立食の懇親会でも多くの質問をいただきました。多数ご参加頂き,ありがとうございました。
その後,3人の先生方と食事。高知といえばもちろんカツオと日本酒。どちらも非常に美味でした。
ちなみに25日に「伊丹空港にボンバルディア機が緊急着陸」なんてニュースがありました。片方のエンジンが完全停止し,一つのプロペラだけで緊急着陸したそうですが,私も同じ日,高知竜馬空港から伊丹空港へボンバルディア機に乗っていました。
- 「前腕全周性熱傷の治療例」を追加。
- 「患者さんに消毒をしないことを説明しても,なかなか理解してもらえませんが・・・」という質問を講演会でよくいただきます。でも,説明の仕方一つで簡単に理解してもらえます。私はこんな感じに説明しています。
- 出張先でYouTubeでピアノ演奏の画像を見るのが楽しみなんですが(自宅では忙しくてその暇がないもんでして),ちょっと見つけた面白かった画像。
Wibi Soerjadiは正統派のピアノ曲も演奏しますが,時々このような自作の編曲を演奏します。どれもこれも,テクニックの限りを尽くし想像力の限界に挑戦するようなピアノ曲となっています。私は彼の "American Fantasy" が好きなんですが,残念ながら正式の録音もないし,動画も残っていないようです。
2007/08/24
- 石岡第一病院 傷の治療センターで治療した症例の感染率を更新。さらに19例の治癒例がありましたが,感染例はゼロでした。
伝染性膿痂疹,石岡第一病院では依然として連勝街道を走っていて,全例が1日か2日で治癒しています。やはりこの方法でいいようです。
- ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』を基にしたミュージカル映画の傑作,《オー・ブラザー!》について。
- 今日は11:00頃まで外来診療をして,12:00過ぎに石岡駅を発つ「フレッシュひたち」で上野に向かい,羽田空港から高知に移動して夜に高知整形外科医会で講演です。ちなみに,高知県で初めての講演で,これで講演をしていない県は滋賀と鳥取だけになります。
こんなわけで,週末ごとに飛行機に乗っていますが,さすがに那覇空港での中華航空機事故の様子を見ると,ちょっと複雑な感じです。とはいっても国内移動だけなんで中華航空に乗ることはないですから,とりあえずはいいか。
2007/08/23
- 「両側前腕の後半接触性皮膚炎の治療例」を追加。プラスモイストで治療しています。
- 以前から,ニキビの治療をどうするかを悩んでいましたが,膿痂疹の治療がうまくいくことから次の方法でいいのではないかと考えています。
- ニキビをつぶして内容物を出す(開放創とする)
- その部分を含め,水道水でよく洗う。
- プラスモイストを貼付する。
- 抗生剤内服させる。
これだけです。もちろん,消毒も抗生剤入り軟膏も不要です。皮膚の炎症症状が非常に強い場合にはステロイド軟膏を使ってもいいかもしれません。
また,にきびをつぶした後の被覆材料としてハイドロコロイド,アルギン酸塩被覆材も有用と思われますが,「皮膚欠損創」という不自然な病名が必要になります。
- さて,8月28日発売の週刊朝日でこの治療に関する私の文章が掲載されます。よろしかったらご覧ください。一部のキオスクでは27日から販売される模様です。
2007/08/22
- 講演用のスライドをちょっとだけ修正し,8月21日バージョンになりました。以前,スライドファイルをダウンロードしたことがある方は同じアドレスからダウンロードできますし,新たにダウンロードをご希望の方は,本名,所属を明記してメールでご連絡下さい。
- 石岡第一病院 傷の治療センターで治療した症例の感染率に6例追加。
