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2010/08/31

　「全（？）熱傷症例の経過」を公開。まず2症例です。徐々に追加していきます。
　「プラスモイストP取り扱い薬局一覧」に，神奈川県相模原市のわかば薬局北里，東京都町田市のマロン薬局鶴川店を追加しました。
　早起きといえば，私は1年を通して朝は5：20頃に起床していますので，微妙な季節の移り変わりがよくわかります。例えば，ついこの前までは5：20でも明かりを点けなくても十分明るかったのに，先週ころから「ちょい，薄暗い」感じになってきました。まだ明かりなしでもパソコンのキーボードの文字が見えますが，もうちょっと薄暗くなったら明かりが必要でしょう。気がつくと，あと3週間ほどで秋分の日です。
【暑かったら燗酒を作って飲めばいい】
　Daily Portal Zが連日の猛暑を逆手にとって，日向で40℃を超えるんなら「ぬる燗」になるよね，と実験してみました。見事なぬる燗になっています・・・時間はかかるけど。猛暑，恐るべし！
　これまでも「日向に駐車したクルマのボンネットで目玉焼きを作る」実験は見たことがありますが，日本酒をお燗するとは思いもよりませんでした。
【静岡・サル騒動　30日も三島市で13件の目撃情報　引き続き市などが注意呼びかけ】
　罠を仕掛けているがまだ捕まっていないとか。でも、この檻はどう見ても「罠」にしか見えないんですよね。きっとサルも「こりゃ，罠だよ。こんな小さな入口の奥にバナナなんてわざとらしくね？俺達，霊長類をナメるんじゃねえよ！」って思っているんじゃないないでしょうか。多分，酔っぱらいのオッサンとかが間違って引っかかるくらいの「檻」でなければ，サルは引っかからないような気がします。素面（しらふ）のニホンザルの皆さん，酔っぱらっている私より頭がよさそうですから・・・。
【小沢氏不出馬も＝菅・鳩山氏、「トロイカ」復活で一致―きょう4者会談・民主代表選】
　おサルさんの話題の次に民主党代表選の話題が来たことに他意はありません。単なる偶然でございます。でも，上記の「罠」に引っかからないおサルさんたちは，「今年は円高で木の実も少なくて餓死する仲間も出ると予想される緊急事態なのに，サル山のボスは誰がいいとか騒いでいる毛のないサル連中よりは，俺達の方がまともだよな」と上から目線で論評するかもしれません。
　まぁ，おサルさんは置いとくとして，民主党の出自を振り返ると，自民党の旧田中派から市民運動家までいる寄り合い所帯です。いわば，政権交代という一点を接着剤に一つの政党にまとまっていただけの烏合集団です（この点，自民党は政権政党であるという一点でまとまっていた烏合集団）。政権交代という「夢」があったからこそ，お互いに対する不信も不満も押さえて，我慢していられたのです。しかし，政権交代が実現してしまうとグループごとの主張が噴出し，他のグループに対する不満が表に出てきます。政権交代が実現した以上，それまで抑えていた不満や不信を抑えておく必要はなくなるからです。それが現在の民主党ではないかと思います。
　というわけで，昨年の民主党政権誕生は単に「民主党バブル」だったと思います。バブルがはじけて貧相な正体が顕（あらわ）になっただけかもしれません。
　現在のアクセスカウンタは662万くらいです。ということはあと10日もすると，アクセスカウンタが "6,666,666" と6並びになり，「悪魔の数字2段重ね」となります。とりあえず私は（形だけ）仏教徒なんで，どうでもいいことですが・・・。

2010/08/30

　「外傷を湿潤治療している医師」に，福岡県北九州市小倉北区の石橋クリニック／石橋照三先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
　講演用のスライドをバージョンアップしました。いろいろ手を加えていて，最新版は8月28日作成のものです。ご覧になりたい方は本名，所属を明記してメールでご連絡下さい。
　なお，以前ダウンロードしたことがある方は同じアドレスからダウンロードできますのでご利用下さい。
　先週頃から，某大学病院救急部の先生から「熱傷患者が処置のたびに痛がります。どのように鎮痛したらいいのでしょうか？」という質問をいただき，メールのやりとりをしています。どうやら，昔ながらの「軟膏とトレックス，その上はガーゼ」の治療をしているようです。これでは「わざわざ疼痛を与える治療」をしているのと同じですから，「ラップかプラスモイストの治療に切り替えれば痛みはなくなるはずです」と返事を書きました。
　普通ならこれでオシマイですが，どうやら救急部のトップの先生がガチガチの「熱傷は消毒と軟膏ガーゼで治すもの」と信じ込んでいて，ラップに切り替えるのは・・・ということらしいです。
　私は「79歳，30％，Ⅲ度熱傷」のページを教え，この患者が外来通院で，普通に入浴していると教えても，そのトップの先生は「この症例はⅢ度熱傷だから痛くないんだ」の一点張りだとか。
　失礼ではございますが，ここまで馬鹿な答え，聞いたことがないです。「Ⅲ度熱傷だから痛くない」なんて，答えにもなっていません。もしも本当に「Ⅲ度熱傷（＝深い熱傷）が痛くない」としたら，「深い傷は痛くない，深い皮膚損傷も痛くない」ことになります。屁理屈こねるにしても，もうちょっとうまい屁理屈をこねようね。これじゃ，素人にも笑われちゃうよ。
　このお医者様，患者の治療をしたことがあるんでしょうか。Ⅲ度熱傷の患者さんが毎日の創処置のたびに，苦痛にのたうち回っていることを見たことがないのでしょうか。これで「熱傷治療の専門家」というのですから，開いた口がふさがりません。
　教科書には「Ⅲ度熱傷は痛みがない」とありますが，これは受傷直後だけのことで，その後は，止むことなき激痛に悩まされています。それが本当のⅢ度熱傷です。
　ちなみに，救急部の若手の医師は「79歳，30％，Ⅲ度熱傷」の治療経過を見て驚嘆していたそうです。それが唯一の救いです。
　『辺境生物探訪記　ー生命の本質を求めて』（長沼毅 + 藤崎慎吾，光文社新書）読了。対談集のため冗長な部分はありますが，内容はどれも刺激的で，生命の本質に踏み込んだ鋭い会話が交わされます。いずれ，本格的なレビューを書いてみようと思います。
　それにしても，2個に分裂するのに100年～1,000年かかる（と考えられている）地中細菌の存在は衝撃的です。研究者が一生をかけてその細菌を培養しても分裂してくれない可能性が高いのです。その細菌を弟子に託したとしても，その弟子が生きているうちに2個に増えてくれるかどうかも不明です。それどころか，鎌倉幕府成立同時に培養を開始してもまだ分裂の途中という細菌もいるんですぜ。しかもどうやら，そういう細菌は地中では珍しい存在ではないらしく，ゆっくりゆっくり分裂しながら着実に地下の環境を変えていくと考えられています。
　こうなると，実験で再確認・・・ということは不可能です。再確認するのに最短でも100年かかりますから・・・。こういう細菌について人間がその本質を理解できる日が来るんでしょうか。
　先週金曜日，横浜の横浜新都市脳神経外科病院で講演でしたが，石岡から上野への常磐線が人身事故でストップ！途中の駅で1時間ほど停止しました。上野駅に1時間遅れで到着し，3番・4番ホームに急ぎ，京浜東北線に飛び乗り，東京駅を小走りに移動して発車寸前の「のぞみ」に飛び乗る，という綱渡りの連続の結果，なんとか15分遅れで病院に到着できました。もう一本早い常磐線特急にしておけばよかったです。
　先週金曜日の本コーナーで「Kurusanov編曲の『シェーラザード』持ってます」と書きましたが，多くの方から「楽譜を見てみたい」と連絡をいただきました。また，曲名不明のものが「Dawn On the Moscow River」で，YouTubeで演奏が視聴できることも教えていただきました。
　ちなみにこの楽譜はネットで購入できるそうです。
【円高と下がり気味の眉の悲劇】
　以前，『エコノミストは信用できるか』（東谷暁，文春新書）という本を紹介しましたが，その頃と全く変わっていないという感じです。
　今回の円高について「円高で構わないんじゃない？」と主張する経済評論家はいませんが，円高からの脱却の具体的提案となると百家争鳴状態です。例えば，日経BPのサイトの記事を1週間分見ると，経済評論家・専門家が10人いたら10の立場があり，10の分析手法があり，10の解釈があることしかわかりません。だから10人が討論しても意見が一致することもありません。それぞれの立脚点もその後の理論の組み立て方も異なっているからです。同様の現象は政治学者同士の討論にも見られるんじゃないでしょうか。
　経済学にしても政治学にしても，過去の事象の分析学ではないかと思います。過去にこのような経済（政治）的混乱があったが，現在の経済（政治）状況はそれに類似している，だからこうすれば混乱が解決するはずだ・・・という分析学です。この手法が効力を発揮するのは，「過去の状況と現在の状況は寸分違わず一致している」場合だけです。逆に言えば，ちょっとでも状況が違えば同じ方法論が奏功する保証はありません。問題は，経済にしても政治にしても，状況が同じということはありえない点にあります。
　これは状況としては，以前書いた地震予知と同じです。破壊現象に再現性はありません。だから，地殻の破壊現象である地震も予知不可能というのが世界の地震学者の常識だとか。政治も経済もこれと同じで，再現性もなければ予知も予測もできないはずです。過去は参考にはなりますが，過去と同じ道は辿りません。
【Nike、「自動的に紐を結ぶスニーカー」特許を取得(動画)】
　この動画，一見の価値あり！
　民主党党首選挙だけど，なんでこの時期にしちゃうかな？もちろん，民主党の党紀に決まっているんだろうけど，この円高で企業が悲鳴をあげている時期に，呑気に選挙なんてしる場合じゃないよね。「本来なら9月中に選挙だが，経済状況が安定するまで延期しよう」と両候補が言ったら，拍手喝采してあげるんだけど・・・。

