掲示板での討議に参加希望の方は,
氏名,所属病院,診療科(医師の場合),所属病棟(看護師の場合),連絡先を明記してご連絡ください。
とびひ 2011/07/28(Thu)/activin@高松
>保育園では基本的に薬を内服するような児童は預かれないところが多いので日中の内服はできなくなり、
> またプロペトの塗布もお断りのところが少なくありません。そうするとどうしても治りが良くない印象があります。
>保育園の性質上仕方がないのかもしれませんがもう少し融通を利かせてくれたらと思う事しきりです。
ということですが、保育園と他の子供の親の立場としてみれば、とびひの子供の皮膚に触った手で(よく洗ったとしても)他の子に触ってとびひがうつった場合に責任問題が発生するということでしょうね。
モンスターペアレント、怖いです。
病院の領収書持ってきそうです。
ディスポの手袋で塗ってもらう・・・どうでしょう?
三角布や包帯法が生かされる場面 2011/07/14(Thu) /カネコ@北海道
三角布は確かに病院では腕の骨折以外じゃまず使いませんね〜。
ただ、救急車の場合は社内積載出来る荷物に限りがありますので、傷の被覆後の固定に使われてくるケースが多いです。包帯をたくさん積むよりスペースファクターの点で有利だからです。
包帯法は伸縮性包帯があるのであまり意識されなくなりましたが、例えばASO等での創被覆では伸縮包帯を使うとあとから締まってきて強い痛みを訴えることがありますので伸びない昔ながらの綿包帯を使うことがよくあります。
7月24日 日本小児外科学会市民公開講座 2011/06/30(Thu)/カネコ@北海道
日本小児外科学会の市民公開講座で傷の治療、異物誤嚥・誤飲、血便などを中心とした講座が開かれます。
http://www.asas.or.jp/jsps48/program.html#13
鎌鼬 2011/06/24(Fri)/とよだ
鎌鼬(カマイタチ)をご存知でしょうか?
ブラックジャックにも出てきたのですが、突風などで真空が生じ、皮膚が切れてしまう現象です…と思っていました。
昨年、両前腕に細長い切創痕が多数ある患者さんに出会いました。これ、どうしたんですか?と聞くと、
「カマイタチです」
とても驚きました。カマイタチという話はブラックジャックで知っていたのですが、実際のカマイタチに会った人を見たのは初めてであったからです。
「最近はあまり会いませんが、特に痛みもなく急に皮膚が切れて血が出ました」
「カマイタチに会うとき、なんか前触れみたいな違和感があります」
「最近は会わなくなりましたが、10年位前はよく会いました」
乳癌手術後1年以上のおつきあいになりますが、非常に理知的な方で、自傷行為を隠すために嘘をいっているようには見えません(多分)。
Wikiで調べると…、
「皮膚表面が気化熱によって急激に冷やされるために組織が変性して裂けてしまうといったような生理学的現象(あかぎれ)であると考えられている」
なるほどそれならカマイタチによく会う人っていそうです。
しかし、今までこのような症例を経験したことがなく、教科書で読んだ覚えもありません。カマイタチについて触れた医学文献も知りません。
不良肉芽について 2011/06/22(Wed)/くろ@救急科
よく「不良肉芽」という言葉を耳にします。
「白〜黄色で、表面にバイオフィルムが張っている、血流が悪そうな肉芽」というイメージをボクは持っていますが、どうなんでしょうか?明確な定義はないような気がします。
広範囲熱傷に対するOpWTはかなり当科でも浸透してきましたが、「これは不良肉芽だから」という理由で従来のテラジア+カデックス散(テラカデ)に変えられてしまうこともしばしばあり、悲しい思いをしています。
OpWTの治療原理がまだまだ理解されてはいないなあという実感です。