- 昨日紹介した『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ―ハイテク海洋動物学への招待 (光文社新書)』ですが,その中で最高に素敵な文章が紹介されていました。これは今からおよそ100年前にイギリスの各新聞に掲載された,シャクルトンを隊長とする南極探検隊への参加を求める求人広告です。
求む男子。至難の旅。わずかな報酬。極寒。暗黒の長い日々。絶えざる危険。生還の保証なし。ただし,成功の暁には,名誉と賞賛を得る。
すげえ! 格好いい! 冒険とは何か,そのすべてがこの短文で語り尽くされています。この,若者の冒険心に訴える名コピーに5,000人の応募があったそうです。さすがは『鷲は舞い降りた』と『脱出航路』のジャック・ヒギンズ,『女王陛下のユリシーズ号』のアリステア・マクリーンの国です。
2007/08/21
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,静岡県富士市のトータルファミリーケア北西医院 北西史直先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 読売新聞「医療ルネッサンス」シリーズの取材がありました。治療の様子や患者さんへのインタビューなどを取材していただきましたが,取材の途中,右母指の熱傷で痛みが強い患者さんがいて,デュオアクティブETを貼付して数秒で痛みが全くなくなる,という劇的な治療効果をご覧に入れることができました。前もって仕込んでおいたの,というほど絶妙のタイミングで来院された患者さんでした。
ちなみに,9月中旬頃に新聞紙上に掲載予定とのことです。
- 上記の熱傷患者さんですが,母指指尖部の熱傷で皮膚表面が白っぽくなっている程度で水疱形成は認められませんでした。皮膚損傷がない場合でも表面を密封して空気に触れないようにすると痛みがなくなるんですね。同様の症例をこれまで何度も経験しています。
通常,このような場合はステロイド軟膏を塗布すると痛みが少し和らぎますが,これはステロイドの効果ではなく,ステロイド軟膏(基剤は白色ワセリン)による乾燥抑制効果であり,ステロイドそのものは不要だったと思われます。
- 外傷治療患者の創感染率,120例の治癒例で依然ゼロ。伝染性膿痂疹(とびひ)が増えているのは,小児科を受診した患者さんも全例紹介となっているからです。全例,2日くらいで完治し,「とびひって簡単に治っちゃうもんだねえ」と小児科の先生も驚いています。ちなみに,SSSSも1例いましたが,こちらも問題なく治癒。
- 《大脱走》のパロディー・クレイアニメ映画,《チキン・ラン》について。クレイアニメとしてみると恐るべき完成度を誇る傑作映画です・・・クレイアニメとしてみれば・・・。
ちなみに私の解説は後半,英語の歴史に「大脱走」!
- 最近読んで面白かった本が,『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ ―ハイテク海洋動物学への招待』(光文社新書)である。海中では電波が伝わらないため,ペンギンがどのくらいのスピードでどのくらいまで潜るのかを調べようとすると本当に大変らしい。発信機をクジラに取り付けて・・・という方法が使えないからだ。となると,動物にレコーダーを取り付けるしかない。しかしそうなると,相手が野生動物なだけにレコーダーの回収が大変だ。そういうさまざまな困難を創意工夫で解決していく様子が素晴らしいし,得られたデータがそれ以上にすごいのである。
そして,そういう部分の他にも「小学校,中学校,高校,大学の小,中,大とは何か。使われている教科書のウソの量である。つまり,小学校の教科書にはほとんどウソはないが,中学校になるとちょっとウソが増え,大学で使っている教科書にはかなりウソが入っている。そして,この本にも結構ウソを書いてしまった」と書いているあたりに感動してしまった。研究書というのはこうでなければいけないと思う。いずれ,書評欄で取り上げる予定です。
