一応,サタン信仰系フレンチ・ホラー映画なんですが,かなり変な映画です。全体を見るとなんとなくストーリーは分かるというか「こういうストーリーのつもりなんだろうな」というのはわかりますが,それが見ている方にうまく伝わっているかどうか,かなり微妙なラインです。
ちなみに原題のSheitanは悪魔という意味みたいです。
ちなみにこのヘンテコな邦題は,配給元のキングレコードが《変態村》《変態男》と並んで三部作として売り出したためにつけられたもので,実は他の二作とは全く無関係だったりします。ま,どうでもいいことですけどね。
クリスマスイブの夜,クラブでいつものように騒いでいる3人組男性(白人,黒人,アジア系)は,「お持ち帰り」のつもりで白人美少女のイヴ,アラブ系美少女のヤスミンをナンパするんですが,なぜかイヴは「私の家で楽しまない?」なんて申し出て,郊外の村にある彼女の自宅に向かいます。この男子3人組,いかにも頭悪そうで,オツムの中にはエッチすることしか入っていません。どいつが死んでも人類の損失になりそうもありません。
翌朝,ようやくイヴの実家に到着。一晩中,運転していた模様です。どう考えても「ちょっと私の家によってかない?」という距離じゃないよな,と思うのですが,男子3人組はヤリたい一心なんでそこまで気が回りません。アホです。
帰ってきたイヴを使用人のジョゼフ(ヴァンサン・カッセル)が出迎えます。モジャモジャ頭,目をひん向いて歯をむき出しにニカニカ顔の陽気なオッサンです。いきなり意味なくハイテンションです。超巨乳の山羊を捕まえて「このオッパイからお乳を飲むかい」と若者たちに声をかけたりします。
イヴちゃん実家に到着しますが,そこらに人形が飾ってあって,作りかけの人形なんかもゴロゴロしてます。人形が重要なアイテムなんだなと教えてくれます。
なぜかジョゼフは皆に「温泉に行こう」と持ちかけます。温泉に到着します。土地の子供がフルチンで飛び込んでおります。そこで皆さんも水着みたいなのをきて天然岩風呂に入ります。そして,地元の淫乱系美人も登場します。彼女は服を着たままの白人青年にかなり色っぽくモーションを掛けてきます。フルタイム発情美女なんですが,実はジョゼフの姪御さんなんだそうです。発情ちゃん,白人青年が発情してくれないんで,彼が連れている犬を仰向けにして犬のチンコをシコシコします。映倫スレスレの衝撃映像でございます。
で,みんなで温泉に入りますが,そこで地元のバカ兄ちゃんたちもフルチンで飛び込んできます。そこでなぜか,騎馬戦になります。男が女性を肩車するんですが,ジョゼフはなぜか,白人君を乗せます。そこでなぜか,地元発情ちゃんと白人君の戦い(?)になりますが,なぜか発情ちゃんは白人君の毛髪を皮膚ごとむしりとります。皮膚ごとむしりとったのになぜか出血はしませんが,見なかったことにします。当然,白人君は逆上し,地元バカ兄ちゃんたちと喧嘩になりますが,ジョゼフは地元バカ兄ちゃんを叱りつけます。どうやら,白人君の目玉を気遣っているようです。なぜ白人くんの目玉かは後ほど明らかになります。
そしてなぜか,発情ちゃんがむしりとった頭皮はジョゼフが持ち帰り,作りかけの人形の頭に付けます。
温泉にも浸かったし,ということでイヴちゃん実家に戻ります。とりあえずお兄ちゃんたちは,イヴちゃんやヤスミンちゃんとヤルのが目的ですから,その日はお泊りすることになり,男子たちは薪を取りに行きますが,そこで藪からスティックに蛇が出て大騒ぎ。ジョゼフが登場し,「蛇を虐めるんでねぇ」と一喝します。
夕食になります。ジョゼフは山羊一頭をつぶして山羊料理をふるまいます。ヤスミンちゃん,そんなの信じられないと吐きそうです。ジョゼフ,ワインをパカパカ飲んでさらにテンションが上り,訳のわかんないクリスマスソングを歌い,訳のわかんない踊りを披露。さらに,もっと訳のわからない小話を一席。全然うけませんが気にするジョゼフじゃありません。ここでちょっぴり「悪魔」の話が出ますが,この時点では悪魔が重要アイテムだとは誰も気がついていないと思います。
さらに夜は更け,そろそろ「お楽しみ」タイムです。イヴちゃんの部屋に忍び込んだ白人とアジア系(ちなみに,黒人君はヤスミンちゃんとラブラブさ)は,イヴちゃんのお人形に卑猥なポーズを取らせますが,イヴちゃん,カンカンに怒ります。どうやら,お人形が重要なアイテムのようです。
でもその後,白人とアジア君の誘いに乗り,キスしたり,オッパイを見せたりします。アホ二人組,発情状態で思考能力停止しております。
一方,ヤスミンちゃんはお約束の入浴タイム。何か起こりそうだけで何も起こらず,恋人らしい黒人君がお風呂に入っている間にベッドに入り,待っていますが,突然そこで絶叫! 黒人君やその他が駆けつけると,ヤスミンちゃんのお布団の中にはイナゴ軍団がウジャウジャ。ヤスミンちゃん,半狂乱です。
イナゴといえば旧約聖書の「出エジプト記」の重要アイテムですが,それと関係あるんでしょうか?