というわけで、いわゆる不良肉芽に対しては鋭匙でガリガリ削り、テラカデを当てるという、目も覆わんばかりの痛い治療が行われています。
夏井先生はじめこのフォーラムの先生方で不良肉芽の定義や治療法についてお意見を頂けると幸いです。よろしくお願いします。
ムカデ,ハチ,オコゼ etc.... 2011/06/18(Sat) /夏井@管理人
先日,「ムカデ咬傷の激痛は熱いお湯で温めると治る」と書いて以来,「蜂でも有効かも」,「淡路島ではオコゼに刺されたら熱いお湯に入れるのが常識」というメールをいただきました。
色々調べてみたら,次のサイトにさまざまな有毒動物に噛まれたり刺されたりした際の処置がまとめられていることを見つけました。非常に有用な情報が多いので,リンクしておきます。
●http://www.neo-tech-lab.co.uk/Interest.htm
> どうやら毒魚のタンパク毒は温熱で不活化されるようです。
> ためしに当科でもオコゼ、アカエイ刺傷などに試みてみましたが、
> 45℃くらいのお湯に、刺されて痛い患部を浸すと、15分くらいで大抵
> 痛みが消失します。
第37回熱傷学会 2011/06/06(Mon)
今年も行ってきました。熱傷学会。会場は東京ドームホテル。AKB48の総選挙の公示と重なっていたらしく、会場近くのショップにはたくさんの選挙ポスターが貼ってありました。
今年は興味をそそられる発表がなく、2日目にちょこっと顔出しただけです。
自分の発表ですが、広範囲熱傷患者において、テラジアパスタ+カデックスを使用した場合、感染率が下がらない(感染予防にならない)どころか、死亡率が上がるという発表をしてきました。「カデックスがダメだったらイソジンゲルはどうなんですか?」というバカな質問をしてきた人がいましたが、理不尽な怒られ方をすることなく発表は終わりました。
「熱傷治療 裏マニュアル」の学会会場内販売禁止のお話がありましたが、学会の小委員会のなかに「ラップ療法対策委員会」という委員会があるようです。学会側もかなりの危機感を感じているようですね。
【タイトル】吸水性局所抗菌剤の使用制限による広範囲熱傷の治療成績変化
【はじめに】従来,われわれは植皮術後の創に対して,カデックス®やテラジアパスタ®といった吸水性局所抗菌剤を,感染の有無にかかわらずルーチンに使用してきた.しかし,高浸透圧物質の体内吸収による高張性脱水への懸念から,2009年よりこれらの抗菌剤の使用を制限してきている.それに代わり,浸出液の適度なドレナージと湿潤環境維持を目的に開放性ウェットドレッシングを導入し,症例を蓄積してきた.
【目的】吸水性局所抗菌剤使用制限と開放性ウェットドレッシング導入による治療成績の変化について検討する.
【対象と方法】当科に入院したBurn index15以上の熱傷患者のうち,2007-8年を前期(n=61),2009-10年を後期(n=46)として死亡率を比較した.さらに,多重ロジスティック回帰分析を用いて死亡リスク因子について検討した.
【結果】年齢(前期58±15,後期 54±21),性差,TBSA(前期46±17%,後期 50±17%),気道熱傷合併率は両群で有意差はなかった.各患者あたりのカデックスの総使用量は前期1800g,後期75g(中央値を表示)であった(p<0.001).総死亡率は前期57%,後期35%であった(p=0.03).菌血症合併率は両群で有意差を認めなかった(前期36%,後期39%)が,菌血症合併例の死亡率は前期77%,後期33%と差が際立っていた(p=0.005).カデックスの総使用量は菌血症合併例の有意な死亡リスク因子となった(RR1.001,95%C.I.:1.000-1.002,p=0.05).
【結語】菌血症を合併した熱傷患者に対して,吸水性局所抗菌剤を大量使用すると,患者の予後を悪化させる可能性が示唆された.
