保湿剤とか皮膚の水分などについてのテキトーな考察
「皮膚の保湿剤」と称されるもの(例:グリセリン)について考えていくと,自分は何も知らないことに改めて気付かされる。そこで,頭の中に渦巻く様々な疑問,アイディアを順不同で書き連ねることにした。
もしも正しい知識をお持ちの方がいらっしゃいましたら,是非,ご教示下さい。よろしくお願い申し上げます。
- 皮膚の上に「水分を保つ物質(あるいは水そのもの)」を置くと,皮膚の水分は増えるのか,という命題についていろいろ調べてみたが,明快な説明に出会ったことがない。
極端な話,一日中風呂に入っていると「皮膚の水分」は増えるんだろうか?
グリセリンを入れた風呂に一日中入っていたら,皮膚の水分量は増えるんだろうか?
- 2006年5月にアメリカのマジシャン,デビッド・ブレインが「水中生活連続1週間」に挑戦していたけど,この時は様々な皮膚のトラブル・症状に見舞われたようだ。写真を見た限りでは,「健常な手の皮膚」からは程遠い状態だった。
- 前述のマジシャンの例からすると,人間の皮膚(角質)は「皮膚に接触する水分」に対しては案外弱いのではないか。
- 人間の皮膚の角質は本来,「外に逃げようとする水分を逃げないようにする」のが本来の機能ではないのか。
3億6千万年前,動物は初めて陸地に上陸したが,そこで最大の脅威は乾燥,すなわち「体内から拡散で大気に水分が逃げること」だったはず。「体内⇒大気」への水蒸気の流れはあっても「大気⇒体内」への水蒸気の流れは物理的に起こらないから。
- 陸上生活では「皮膚が常に水に浸されている」状態は異常事態であり,普通は起こらない状況だ。だから,皮膚は「常に水に浸されている状態」を想定して設計されていないのではないか。
- となると、水中生活をする哺乳類の皮膚最外層はどういう構造でどういう機能を持っているのだろうか。水中と細胞内の浸透圧差からすると、常に「細胞内へ」水は移動しようとするはず。これを防がない限り,生存は不可能だろう。
- 水棲哺乳類(クジラ,イルカ,ジュゴン,オットセイなど)は陸上哺乳類が水中生活に適応・進化したもの。つまり,どこかの時点で「陸上生活のための角質(=水を外に逃がさない)」⇒「水中生活のための皮膚(=水が外から入ってこない)」の切り替えが起こったはずだ。この「180度の方向転換」はどのようにして実現したのか?
- 3億6千万年前,最初の両生類イクチオステガが陸地に上がったとされるが,この時には「水中生活のための皮膚(=水が外から入ってこない)」⇒「陸上生活のための角質(=水を外に逃がさない)」の切り替えが起こったはずだが,これもどうなっているのだろうか。
- というか,水中で暮らすアメーバなどの単細胞原生動物の細胞膜は,「水の侵入」をどのようにして防いでいるんだっけ?
・・・なんて思っていたら,ゾウリムシは細胞内に「収縮胞」があって細胞質内の水を集め,細胞外に排出しているんだそうだ。水中で暮らす単細胞真核生物も,「水問題」で苦労しているようである。
- 以前,キチンについてちょっと書いたが,キチンもセルロースも「N-アセチルグルコサミンでできた高分子」という点では共通している。つまり,N-アセチルグルコサミンの頑丈な鎧で身を守っている生物群には真菌,植物,無脊椎動物(節足動物,甲殻類,軟体動物)が含まれ,生物数という面からすると,「地上で暮らす真核生物」の大多数を占めている。「非キチン生物」はむしろ少数派だ。これは,乾燥状態という過酷な環境により適応しているのは「キチン」であって,哺乳類の皮膚(角質)ではないということではないか。
(2010/08/25)
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