2007/08/20
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,福岡市のたかの整形外科クリニック 院長 髙野信一先生,和歌山市の三谷整形外科・内科 三谷英夫先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 先週金曜日(17日)の熊本保険医協会で講演でした。会場の防災上の規定から定員以上の人が入れず,130人ほどの方で満席状態でした。かなりの方からに問い合わせをお断りしてしまったそうで,申し訳ありません。この日,熊本は37度の猛暑でしたが,多くの方においで頂き,ありがとうございました。
講演後は先生方10人ほどと会食。いろいろな話をさせていただきました。さらにその後,以前から親交のある宇野先生,宮崎先生たちと二次会に突入。遅くまでありがとうございました。
ちなみに,一次会で宇野先生が,知る人ぞ知る幻の銘酒「幻の3ナンバー」を持ち込んでくれて,久しぶりに堪能しました。米焼酎ですが,シェリー酒樽で5年熟成させていて,ラム酒を思わせる香りに陶然としました。残念なことに,もう製造中止で,今後手に入るのは熟成待ちのものだけとの事です。飲んでみたい,という人は急いだほうがよろしいかと・・・。
- 「こんな質問をいただきました」に水いぼの治療,帯状疱疹の治療を追加しました。
- 「外来見学について」を修正しました。
2007/08/17
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,神奈川県横浜市の一色外科胃腸科医院 外科 一色聡一郎先生にも御参加いただきました。ありがとうございます。
- 「献血採血時の皮膚消毒は不要というデータ」を追加しました。
- 今日は昼まで外来診療をして,それから石岡駅13:13発の電車に乗って上野⇒羽田⇒熊本空港と移動し,夕方から熊本県保険医協会で講演です。
- 一昨日,日本の最高気温の記録について書いたら,なぜか昨日,その記録が更新されました。
これで昨日,「明日もしかしたら最高気温が更新されるんかもしれません」なんて書いていたら,ものすごく格好良かったよなぁ。惜しかったな。予言者になり損ねちゃったよ。
そうか,今から,一昨日の記事を書き直しちゃえばいいのか・・・。
2007/08/16
- 一昨日のこのコーナーで,発展途上国での湿潤治療について取り上げましたが,発展途上国での医療ボランティアや国境なき医師団などの活動,そして災害現場での傷の治療にプラスモイストを瑞光メディカルが提供しますので,使ってみたいという方は瑞光メディカルの倉田さんに御連絡下さい。
- 株式会社 瑞光メディカル 倉田修平
- 大阪府摂津市鳥飼上4-3-50
- 電話:072-653-8877, Fax:072-653-8876
- plus_moist@zuiko.co.jp
- 拙書,『さらば消毒とガーゼ―「うるおい治療」が傷を治す』が増刷となり4刷になり,それにあわせて,一部内容を修正しました。一番大きな修正点は「細菌の細胞壁はセルロースが主成分で・・・」を「細胞壁はプロテオグリカンが主成分で・・・」です。長い間勘違いしていました。うわあ,はずかしい!・・・けど,また一つ賢くなったのでよしとしましょう。
- 石岡第一病院 傷の治療センターで治療した症例の感染率に新たに11例を追加しましたが,依然として創感染はゼロ。トータルで81例中ゼロです。