2010/08/27

　「外傷を湿潤治療している医師」に，広島県尾道市の尾道市公立みつぎ総合病院　外科／大久保仁先生，福岡県久留米市の広津外科・消化器外科医院／広津順先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
　「プラスモイストP取り扱い薬局一覧」に，東京都町田市の薬局忠生と熊本県天草市のあまくさ薬局を追加しました。ちなみに，あまくさ薬局は熊本県最初の取扱店となります。
　先日，あるピアノマニア（ギリシャの方でした）からロシアのピアノ編曲の楽譜を頂いたという話を書きましたが，ロシア語を読める方から曲名を教えていただきましたが，長年探していた大物が含まれていたことが判明しました。ニコライ・トカレフの演奏で有名な『シェーラザード』です。楽譜を見たいという方はメールでご連絡下さい。
- Kursanov : Three Transciprions
  1. リムスキー＝コルサコフ：『シェーラザード』
  2. ムソルグスキー：Dawn On the Moscow River
  3. ラフマニノフ：「3つのロシアの歌」の第3曲目
- Kursanov : 『ベサメ・ムーチョ』
- Kursanov：『モスクワの夜』
- Khudorei : Two Transciprions
  1. ムソルグスキー：『ボリス・ゴドノフ』
  2. ムソルグスキー：『禿山の一夜』
　上記の曲はYouTube映像で視聴できますが，どれもド派手なアレンジで楽しめます。とりわけ，Kursanov編曲の『シェーラザード』はリムスキー＝コルサコフの壮麗・華麗なオーケストラサウンドを，ナイアガラ瀑布さながらの過剰なまでの音の密度で再現した編曲で，見事で凄絶なピアノ曲です。Khudorei編曲の『禿山の一夜』も大迫力の演奏会用の逸品です。
　昨日，アパートに戻ったらドアに小さなヤモリ（しっぽを含めても5センチ程度）がいました。実は私，生きている野性のヤモリ（野良ヤモリってやつだな）を見るのは生まれて初めてです。東北地方には野良ヤモリが生息していないからです。初めて見るヤモリ，可愛かったです。
　そういえば，野良タマムシ，野良ナナフシってまだ見たことがありません。一度見てみたいと思ったまま，初老期に入っております。

2010/08/26

　「79歳，30％，Ⅲ度熱傷のおじいちゃん」ファンの皆様，お待たせいたしました。ほぼ1ヶ月ぶりに受診されました。すごく元気でこちらが逆にびっくりするほどです。自宅では「杖なし，支えなし，独力で」歩行していますし，診察室の移動も支えなしに自分で歩いています。車椅子，もういらない感じです。
- 時系列の経過
- 部位別の経過
　「外傷を湿潤治療している医師」に，愛知県岡崎市の高木外科内科医院／高木輝秀先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
【日本の消えるお年寄り，「家」単位ではもう無理なのでは？と】
　英語メディアが伝える「行方不明高齢者問題」についての記事をまとめたものです。日本のマスコミにない視点で分析したもの，オイオイという論点を押し通したもの，センセーショナルな見出しで目を引いているだけのものなど，どれも面白いです。中でも，タイトルになっている「そもそも，公的記録の基本を家族（家庭）に置く戸籍システムにしがみついているから無理があるんだ」という記事は面白かったです。
　私は社会科学的な知識がないためよくわかりませんが，何世代にもわたって一族がひとつの場所に定住するというのは，稲作のような農業文化特有のものではないかと思います。「土地＝財産」であり，富を生み出す「土地」を子々孫々に受け渡していく，という生活のシステムです。こういう社会では「家庭」が社会の最小単位となり，「家」単位の戸籍で国民の動向を把握できます。
　しかし，農業社会で有効であった「家族単位の社会の把握」は，農業社会でなくなれば有効でなくなります。これは，「侍社会を前提にしたシステム」が「侍社会の崩壊」とともに無意味なものになるのと同じです。
【黒船の６年前誕生，戸籍上「１６３歳」生存】
　死亡が確認されない限り「生存」とするしかないですからね。しかし，歴史上の人物でも死亡が確認されていない人はたくさんいますし，洪水や津波に巻き込まれて行方不明の人にも，死亡が確認できない人は多数います。「人知れず死んじゃった」人の死亡を確認するのは事実上不可能でしょう。現在の戸籍システムは「家族による申告」で成り立っていますから，申告すべき家族がいなければ死亡確認はできません。
【中国で，9日間以上続く大渋滞】
　8月14日に発生した渋滞が解消されずに続いている，というなんとも大陸的な話題です。渋滞現場では運転手相手の商売も始まっているそうです。街ができるのも時間の問題？

2010/08/25

　「外傷を湿潤治療している医師」に，愛知県名古屋市緑区の鳴子クリニック／藤田寛二先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
　Pentax Optio W90のデジタル顕微鏡写真にちょっと追加。「毛孔から上皮化が始まる」証拠写真。
　保湿剤（と称されるもの）と皮膚の水分量について考えていると，わからないことばかり増えてきます。そんな「わからないこと一覧」です。
　出だしはすごく良かったのに，全体像が見えてしまったら単なるお馬鹿キリスト教宣伝映画だったのが，ニコラス・ケイジ主演の《ノウイング》。聖書に書かれていることを正しいと信じていると「ノアの箱舟」も歴史的事実になっちゃうんだろうなぁ。仕掛けとCGが大掛かりな分，中身はチープでございました。

2010/08/24

　昨日の外来はすごく混んでいて，外来開設以来初めて60人を突破しました。しかも29人が新患！
　昨日も「ヤケドで皮膚移植を受けたのですが，傷はこれ以上きれいにする方法はないのでしょうか？」という2歳の患者さんと親御さんが受診されました。こういう患者を診るのが一番辛いです。「治療法はありません。これ以上きれいにはなりません」と説明しなければいけないからです（ちなみにこの質問を主治医にもしたそうですが，言葉を濁して答えてくれなかったとか・・・）。
　どうやら，皮膚移植を行った総合病院形成外科の主治医は，皮膚移植をした場合にどのような傷跡になるのかを説明もせずに皮膚移植を行ったようです。これはインフォームド・コンセントなしに手術をしていることになります。
　熱傷患者に皮膚移植術を勧めるなら，医者はまず最初に皮膚移植を行った症例写真を見せ，その移植皮膚の5年後，10年後の状態も写真で提示し，その上で手術の同意を得るべきではないでしょうか。少なくとも，現在行っている植皮術は「インフォームド・コンセントなしの手術」であることを認識すべきだと思います（ちなみに，瘢痕拘縮の治療では皮膚移植は必要であり，皮膚移植なしには治療できません。このあたりは誤解しないでね）。

　それと，ご両親もなぜ，主治医の説明を鵜呑みにしたのでしょうか。なぜ，主治医の説明に疑問を持たなかったのでしょうか。ちょっとでも疑問を持ち，携帯電話で「ヤケドの治療」と検索してみたら，別の治療があることがわかり，主治医の「皮膚移植しないと治らない」という説明が嘘だということがわかるはずです。主治医の「皮膚移植をしないと治らない」という説明を鵜呑みにさえしなければ，こんな無残な結果にはならなかったはずです。皮膚移植に同意する前に，その医者の説明が本当かどうか，自分で情報を集める努力をすべきです。繰り返しになりますが，皮膚移植されてしまったらもう手遅れだからです。
　「治療は医者にお任せ」，「患者は医者の説明を大人しく聞いていればいい」と考えては，自分の身も家族の安全も守れません。
　これから読もうと思っている本が『辺境生物探訪記』（長沼毅 + 藤崎慎吾，光文社新書）。400ページと新書としては異例なほど分厚く，1400円と新書としては異例な値段設定の本です。
　これは二人の対談集なんですが，私はもともと対談集はほとんど読みません。会話体で書かれているため内容が薄いことが多いからです。この本も出版された直後に書店で手に取りましたが，対談集とわかり，中身も確かめずに書棚に戻してしまいました。しかし，昔からの知人で生物学と化学に詳しい高校の先生から，「これは面白いですよ。長沼先生，いつもながらの知的暴走族です」と教えてくれたのです。彼が勧めるならまず間違いなく良書のはずです。そんなわけで，少しずつ読み始めています。
　ちなみに，著者の長沼先生は「心の師匠」の一人です。
【3日以内であれば字を消せる「液体鉛筆」】
　まだまだ手書きでないと駄目，という診断書は多いですが（例：労災の書類や後遺症診断書），そういう書類にはこの鉛筆があったら便利です。とりあえずこの「液体鉛筆」で書いて間違いがあったら消しゴムで修正，完成したら3日後に患者さんに渡す，なんてどうでしょうか。
【各社から出そろった3Dテレビ，順調に普及するか】
　現時点での3Dテレビは「油絵の3次元化」みたいな技術じゃないでしょうか。
　油絵はもともと平面であるキャンバスに遠近法という「擬似的3次元」を展開する技術です。そういう油絵の表現法に飽きたらず，絵の具をうずたかく盛り上げて塗ることで立体を表現したいと考えた人がいたとします（これが3Dテレビね）。
　しかし，油絵を3D化するのは無駄な努力です。なぜかというと，彫刻という「最初から3次元芸術」があるからです。いくら油絵を厚塗りして盛り上げたとしても，キャンバス自体は平面ですから，いくら努力・工夫しても「擬似的3D」に過ぎず，彫像の「どこから見ても立体」には敵いません。管楽器が努力の末に和音が出せるようになっても，最初から和音が出せるように設計されている鍵盤楽器の和音の自在さには敵わないのと同じです。
　現在売られている3Dテレビはこの「油絵3次元化」と同じではないかと思うのですよ。技術のベースであるテレビは基本的に2次元であり，いくら3次元化しようとしても「もともと3次元であるもの」には及ばないと思うのです。
　3Dテレビは，「油絵と彫刻」のような，根本的に異なる発想と技術から作り直さないと駄目じゃないかと思います。2次元技術の延長としての3次元表現には限界があるからです。