外来小児科学会抄録 2011/06/02(Thu)/おかだ
第21回外来小児科学会に演題出しました。WSも開催しますがお陰さまで満席となりました。
懇親会会費の倍以上の料理をご用意しています。特別企画は上方落語です。神戸にお越しになりませんか。
湿潤療法とは、創傷(特に擦過傷)や熱傷に対し、消毒薬を使用せず、流水で洗浄し、 各種創傷被覆材で覆い創面を乾燥させず、上皮化をはかる治療法1)である。「ウエット療法」として外来小児科学会のリーフレットにもなっており、外傷の治療法として一般化しつつある。
当院では7年ほど前より湿潤療法を行い、いまでは植皮が必要と診断されたV度熱傷も湿潤療法で良好な治療結果を得ており、この春の近畿小児科学会2)で報告した。
今回、乳児湿疹や難治性湿疹に対し、プラスモイスト®やモイスキンパッド®などの多孔膜複合創傷被覆材を使用した湿潤療法を施行することにより良好な結果を得たので報告する。
また、乳児湿疹に対し、ガーゼ、スポンジ、ボディソープの使用をやめ、ワセリン頻回塗布を指導すると軽快する例が多い。このワセリン大量頻回塗布も広い意味での湿潤療法と考えられる。
すなわち、原因が何であれ上皮が障害された状態に対し、消毒薬、高吸収性基剤、クリーム基剤、などの細胞障害性のあるものを使用せず、ハイドロコロイド、多孔膜複合創傷被覆材、ワセリン頻回塗布などで障害された皮膚から出るサイトカインを適切に保持し、上皮化を促すことこそが湿潤療法であると考えられた。
1) http://www.wound-treatment.jp/
2) http://www.congre.co.jp/kinki24-kobe/program.html
爪甲剥離症 2011/05/28(Sat)/夏井@管理人
今回は皆様に相談です。ある方から次のようなメールをいただきました。
> 「爪がジワジワはがれる!」事態になっていま す。庭仕事で
以前から時々,爪甲剥離症の患者さんが受診されますが,爪床から爪甲が剥離し,爪床が瘢痕化しているように見えます。そこで私は「爪床が瘢痕化し,爪甲への血流が途絶え,その結果として爪甲が剥離する」というメカニズムかなと思っています。正しい解釈かどうかは不明ですが・・・。
>土を混ぜたので、なにか感染したかな?と皮膚科へ行く とですね、
>『爪甲剥離症ですねー、乾燥に注意してくださーい、ワセ リンでいい
>ですよー』とのことでした。
> 当方、深爪しないしマニキュアもめったにしないし合成洗剤もハンド
> クリームも化粧水も使わっていません。
いずれにしても,この爪甲剥離症に対して良い治療法を思いつかなくて困っています。よろしくお願い致します。
5/9の糖尿病性足趾骨髄炎の治療例について 2011/05/19(Thu)/activin@高松
科が違うので素人みたいな質問ですみませんが、教えて下さい。
鉛筆の芯
2011/05/17(Tue)/おかだ3歳女児 数カ月前に鉛筆の芯が刺さって黒い点が頬に残っています。私が湿潤療法をしているのを知っていて何とかならないかと相談を受けました。どう仕様も無いと思うのですが、何かいい手がありましたらご教授いただければ嬉しいです。
熱傷創のヘルペス感染 くろき
最近,広範囲熱傷患者のヘルペス感染が相次いでいます。
一例の経験をきっかけに,今まで見過ごされてきたものがヘルペス感染と診断されるようになったのだと思います。実際,ベテランの皮膚科医も毛嚢炎と誤診したくらいです。診断は創部の擦過細胞診です。Giemsa染色で巨細胞を見つければほぼ確実です。アシクロビルの点滴で速やかに治ります。
表在性II度熱傷(SDB)や採皮創に生じることが多いです。これらの創は正常皮膚よりも細胞分裂が速く,そういう細胞にウィルスが好んで感染するためです。
私の同僚が今度の熱傷学会総会で4例のまとめを報告します。
肥厚性瘢痕、ケロイドについて 2011/02/02(Wed) /Y2
低温熱傷などの比較的深い創傷を治療していると、上皮化はしたけれども、皮膚が赤く肥厚してしまうケースがあります。
軽度なものはステロイド軟膏で改善するのですが、肥厚の程度が強く、ステロイド軟膏で改善しないケースもあり、その場合は形成外科医にお願いしています。
肥厚性瘢痕、ケロイドになるのを防ぐ方法はあるのでしょうか?
また、どのような場合に肥厚しやすいのか、予想がつくものなのでしょうか?
熱傷患者の体重増加と予後 2011/01/24(Mon)/くろ
熱傷患者に輸液は必要ですが、過ぎたるは及ばざるが如しだということが証明できそうです。29日の熱傷学会地方会で発表してきます。抄録(一部改変)のコピーを掲載しますので、発表に際し良きアドバイスをいただけると幸いです。
演題名:広範囲熱傷患者における受傷初日の体重増加率と死亡率との関係
【背景】熱傷ショック期は大量輸液が必要となり,浮腫による体重増加をきたす.
