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2009/04/30
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,山口県周南市の周南市立新南陽市民病院 脳神経外科/藤井康弘,外科/木道成,橋本毅一郎先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
- 一昨日(4月28日)は日本医科大学の救急医学教室/高度救命救急センターで講演でした。講演後の質疑応答が30分間休みなく続き,その後の懇親会でも質問攻め,という状態でした。とても楽しいひと時を過ごさせていただきました。多数の先生方に集まっていただき,ありがとうございました。
- WHO、警戒水準「5」に引き上げ 新型インフル
<新型インフル>米で幼児死亡 メキシコ以外で初の死者
警戒レベルが「5」に上げられ,しかもアメリカで初の死者・・・ですが,その死者はメキシコで感染してアメリカで発病して死亡したもので,アメリカ国内で感染したわけではないようです。また,新型インフルエンザの震源地のメキシコでは,「新型インフル「感染拡大に沈静化の兆し」 メキシコ市長」という状況も報告されているようです。
一方,「新型インフルエンザ:「ウイルスは弱毒」」という分析結果も出ています。ここから考えられるストーリーは次の二つでしょう。
- 感染を繰り返していくうちに強毒型に変異し,感染力は強いままで全世界的パンデミックへ
- 弱毒型のままで広がり,「死亡率の低いインフルエンザ」として定着するか,自然消滅する。死者は出るが,通常のインフルエンザと同程度。
後者であってほしいものです。
ちなみに,テレビのニュース番組を見ていたら,メキシコにマスクの売り込みに行った人の話が出ていました。それによると,メキシコにはマスクという商品はなく,風邪をひいてもマスクをする習慣はなく,マスクをすると息が苦しいからつけたくない,という人が多かったそうです。こういう国では飛沫感染の伝染病が増えやすいわけですね。
- 暇つぶしにちょっといいかな,と手に取ったのが『ユダヤ人とダイヤモンド』(守 誠,幻冬舎真書)。これが結構面白かったです。宝石の中では三流の存在でしかなかったダイアモンドがなぜ「宝石の王」に上り詰めたのかという物語の数奇さもさることながら,ユダヤ人の歴史という縦糸と,ダイアモンドという横糸が織り成す物語の面白さにすっかり引き込まれてしまいました。
そして同時に,「ロスチャイルド家って知っているよね。なぜこの一族は謎に包まれているのか知ってる?」というようなネタが満載なので,読んで損はないと思います。
それにしても,「ダイアモンドの価値とは,消費者がダイアモンドには価値があるということを信じて疑わないことで維持されてる」という指摘は面白かったです。これってまさしくパラダイムの構造そのものだからです。つまり,「天動説は皆が正しいと信じていたから正しかった」のと同じです。だからこそ,天動説を疑う人が出現するまで信じられていました。だから,ダイアモンド業界は「ダイアモンドには価値がある」と繰り返し繰り返し宣伝し,消費者を洗脳しているわけです。
そういう,いろいろなことも教えてくれる本です。
- 日本酒をゆっくりと味わえるバーが少ないのはなぜ? 日本酒専門バー「酒BAR よらむ」オーナー ヨラム・オフェルさん(1)
今度京都に行く機会があったら行ってみたいお店です。
- 太陽誕生以前のちり、地球上空で発見
こういうスケールの大きな話,大好きです。
2009/04/28
- 「皆様のお知恵拝借」にある外科の先生からの「ストリッピング術後の難治性潰瘍症例」を追加しました。この症例の治療方針,検査などについてご意見がありましたらBBSに書き込んでください。よろしくお願いいたします。
なお,このような相談症例がありましたら,症例写真を添えてメールでお寄せ下さい。
- 知的障害者のフリをしてスペシャルオリンピックに出て賞金を稼いでやろうぜ,という不届き千万な連中が登場するのに,実は見事に爽やかな感動映画,それが《リンガー! 替え玉★選手権》だ。笑いも涙も感動も一杯に詰まった大傑作である。よくぞ,こんな「危ない」映画を作ったもんだ。
- 【豚インフル】WHO、警戒レベル「4」に引き上げ
【豚インフル】メキシコでの死者149人に
今一番必要なのは,何が起こっているのかについての正確な情報です。連日メキシコでの死者数が報道されていますが,これが「リアルタイムに増えている死者数」なのか,「昨日明らかになった,過去の死者数」なのかがよくわかりません。メキシコ国内では情報が混乱し,報道より多くの死者が出ている,という情報もあります。
また現時点では,死者が出ているのはメキシコ国内のみで他の国では出ていません。その理由もまだ不明です。このあたりの正確な情報がほしいです。
- メールニュース配信にBccを使う必要はない!
