最近,献血ルームには「初流血除去を行っています」という張り紙が張ってあるそうだ。詳しくは,http://www.hyogo.bc.jrc.or.jp/oshirase/syoryuu-ketu2006.10.26/syoryu-ketu2006.10.26.htmlとかhttp://www.munejun.com/kenketsu/2007/02/post_29.htmlを読んでいただくとして,要するに,いくら皮膚表面を消毒したところで皮下の毛嚢をかすめちゃったら血液が皮膚常在菌で汚染されるため,針を刺して最初に得られた25mlの血液は輸血用には使用しないよ,というものらしい。皮膚の構造からすれば当然の対処法である。
当然,日赤が先頭に立っているのだろうし,赤十字病院あたりが基礎実験をしているはずだと考えて探してみると,どうやらこれじゃないかと思われる。
http://www.yuketsu.gr.jp/gakkaishi/49-6/049060761.pdf
この論文を読むと,確かに最初の25mlを除去すれば,それ以後に採決した血液が細菌汚染される可能性はゼロになっている。
さあ,そこでもう一度この論文の Material & Method を読み直してみると,とても面白いことが書いてあるではないか。犬の頚部から採血した実験なのだが,剃毛した後に黄色ブドウ球菌,表皮ブドウ球菌,アクネ菌を正常皮膚(つまり消毒していない皮膚)と同じ細菌数になるように塗布し,そこから採血を行っているのである。つまり,この実験データを素直に読めば,「消毒せずに採血しても,最初の25mlさえ除去すれば以後の血液の細菌汚染はない」という解釈になるはずだ。であれば,献血時の採血前の消毒すら不要ということにならないだろうか。どうせ初流血は使用しないのだから・・・。この実験データを素直に読めばそうなるなるはずだ。
であれば,この論文の結論としては
それにしても,この実験ではなぜわざわざ,細菌を塗布してから採血したんだろうか。なぜ,通常通りに消毒した部位から採血しなかったのだろうか。もしかしたら消毒した皮膚からの採血実験もあるんだけど,ほとんど細菌が検出されなかったとか,あるいは消毒したのと細菌を塗布したのではデータにあまり違いがなかったとか・・・? まさかそんなことはないよね。
(2007/08/17)