【目的】熱傷患者の体重増加と予後との関係について検討する.
【対象と方法】2008年1月から2010年9月にかけて当科に入院した広範囲熱傷患者(TBSA≧30%)55例の体重について検討した.
【結果】ROC解析の結果,初日の体重増加率は死亡の有無を判別する指標となった(AUC=0.83).体重増加率15%以上では死亡率85%(18/21)であったのに対し,15%未満では死亡率17%(6/34)であった.多重ロジスティック回帰分析の結果,輸液以外に体重増加と関係する因子として,初療時の気管挿管(OR=16.0,95%信頼区間:1.51〜170)と年齢(OR=1.06,95%信頼区間:1.02〜1.11)が有意であった.Burn indexは体重増加との関係因子として有意ではなかった.
【結語】体重増加が著しい症例ほど死亡リスクが上昇した.熱傷面積や深達度よりも,初療時の挿管や高齢が体重増加と関係した.
挿管するとなんで体重が増えるのかということを考察すると,挿管に付随した鎮静薬使用や陽圧呼吸が血圧低下をまねき,輸液負荷が必要となるせいだと思われます。
少なくとも,「とりあえずの挿管」や「とりあえずの輸液」は慎むべきです。
熱傷学会総会抄録 2011/01/24(Mon)/くろ
6月の熱傷学会演題登録締め切りが明後日に迫りました。やはり、「テラカデ」(テラジアパスタ+カデックス散合剤)は殺人剤であるということが示せそうです。抄録のコピーを掲載しますので、明後日までに良きアドバイスをいただけると幸いです。
演題名:広範囲熱傷に対する開放性ウェットドレッシング療法導入による治療成績の変化
【背景】従来当科では,広範囲熱傷創に対し,テラジアパスタとカデックス散を中心とした局所抗菌療法(topical chemotherapy; 以下TC)を行なっていた.しかし,特に広範囲に使用した場合,浸透圧物質による脱水やヨードによる腎障害などの全身性副作用が懸念された.そこで我々は,2009年より開放性ウェットドレッシング(open wet dressing; 以下OW)を導入し,結果として局所抗菌剤の使用量は10分の1以下に激減した.
【目的】OW導入による治療成績の変化について検討する.
【対象と方法】当科に入院したBI(burn index)≧15の熱傷患者のうち,2007-8年の群をTC群,2009-10年の群をOW群として比較した.OWとしてはサラフィットとサンドガーゼ(オオサキメディカル社製)を使用した.
【結果】TC群は62例,OW群は51例であった.年齢,性別,受傷原因,気道熱傷頻度,総熱傷面積(TC:50±22% vs OW:45±19%),及びPBI(TC:93±35 vs OW:85±33)はすべて有意差を認めなかった.植皮術施行率も有意差はなかった(TC:71% vs OW:70%).死亡率はOW群で有意に低かった(TC:58% vs OW:16%, p=0.005).生存症例での比較では,創閉鎖に要した植皮術回数(TC:3.0±2.0 vs OW:2.8±2.2),在院日数(TC:87±49日 vs OW:79±54日)ともに有意差を認めなかった.
【結語】OW導入に伴い死亡率が低下した.生存例での創閉鎖短縮効果はなかった.局所的効果は同等だが,TCが患者の予後に与える影響は無視できない.
しもやけの治療 2011/01/24(Mon)/activin@高松
季節柄、足の指のしもやけを訴える患者さんが増えてきましたが、どのような治療がお勧めでしょうか?
白色ワセリンの保険病名は? 2011/01/05(Wed)/activin@高松
以前から漠然とした疑問だったのですが、白色ワセリンもしくはプロペトを単品で処方した場合の保険病名は何と付ければよいのでしょうか?
