カテーテル刺入部は何で覆うべきか


 とりあえず,ここを読む前に基礎知識として直前の記事を読んでほしい


 皮膚にカテーテルが入っている状態を細菌の生態系として見直すと次のようになる。下図は断面である。

【@:カテーテル表面】

【A:皮膚表面】

【B:カテーテル刺入部】

【C:カテーテルと脂肪組織の間】


  1. 【感染起炎菌はどこにいるのか?】

  2. 【カテーテル刺入部をフィルム,ハイドロコロイドで密封するとどうなるか?】


  3. 【カテーテル刺入直後に刺入部位をガーゼで覆うのはどうか】

  4. 【カテーテル刺入直後にYガーゼ様に切れ込みを入れたハイドロサイト,プラスモイストをあてたら?】

 以上の思考実験から,次のような方針が決まる。

  1. カテーテル挿入直後はハイドロサイトかプラスモイストに切れ込みを入れ,従来の「Yガーゼ」のように刺入部にあてる。
  2. 刺入部からの浸出液がなくなったら(=刺入部Bが上皮化したら),空中に露出させる(=不感蒸泄を最も妨げない)か,通気性の良いガーゼなどで覆う。
  3. フィルム材やハイドロコロイドで密封すると感染の機会を増やすので,何日も張りっぱなしにせず,毎日張り替えては刺入部の皮膚をよく洗う。
  4. カテーテル刺入部を石鹸で洗うのはおそらく問題ないだろうが,石鹸の成分が残ると皮膚常在菌の増殖を抑制するため,十分に洗い流すべきだろう。
  5. 滅菌物で刺入部を覆うのはナンセンス。消毒するのは最も愚か。

 おそらく,これがベストであろう。


【外からの細菌侵入を防ぐ…というのは愚策・・・というか幻想だ】


【滅菌物は不要】

(2007/08/07)

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