メールソフトを使い始めた人にとってわかりにくく使いにくい機能がBCCです。そしてあまり使わない機能ではないでしょうか。メールソフトの最初の設定ではBCCが使えないようになっていて,必要な場合のみ使えるようになる,なんていうのが一番いいような気がします。
2009/04/27
- 木浪 陽先生(岡山市民病院 整形外科)から「前脛骨筋腱完全露出症例の治療」という投稿をいただきました。これもある意味,衝撃的ではないでしょうか。保存的治療で足関節を安静にさせずに治療したのに,あの前脛骨筋腱の上に皮膚が再生し,しかも足関節は普通に動いているのです。
- まさか「豚インフルエンザ」とは、想定外の感染拡大
豚インフル 米が緊急事態を宣言
新型インフルエンザといえば鳥インフルエンザに決まっている,パンデミックになるなら鳥インフルエンザだ,と考えていたら想定外のことが起こりました。
メキシコでは死者が86人発生しているのにアメリカでは全て軽症例と,不思議な現象も見られるため,既にアメリカの感染者はもっと多いが気がつかずに治っていただけ,という指摘もあるようです。
いずれにしても,自然は人間の都合のいいように動いてくれないものだということだけは確実に言えます。
- ミツバチ求む、人工授粉限界 果樹王国・山形悲鳴
14養蜂業者でミツバチ大量死
先日から話題にしているセイヨウミツバチの大量失踪,もう既に深刻な問題になっています。この問題に解決法があるのか,代替策はあるのか・・・というと,セイヨウミツバチと他のハチとの性質の違いを考えると,ちょっと難しそうです。
- アライグマ、やっぱり洗っていた…エサを毒抜き
これってやばい食べ物みたい,と危険を察知すると,毒のもみ出し,こすり落とすというのはちょっとビックリ。どうりで新しい環境にすぐに適応して増えるわけです。
2009/04/24
- 『ガリレオの指 現代科学を動かす10大理論』の書評を追加しました。
- 医師の当直勤務は「時間外労働」,割増賃金支払い命じる判決
また一つ,パンドラの箱が開きました。これまでは「当直では待ち時間などが多いので,通常勤務ではない」という論理から病院ごとに「当直は一晩で2万円」というように決めていますが,現場では「昨日の当直,眠れた?」,「1時間くらい仮眠できたかな?」というような会話が普通になされていて,いわば一晩中労働していたのと同じです。しかもそれで,何かあったら訴訟を起こされるとなったら,好き好んで産婦人科を選ぶ医者はいなくなるのは当たり前です。
現在の医療システム(特に救急医療と周産期医療)は個々の医者の誠意と努力と「時間労働をしているがこれは時間外労働ではない」と言い聞かせながらただ働きする自己犠牲の精神に頼りきって維持されています。自己犠牲と努力の限界を超えればシステムが崩壊するのも当たり前です。
- 公立病院、3割が病床削減や削減検討 朝日新聞社調査
そして,もう一つのパンドラの箱も開きつつあります。
- ブルガリア検察,大地震「予言」できなかった占い師を捜査
ブルガリアの人たちには悪いけど,大笑いしちゃった。「占星術師Emil Leshtanski氏が最大マグニチュード(M)7.0の地震が起きると予言したため, 多くの人々がテントや車の中で一夜を過ごした」ということらしいのですが,占い師の言うことを真に受けた多数の民衆が・・・という時点で「アホじゃん。いつの時代だよ!」って唖然とします。
とはいっても,細木数子さんのインチキ占い本が累計7000万部(!)売れている国もあるんだから,同じ穴の狢(ムジナ),五十歩百歩かも・・・。
ちなみに占星術はもともと,火星や木星の不思議な動きで神が人間に何かを伝えようとしているはずだ,という考えから始まったものです。もちろん,天動説だと「不思議な動き」ですが,太陽系の構造がわかってしまうと「予想できる当然の動き」になります。というわけで,占星術とか土星人とか言う人がいたら,「こいつの頭の中は天動説」とわかります。
ま,それはさておき,ブルガリアで大地震がなくてよかったですね。
- 光文社新書ですが,掲載する症例写真を選ぶ作業に入りました。カラーだとかなり生々しくなるため全て白黒写真でいく予定ですが,白黒写真でも傷の様子がわかり,しかもこれまで出版した本の症例とできるだけかぶらないようにするのは,結構大変な作業です。
ま,そういうのも楽しいんだけどね。
- オリオン星雲内に育“星”場?