添付文書には、
用途;
・・・とは書かれているのですが、病名がないのでいつも困ります。
眼科用軟膏基剤、一般軟膏基剤として調剤に用いる。また、皮膚保護剤として用いる。
適当な病名をご存じの先生、お教え下さい。
県庁所在地に医学部がない都道府県 2010/12/28(Tue) /カネコ@北海道
まとめて見た方が早そうです。
http://www.medo.jp/u_med.htm
↑を参考に調べてみましたが
青森県、栃木県、茨城県、埼玉県(未出:埼玉医大は入間郡毛呂山町、防衛医大は所沢市)、山梨県、長野県、福井県(未出:福井大医学部は吉田郡永平寺町。元々は単科医大だったので医学部キャンパスだけ別です)、静岡県、奈良県、鳥取県、島根県、山口県、高知県(未出:高知大医学部は南国市。元々単科医大)、愛媛県(愛媛大医学部は東温市)、大分県(未出:大分大医学部は由布市)、沖縄県
の16県のようです。意外とあるものですね。
一概には言えませんが 2010/12/23(Thu)/小児科医@にわか熱傷センター
乳児治療で大やけど、指3本失う(産経ニュース)
低体温の原因を作った自宅出産とその後の処置、搬送が一番の問題であったと思います。
しかし
ゲーベン塗られていたのなら、痛ましいです。
皮膚移植の方が傷跡が残りにくい?? 2010/12/17(Fri) /Y2
Yahooのニュースにありました。低温熱傷にたいして,注意を喚起することは大切ですが...
>某准教授(形成外科)によると、やけどの範囲が広いと皮膚移植することもある。塗り薬で治すより傷跡も残りにくい。
→湿潤療法との比較ではなく,旧来の軟膏+ガーゼとの比較でしょうか。
第5回東海創傷ケア研究会開催のお知らせ 2010/10/14(Thu) / Y2
きたる11月27日(土)に名古屋駅前の「ウインクあいち」にて第5回東海創傷ケア研究会が開催されます。
http://www.marobon.com/toukai_soushou/
日頃、創傷や褥創でお悩みの方、創傷や褥創について学びたい方など、奮ってご参加ください。
臨床賛否両論 創傷に消毒液は絶対に使わない 2010/08/10(Tue) /activin@高松
http://www.m3.com/sanpiRyouron/article/123792/
例の恫喝教授と賛否両論とはなかなかの趣向ですね。
徳島大学出身者として非常に恥ずかしいです。
もちろん消毒しないに投票しました。
エヴィデンスを語るならこれぐらいのことはやって欲しい 2010/08/09(Mon) /カネコ@北海道
先日ご紹介した「救児の人々」の著者である熊田さんが『未熟児動脈管開存症のガイドライン』の策定に関わった森臨太郎先生のインタビューをロハス・メディカルブログにアップされているのでご紹介します。
http://lohasmedical.jp/blog/2010/08/post_2356.php
以下一部引用
******************************
森
「最初の数週間は、ガイドラインがどれぐらいのどの分野でどれぐらいの範囲までを扱うかを示します。それを一般に公表し、広く皆さんの意見を問います。それが最初の3〜6カ月。終わったらこれを基にそれぞれ臨床上の疑問となる項目を20個ぐらい作り、それに対して『系統的レビュー』を行います」
熊田
「すみません、『系統的レビュー』とは何ですか?」
森
「『システマテックレビュー』というのですが、テーマに関連した質の高い研究をすべて整理してまとめるという作業です。英国では、1992年にイギリスの国民保健サービス(National Health Service:NHS)の一環としてコクラン共同計画が始まりました。世界中の臨床試験を集めて質を評価し、統計学的に統合して、その結果を医療従事者や医療政策の立案者、国民に届けて合理的な意思決定につなげていくものです。その作業をして一つ一つの項目にエビデンスが集まりまとまると、皆さんに集まってもらって、『こういうエビデンスがあったが、出産のこういう行為に関しては、どうしましょうか』と話し合ってもらいます。最終的には総意に基づき推奨を作ります。中には、これに関しては費用対効果分析をした方がよいのでは、という項目が出てきます。新しい技術も検討されますので、お金がかかるけど国としてやった方がいいのか、という客観的判断が必要ということです。こういった場合には費用対効果分析をします」