2010/08/23

　「ワセリンを塗ると汗が出なくて汗疹ができるのではないか」，「ワセリンで毛穴がふさがってニキビが出来るのではないか」，「ワセリンを塗ると日焼けするのではないか？」という疑問に対し，体を張ってプチ実験しています。
　「プラスモイストP取り扱い薬局一覧」に，三重県四日市市の富田浜病院売店を追加しました。三重県で最初の取扱店です。
　現在発売中の「週刊現代」の167ページ目あたりで湿潤治療が取り上げられています。
【できれば所在不明のままでいてほしい】
　「行方不明の高齢者問題，あまり追求しない方がいいんじゃないの？」と書こうと思っていたら，小田嶋隆さんに一歩先を越されました。
　結局ですね，行方不明高齢者が200人いようと300人いようと，全人口1億2700万人から見れば誤差範囲みたいなものです。たとえ300人だとしても，40万人に1人ですよ。40万人といえば，県庁所在地で言えば富山市，岐阜市などです（平成17年の国勢調査によると）。要するに，行方の知れない高齢者が富山市で1人，岐阜市で1人，新潟市や千葉市で2人，京都で3人・・・ということです。このくらいしか行方不明の人がいないって，すごい調査精度だと思うのですがいかがでしょうか。
　これをゼロにしようとすると手間も金もハンパでなくかかります。市役所あたりの職員が毎月一回，全家庭を戸別訪問し，市民が生きているか死んでいるかを確認する，なんてすれば行方不明人はゼロに近くできますが，実際にやろうとしたらとんでもないことになります。全国どこにいるかもわからない行方不明高齢者を探すためには，全ての市町村に専業の職員を配置し，四六時中目を光らせていなければいけないのです（・・・もちろん，「健康保険証を1年以上使っていない高齢者」だけを調べるという方法もあるけど，精度は落ちます）。
　算数の点数を60点から80点に引き上げるのは簡単です。ちょっと勉強の仕方がわかればすぐに上がります。しかし，いつも95点平均の人が98点平均成績を上げようとするととんでもない努力が必要です。まして，99点平均の人が100点平均になろうとするさらに大変です。
　これと同じで，「行方不明が全国で300人いるなんてとんでもない。せめて，行方不明者は30人に減らそう」とするのは「95点を98点にする」のと同じです。ましてゼロにしようとなると・・・。
　年金不正受給なんて問題もありますが，行方不明高齢者に支給しないで浮かせられるお金と，そのために必要な人件費を考えると全く割りに合わないはずです。
　というわけで，テレビで某キャスターとかが「行方不明のご老人がいるなんて許せません！」と騒いでいるうちに，それ専用の部局が作られたり天下り機関ができたりしますぜ。
　いいじゃん，200人や300人が行方不明だって。家族に看取られて死ぬのも人生，人知れず野垂れ死ぬのも人生です。少なくとも私は，後者の死に方でも構わないと思っていますし，先祖代々のお墓に入ろうが入るまいがどちらでもいいです。どうせ残るのは灰ですから。
【事被告人の前町長１１選ならず】
　「84歳で11選を目指す」というのがすごいです。ちなみにWikipediaによると，市長では10選，町長では13選，衆議院議員では25選が最高なんだそうです。

2010/08/20

　Pentax Optio W90のデジタル顕微鏡写真にちょっと追加。プラスモイストでの上皮化がどのように進むのかがよくわかります。
　イギリス製の「穴掘り・銀行強奪系」映画，《GOUDATSU 強奪 "Daylight Robbery"》を紹介。真面目に丁寧に作られているんだけど，ちょっと地味。
　海外のピアノ愛好家という方から，KursanovとKhudoleiのピアノソロ用編曲を幾つか頂きました。いずれもロシア語の楽譜です。個人的に面白いなと思ったのはKursanov編曲の『ベサメ・ムーチョ』です。ご存知，超有名なラテンナンバーの曲ですが，華麗な演奏会用パラフレーズになっているようです（・・・楽譜から音を想像すると）。楽譜をご覧になりたいという方はメールでご連絡下さい。なお，頂いた楽譜の内容は次のとおりです。
- Kursanov : Besame Mucho
- Soloviev/Kursanov : Moscow Nights
- Sheremetieff/Kursanov : Love
- Kursanov : Three Piano Transcriptions
- Igor Khudolei : Two Piano Transctiprions
【“名刺管理の極意”を実現した「ピットレック」は買いだ！】
　21世紀のビジネスツールなのに，ネットに繋がらない，動画も見られない，画像も見れない，音楽も聞けない，PDFファイルすら表示できない，Officeのデータも見られない・・・という時代錯誤的商品「ポメラ」を大ヒットさせたキングジムが，またまたやっちまったのがこの「ピットレック」です。microSDカードでしかパソコンでデータが見られないという，ある意味潔い「名刺管理」ガジェットです。
　私は以前，パソコンに繋いで使う「名刺読み取り専用超小型スキャナ」で名刺管理していました。OCR機能が良くて結構重宝していましたが，「最初に繋いだUSB端子でしか認識されない」ため，パソコンを買い換えた途端に使えなくなってしまいました。その後，汎用スキャナ用のソフトも使ってみましたが，使い勝手がいまいちだったためそれっきりでした。そのため，私の机の引き出しには未整理の名刺が2000枚ほど眠っています。
　「ピットレック」も発表当初から目をつけていて，買おうか買うまいか迷っていましたが，今回の記事を読んで，ちょっと「購入」に傾いています。

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【国費で作った研究報告書なのに読めない，コピーできない…年間２０００億円の科研費】
　「半分はコピーできる。全部コピーしたいのだったら，５０年たてばできる」という担当者の言葉がナイスです。今その研究報告書が必要なのに，50年待ってくれ，だって。
【「小沢氏出馬」本格化に対抗，菅陣営も動く】
　自民党の派閥がどんどん弱体化していくのと逆に，民主党はどんどん派閥が強化されていくように見えます。そんなことにウツツをぬかしていられるような経済状況・政治状況ではないと思うんだけど・・・。

2010/08/19

　「プラスモイストP取り扱い薬局一覧」に，長崎県長崎市のセガミ薬局万屋町店を追加しました。長崎県での取扱店第一号です。
【スーパー細菌「パニックになる必要はない」】
　あらゆる抗生剤が効かないスーパー細菌がニュースになっている。まだ情報を集めていないのでどう判断すべきかよくわかっていないのだが，これまで何度も登場した「抗生剤が効かない恐怖の細菌」列伝を回想すると，それほど大したことはないような気もするのだ。
　これまでも，セフェムもペニシリンもカルバペネムも効かない細菌は何度か登場した。抗生剤が効かないということは人類はその細菌に対する武器がないということだ。いかにもこの細菌で人類は危機を迎えそうだが，局所的・個別的な被害はあったものの，人類を危機に陥れるような活躍はしていない。

　「多剤耐性菌は分裂速度が遅い」というのは生物学の大原則のようだ。耐性能力を獲得するためには新たな遺伝子を獲得する必要があり，そのために遺伝子の複写に時間がかかってしまうからだ。
　今回の「スーパー細菌」の世代時間はまだ調べられていないと思うが，分裂するのに要する時間は長いと予想される。このため，同じ環境で生息する他の細菌との競合になった場合，優勢種になることはないはずだ。つまりこの細菌が安定して生息できるニッチとは，他のあらゆる微生物が生息していない「無菌的環境」をどこかに見つけるしかないはずだ。問題は，そういう「細菌が生息できるが他の細菌が全くいない」場所をこのスーパー細菌が見つけられることができるか，である。

　すでに細菌が定着している環境があり，そこに新しい細菌が入り込もうとしている状況を考えてみよう。この新しい細菌がその環境で優勢種となるためには，以前から定着している細菌より速く分裂（＝世代時間を短くする）するしかない。早く分裂するしか，そこで棲息域を獲得できる手段がないからだ。そのためには分裂速度を上げるしかなく，分裂の遅い細菌はその環境に侵入することすらできない。
　自然界とは，このような「分裂速度競争」に勝った細菌がそれぞれのニッチを獲得していることで作り上げられているのだ。
　新たに生まれた「新種の耐性菌」はこのような環境に放り出されるわけである。彼らにとってはかなり過酷な環境であり，生き延びるのは難しいのではないかと思われる。
　細菌にとって人体は「生息環境の一つ」に過ぎず，既に常在菌などの生息域になっている。こういう場に放り出されたスーパー細菌が生き延びるとしたら，医者が持続的に抗生剤を投与して他の細菌の殺してくれなければいけない。
【球場に居酒屋みたいな席があってもいいんじゃない？】
　仙台市を本拠地とするプロ野球球団，東北楽天ゴールデンイーグルス創業メンバーのシリーズ記事なんですが，全くのゼロからわずか半年間でプロ野球球団を創り上げた男たちの物語はとても面白いです。
【面積を取らない「ネジ型の棺」】
　この記事を読んだ日本人はみなこういうと思います。「そこまで苦労して土葬するなら，さっさと火葬したらいいじゃん！」。
　冷静に考えると，陸地の面積は有限ですから，土葬を続けていけばやがて「生きている人間の住む場所より，死体を土葬する墓地が広くなる」ことになります。土葬文化の人たち，気がついていないのかなぁ？
　死後の裁きとか死者が蘇ることを前提にした宗教文化だから，死んだ人を土葬して死体を残しておかないといけないのかもしれませんが，生きている人間の都合を優先しないでどうするんだよ，と言いたくなります。死体を残そうと燃やそうと，どうせ死んでいるんだし・・・。
【黄身が白身で白身が黄身なゆで卵】
　料理マニアの間で有名なのが「ゆで卵を割ったら白身と黄身が逆！」という「黄身返し」で，江戸時代の料理本に書かれています。その秘伝中の秘伝に挑戦した記事です。途中でズルしてますが，最後にはきちんと「黄身返し」ができています。この写真は感動モノです。
　ちなみに，食べてみたら普通のゆで卵の方が美味しかったという感想がいいです。やはり，実際に作って食べてみないと味は評価できないよね。
【お金が人を幸福にしない理由：心理学実験から】
　自分が幸福かどうかよく分からないくらいの金持ちになったことがないため，ノーコメントです。ちなみに，私が想像できる最高の金持ちってのは，「ショップにふらりと立ち寄り，VAIOのZシリーズを値段を見ずに買っちゃう」とか「256GBのUSBメモリを適当にまとめ買いしちゃう」いうものです。それ以上高い買い物を思いつかないとことがトホホです。
【「メンデルの法則」のメカニズムを解明　奈良先端科技大の高山教授ら】
　「えっ！メンデルの法則のメカニズム，まだわかっていなかったんだ」と驚いちゃいました。優性遺伝子が劣性遺伝子にメチル化して封印しているようです。このように「誰もが知っているのに，メカニズムがまだ解明されていない現象」って，他にもたくさんあるんでしょうね。
　最近，デジカメの画素数は1440万画素が標準になっているようです。低感度のリバーサルフィルム（銀塩フィルム）の解像度は2000万画素以上ですから，かなり近づいたことになります（・・・もちろん，画素数だけで比較するのは間違っているけどね）。
　ちなみに，パソコン用の液晶ディスプレーの解像度は現時点では1920×1080ドット，つまり，207万画素です。1440万画素を表示するには3794×3794ドットという巨大ディスプレーが必要になります。