さて,石岡第一病院では小児科の協力を得て,かなりの数の伝染性膿痂疹(とびひ)の治療をしていますが,ほぼ全ての例で2~3日で治癒が得られています。やはり「膿痂疹は洗ってつぶす,抗生剤内服,創部をプラスモイストで覆う」という方針でいいようです。
- 「猛暑! 群馬県館林で最高気温40.2℃!」といういかにも暑苦しいニュースが昨日ありましたね。ここ数年,群馬や埼玉では毎年必ず,40℃越えの日がありますが,実はこれは日本最高気温ではありません。公式の記録としては,1933年に山形県山形市で記録した40.8℃があり,これは70年以上破られていません。
「40.2℃? 1933年の熱さはそんなもんじゃなかったみたいですよ。飛んでいるセミが落ちてくるし,スズメは焼け死んで焼き鳥になって落ちてきたし・・・」なんて会話が山形市内で交わされていたんじゃないでしょうか(・・・多分)。
2007/08/15
- 石岡第一病院 傷の治療センターで治療した症例の感染率に新たに18例を追加しましたが,依然として創感染はゼロ。トータルで70例中ゼロです。
- 昨日は,静岡県富士市のトータルファミリーケア北西医院の北西先生が見学に見えられました。
- 所変われば病気も変わる,というわけで,こちらに来て初めてお目にかかったのがムカデ咬傷です。指を咬まれて腫れてきたために受診したということですが,指全体が高度に腫脹し,大きな血疱形成がありました。
局所麻酔下に血疱を開放して創面をアルギン酸塩被覆材とプラスモイストVで覆い,抗生剤と抗ヒスタミン剤の内服で翌日には治まりました。
- 以前ちょっと紹介した本,『病原体から見た人間』について本格的に論評。前半は手放し礼讃,後半についてはちょっと疑問符つきです。
2007/08/14
- 「これまでの講演記録」のところをちょっと変えてみたというか,遊んでみました。県同士の相互の位置関係がおかしいとか,画面の横幅が狭くなるとレイアウトが崩れるとか,そういうところは突っ込まないでください。専用ソフトを使わずにエディタによるタグ打ち込みだけでこの地図を作るのって,すごく大変だったんですから。
- 国境なき医師団のミッションでリベリアに行っていらっしゃったという小児科の先生からメールをいただきました。以前,私の外来を見学にいらっしゃった先生です。
当初は小児専門病院だったために外傷は治療していなかったようですが,近くの外科系の病院が閉鎖されてからは熱傷や外傷患者さんがたくさん運ばれるようになり,4か月にわたり,プラスモイストか食品包装用ラップ(現地で手に入れたもの),および水道水と白色ワセリンで治療を行ったそうです。その間,20例の熱傷,外陰部潰瘍80例,皮下膿瘍15例などを治療し,ほぼ全例がきれいに早く治り,合併症もほとんどなかったそうです。
当初,現地の医療関係者は「なんだ,その治療は?」と疑いの目で見ていたそうですが,実際に治っていく子供たちの様子を見てショックを受け,すぐさま湿潤治療のとりことなり,病院全体の治療が変わったそうです。また,国境なき医師団本部でも治療の有用性が話題になったとか。
戦地や災害地,発展途上国ほどこの治療は威力を発揮すると思っていますが,その意を強くしました。
- これに多少関連していますが,「こんな質問いただきました」に【発展途上国の水道で傷を洗っても大丈夫?】を追加しました。
- 石岡第一病院 傷の治療センターで治療した症例の感染率につき,2007年7月9日~8月13日のデータをまとめました。52例中感染はゼロです。
- その石岡第一病院ですが,お盆休みなしで毎日やっています。
2007/08/13
- 作家ヴァージニア・ウルフと彼女の作品を軸に,時代の異なる3人の女性の人生を描いた映画,《めぐりあう時間たち The Hours》について。みどころはニコール・キッドマン,ジュリアン・ムーア,メリル・ストリープという3人の大女優さんたちが一堂に会していること・・・だけかなぁ?