熊田
「どこまでお金をかけるかという費用対効果について、ガイドラインを考える時点で取り入れているんですね」
森
「NICEを有名にした項目の一つが技術評価の一要素である費用対効果分析です。エビデンスを集めて、次にシミュレーションします。例えばAとBのサービスの手法があるとして、Aだとこういう効果が出て、こういうマイナスが出る。Bではどうか、というのがエビデンスで集まります。そして全部含めて皆さんトータルで健康度はどれぐらい上がるのか、それに対してどれぐらいの投資が必要なのか、どれぐらいの投資をしたらどれぐらいの効果が上がるのかというシミュレーションをします」
*******************************
引用終わり
褥瘡学会のガイドラインを策定した面々に100万回読め、と言いたい内容だと思います。日本の医療に決定的に欠けている考え方がこういう問題で、こういう発想が無いからこそあのお馬鹿なVAC保険収載という話が生まれたのでしょう。
下腿熱傷の痛みについて 2010/08/06(Fri)/ Y2
8/6の更新履歴にある、下腿熱傷の痛み(http://www.wound-treatment.jp/next/t_situmon.htm)については、私も時々経験します。
当院での症例でも仕事などでやはり動き回ったり、長時間の座位などを強いられる患者さんに見られるようです。
ある患者さんでは、下腿から下のかなり広い範囲の熱傷で(なぜか(笑)内科医の私が診ています)、当初はプラスチベースで痛みが軽減するも、その後プラスチベースを塗ると却って痛くなり、過剰肉芽気味だったのもあり、クロマイPを塗ったら痛みが軽減、その後クロマイPでも痛くなり、何も塗らないのがよいとのことでした。
被覆材は穴あきポリ袋+紙おむつで一貫して変更していません。
この患者さんでは、ビタミンB12(メチコバール500μgを2錠頓服)が半日程度有効だそうです。
ビタミンB12を処方することになったいきさつは、当院の近くに頭痛の治療で有名な神経内科医がおられ、頭痛の患者さんを紹介したところ、後頭神経痛との診断でメチコバール500μgx2を処方されたことから、思い立ったわけです。
はっきり矛盾しています。 2010/07/12(Mon)/カネコ@北海道
あらかじめ、前提として言いますが、私自身は現在critical colonizationという概念の真偽についてはニュートラルな立場です。
ただ、この概念を使うと説明しやすいなという臨床的事象をいくつか目にはしています(ま、だからこそこういう概念が生まれたのでしょうが)
さて、そこで本日の夏井先生の理論ですが、、、
どう考えても論理構成上おかしい部分があります。
> @の段階で創面に定着した細菌に「創感染能力」がないことは
> 明らかだ。@の段階で「創感染能力」を持っていたら,その段階で
> 創感染を起こしているからである。「細菌は数が少ない時には創
> 感染能力を持っていても発揮できないが,数が増えるとその能力を
> 発揮する」という現象は,細菌学的にありえないことである。
この事象をタンパク分解酵素の遺伝子を持っているか否かで論じられていますが、だとすれば「タンパク分解酵素を持つ黄色ブドウ球菌がcolonizationの状態となることはあり得ない」と言う結論が導かれます。ご存じの通り、黄色ブドウ球菌が創面で colonizationすることは周知の事実です。
なぜ、黄色ブドウ球菌はcolonizationもし、かつ創感染も起こすのか、先生の理論では説明出来ません。
他にもいくつか穴があるように思えます。考えがまとまりましたらまた書き込みます。
救児の人々 2010/06/08(Tue)/カネコ@北海道
知人が本を出しましたので宣伝しておきます。
『救児の人々 ~ 医療にどこまで求めますか』
プロローグを読むだけでもこの著者が何を訴えたいのかよく分かると思います。現在の「救命することだけ」の医療に一石を投じた名著です。
6月19日まではpdfで読むことも可能ですのでぜひ皆さんご一読下さい。
熱傷学会総会報告 2010/06/06(Sun)/くろ@名古屋
6/4-5に横浜で開催された熱傷学会総会に出席してきました。今回で3回目の出席ですがあまり変わり映えがしない印象でした。目についた発表をいくつか報告します。