2010/08/18

　「外傷を湿潤治療している医師」に，香川県坂出市の総合病院坂出市立病院　整形外科／三上貴司先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
　TBSラジオの科学トーク番組『サイエンス　サイトーク』からも出演のご依頼をいただきました。毎週日曜日の21：00～21：30に放送されている番組です。
【「なぜもっと早く降伏できなかったのか」を議論しよう】
　とても読み応えのある深い内容の記事です。「正義とは何か」という命題を中心に据え，「原爆投下をしたから早期に戦争が集結し，結果的に多数の人間の命を救えた」というアメリカ側の考えのどこに問題があるのか，もしも日本が先に原爆を開発してアメリカに投下していたらそれは誰にとっての正義なのかを考えていきます。そして，日本人の考えが「白か黒かの二分法」の論理に支配されていることを論じ，勝利か玉砕かの二つに一つとしかないという思考が何を生み出したかを見事に抉り出していきます。
　そしてさらに，失敗することを前提としないシステムの弱さ，失敗した際の代替案を最初から否定する考え（例：原発事故は絶対に起きてはならない。医療事故は一例たりとも起きてはならない）にも言及していきます。
　ちなみに，以前紹介した次のような本と合わせて読むとさらに面白いと思います。
【氷河の崩壊でできた“氷の島”】
　「大きさはマンハッタン島4個分に相当と言われても，オラ，わかんねえだよ」，という人も多いと思いますが（私もその一人です・・・行ったことがないから），マンハッタン島の大きさは4×20kmでして「山の手線の内側の面積」くらいらしいです。つまり，マンハッタン島4つ分は16×20kmとなり，東京ー松戸ー大宮ー所沢で囲まれる範囲になります。自分の住んでいる地域の地図に16×20kmの長方形を描いてみると感じが掴めるはずです。
　要するに，かなり巨大な「氷の島」です。
【モスク建設問題，全米レベルの争点に拡大】
　「なぜわざわざその場所を選んでモスクを建てる？」というのが自然な考えじゃないでしょうか。モスクを建てるのは自由だけど，建てるにしても場所を選ぶのが良識というものだと思います。
　アメリカ政府としてもニューヨーク市としても，モスクを建てたいという申請に対し，それを拒否することは法的にも建前上もできません。「自由を何より重んじる」という建前があるからです。恐らく，モスク建設側はそこらも読んでグランド・ゼロにモスクを建てようとしているのでしょう。
　「斧は切ったことを忘れるが，切られた木は痛みを忘れない」というのはどこかのことわざだったと思います。どの国もどの民族もどの文化も，ある時には「斧」であり，ある時は「木」でした。だから，「木」であった被害者意識を理由に今度は「斧」になろうとします。かつて「斧」であったことを忘れて「木」として振舞おうとします。
　今回のグランド・ゼロのモスク建設問題がどのように決着するかは全く不明ですが，イスラム側は「斧」になってはいけないと思います。そういう遠慮なり配慮なりがあってもいいと思います。グランド・ゼロ跡地でなければ祈れない，ということではないのですから・・・。
【ホメオパシーと自然なお産の奇妙な関係】
　自然に備わっている能力，とは何かを鋭く追求しています。
　お産は「自然な現象」です。しかし，他の動物と異なり，人間の場合には「自然にお産させる」ことは極めて危険です。簡単に赤ん坊が外に出られないような体の構造をしているからです。おまけに赤ん坊の頭は大きいです。だから，「自然にお産する」時代は出産は常に死と隣り合わせでした。お産という自然現象からすると，人間の体は欠陥商品です。「自然なお産」というのは言葉としては美しいですが，人体の構造を無視した幻想に過ぎません。

　欠陥商品といえば，人間の皮膚も欠陥商品です。大気中という環境でしか生活できないのに，大気中では皮膚の傷はなかなか治らないからです。傷を治す能力は人体に「自然に備わって」いますが，その能力は「自然状態」では発揮されず封印されたままです。だから，皮膚の傷を治すには自然にありえない「湿潤状態」という人工的環境を作り出さざるを得ません。しかも，傷を治すために湿潤状態を作ってやると，今度は傷の周りの皮膚にトラブルが起きてきます（接触性皮膚炎が起きたり，汗疹ができたり・・・）。皮膚の傷を治療していると「なぜこんなに融通が利かないんだ」と皮膚に文句を言いたくなることがよくあります。
　自然な状態では絶対に発揮されない能力を「自然治癒力」と呼ぶのは，私にとっては腑に落ちません。生まれながらに備わっているが，人為的にしか引き出せない能力，それが創傷治癒です。

2010/08/17

【鉄猿社製スケッチブック】
　「全身を擦りむいてしまいました。湿潤治療で自分で治してみようと思いますが，何か注意点は？」というメールをいただき，「どうせやるなら，半分だけ湿潤治療をやってみて，それ以外の部分とハーフサイドテストをしてみたら面白いよ」と返事を出したら，本当に実験をしてくれました。まさか，本当にやってくれるとは！！
　しかも，痛みの経過，傷の経過もきちんと追っています。素晴らしいです。グッジョブ！
　8月20日（金）発売の「週刊現代」で湿潤治療の記事が掲載されます。
　アメリカ海軍の歴史に残る伝説の不屈の男を描く映画，《ザ・ダーバー》を紹介。
　テレビ放送の影響でしょうか，最近，「海で日焼けしてピリピリ痛いです」という患者さんが多いです。もちろん，ワセリンを薄く塗ったラップで覆ってあげると，ピリピリした痛みはすぐになくなります。というわけで，海水浴にはワセリンとラップが必需品ですね。
【携帯や玩具を使った低コストのNASA衛星】
　「現在，一般的な人工衛星に搭載されているコンピューターは，1984年のものと変わらない」という文章で始まる解説文ですが，「コンピューターは1984年のものと変わらない」というのは本当なんでしょうか？
　1984年といえば私が医学部を卒業した年です。この年に発売されたパソコンといえばNECのPC-9801Mであり，CPUは8MHzの8086互換，メインメモリ640Kb，2基の5インチフロッピーディスクのみでHDDなし，という構成でした。「その頃」と同じなんですか？
【顔文字の日米ポケット辞書】
　10数年前にピアノ・サイトを運営していた頃，スウェーデンやフランスやアメリカの音大生と頻繁にメールのやりとりをしていました。もちろん，私の英文は中学2年相当のシロモノでしたが，それでも何とか意思疎通ができていました。
　そこで一番困ったのは，顔文字でした。彼らは（無意識のうちに）首を90°左に傾けて顔文字を読むんですね。つまり，私の顔文字は彼らには「意味不明の文字列」としか認識されていなかったことになります。多分，「このジャパニーズ，何を書いているんだろう？」って思われていたんだろうな。
【吉本キラーK？岡村隆史活動休止の陰に某グラドルの存在？】
　岡村さんって本当に病気なの，病名は？・・・という情報だけが錯綜している「ナイナイ岡村活動休止」，7月初めころからアングラ情報で「K」というイニシャルが飛び交っていましたが，「探偵ファイル」が書いたとなると，ほぼ確定でしょう。ちなみにＫ田Ｙ子さんらしいです。
　そういえば，ここ1ヶ月間の「めちゃイケ」はほとんど「岡村追悼番組」みたいな雰囲気で，それが気になります。

2010/08/16

　Pentax Optio W90のデジタル顕微鏡写真にちょっと追加。
　「手作り化粧品では必ずグリセリンを入れますが，これはどうでしょうか？」という質問をよく頂きます。私は化粧品の研究者ではないのでよくわかりませんが，非常に乏しい化学の知識からすると「グリセリンは保湿剤」という化粧品業界の前提自体がインチキではないかと思います。
　グリセリンは水素結合で水分子と結合します。その意味では「水分子を保持」します。しかし，「水分子を結合している」ことと，「結合した水分子を他の物質に与える」ことは全く違っています。「金持ちは金を沢山持っているが，他人に分け与える能力を持っているわけでない」のと同じじゃないかと勝手に解釈しています。
　分子の結合の強さでいうと，水素結合はワンデルワールス力の10倍の強さです。このため，水分子同士が水素結合で繋がっている「水 H₂O」は，「水素結合で連結していない同じ分子量の他の物質」よりはるかに沸点が高いらしいです。ということは，水素結合を切り離すにはそれ相応のエネルギーを外部から投入しなければならない，ということでしょう。もちろんこれは，グリセリンでも同様であり，グリセリンと水分子を切り離すにはエネルギーが必要はなずです。
　さらに，健常な皮膚はそもそも水を吸収する能力を持っていません。
　以上から，皮膚にグリセリンを塗ると，汗腺から出た汗と不感蒸泄の水分はグリセリンに吸着されるだけで，皮膚の水分量自体は変化しないはずです。
　というわけで，健常な皮膚にグリセリンを塗っても悪さはしないと思いますが，傷のある皮膚に塗ったら確実に状態を悪化させるんじゃないでしょうか。　このように考えますが，化学の専門の先生がいらっしゃったら，正しい知識をご教示いただけないでしょうか。
　それでふと思ったのですが，女性がよく気にする「毛穴が開く」というのは，瘢痕拘縮じゃないでしょうか。つまり，[顔面の皮膚が化粧品と洗顔フォームなどで荒れてくる]⇒[顔の皮膚が軽度の瘢痕拘縮を起こす]⇒[皮膚が縮み，毛穴が引っ張られて開く]というメカニズムではないかと・・・。
　もしもこれが正しいとしたら，「毛穴を引き締める化粧品」を使うとさらに「毛穴の開き」は悪化するのではないかと・・・。
　この推論が間違っていることを，心から願うものです。
　「湯シャンとアテクシ～羊達の沈黙～」というブログの管理人からメールを頂きました。
　「ものづくりくいしんぼ日記」というブログ管理者の方からもメールを頂きました。
【細胞の活動を直接観察するナノワイヤー】
　細胞親和性が極めて高く，ウイルスより小さなシリコン製ナノワイヤーで，細胞の様々な活動を「記録」するという，何やらとんでもない技術です。細胞を傷つけることなく，生きたままの細胞の活動が観察できるとなると，まさに生物学者の夢のような技術です。いろいろな応用が考えられそうですが，私の頭では何に使うかを思いつきません。
【イオン火付けで大激論…お布施定額制で仏教界が真っ二つ】
　情報開示の社会の流れが，またひとつの「パンドラの箱」を開けました。お布施問題です。
　坊さんは「お気持ちでいいですよ」といいますが，この「お気持ち」が問題なのです。10万円でいいかなと思っても「お前の死んだ父親に対する気持ちは10万円なんだな」と言われそうで怖いし，50万出したとしても「親の供養に対する気持ちは50万分と考えていいんだな」と言われそうです。「気持ち」を金額に変換しろというのがそもそも不可能なんですよ。
　昨日夕方，猛暑の中を石岡駅について自宅アパートまで歩いて帰ったが，アブラゼミの大合唱の中で今年はじめてツクツクボウシの声を聞いた。私が育った秋田の田舎では当時アブラゼミはいなくて，ニイニイゼミ⇒ミンミンゼミ⇒ツクツクボウシ⇒ヒグラシの順番に鳴き初めたと記憶しているが，石岡ではどうなんだろうか？
　ちなみに，昔はあれほど聞き分けられた「鳴く虫（直翅目）」だが，最近は全然自信がない。石岡で聞き分けた直翅目の鳴き声というと，クサキリ，ヤブキリ，カンタン，アオマツムシ，ウマオイ，エンマコウロギ，ツヅレサセコウロギくらいのものだろうか。要するに，「必要としない知識，使わない知識はすぐに忘れる」ということなんだろう。
【「オレのつぶやきに誰も反応してくれない」「ツイッター疲れ」でやめたい人々】
　ツイッターはおろかmixiも未体験の私です。結局，「HTMLファイルベースではできない情報発信がツイッターなら可能」ということでもなさそうなので，ツイッターには手を出さないでいます。第一，「ツイッターのお作用・使い方」を新たに学ぶ時間もないし・・・。ツイッター童貞，ってやつですね。
【出版不況もどこ吹く風？　雑誌「sweet」が100万部を突破できた宝島社の秘密】
　「雑誌業界はどこも苦しい。売上一番にならないと広告が集まらない時代になる。ならば，一番になればいい」という単純明快なコンセプト，ブレない「目的」，大胆な改革と，とても面白い特集です。宝島社の中心的コンセプト，
「競合は，決して他の雑誌ではない」
「読者アンケートは，結果として受け止めるだけで参考にはしない」
「今，読んでいただいている人以外をターゲットとして考える」
というのが何よりいいです。すべての分野に応用できる考え方でしょうね・・・病院経営とか・・・。