美しい! 思わず見とれてしまった写真がこれ。宇宙の写真って,なんでこんなに美しいんでしょうか。
- 出演番組を差し替え=草なぎ容疑者逮捕で-フジテレビなど
昨日一日,テレビをつけるとこのニュースばかりだったが,もしも草なぎ君が酔っ払っていて全裸で意識を失っているところを発見されたらどうなっていたか。もちろん救急車が呼ばれ,どこかの病院の救急室に運ばれ,急性アルコール中毒として治療を受けることになったはずだ。
そうなったらどう報道されただろうか。多分,「タレントの草なぎさん,急性アルコール中毒で入院」となり,報道の色合いはかなり変わっていたと思う。
それにしても,単なる酔っ払いで家宅捜索までするか? 動機を発見するためとか警察は言っているけど,酒瓶でも押収するつもりだったんだろうか?
2009/04/23
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,福岡市東区の医療法人貝塚病院 外科/渡邊昭博,庄司哲也,今村公一先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 「破傷風について教えてください」という質問をいただきました。
- 昨日はたて続けに水イボ(伝染性軟属腫)の患者さんが受診されました。あるお母さんは「以前よその皮膚科でピンセットで取ってもらい,すごく痛がらせてしまいました。友達からここだと痛くなく簡単に取れるよって聞いたので来てみました」とおっしゃられていました。
痛くない水イボの取り方ですが,タコやウオノメを取るときに使うスピール膏(薬局でも売っています)を使います。詳しい治療法はこちらをご参照下さい。
- ハッブルの19周年を祝う“?”
昨日見たさまざまな写真で最も美しかったのがこれ。
- NHKのニュースを見ていたら,「オーストラリアでデング熱が流行」とあった。温暖化のためにデング熱を媒介するネッタイシマカという蚊の生息域が広がり,それまでこの蚊が生息していなかったオーストラリアで蚊が生息できるようになりデング熱も発生,ということらしい。死に至ることは少ないが,症状は重く,治療としては対処療法のみとのこと。
このニュース,決して他人事ではありません。
2009/04/22
- 5月29日の沖縄の南部徳洲会病院での講演の問合せ先情報を追加しました。
- 落語家,立川志の輔の代表的新作落語「歓喜の歌」を映画化した《歓喜の歌》について。心温まる感動作,といううたい文句に偽りはありません。
- 赤ちゃんマンモスの腸内に母の糞を発見
マンモス(そして全ての哺乳類,すべての動物)が生きていくうえで必要不可欠なのが腸管常在菌です。腸管常在菌のない動物は,どんなに食物を食べても栄養として吸収できず,飢え死にするしかありません。しかも,腸管常在菌は宿主の腸管内でしか生きていけない生物であり,自然界で暮らす細菌ではありません。だから,生まれた子供は親の腸管内から常在菌を「おすそ分け」して貰うしかありません。マンモスもそうだったのです。
- 地球外生命体は存在する? 元NASA宇宙飛行士が熱弁
・・・かと思えば,こんなニュースも。アポロで月に降りたこともある飛行士の発言ですが,記事を読むとその根拠は「ロズウェル事件を知る人からの伝聞」だけのようです。なんだよ,論拠はそれだけかよ。
生物学,細菌学をちょっと学べば,細菌が太陽系外の惑星に発生することは可能ですが,それより複雑な生物になるためにはいくつもの偶然が重なることが必要です。そして,その過程を経なければ多細胞生物には進化できません。細菌は構造上,多細胞化できないからです。