黒人君たちはようやく「ジョゼフは絶対におかしい。この家から出ようぜ」と気が付きます。お前ら,遅いって!
逃げようとする彼らを人形が襲ってきます。人形を振り払うと,中からなぜか発情美少女が出てきて血だらけです。しかも部屋のいろんなところに,温泉で一緒だった地元馬鹿ガキちゃんたちが隠れていたりします。もう,訳が分かりません。
アジア系と白人が地元馬鹿ガキを追いかけます。地元ガキはバイク(みたいなの)に乗って逃げます。アジア系と白人もバイクで追いかけます。地元ガキちゃんたち,壁に激突します。血だらけです。それを見たアジア系と白人はイヴちゃんの家に戻ります。ついさっき,この家はヤバイって言ったことを忘れちゃったようです。なぜわざわざこの家に戻る?
というわけで,家に戻ります。階段の上から血まみれの発情ちゃんが降りてきます。イヴちゃんが助けます。ヤスミンちゃんは救急車を呼びます。ヤスミンちゃん,外に出て救急車を待ちますが,救急車は素通りします。
その頃,イヴちゃんの家ではジョゼフが狂乱ファイト中です。黒人君,やられそうです。アジア系君,助けに入りますが,逆にやられてボコボコに殴られます。
そこに,臨月のジョゼフさんの妻(どうやら,ヴァンサン・カッセルの一人二役らしいです)が登場。大きなお腹を抱えて歩いてきたと思ったら,立ったまま破水しちゃいまして,そのまま赤ちゃんを出産。ジョゼフ,赤ちゃんに駆け寄り,抱き上げます。
黒人君とアジア君,家から逃げ出して車に乗り込みます。ヤスミンちゃんを完全に忘れています。怒り狂ったジョゼフ,窓を破って追いかけ,車にしがみつきます。ジョゼフ,なおも攻撃してきます。黒人君たちはジョゼフを何とか振り落としますが,ジョゼフは走っている車の屋根に飛び乗り,ボンネットを破ろうとします。黒人君,絶妙の運転テクニックでボンネットのジョゼフを振り落とし,起きあがろうとしたジョゼフを車で跳ね飛ばします。
3人,車で逃げます。すると道ばたでヤスミンちゃんが立っています。黒人君,さっきまでラブラブだったヤスミンちゃんを助けようとせず,猛スピードで走り去ろうとします。白人君,なぜ彼女を助けないんだ,と抗議します。白人君,いい奴です。すると黒人君,助けたいなら車から降りろといい,白人君が車から降ります。白人君,本当にいい奴です。
でも,白人君はヤスミンちゃんを捜そうともせず,なぜかイヴちゃんの家に逆戻りします。なぜおまえは,わざわざこの家に戻る? やはりこいつ,バカでした。
ドアを開けたところでジョゼフが襲ってきます。飛んで火に入る夏の虫,歩いてジョゼフの網に引っかかる白人君です。ちなみにジョセフ君,車に跳ね飛ばされたのに何ともなかったようです。強いぞ,ジョセフ!
白人君,押さえ込まれます。「お前の目玉をよこせ」とジョゼフは白人君の目玉にワインのコークスクリューみたいな道具を突き立てようとします。
ここでいきなり,白人君の走馬燈モードに入ります。あそこであんなことをしなければよかったんだな,とか,あそこでああやっておけばよかったのか,とか,反省モードです。
でも,時すでに遅しで,目玉は取られちゃってジョゼフはその目玉をさっきのお人形に縫いつけ(?)ます。その小さな人形の目玉に人間の目玉じゃ,なにが何でもデカ過ぎるだろう,と誰しも思いますが,ジョゼフ君はとっても気に入っていてさっき生まれたばかりの赤ちゃんをそのお人形であやします。そのそばにはイヴちゃんもいます。どうやら仲良し家族だったようで,めでたし,めでたしで映画は終わります。
というわけで,一応「悪魔崇拝系ホラー映画」としましたが,映画の中で「サタン」の言葉が出てくるのは一カ所のみなんでちょっと自信はありません。もしかしたら,画面のどこかに「サタンの象徴」みたいなのが登場してたかもしれませんが,そっちの方は全然無知なんでよくわかりません。
実質80分くらいの映画なんですが,最初の60分はマッタリとした展開で,余計な部分が多いです。ジョゼフ君が活躍するのは60分過ぎなんで,いったい何系統の映画なんだろうと心配になってきますね。
そうそう,この映画には「イタリアの宝石」モニカ・ベルッチがカメオ出演しているらしいのですが,どこに出ていたのか最後まで私にはわかりませんでした。
というわけで,ホラー映画が死ぬほど好きな人なら,死ぬ前に一度は見ておくべき必須科目的映画かと思われますが,それ以外の人は見なくていいと思います。
(2010/08/12)
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