2010/08/13

　「プラスモイストTOP」について，ちょっとまとめました。10年以上治ったことのないアトピー性皮膚炎症例に著効しています。値段が安いため，広範なアトピー・熱傷に使えます。
　以前紹介したPentax Optio W90のマクロ撮影（デジタル顕微鏡）のコツが掴めてきて，ちょっと面白い写真が取れるようになったので紹介します。
　　　　　⇒Pentax Optio W90のデジタル顕微鏡写真
　昨日も遠方からの熱傷患者さんが受診されました。3月に受傷した足背熱傷で，近くの病院の皮膚科で「軟膏ガーゼ」で治療を受けていたとのことで，絵に描いたような肥厚性瘢痕の状態で傷自体は上皮化しています。主治医に「指がくっついて十分に曲げられない。何とか治療できないだろうか」と質問しても「治療できない」としか答えがなく，諦めていたそうです。そういう時に先日のテレ朝の湿潤治療報道を見て，一縷の希望をもって受診されたそうです。
　こういう患者さんに「こういう状態になってしまったら，湿潤治療ではどうしようもありません。もっと早い時期に受診していただきたかったです」としか説明ができないのが悔しい限りです。
　しかも調べてみると，患者さんの自宅から通院できるところに「熱傷の湿潤治療をしている医師」がいるのです。つまり，インターネットで「ヤケドの治療」と検索すれば救われたのです。家庭の主婦でコンピュータを使ったことがない，というのは珍しくないかもしれませんが，せめて家族や周囲の人に一人でもインターネットを使える人がいて，ネットで熱傷治療について検索することを思いついていたら，こんな悲惨なことにはならなかったのにと残念です。

　それと，主治医の皮膚科医の対応は最悪ではないかと思います。肥厚性瘢痕や瘢痕拘縮の治療を皮膚科医の彼ができないのは仕方ないとしても，「これは私は治療できませんが形成外科で治療しています」となぜアドバイスしなかったのでしょうか。私には次のような可能性しか思いつきません。
- 肥厚性瘢痕が治療できることを知らなかった。
- 熱傷を皮膚科以外の診療科で治療していることを知らなかった。
- 皮膚科で治療できない熱傷が他の診療科で治療できるわけがないと考えていた。
- 自分の患者を他の医者に渡したくなかった。他の医者に見せたくなかった。
　どんな理由があるにせよ，いやしくも熱傷治療をしているのですから，治療の結果生じた合併症をどの診療科で治療しているかを覚えておくことは最低限の義務ではないでしょうか。
【ｉＰｈｏｎｅ，ウイルス感染で勝手に電話の恐れ】
　スマートフォンの機能・性能がどんどん高度になれば，いずれウィルスの標的になるだろうなと思っていました。しかも，世界中で売れまくっているiPhone, iPadが標的となれば，ウイルス作成者も作り甲斐があるはずです。今回は海外サイトを見て感染，ということのようですが，国内サイトでも感染，も時間の問題でしょう。

2010/08/12

　「湿潤治療の講演をしている医師」に，千葉市の花見川中央クリニック／北垣毅先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
　『熱傷治療“裏”マニュアル（仮題）』の執筆を進めています。参考にするためにいろいろな熱傷治療の教科書やマニュアルを読んでいるのですが，日本熱傷学会の『熱傷診療ガイドライン（2009年）』を読んで愕然としたのは，このガイドラインに「疼痛治療」という項目が一切ないことでした。「熱傷では疼痛は大した症状ではない」というのならわかりますが，熱傷で疼痛はもっとも激烈な症状の一つです。「熱傷は人類最大のストレス」と表現する医者もいるくらいです。
　それなのになぜ，学会公認の「ガイドライン」に疼痛対策の指針が書かれていないかといえば，対策がないからです。例えば，2003年の雑誌「救急医学」の熱傷特集号には「創が閉鎖するまで疼痛が持続するのが特徴」，「NSAIDSは効果がない」と悲劇的な言葉で埋め尽くされています。要するに，打つ手なしです。これが現在にいたるまで熱傷治療専門医の共通認識です。だから，2009年の学会ガイドラインには疼痛対策という項目そのものがないのでしょう。
　しかし一方で，「熱傷は痛くない」ことを知っている医者はいます。湿潤治療をしている医者たちです。もちろん彼らは，熱傷治療の専門家ではなく，単に「ケガの湿潤治療」の延長として熱傷治療をしているだけです。彼らの治療を受けている熱傷患者は「痛みのない熱傷治療」を体験しているはずです。

　では，従来の熱傷治療をしている医者と湿潤治療をしている医者の間で，熱傷の疼痛治療について議論が成り立つでしょうか？もちろん，議論は成立しません。「痛みは熱傷に付き物で治療法がない」ことを前提に治療体系を組み立てている医者たちと「熱傷は痛くないのが当たり前。痛かったら異常事態」と考えている医者では，共通概念すらないからです。これは天動説の天文学者と地動説の天文学者の間では議論が成立しなかったのと同じです。
　同様に，「熱傷の創感染」，「熱傷創に対する消毒の必要性」という言葉でも議論は成立しません。同じ「創感染」「消毒」という言葉を使っていても，実はその中身はまるで違っていて共通概念がありません。これは天動説の天文学者のいう「星」という言葉と地動説の「星」という言葉は，言葉としては同じだが概念は全く違っているのと同じです。天動説側の人に「地動説の星」を理解しろと言っても通じません。
　こういう連中は死ぬまで「熱傷の痛みは治療法がないから諦めろ」と患者に言い，「熱傷に消毒は付き物だ」と消毒し続けます。要するに「生きているだけで患者に害悪」という医者です。
　おフランス人の考えることって全然わかりません。なんでこんな映画を作っちゃったんでしょうか・・・としか言いようのないおフランス製・ホラー映画《変人村 Sheitan》を紹介。見るだけ時間の無駄です。
【Wibi Soerjadi plays his: 'American Fantasy'】
　このSoerjadiの「アメリカ幻想曲」の演奏動画，どれほど夢見たことでしょうか。10年ほど前にこの演奏を初めて聴き，その編曲技法の見事さと演奏技巧の素晴らしさに酔いしれ，あまりの「ピアノ馬鹿」ぶりに呆然としました（この場合の「馬鹿」は最高の褒め言葉ですね）。
　その後，YouTubeにSoerjadiの様々な演奏がアップされましたが，なぜか「アメリカ幻想曲」だけはなく半ば諦めていたのですが，ついに昨日，見つけました。長生きはしてみるものです。
　この演奏を採譜して楽譜にしてくれる人，誰かいないでしょうか？

2010/08/11

　「プラスモイストP取り扱い薬局一覧」に，高知市のすずらん薬局を追加しました。高知県で最初の薬局です。
　雑誌「地域リハビリテーション」8月号に連載記事「いまどきの創傷治療」の第2回目『消毒薬について』が掲載されました。
　Ⅲ度熱傷について面白い知見を得ました。熱した鉄板に下肢を挟まれた両側下肢Ⅲ度熱傷です。まず右足底です。