さらに,「宇宙には莫大な数の銀河系があり,そのどこかで知的生命体が生まれても不思議でない」といっても,銀河と銀河の間の距離は絶望的に離れています。この間を移動し,その銀河系にある莫大な数の恒星を一つ一つ調べ,さらにその恒星系の惑星を調べて生命体の有無を調べ・・・となると,宇宙塵が地球にやってくる確率はゼロです。
- 「議員の世襲を制限したらどうか」に関する最近のニュース
以前にも紹介しましたが,江戸時代の金貸し業では,自分の息子に継がせた商店には金を貸さなかったそうです。二代目,三代目のボンボンじゃ潰れるのは目に見えているからです。事実,何代も続く大店は全て娘に婿養子を取らせています。出来のいい息子が生まれる可能性を信じるより,出来のいい従業員に店を継いでもらった方がいいからです。
自民党が江戸時代の商店なら,どこにも相手にされなかったでしょう。世襲議員だらけだからです。
2009/04/21
- 5月29日(金)の夕方,沖縄県の南部徳洲会病院で講演することが決まりました。ここ数年,5月に同院で講演するのが年中行事化しています。
- 昨日,熱傷患者さんが受診されました。昨日朝早く,調理中に熱湯で右手に受傷し,長い間冷やしたが水から上げると痛みがぶり返す,とのことでした。水疱形成はなく,軽度の発赤を認めるのみでしたが,チクチクとした痛みを訴えられました。ただちにデュオアクティブETで被覆したところ,10秒くらいで痛みが軽減して楽になったということでした。
いつものことですが,こういう症例を見ていると,なぜ熱傷は痛いのか,裂傷や打撲の痛みと同じ種類の痛みなのかか,といういつもの疑問が出てきます。
- 熱による痛みだったらもう既に手は冷えているのですから「水から上げると痛みがぶり返す」というのは説明が付きません。
- デュオアクティブだけで痛みが止まるということは,NSAIDが関与する痛みとは発痛のメカニズムが異なっていることを意味します。
- 水疱も発赤もないのですから,神経末端が痛み刺激をキャッチしてそれを痛みとして脳に伝えているのかどうかも不明。
軽度の発赤しかない皮膚を何かで覆って痛みが止まるという事実からはやはり,皮膚自体が(神経と無関係に)痛みをキャッチしているとしか考えられません。逆に言えば,これまでの熱傷学の常識だった「痛みに対しては鎮痛剤」という鎮痛対策が間違っていたことを意味するし,熱傷の痛みが鎮痛剤で治まらない理由もここにあったから,ということになりそうです。
少なくとも,「熱傷の痛みに鎮痛剤は効かない」というのは厳然たる事実と思われます。「熱傷での鎮痛のターゲット」は中枢神経でも末梢神経でもないからです。
- オスの存在しないアリを発見
生物学的には極めて興味深い報告です。オスがいなくてもクローンで増殖できますが,遺伝子的に同一(均一)のため,変化への対応能力は十分でないはずです。しかも,このアリは生殖器自体を退化させているため,生物学的には背水の陣を敷いているようなものではないでしょうか。なぜこのような「危険な選択枝」を選んだのでしょうか。無性生殖で増える昆虫はいますが,「無性生殖のみで増える」のは多分このアリだけでしょう。
ちなみに,このアリはハキリアリの仲間で,特定の菌類(=キノコやカビの仲間)との共生関係を結んでいるようです。ということは多分,消化管内にはキチンを分解する細菌が共生しているんでしょう。
- サンマで巨大アンチョビ
揚げておいしいスナック菓子はどれだ
昨日のDaily Portal Zの記事ですが,どちらも破壊力(?)満点の記事です。サンマでアンチョビを作っちゃえという力技もすごいけど,暴君ハバネロを砕いてパン粉にすると超美味というのも大発見!