昔から行われているそうです。V度熱傷創にヘパリンを散布することで,治癒が早まるそうです。V度熱傷創のescharがチーズ様になって,浮いてきて,簡単にデブリードマンできるようになるみたいです。これは試してもいいかなと思いました。しかし,減張切開をやっている場合は出血注意ですね。座長(徳島大形成外科)はハーフサイドテストをやらなければ意味がないとのコメントでした。この座長は他の演者に対してもハーフサイドテストをやれとのたまってらっしゃいました。左右対称にやけどした患者を見つけるのはなかなか難しいんですけどね。
発表は聞いておらず,抄録を読んだだけですが,採皮創に対して,アクアセルAgを貼布し,さらに上からカデックス軟膏ガーゼを貼布し,上からラッピングする方法のようです。結果として臭いがなくなって良いそうです。臭いがなくなったというだけで,上皮化については言及されていませんでした。どう考えても,ボツな治療ですね。患者は痛がらなかったと書いてありましたが,絶対にウソだと思います。僕は採皮創に対して,術直後はアルギン酸貼布+オプサイト,翌日からはOpWTを行い,良好な上皮化が得られています。当たり前のようにやっておりますが,こんなボツな発表を見ていると,来年自分の方法を発表してやろうかと思います。
一般演題でも,ランチョンでも,相変わらずこのテーマについての発表は多いですね。FGFは皮下の線維芽細胞の増殖を促進するのに対し,筋線維芽細胞はアポトーシスに導くそうです。同じ線維芽細胞なのになんで正反対の反応をするのでしょうか?不思議です。結果として,上皮化を促進する一方,肥厚性瘢痕を減らすそうです。小児の熱湯熱傷は上皮化に時間がかかるほど肥厚性瘢痕が増加するため,以前は受傷後3週間を目途に手術していたのが,bFGFを使用することで手術せずに保存的に治療する症例が増えたという発表もありました。僕自身はbFGFに対してはまだまだ懐疑的です。何より,コストがかかりすぎるのが問題だと思います。
どうなんでしょうね,これ。自分自身も一例やってみましたが,生着しませんでした。1枚30万円かかるそうです。患者さんには申し訳ない思いでいっぱいでした。
僕もシンポジストとして発表させていただきました。「生産性がなく,社会的利益をもたらさない高齢者に対してどこまで治療するかが問題」と座長がせいせいとおっしゃられていたのには驚きました。
蛇足ですが,やっぱり形成外科のJOYさんは美人率が高いですね。
帯状疱疹 2010/05/31(Mon) /サカvet
帯状疱疹になってしまいました。
せっかくなので人体実験しています。
今は皮疹があり、水疱が破れたりしていないのですが、痒みがずっとあるのでとりあえずワセリンを塗ってみました。
ワセリン塗布で痒みはだいぶ治まります。
皮膚科で塗り薬を出されましたが、痒みに関してはワセリンで十分です。
幸い神経痛はあまりないので、バルトレックス内服とワセリンでいけそうです。
水疱が破れたらプラスモイストかハイドロサイトにしてみようと思います。
白色ワセリンによる汗腺閉塞w 2010/05/19(Wed) /カネコ@北海道
mixiで拾ったネタです。
mixiをご覧になれる方はどうぞ(mixiは会員制SNSですが招待制ではなくなりましたので登録すれば誰でも入れます)
中の一文から
皮膚排泄認定看護師さんが「そういった症例(ワセリンを長期に使用すると汗腺がつぶれる)があるので長期使用を避けるようにWOCの大御所が最近言い始めている…」と、薬局へ来てつぶやいていました。
ちなみにセキューラPOを勧めているそうですが、これはワセリン基材ですがコンディショニング剤が入っているのでまた違うそうな。
いかにもWOC的な話です。
ワセリンでは汗腺閉塞が起きてそのコンディショニング剤を配合するとなぜ汗腺閉塞が起きないのか、
ワセリンで本当に汗腺閉塞が起きるのか、そういうエビデンスはどこにあるのか、
汗腺閉塞した場合にどういう症状を生じるのか
是非その大御所WOCのご高説を伺いたいものです。
ちなみにセキューラPO(Smith & Nephew)の成分は下記
ワセリン、ベンジルアルコール、チョウジ油、オルトフェニルフェノール、酢酸トコフェロール、コーン油、パルミチン酸レチノール、コレカルシフェロール、緑色202号
チョウジ油や酢酸トコフェロール(ビタミンE )、コーン油はまあいいとして、ベンジルアルコールや緑色202号を皮膚に長期連用して問題がないというエヴィデンスがあるのか、私はそっちの方がよほど気になります。