　足底外側は5月24日の状態で皮膚全層・軟部組織壊死でしたが，湿潤治療でほぼ「どこをヤケドしたの？」状態に治っています。①の全層壊死から上皮化した部分はもちろん，「周辺からの上皮化」でしたが，知覚は全く正常で左足と比べても知覚鈍麻などはありません。ちなみに普通に歩いています。
　ついで左下腿。ふくら脛（腓腹部）の全層壊死で，年齢も若く早期に社会復帰させようと，入院中に5回ほど局所麻酔で「カミソリで採皮⇒パッチ状グラフト」をしました。
　③はパッチ状植皮の部分，②は周囲から上皮化した部分ですが，③は知覚鈍麻状態ですが，②は知覚鈍麻はなく周囲の皮膚と知覚は同じです。
　まだ受傷後3ヶ月ですが，「皮膚移植をした部分は知覚が鈍く」，「Ⅲ度熱傷で保存的に上皮化させた部分は知覚は正常」ということになります。すなわち，「湿潤治療で再生した皮膚（瘢痕）は正常な知覚神経を伴っている」が，「移植した皮膚には正常な知覚神経は分布しない」という可能性が浮かび上がります。実は，このような「正常な知覚の皮膚が再生する」ことは，他のⅢ度熱傷の患者さんでも観察しています。一方，数十年前に皮膚移植を受けた人に聞いたところ，移植皮膚の知覚は鈍いままだそうです（数人からの聞き取りに過ぎませんが・・・）。
　いずれ暇になったら，この現象について病理学的な研究でもしてみようかと思っています。
　一昨日のテレ朝「スーパーJチャンネル」の放送後，またもたくさんの質問メールを頂きましたが，その多くが「心臓の手術の傷跡が盛り上がって困っている。何とかできないのか」，「婦人科手術の傷がケロイドになりひきつれてて痛い。湿潤治療で治らないのか」というものでした。
　もちろん解答は簡単で，「術後のケロイドなどは形成外科で治療しています。全国どこの形成外科医でも治療できますので，お近くの病院の形成外科を受診してみてください」です。
　形成外科医からすると「ケロイド，瘢痕拘縮は形成外科で治療する・治療できる」のは常識なのですが，問題は，それを知っている医者が形成外科医だけという点にあります。つまり，ケロイドを発生させる確率の高い手術をする心臓外科医や産婦人科医は，手術の結果生じたケロイドの治療法を知らないし，紹介先も知らない，ということになります。だからこそ，すりむき傷の治療でテレビに出た私にケロイドの治療に関する問い合わせが殺到しているのでしょう。
　この問題の解決は簡単です。心臓外科や産婦人科の専門医試験に「術後ケロイドの治療は形成外科に紹介する」という項目を付け加えるだけです。これだけで，救われる患者さんはかなりいるんじゃないかという気がします。
【アルミユニボディWindows Phone 7端末 " HTC Schubert "】
　Schubertという名前に反応してしまいました。なぜにシューベルト？ SchumanでもBrahmsでもMendelssohnでもWeberでもなくSchubertを選んだのはなぜ？
【ASUS，Bシリーズノートに「寿命3倍」のSonata バッテリーを採用】
　これも "Sonata" という名前に反応してしまいました。
　リチウムイオンバッテリーの最大の欠点は，繰り返し充電していくと次第に容量が減っていく点にあります。ついこの間までは楽勝で3時間使えていたのに，いつの間にか2時間も持たなくなった，なんてのは日常茶飯事ですが，その欠点を補ったのがこの新型バッテリーとのことです。他のノートパソコンにも搭載して欲しいです。
【銀河衝突：最も詳細な画像】
　これは壮麗・美麗な画像です。壁紙にしようと高解像度の元画像を探しているところです。本文中にもあるとおり，私たちの天の川銀河は数十億年後にお隣りのアンドロメダ銀河と衝突するだろうと予測されています。太陽の寿命が尽きて赤色巨星となるのが50億年後と言われていますから，どちらが早いのでしょうか。

2010/08/10

　「外傷を湿潤治療している医師」に，埼玉県熊谷市の森田皮膚科クリニック／森田貴史先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
　「傷を洗うのは必要でしょうか？」という質問に回答しました。
　『小惑星探査機はやぶさの大冒険』（山根一眞，マガジンハウス）についての評論を追加。
【ジュリア・ロバーツ，最新主演作の影響でヒンズー教徒に改宗】
　ジュリア・ロバーツ，大丈夫か？と心配になるような記事。「現世で私は友人や家族にとても甘やかされてきたわ。来世では，他者を支える何か静かな存在になりたいと思っています」って言うくらいなら，とりあえず「現世で他者を支える存在になりたい」ってなぜ考えないの？ J.ロバーツってもうちょっと頭のいい子だと思っていたんだけどなぁ・・・。
　私はヒンズー教はその出自からインチキ宗教と思っていますので，こんな宗教を簡単に信じてしまう方がおかしいと思っちゃいます。
　ま，ハリウッドには「サイエントロジー（Scientology）」なる宗教を信じているトム・クルーズ，ジョン・トラボルタなんてのがいますから，彼らより多少はましかな？
【酷暑　断食中断ＯＫ　ＵＡＥ政府　「健康害する恐れ」】
　ご存知のようにイスラムの世界ではラマダン（断食月）期間中は，太陽が登っている間は食べ物どころか唾さえ飲み込むことが許されません。さすがにそれでは，今年のような猛暑（UAEでは50℃を超える日もあるとか）ではいくらなんでも水分補給をしないで屋外労働するのは生命の危険がある，という非常にまともな判断です。
　ところが，このUAEの判断に対し，サウジアラビアの宗教界が「イスラム教の根源を踏みにじるものであり許されない」と猛反発しているそうだ。「命より宗教が大事」というのがサウジアラビアの立場のようです。

　ちなみにラマダンの時期は毎年異なります。イスラム暦（ヒジュラ暦）で決めるからです。イスラム暦は太陰暦であり，1ヶ月は29.5日となり，1年は354日となり，1年ごとに太陽暦と11日ずつずれていきます。つまり，3年経つと1ヶ月季節と暦がずれていきます。普通なら，これではすごく不便なため（季節と暦が全然合わないため，農業などにはまるで使えない），昔の日本のように「閏月」を置くのが常識なんですが，イスラム暦ではそれすら邪道と考えているようです。だから，真夏にラマダンがきたりして，生活上，とてつもない不便を強いられることになります。ここでも「生活より宗教が大事」という論理が働いているようです。
【不明者は２０都道府県計８７人　１００歳以上，新たに１２人】
　ふと思ったのだが，人の生き死には国家が把握しておくべき情報なのだろうか。
　もちろん，正確な人口を把握するのは大切な仕事という気がしないでもないが，なぜ正確な人口を知る必要があるのか，何のために人口を知るのかと考えると，なかなか必要性が浮かんでこない。私が思いつくのはせいぜい，地方交付税は地方自治体の人口に応じて交付されるかとか，議員定数の計算に必要だからとか，その程度の理由くらいしか思いつかない。
　他にもっと大切な理由があるのかもしれないが，個人としての国民が受けるメリットはほとんどなく，「マスとして地域」が受け取るメリット程度である。どう考えても，国民一人一人の生死をお上が把握したことによるメリットは，一人一人の国民には還元されていないような気がする。
　家族が死んだら死亡したことを地方自治体に届け出るが，それは，届け出ないと火葬場で死体を焼却できないし，遺骨を埋葬できないからだ。死体をそこらに放り投げておくと法律に触れるからだ。要するに，死亡したことを届け出ないと罪になるからであり，逆に，死亡したことを届け出たことによる実利はあまりない。届け出ることが義務だから，届け出ないと罪になるからというような，消極的な意味合いしかない。

　その地域に暮らす人間の数を正確に把握したいという欲求はいつ生じたものだろうか。多分，「税金を簡単に徴収したい」と考えた為政者がいて，住民の頭数で納税額を決めたら簡単じゃん，と気づいたのが最初じゃないだろうか（・・・単なる思いつきなんで根拠なし）。いわゆる「人頭税」である。だから彼らは住民に，「子供が産まれたら申告せよ，親が死んだら申告せよ。申告を怠ったら重罰に処す」としたわけだ（・・・単なる思いつきなんで根拠なし）。住民の方は，税金を取られるのもイヤだが，申告しなかった場合の罪の方が遙かに重いから，嫌々ながら申告する方を選ぶ。かくして，地域住民の数は正確に把握でき，徴税もスムーズに進むわけだ（・・・単なる思いつきなんで根拠なし）。
　さすがにこれでは「やらずぼったくり」だから，「住民の数に応じて自治体に金を配分しますよ」とか，「住民の数に応じて議員の数を増やしますよ」とかでバランスを取ったつもりになったのだろう。単なる邪推だけど・・・。

　「100歳以上の人たちが生きているか死んでいるか，行政は全く把握していません」という報道をみると，それはけしからん，行政は責任を持って住民を把握すべき，という方向に議論が進んでしまうが，これはどうなんだろうか。
　例えば，私は自分が死んだとしても，その情報は身内の数人が知ればいいだけだと思っているからだ。私が死んだことを地方自治体に知ってほしいとは思わないし，地方自治体が金をかけて私が死んだことを調査してほしいとも思わない。誰にも知られずにどこかでのたれ死にしたとしても，それは私の勝手である。
　人口を正確に把握することにそもそも意味があるのか，あったとしても，それは誰のための情報なのか，ということは問い直されるべきだと思う（もちろん，遺族年金なんて問題も絡んでくるけどね）。
　仮に，人口を国家が把握すべきだとしても，それはサンプル調査で十分なはずだし，いくつかの地域を徹底的にサンプル調査した方が，よほど正確な値が得られるような気がする。

　ちなみに，国家が「すべての国民の生死」を把握するのは簡単だ。生まれたときにマイクロチップを体のどこかに埋め込むだけでいい。そうすれば，野垂れ死に死体がどこの誰かはすぐに分かってしまうし，「行旅死亡人」という言葉も死語になるはずだ。もちろんこれで「100歳以上の行方不明のお年寄り」はいなくなるが，それが幸せな社会かどうかは別問題だ。
　テレビで連続2週間，3度にわたり放送していただきましたが，患者さんやその家族からの質問メールが非常に増えています。また，治療についての質問も多いし，書かなければいけない原稿も増えています。
　そこで，勝手ながらメールの緊急度に応じて返事を書くことにしました。
1. 緊急を要する患者さんからのメールは最優先（ヤケドをした・・・など）
2. それほど緊急でない患者さんからの相談メールはその次
3. 医師・看護師からの湿潤治療についての簡単な質問はその次
4. 医師からの緊急性のないメールは，申し訳ないけど後回し。時間的余裕ができたら書きます。
　誰か，時間を下さい。買います。
　現在，8：45ですが，外来に患者さんが15人くらい待っています。外来待合，パンクしそうです。
　9：45です。診ても診ても，待っている患者が減りません。まだ12人ほど待っています。1時間で13人診察。
　11：30です。ようやく落ち着きました。35人ほど診察。