- 雑誌,「クーリエ・ジャポン」9月号の特集【ここまで来た! 地球の「食」の裏側。】の,世界各地に住む普通の家族1週間分の食料を並べた写真がとても面白く,考えさせるものがあった。ここではアメリカ,中国,グリーンランド,チャドの難民キャンプ,グアテマラ,ブータン,トルコ,ドイツ,クウェートの家族が1週間に食べたものが並んでいるのだ。
例えばアメリカのノースカロライナに住む4人家族だが,うずたかく詰まれたスナック菓子,テーブルに並ぶ炭酸飲料とファーストフード,巨大なピザ2枚と普通に大きなピザ数枚。これだけ食ったら太るわけで,家族全員でフィットネスクラブに通ったことがあったが,自宅で食事を作る暇がなくなって逆効果だったらしい。こいつら,食う量を減らすという方向に頭が回らないらしい。彼らの買い物に生野菜が皆無なのが印象的。
逆に,チャドの難民キャンプでクラス6人家族の1週間の食費は180円! 内戦のために戦闘と略奪が続くスーダンのダルフールから逃れてきたという。食べられるのは乾燥トマトとオクラ入りの薄いスープだけで,これが3食,毎日続く。わずかな量の粉が入った袋がこの一家が購入できた一週間の食糧のすべてである。
そして,色とりどりの野菜が並ぶトルコやグアテマラ,ブータンの家族。まさに「野菜という生き物」を生きる糧にしているのがよくわかる。
2007/08/10
2007/08/09
- 10月26日の愛知県昭和病院での講演ですが,外部の方の参加も受け入れているとのことで,連絡先情報を追加しました。
- 医学と無関係なネタですみません。Carlo Vidussoが指使いを書き込んだブラームスの【パガニーニ変奏曲】の楽譜が,イタリアのピアニストから送られてきました。なんでもミラノの図書館の奥から見つけたとのことです。
この楽譜,私が持っていてもしょうがないので(ピアノを弾く時間もなければ,手元にピアノもないし,何より,この難曲を弾くだけの腕もない),興味をお持ちの人に配布しますのでご連絡ください。
そういえば,上記の【パガニーニ変奏曲】に関連してですが,全音の楽譜になぜ収録されていないんでしょうか。全音からは「ブラームスピアノ曲集」が上下巻で出版されていますが,上巻の最後が「ヘンデル変奏曲」で,下巻は「パガニーニ変奏曲」をすっ飛ばして「作品76」で始まります。しかも単独のピースとしても出版されていません。なぜ全音はブラームスのピアノ曲の中で「パガニーニ変奏曲」だけ出版しなかったんだろうか。春秋社の全集には含まれているわけだし,コンクールに挑戦する高校生や音大生なら必ず弾く曲なんだし・・・。
2007/08/08
- 8月31日(金)に沖縄県の南部徳洲会病院で講演することが決まりました。久しぶりの沖縄です。
10月26日(金)に愛知県厚生連昭和病院で講演することも決まりました。
- 会社のキャビネットを動かしたらそこに穴が開いていて,そこに入ったら有名俳優の脳みそに通じていた,というとてもよくできた不条理映画,《マルコヴィッチの穴》について。キャメロン・ディアスも出ていますが,恐らく誰も「あっ,この人,キャメロン・ディアス!」と気がつかないであろう,超地味な役作りに徹しています。ある意味,すごいです。
- PowerPoint 2007って,むちゃくちゃ使い勝手が悪くないですか? 最近,このソフトを購入してインストールしたのですが,2003とあまりにもユーザー・インターフェースが変わってしまい,線一本の太さを変えるだけでも,どう操作していいのか分からず,大変でした。2003だったら右クリック一発で変えられたのに・・・。その他,フォントを変えるとか,背景色を変えるとかにしても,直観的に操作できなくなり,使いにくくなった印象です。
確かに,機能がどんどん付け加わり,それを整理するために機能ごとにタブ切り替え方式にしたのだと思いますが,「フォントの変更はどのタブに入っているんだっけ?」ってな感じなんですね。
ま,使っていくうちに慣れるんだろうけどさ・・・。
- 渦中の朝青龍問題。一番いたたまれないのは最初の診断書を書いた四日市社会保険病院整形外科の先生でしょうね。
