《シューテム・アップ "Shoot 'Em Up"》★★★★(2007年,アメリカ)


 最高に楽しくて,最高にお馬鹿で,最高に格好いい「アクション + ガン・ファイト + コメディー」映画。筋書きはあってないようなものだし,超ご都合主義の展開の連続だし,物語としては破綻寸前だしとホメるところがないんだけど,80分間連続でこんなに楽しませてくれたんだから全て許しちゃいます。80分間途切れず弾丸がぶっ放される映像の連続を,口をポカンと開けて見ているだけで幸せになれるはずです。ちなみにこの映画の合言葉は「ニンジンは生で食え!」ですね。


 舞台はニューヨーク。ベンチに座って生ニンジンを食っている浮浪者じみた男スミス(クライヴ・オーウェン)の前を一人の妊婦が走って行き,銃を手に持った男が追っていくシーンから始まります。ただならぬものを感じたスミスは男を追い,男が妊婦を殺そうとしているところに出くわし,相手の銃を奪って応戦。ビルの屋上に逃げ込んだところで妊婦が産気づき,何とか赤ん坊を産み落としたものの銃撃戦に巻き込まれて妊婦は死亡。行きがかり上,赤ん坊を拾い上げたスミスは追っ手をかわし,何とか馴染みの娼婦ドンナ(モニカ・ベルッチ)に赤ん坊を預けようとします。

 しかし,妊婦暗殺を命令したギャングのボスのハーツ(ポール・ジアマッティ)は,元FBIのプロファイラーという能力を活かしてドンナの勤める店を探し当てて店を襲い,「謎の助っ人スミス」の正体を調べて彼の隠れ家を急襲します。辛くもスミスは攻撃をかわしますが,ハーツの攻撃はどんどんエスカレート。なぜハーツはその赤ん坊を付け狙うのか,その背後にある組織は何なのか,「子連れ狼 スミス&ドンナ」は赤ん坊を守りつつ謎に迫っていくのでありました・・・ってな痛快お馬鹿映画です。


 とにかく,撃ちも撃ったり25,000発! およそ80分で25,000発ですから1分あたり312.5発,ってことは1秒間で5.2発! 0.2秒に1発は弾丸が発射されます。実際、「銃撃なしシーン」はほとんどありません。

 しかも,銃撃シーンは1シーンごとに趣向が凝らしてあって飽きさせません。オイルの樽を撃ちぬいて床にオイルをぶちまけ,そこを背中で滑りながら左右の敵を倒したり,ロープを伝わりながら回転撃ちしたり,陸橋から飛び降りながら車の天井を撃ちぬいて車に乗り込んだり,まぁ,やりたい放題です。生まれた赤ん坊のへその緒を切るのにも銃を使いますし(ナイフがなければ銃をお使い,ってか?),公園の回転ブランコに赤ん坊を置き去りにしようとしてギャングが赤ん坊を狙っているのを見て,銃弾でブランコを回したりします。とことん,銃にこだわります。銃にできないことがないです。次作(がもしも作られるなら)ではスミスに,銃でキャベツの千切りやタマネギのみじん切りに挑戦してほしいです。


 生ニンジンは食べ物としても武器としても大活躍です。相手の口にニンジンを入れたと思ったらパンチで延髄を貫いちゃいますし,目玉から脳みそをニンジンで突き刺します。どんだけ固いんだ,このニンジン! それどころか,拳銃の引き金を引いたり,部屋の明かりを消したりするのにも使われます。すごいぞ,生ニンジン!

 また,細部もいろいろ凝っています。トイレに立て篭ろうとしたスミスが便器に拳銃を落としちゃうシーンなんて笑っちゃいますよ。すぐに水中から拾い上げるんだけど,引き金が引けない! するとスミス,慌てず騒がず拳銃を分解掃除してまた引き金を引いてみます。だけど,まだ銃弾は発射できません。敵が襲ってきます。絶体絶命です。するとスミス,トイレのハンドドライヤーの風に拳銃をあてて乾かし,拳銃を発射できるようにしちゃいます。やるなぁ,スミス!


 娼婦ドンナ役のモニカ・ベルッチ,相変わらず美しいです。おまけに豊満な胸の谷間どころか,濃厚なエッチシーンで豊かなオッパイを惜しげなく見せてくれます。スミスとドンナのエッチの最中にも敵が襲ってきますが,スミスはエッチを中断することなくゴロゴロ転がりながら,銃を撃ちまくります。まぁ,何と言うか,アハハなシーンでございますが,少なくとも今まで見たことがないガン・ファイトでございますよ。

 それにしても,赤ちゃんの父親である上院議員は次期大統領の最有力候補らしいですが,こんなことまでしないと命が危ない重病らしいです。よく考えると,病弱というだけで大統領レースから最初にふるい落とされちゃいますよね。ま,どうでもいいことですけど。


 その他にもいろいろ細かいところに仕掛けがあったり,ギャグがあったり,気の利いた会話があったりと80分間,大笑いしながら見られると思います。ところどころ,グロいシーンはありますが(最後の拷問シーンとか,飛行機の墜落でバラバラになった死体とか),そういうのにすごく弱い人以外には,一応オススメとしておきましょう。

(2010/08/04)

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