2010/08/09

　「外傷を湿潤治療している医師」，「熱傷を湿潤治療している医師」に，兵庫県三田市の医療法人社団　とくやまクリニック／徳山彰俊先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
　雑誌「クリニシャン」2010年7月号に『ガーゼと消毒薬のかわりに創傷被覆材を使いたいのですが』が掲載されました。
　本日（8月9日）のテレビ朝日『スーパーJチャンネル』に17：30ころから出演します。予定より一日早くなりました。
　なんと菅原文太さんからのご指名で，ニッポン放送のラジオ番組「菅原文太　日本人の底力」で文太さんと対談することになりました。日程などの調整はこれからですが，9月終わりか10月初めの日曜日の早朝（5：30～6：00）に放送されることになりそうです。
　文太さん，年を取るごとに格好良くなっていく俳優の一人です。
　漫画，『テルマエ・ロマエ』（ヤマザキマリ，ビームコミックス）を，買っちゃいました。超面白いです。
　茨城県と言っても石岡市しか知らないわけだが，石岡で鳴いているセミはほとんどアブラゼミのようだ。東京都内ではクマゼミの声を聞くことが多くなったが，都内から80キロの石岡にはまだ侵入していないような印象だ。
　セミは「成虫になるのに時間がかかり，成虫になっても飛行距離が短い」昆虫である。だから，少なくとも6年前にその地に雄と雌の成虫が到達し，卵を産み，幼虫が生まれ，幼虫の生存に適した木が見つかり・・・という過程を経てその地で繁殖するようになるはずである。要するに，生息範囲が広がりにくい昆虫と思われる。
　ある程度まとまった数の成虫が入り込むという現象が10年くらい続かない限り，その地域での優勢種とはならないのかな，なんて思ってしまった。
【グーグル，そして英語化される世界について考える】
　要するに，アナログ時代は「芸術作品・創作作品はコピーが作れず」「紙コップはコピーを作れる」時代でしたが，デジタル時代は「紙コップより芸術作品のほうが簡単にコピーできる」時代になってしまいました。「価値を貨幣に換算できるもの」より「換算できないもの」の方が簡単にコピーを作れる，と言い換えることもできます。別の言い方をすれば，「苦労しないと作れないものほど簡単にコピーが作れる」時代ですね。
【全国で頻発する突然の地面陥没　水不足に悩む中国では地下水も危機に直面している】
　向かうところ敵なしのように見える中国経済ですが，水資源問題と一人っ子計画に起因する急速な高齢化が最大の弱点になりそうな気配です。
【森元首相長男，遅刻・早退・居眠りで批判も】
　森喜朗さんのご子息，森祐喜さんはお幾つになられてもやんちゃ坊主で微笑ましいです。彼の名前が有名になったのは，押尾学事件（合成麻薬のMDMAを使いながらエッチしてたら田中香織さんが死んじゃったけど見殺しにしちゃった）で，ピーチ・ジョン社長様ご所有の「ヤリ部屋」に押尾さんと田中さんと同席していたのが森元首相のご長男だった，ということでした。今回も「酒に酔っていたんじゃなくて，もっとヤバイものに酔ってたんじゃないの？」という噂も流れています。
　ちなみにネットでは，「押尾は数億円でご長男の身代わりになって逮捕された」というのは定説になっております。ちなみにネットを探すと，死亡した田中さんとご長男が頬を寄せ合っている写真が幾つか見つかります。きっと，仲が良かったんでしょう。
　森元首相はまたも強権発動してもみ消しちゃうのかな？ 40歳になっても50歳になっても，親にとっては可愛くてしょうがない息子でしょうから・・・。

2010/08/06

　テレビ朝日『スーパーJチャンネル』での放送ですが，1日早まって8月9日（月）17：30ころからの放送となります。
　「外傷を湿潤治療している医師」に，茨城県水戸市の水戸中央美容形成クリニック／宮崎浩彦先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
　「熱傷を湿潤治療している医師」に，東京都千代田区の 医療法人社団修林会　大手町アビエスクリニック／早田台史先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
　「下肢熱傷の患者さんで原因不明の痛みを訴える人がいますが・・・」という質問に回答しました。
　イランの女性サッカーファンが絶対に入れないサッカー場がある。イランの国立サッカー場だ。そこでイランのワールドカップ出場をかけた世紀の一戦が始まろうとしていた。何としてもその試合が観たい少女たちは，男の扮装をして会場に入ろうとしたが・・・という映画，《オフサイド・ガールズ》を紹介。素晴らしい映画です。
　某美容外科クリニック（時々，テレビでコマーシャルが流れる病院です）で腋臭（ワキガ）の手術を受けたという患者さんが受診されました。。ここで腋臭の手術を受け，手術が終わったら「もう受診しなくていい」と説明していたらしいです。しかし，数日後から傷が開いてきて，傷は痛いし，変な臭いもしてくるということで電話をかけてみたそうです。すると，「腋臭の手術でそういうことが起こることはない。病院の責任ではない。ここでは傷は診ないからどこか別の病院で診てもらえ」と言われたんだとか。それで，途方に暮れて私の外来を受診されたそうです。
　患者さんによると，手術を受けるまでは親切だったけど，手術が終わってお金を払った途端に手のひらを返したような態度になったそうな。「金さえ貰えば後は知らないよ」という病院の態度が悔しかったそうです。ちなみに，この美容外科クリニックでワキガ手術を受けた後に傷が開いて私の外来を受診された患者さん，他にもいらっしゃいます。
【お題「チャーハン」】
　お腹がすいている時にここを見ちゃ駄目！仕事が手に付かなくなりますぞ。
【哺乳類に似た古代ワニ：柔軟な骨格】
【哺乳類に似た古代ワニ：顎の構造】
【哺乳類に似た歯の古代ワニ】
　昨日のナショナルジオグラフィックに乗っていた古代ワニ関連のニュース3本。これを読むと，現在のワニとは似ても似つかぬワニがかつて棲息していたことがわかります。
　一方，ワニを含む爬虫類と哺乳類では体の構造の基本が異なります。例えば，体幹と四肢の位置関係も違うし，脊椎の構造も違います。細かいところで言えば顎関節の構造が全く違い，哺乳類の耳小骨の一つが爬虫類では顎関節を構成する骨となっています。つまり，鰓弓組織が胚初期から異なっているわけです。
　となると当然，この古代ワニが現存のワニの直接の祖先なのか，という疑問が生じます。最近，爬虫類の進化についてちょっと調べたりしているので，非常に興味があります。

2010/08/05

　昨日，テレビ朝日の取材も無事に終了しました。これで日本テレビ，フジテレビ，テレビ朝日と3つの番組から取材していただいたわけですが，どの取材クルーも「こんなに取材に協力的な患者さんは経験がない。取材拒否の患者さんがほとんどいないし，インタビューにも積極的に応じてくれ，これほど楽な取材はなかった」と言っていたのが印象的でした。患者さんにはいつも助けてもらっています。
　昨日のフジテレビ「とくダネ！」の放送終了後から病院に電話がかなり舞い込みましたし，私宛ての相談メールも沢山いただきました。ただ，相談内容のほとんどが「○○年前にヤケドで皮膚移植されたが，その傷跡は湿潤治療できれいにできないか」とか，「ヤケドの傷跡がひどくて困っています」という質問ばかりで，さすがに湿潤治療でもどうしようもできない相談内容が多かったのが残念でした。最後の希望としてわざわざ電話をかけてきてくれたのに，「治療法がありません」としか答えられないのは本当に悔しいです。
　実際，昨日に限らず，熱傷患者さんからの相談電話，メールは非常に多いです。その多くは「皮膚移植されたがもう少しきれいにして欲しい」，「移植された皮膚を全て剥ぎ取って湿潤治療できないか」と言うものです。それほど，熱傷患者さんは自分の受けた治療結果に満足しておらず，不満を持っているということでしょう。

　そしてこれは，見方を変えれば，患者に満足されない治療を熱傷学会が推奨している，熱傷学会推奨の標準治療は熱傷患者に支持されていない，ということになります。要するに，皮膚移植されてそれに満足している患者は，恐らくほとんどいないのです。皮膚移植に満足しているのは移植した医者だけです。

　一方，皮膚移植術は医者にとっては「美味しい手術」です。手術手技が極めて簡単・容易なのに手術点数が高いからです。簡単で値段が高い手術だから「美味しい」のです。
　例えば，「200平方センチ以上の全層植皮」は31,350点，心房中隔欠損（ASD）閉鎖術はASD単独なら30,100点です。つまり，心臓手術より10×20cmの皮膚を移植したほうが点数が高いのです。これってどうでしょうか。皮膚移植とASD閉鎖術が同じ手術点数っておかしくないでしょうか。
　おまけに，この程度の面積の皮膚移植なら一人で手術できますが，ASD閉鎖術は一人では手術できないし，皮膚移植に比べたら難易度は桁違いに難しいです（もちろん，心臓外科手術の中では易しい方だけど）。これが，「皮膚移植は美味しい」理由です。
　だから，皮膚移植術で飯を食っている熱傷専門医が皮膚移植術を手放すわけがありませんし，植皮術の点数を低くしようものなら，あの手この手で反対するはずです。美味しい飯の種を自ら手放す馬鹿はいません。
　だから，熱傷専門医に熱傷治療を委ねていては，「皮膚移植されました。この醜い傷は治らないのでしょうか？」という悲劇は繰り返されるばかりです。彼らに「皮膚移植ってこんなに醜い跡を残すとは説明を受けていない」と文句を言っても，「命が助かったのだから文句をいう方がおかしい」と言われるのがオチです。彼らは死ぬまで皮膚移植を続けます。彼らにとって皮膚移植術は生活の糧，飯の種だからです。

　上述のような悲劇の連鎖を断ち切るためには，「大部分の熱傷は皮膚移植なしに治る」，「ヤケドなんて素人でも治せる」，「皮膚移植した痕は醜く治せない」という知識を一般市民に普及させ，皮膚移植をする熱傷専門医の治療を患者が拒否するようにするしかありません。
　ちょっと前に書いた「colonization, critical colonization」の議論ですが，実は私は，自分の考えが正しいかどうかもいいというか，自分の仮説が正しいと考えて発表しているわけではありません。
　私は次々にアイディアを出しているだけです。なぜかというと，アイディアは個人の脳みそに浮かび，他の人の脳みそに同じアイディアが浮かぶ確率は低いからです。だから，思いついたアイディアを何かの形で残さなければ永遠に失われます。もちろん，思いついたアイディアのほとんどは間違っていたり的外れのものですが，それでも残さないより残したほうがましです。科学では100の仮説を出してそのうち一つでも当たれば大成功だからですし，現時点では間違っていても，その後に正しいことが証明されるかもしれないからです。

　私は，「細菌という生物にとって病原性・毒性とは何か」という細菌主体の視点から微生物感染を見直し，新たな概念をゼロから構築できないかと暗中模索しています。何もわかっていないから，次々に新しいアイディアが浮かび，浮かぶたびにホームページに書いています。
　人間（ほ乳類）に出会う前の黄色ブドウ球菌や肺炎球菌はどのように生活していた細菌なのか，その生活の中で黄色ブドウ球菌や肺炎球菌の毒性とは「本来，何のための能力」だったのか，その「毒性」はどんな過程で獲得されたのか・・・ということを知り，その上で，「なぜ感染症という現象が細菌と宿主の間で起こるのか」を一つの原理から一元的に説明したいのです。