「先生,腰が痛いんで休みたいんです。診断書,書いてくれませんか?」って患者に頼まれれば,「それは大変ですね。腰のどのへんが痛いんですか? それではレントゲンを撮ってみましょう。・・・・腰椎の5番目にヒビみたいなのが見えますね。ま,骨折といえば骨折みたいなものです。で,どのくらい休みたいですか? 6週間くらい? 骨折ということにすれば6週間は休めると思いますよ。診断書を書いておきますね。ではお大事に」ってな感じで,診断書を書くことは日常茶飯事です。痛みというのは患者さんしかわからない症状で客観性がありませんから,患者に訴えられればその通りに書くしかないからです。
で,診断書の病名は「左肘内側側副靭帯損傷、左尺骨神経障害、急性腰痛症、第5腰椎(椎弓)疲労骨折」,そして「左肘関節痛、左前腕から手にかけてのしびれ、脱力感、ならびに腰臀部痛、下肢のしびれ感を訴えます。よって約6週間程度の休養、加療を要します」との診断書が書かれたわけです。おそらく,レントゲンで腰椎分離症が見つかったんでしょうね。尺骨神経の伝達速度くらいは測ったのかな? たぶん,測っていないだろうな。でも,このくらいは書いちゃうよな・・・患者さんに頼まれれば・・・。
この時点では,まさかこいつがサッカーをしてそれが撮影されるようなおバカさんとは思わないしなぁ・・・。「安静を要する」って診断書を書いたのに,走り回るとは思わないもんなぁ。こいつ,この前痛くて歩けないって言っていたんだから,痛そうな演技くらいしろよ,って思っているでしょうね。
2007/08/07
- 「カテーテル刺入部は何で覆うべきか」。書いた本人は「力作」と思っていますが,出来上がったものを読み直すと,「これまでの焼き直し」って感じですね。
- 安部ちゃん首相のていたらくを見ていて,彼の姿は「手術をしたことがないが実験論文を量産して外科教授になった」医者とと同じだと気がついた。両者の共通点は,実務経験がない点である。
今はそんなことがないと思うが(・・・たぶん・・・),ちょっと前までの国立大学の外科系の教授は,人間の手術をしたことがない連中が多かった。教授になるためにはとにかく論文を量産するしかないし,そのためには,培養細胞での実験か,マウスかラットを使った実験をするしかないのである。そうやって論文を量産する以外,大学で教授になる道はなかったのである。
その結果,「ネズミの手術の経験は豊富だが,人間の手術をしたことはない教授」が生まれることになる。彼がこのまま,ネズミちゃんだけ相手にしてくれれば人間に実害は発生しないのだが,なぜか教授になると,人間のお腹をさばきたくなるものらしい。「○○教授が手術すると大出血なんだよ」というのはこういう教授が執刀の場合だ。
ま,珍しい話ではない。
そういう「ネズミ外科教授」が安部ちゃん首相だ。彼に欠けているのは実務能力であり,調整能力であり,人を見極める能力だ。ネズミのお腹をさばいた経験だけで人間の手術をしているから,次から次へとトラブルが起きているのだ。臨床経験があれば「ここを切ると大出血するから注意しよう」とか,「こういう兆候が見えたらやばいぞ」とか,現場で学んできているため,大きなミスは犯さなくなるのだが,そういう経験が皆無である。実際の人間の手術で冷や汗を流したこともなければ,術後管理で眠れない夜を過ごしたこともない医者は「トラブル回避機能」を獲得していない。そういう人間がトップに立って手術するからトラブル続出である。
安部ちゃん首相の右往左往を見ていると,こういう教授が手術している様子が目に浮かぶのである。
なんで,こんなに能力のない人間が首相になってしまったのだろうか。もちろん,小泉前首相が彼を後継者として指名したからだ。絶対人気者の小泉君が安部ちゃんを指名したから,エスカレーター式にこいつが首相になってしまったのだ。小泉ちゃんが安部ちゃんを直接指名しなければ,これほどの実務能力のない人間が首相になることはなかったと思う。
その意味で,実務経験のないお坊ちゃま君を首相にしてしまった小泉前首相の責任は極めて重いと思う。自民党大敗北のA級戦犯は間違いなく小泉君だろう。
同時に,次世代の政治リーダーを作るシステムを破壊してしまったという点でも,小泉純ちゃんの功績(・・・とは言わないか)は大である。
派閥を率いることで政治感覚と実務能力と調整能力を磨き,その中で次世代の政治リーダーがて生まれてきたが,現時点では,政治的リーダーを養成するシステムが全くなくなってしまったのだ。学級委員をしてから生徒会長になるというシステムがぶっ壊れてしまったのだ。
これは要するに,「人間の手術はしたことがないけれど,論文ならたくさん書いた」医者を外科教授にしてしまうシステムと大差ないような気がする。
安部ちゃん首相の最大の弱点は,ネズミの手術すら自分でしたことがないことだ。そういう人間が掲げる看板が「美しい外科」である。実際の手術を見たことがないから,「美しい外科」という妄想だけが暴走しているのだろう。
2007/08/06
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,京都市左京区のかわみ皮膚科 川見伸子 先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 昨日(日曜日)は仙台市で開催された日本意識障害学会で教育講演でした。大学の同級生が声をかけてくれたものですが,30分と短い講演時間にもかかわらず,広い会場は7割くらいの席が埋まり,講演終了時には別会場で次のセッションが始まっているにもかかわらず,席を立つ人はとても少なく,ちょっとびっくりしました。
その仙台ですが,6日から8日まで「仙台七夕」ということで,駅の中はかなり混んでいました。5日の講演後,私が乗った新幹線(仙台→東京)はすいていましたが,向い側ホームの仙台行新幹線はかなり混んでいました。
- 「皮膚常在菌の生態系から考えて,カテーテル刺入部は何で覆うのが一番正しいか」という駄文を書く予定でしたが,週末に依頼原稿の校正ががいくつか重なってしまったため間に合わず,後日発表しますね。
- 「献血の時に初流血除去」について質問を受けました。しばらく献血をしたことがなかったのでしりませんでしたら,調べてみたらこういうことですね。なるほど。そこで,基礎的データあるはずだと思って探したら,見つかりました。これです。これからすると,初流血を輸血に使わないのは根拠ありということになりそうです。
しかし,このデータをよく読むと,「そもそも採血前に消毒すらいらない」という結論になっちゃうんですよ。というか,この論文を書いた先生たち,なぜそのことに言及していないんでしょうか。気がつかなかったのかな? 一言考察で言及していたら,先進的論文となったはずです。
- そういえば,上述の同級生と講演前に雑談していたら,「お前ってさあ,ピアノの楽譜についてめちゃくちゃ詳しかったよね。それで教えてほしいんだけど,ジョージ・ウィンストンの楽譜ってあるの? 息子が趣味でピアノを弾いているんだけど,ウィンストンの曲を弾きたがっているんだけど楽譜が見つからないんだよ」と質問され,「ウィンストンの楽譜? 持っているよ,っていうか,このUSBメモリに入っているよ。USBメモリ持ってるよね。それにこの場でコピーしてあげるよ」ということで,速攻で楽譜(PDFファイル)を渡しました。
不思議な巡り合わせ,ってやつです。
というわけで,N先生の息子さん,ウィンストンをお楽しみいただけましたら幸いです。
2007/08/03
- 背部や項部の感染性粉瘤の治療に関してだが,1センチ以下のものは切除縫合でいいが,それ以上の大きさのものや感染症状が強いものでは,「局麻下に切開排膿,アテローム皮膜は感染切除,傷は縫合せずにアルギン酸塩被覆材を重点,翌日からはハイドロサイトかプラスモイストを貼付するだけ」という方がいいような気がする。縫合すると,縫合創直下が死腔となり,術後感染や創離開が多いからだ。
私もこれまで,背部のアテローム切除後は真皮縫合を密にしたり,深部も縫合したり,ドレーンを入れたり,圧迫法を工夫したりしたが,背部ではどんなに工夫しても死腔ができるときはできてしまって血腫になり,二次的感染が起きることを100%避けることは不可能な印象なのだ。恐らくこれは,背部や項部という部位特有の問題ではないかと思う。