　なぜ，colonization, critical colonization, infectionという3つの概念を提唱する医者がいるかといえば，彼の目には3つの別々の状態に見えているからです。しかしそれは，「人間の目」から見ているに過ぎません。細菌の側から見ると，恐らくそれは一つのもののはずです（・・・これが私の信念であり確信です）。
　これを数学に例えると，円柱は3次元で見ればひとつの物体ですが，2次元に投影した影で見ると長方形にも円にも見え，全く異なったものに見えます。細菌感染もそれと同じで，細菌の側からするとひとつの現象だが，たまたま人間の側から見ると3つの状態に見えているのに過ぎない，と解釈はできないだろうか，と私は考えたわけです。
　だから，まだ人間の目に見えていない「新たな視点」が導入できれば，現在バラバラの状況と思われているcolonization, critical colonization, infectionが，実は一つの状態だったとなる可能性があるはずです。このように考えたほうがよほどスッキリするし，colonizationとcritical colonizationで異なった状態を仮定して説明をする必要もなくなります。
　科学の原理や原則は，できるだけ少なく，しかもシンプルであるべきです。余分なもの，シンプルでないものは「オッカムの剃刀」で削ぎ落とされなければいけません。訳がわからないからといって，新しい原理を導入するのは間違っています。
　「これって細菌の目からするとどうなんだろう」とよく考えます。
　例えば，「厚さ1ミリの壊死組織」は細菌からすると「体長の1000倍の厚さを持つもの」です。人間に例えると，体長の1000倍というと1～2キロになります。1000メートルというと，ふもとと頂上では生えている植物は違うし，生物相も違います。となると，厚さ1ミリの壊死組織だって，表面と一番下では細菌叢は異なるんじゃないだろうか，なんて考えたりするわけです。
　あるいは，0.01mmの隙間は私たちにとっては「隙間のない状態」ですが，細菌にとっては体長の10倍もの隙間，人間では10メートルの隙間です。これからすると，「物理的に細菌の侵入を防ぐ」なんて夢物語にしか思えなくなります。人間にとっては「封鎖したつもり」でも，細菌にとっては「隙間だらけのスカスカ状態」だからです。

2010/08/04

　「外傷を湿潤治療している医師」に，愛知県一宮市の総合大雄会病院　外科／甲村稔先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
　「プラスモイストP取り扱い薬局一覧」に，兵庫県伊丹市のかるがも薬局　新伊丹店を追加しました。
　本日午前9：20ころから，フジテレビの「とくダネ！」に私が登場します。昨日も最終打ち合わせということで番組スタッフが病院に見えられ，湿潤治療の説明のCGについて検討を重ねたり，患者さんに連絡を取ったりと，ギリギリまで仕事をされていました。
　80分間で2万5千発の銃弾が飛び交うお馬鹿アクション映画，《シューテム・アップ "Shoot 'Em Up"》を紹介。馬鹿に徹して馬鹿を極めると，ここまで面白い映画になるという見本のような映画です。
【一階を車が通れる1200人乗りバス，中国で計画中】
　さすがは中国というか，日本人は絶対に思いつかない公共交通機関の提案です。とりあえず動画を見るとなんとなく納得しちゃうけど，純正ジャパニーズ・ピープルとしては，巨大バス停が必要になるんじゃないかとか，昇降口は何箇所あるんだろうかとか，そういうミミッチイことばかり気になります。
【高級ことわざ「焼けアメジストにエビアン」】
　昨日読んだいろいろな記事で一番笑ったのがこれ。「焼け石に水」，「のれんに腕押し」，「二階から目薬」，「立て板に水」というお馴染みのことわざを成金っぽく，セレブっぽく，エグゼクティブっぽいことわざにしてみたという，「意味のないことを一生懸命実験するDaily Portal」らしい検証記事です。
　そのうちウラン鉱脈でも掘り当てたら，「焼け石に水」を「焼けルテチウムに高純度純水」で検証してみようかと思っております。
【怒り】
　いったん怒り始めるとずっと怒っているりえぞうさんに「パレスチナ人」というあだ名を付けた鴨ちゃん，ナイスです。そして，りえぞうさんの「遺伝子に怒りが入っている」という表現もすごいです。

2010/08/03

　8月27日（金）に横浜新都市脳神経外科病院で講演することが決まりました。
　最近，「刺青を取る治療について教えてください」というメールが多いので，まとめて回答しました。
　『小惑星探査機はやぶさの大冒険』（山根一眞，マガジンハウス）は技術者魂炸裂の感動感涙本だ。これはすごいぞ。次々にトラブルに見舞われ，機能を失っていく「はやぶさ」はまさに満身創痍だった。故障を直そうにも「はやぶさ」は3億キロの彼方だ。地球からできることは限られている。それでも「はやぶさ」は健気に技術者たちの期待に答え，残された機能を駆使して地球に戻ろうとする。そして，涙，涙のカプセル切り離しのシーン！
　著者の山根氏は「はやぶさ」打ち上げ前から取材を始めて，「カプセル回収」を待って本書を書き上げたそうだ。ブームを当て込んで作られるそこらの「お手軽＠はやぶさ本」とは一線を画している。

小惑星探査機はやぶさの大冒険
価格：1,365円（税込，送料別）
【東京・杉並区に住む都内最高齢の113歳女性が所在不明　長女「40年ほど前から音信不通」】
　実在するか（＝生存しているか）どうかは確かめず（・・・確かめるのは面倒だから），「役所のデータだと113歳になるから113歳だよね」という書類優先の「お役所論理」がこういう笑い話を生みます。
　携帯電話をソニエリのXperiaにしましたが，通話機能しか使っていません。忙しすぎてどこをどう使うのかもよくわかっていません。ネット接続機能もGPS機能も使っていません。要するに，スマートフォンにした意味が全然ないような気がします。Xperiaをいじる時間が欲しいです。

2010/08/02

　「外傷を湿潤治療している医師」に，和歌山県古座川町の明神診療所／森田裕司 先生，新潟県柏崎市の内山整形外科／内山徹先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
　「熱傷を湿潤治療している医師」に，兵庫県丹波市の宮崎クリニック／宮崎直之先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
　「プラスモイストP取り扱い薬局一覧」に，新潟県柏崎市の駅前ドラッグを追加しました。
　雑誌「Newton」9月号が『地球ー宇宙に浮かぶ奇跡の惑星ー』という特集を組んでいますが，これがとても読み応えがあります。様々な条件を検討しながら，40億年にわたって生命のゆりかごであり続けることの奇跡を説明しています。
　例えば太陽との距離がほんのちょっと遠かったら，地球のサイズがもうちょっと小さかったら，太陽の重さがもうちょっと重かったら，太陽が連星系だったら，天王星がホットジュピターだったら，地球の自転軸の傾きが23.4°でなかったら，もしも月がもうちょっと小さかったら，もしも地球の核が固体鉄と液体鉄の二重構造でなかったら（＝地磁気が弱かったら）・・・これらのうちの一つでも当てはまったら，地球は「生命の星」ではありえなかったのです。つまり，天文学的な確率で私たちは地球で生活できているのです。
　さらに，バクテリア（原核生物）は宇宙のあちこちで誕生できるとしても，真核細胞が生まれたのは地球で1回きりの出来事でした。つまり，原核生物は宇宙に普遍的に存在しているとしても，真核生物も多細胞生物も恐らく地球に一回だけ起きた奇跡により生まれた偶然の産物なのです。
　つまり，上記の「地球という奇跡」と「地球に一度だけ起きた偶然」により，地球は「生命の星」になったのです。

Newton (ニュートン) 2010年 09月号 [雑誌]
価格：1,000円（税込，送料別）
【秋田駅前の商店街が壊滅寸前　振興組合解散，アーケード撤去】
　「秋田県生まれで高校卒業まで秋田で暮らしていたけど，その後は年に1度秋田に帰るくらい。でも，医者になってから6年間は秋田県内の病院に勤務」という微妙なスタンスの私ですが，秋田駅西側のメインストリート（広小路といいます）は私が高校生の頃から，右肩下がり的衰退を続けていたと記憶しています。何しろ，駅に近い一等地が何十年間も空き地だったというのがそれを物語っています。
　いろいろな理由はあると思いますが，私の経験では「自宅から離れたくない。秋田県の外に出たくない。親元でずっと暮らしたい」と考えている人しか秋田県に残らない，というのが根本原因のような気がします（・・・あくまでも，私が勤務していた病院の経験ですけどね）。だから行政も民間も，発想は内向きになり現状維持の考えしか出てきません。
【県内，内陸中心に大雨　秋田新幹線は終日運休】
　というわけで，秋田県ネタをもう一つ。秋田新幹線「こまち」が大雨で終日全面停止，というニュースです。これだけ見ると，大雨だから仕方ないよね，と思うかもしれませんが，秋田新幹線を知っている人ならそう思いません。
　秋田新幹線は盛岡から秋田までを結ぶJRの路線ですが，実は「単線を走る，時速130キロの電車」に過ぎません。単線だから，無人駅に停車して向こうから来る電車の通過待ちをしたりするを待ったりする「新幹線」です。しかも在来線の線路に無理やり新幹線車両を走らせているため，最高時速は130キロとその他の路線の特急より遅いです。そのくせ，値段は新幹線級で，おまけに全席指定とお高くとまっています。新幹線の実力がないのに，自分は新幹線の名前が付いているから新幹線なんだと勘違いしています。
　今回の運休はの根本原因は，盛岡から秋田を結ぶ「田沢湖線」を走らせたからです。なぜかというと，この路線はこの地域の一番低い谷あいを通る路線のため，雨が降るとすぐに冠水してしまう部分があるからです。
　実は，東北新幹線（東京ー仙台ー盛岡ー八戸）から秋田に伸ばすルートは二つありました。現在の「東京ー盛岡ー秋田」の「田沢湖線ルート（下図の赤線）」と，「東京ー北上ー秋田」の「北上線ルート（下図の黒線）」です。
　地図で見ると明らかに後者（＝黒線）のほうが短いし，なにより後者は高地を走るため，大雨でも止まる心配はほとんどありません（・・・事実，秋田新幹線が止まっていても北上線はほとんど止まらない）。秋田新幹線が現在のルートになったのは「途中に田沢湖と角館という観光スポットがあるから」という理由でしたが，いくら観光スポットを通っていても雨で止まってばかりでは本末転倒です。
【SSDより高価な“UHS-I”対応のSDXCカードがKingstonから】
　現在のSDカードの規格（SDHC）では32GBが容量の限界でしたが，その上を行く規格がSDXCで，理論上の上限は2TB（テラバイト）となります。今回発売されたのは64GBのSDXCカードです。まだまだお高いですが，量産されれば一気に値段が下がるはずです。
　ちなみに，通常のキーボードで「SDXC」とタイピングするのはちょっと難しいです・・・どうてもいいことだけど・・・。
　あまり意味のないグラフを作ってみました。ケガや火傷をしても安心できない県がまだまだたくさんありますね。