その点,開放創としてアルギン酸を充填するのであれば,死腔ができる余地はないし,開放創なので感染することもない。翌日診察して異常がなければ,そのあとはハイドロサイトかプラスモイストを張っておけば傷は勝手に治ってしまう。
しかも,完治までの治療期間は2~3週間程度と,縫合して何事も起こらなかった場合より1~2週間長い程度であり,その期間,痛みもなければ特別な治療もいらないし,通院も数回程度だ。創を縫合してその後に血腫から感染した場合,治療期間はこれより長くなるのは,皆様御存知の通り。トータルで見たら,縫合しない方が治療成績がいいような気がする。
- 基本的にはよくできたサスペンス映画なんだけど,風呂敷を広げすぎたかな,という感が否めない《ナイロビの蜂》について。
2007/08/02
2007/08/01
- 11月24日(土)に兵庫県北部の「糖尿病クラブ」で講演することが決まりました。
- 常在菌の生体を元に,カテーテル類刺入部の消毒について再度考察してみました。何度思考実験しても,カテーテル刺入部の消毒は不要ですし,消毒するほど感染が起こりやすくなることが論証できます。
- つい最近,某県某市の某総合病院形成外科で熱傷治療を受けていた患者さんがこちらの外来を受診されました。1歳くらいの男児で手の熱傷なんですが,その病院では「3度熱傷で植皮をしなければ手が使えなくなる。感染を起こして敗血症になることもある」といわれ,親御さんがどうにも納得できなくてインターネットで検索し・・・という患者さんです。受傷後,1週間くらいでの受診だったかな。
で,患部を見るとゲーベンクリームがべっとり! それを洗い流してみると破れた水疱膜がそのまま放置されていて,それを取り除いてみたらきれいな創面が出現。どう見ても2度の浅い熱傷,部分的にちょっぴり2度の深い部分かな,という感じです。どう見ても3度ではありません。
で,治療方法について詳しく説明し,プラスモイストを貼付してみました。翌日診察したら,もう既にうっすらと上皮が創面を覆い始め,それから1週間で完治しました。敗血症も起こさず,手が使えなくなることもなく,植皮もせずに治っちゃいました。
さてこの症例ですが,幾つか教えられる点があります。
まず,ゲーベンクリームを使っていたのに創面が深くなっていないこと。これは水疱膜を取らずにその上からゲーベンを塗りたくっていたため,水疱膜がゲーベンから守ってくれたんですね。水疱膜を除去するという手間すら惜しむ形成外科医でよかったです。
それから,「この熱傷は3度熱傷か2度熱傷か」という熱傷治療の基本中の基本すらできていない「熱傷専門医」が世の中にゴロゴロいるかもしれない,ということです。要するに,碌に創面を見ていない熱傷専門医なんでしょう。ま,創面を見ていながら2度熱傷と3度熱傷の区別もつかない「熱傷専門医」ってのも見たことがあるけど・・・。
そういえば,以前の講演会の懇親会で,「救急外来で研修医がラップで治療するとすぐに治るんだけど,そのあと形成外科に紹介すると,こんな治療は駄目だとラップを剥がしてベーゲンクリーム・ガーゼで傷を覆うんですよ。そうすると,みんな3度熱傷になっちゃって植皮術になっています。研修医がラップで治療した方がはるかに速く治っているんですが,これってどうしたらいいんでしょうか?」と質問されたこともあります。熱傷専門医って,それまでの熱傷治療に固執するから,こうなっちゃうんですね。専門医のプライド,ってやつです。でも,自分のプライドを守るんじゃなく,患者を守れよ,って言ってあげたくなります。
そのうち,一般市民の間にも「ちょっとしたやけどはラップで治る」という知識が普及したら,熱傷専門医だけが一時代前の古臭い熱傷治療をしていることになるんじゃないでしょうか。このままじゃ,数年後には世間の笑いものになっちゃうよ,熱傷専門医。
- 昨晩は,石岡第一病院の医局勉強会で湿潤治療の講義をしました。とはいっても,市内のお寿司屋さんでビールを飲みながら,料理を食べながらの講演です。以前から,講演をしている最中に「そろそろビールが飲みたいなぁ」と思うことがしばしばあったのですが,ビールジョッキ片手の講演はやはりいいですね。聴いているほうも酔っ払いモードですし,酔っ払い特有の鋭い質問もあったりして,とても面白かったです。