2009/04/20
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,東京都日野市の望月医院 望月 護先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- MRSAの分裂が遅い理由を追加。考えてみれば当たり前のことなんですが,まだ誰も指摘していないようなのでちょっと書いてみました。
- 講演後の質疑応答で「この治療法の限界はどこにあるのか,どういう症例は湿潤治療で治療をしていけないのか,それをはっきり示してくれないと困る」という質問というか文句をいただくことがある。まぁ,言いたいことはわかるが,それを私に求めるのは無茶というものである。先頭に立って道なき道を切り開いている人間に「早く舗装道路を作れ。舗装してくれないと歩けない」と文句を言うのと同じだからだ。こういう「舗装道路でないと歩けない」タイプの医者には湿潤治療をして欲しくないな,と思ってしまう。
私の外来には毎日のようにケガやヤケドの新患患者さんが受診される。今でこそ「こうしたらトラブルなく治療できる」というノウハウを持っているが,始めた頃は毎日がおっかなびっくりの連続だった。だから,毎日注意深く傷の状態を観察し,何かトラブルが起きたらその原因を探り,なぜそのトラブルが起きたかを考え,それで治療を微調整したり軌道修正したりした。その結果,トラブルはほとんど起きなくなった。
これは今も同じである。何しろ外傷は一例として同じものはない。部位も面積も全て異なっている。だから今でも,患者さんが外来にやってきて「痛みがなくなって楽になった」と言ってくれるまで,内心ビクビクものなのだ。
全身熱傷についてはどうか,という質問も受けるが,はっきり言って私の外来にはすごい全身熱傷は訪れない。病院の規模からいって当然である。一方,外来を受診してくれる熱傷患者はほぼ全例治している。だから,「どのくらいの面積まで治せるのか?」と質問されても答えようがなく,「外来を受診した熱傷患者はこれまで治してきましたが,先生が質問されるような全身熱傷は私の病院を受診しないのでわかりません」と答えるしかないのだ。
- ようやく光文社新書の原稿が全て出来上がり,あとは校正作業(・・・実はこれが結構大変だけど)だが,何しろ,以前書いた「生命進化から見た皮膚」をさらに深化させてそれを文章化するという作業を連日していたため,書き終えるとなんだか虚脱状態である。
そろそろ,『外傷「裏」マニュアル』の改訂版に着手しようと思っているのだが,文体も文章の調子も全く違っているため,簡単にギアチェンジできないのだ。このあたりが,物書きとしてまだまだアマチュアなんだろうね。
- 以前にもちょっと紹介した『ガリレオの指 現代科学を動かす10大理論』という本ですが,なかなか読む暇がなく,寝る前にちょっと面白そうな章を読んだりしています。昨日読んだのが「第8章 宇宙論」ですが,ビッグバンについて私が根本的に誤解していることがわかって面白かったです。ビッグバンという名前のため,「宇宙の最初の1点で外側に向かって爆発的に拡大した」,つまり,小さな球が広がって大きくなるイメージでビッグバンを捉えていましたが,全然違っていたのです。ビッグバンって,無限の体積を持つ空間のいたるところで起きたんですね。こういう基本的な間違いって超恥ずかしいです。
以前から,「137億年前に誕生した最古の銀河を発見」なんてニュースを見るたびに,「ビッグバン後に3次元的に広がってできたのなら,なぜ地球から見て遠くにしか古い銀河が見つからないんだろうか。近隣で見つかってもいいではないか?」って思っていたのですが,その長年の疑問もこれで氷解しました。
- メタボ健診:非肥満でも危険大 厚労省研究班が大規模調査
以前からインチキ臭いと思っていたメタボリック症候群ですが,メタボの場合,男性で約3倍,女性で約2倍,死亡する危険性が高かったが,肥満ではない人でも血圧や血糖値などが診断基準を超えた場合,死亡の危険性はメタボの人と同様に高かった。病気の種類を問わない男性全体の死亡率もメタボの有無による違いはなかった。
というのですから,全く意味がないことがよくわかります。さっさと無意味な腹囲測定なんかやめちゃいましょうよ。もっと他にやらなければいけないことがあるんですから。
- 47歳素人の歌声に辛口審査員が呆然 実現させた「dream a dream」
これはすごいです。詳しい記事は上記をお読みいただくとして,この太っちょの風采も上がらないおばちゃんが天使のような声で歌うのです。その歌声に彼女のこれまでの人生なんかを感じちゃって,泣かされます。
2009/04/17
- 今週月曜日にお題を出した熱傷患者のその後です。アンケートに「こんな熱傷,素人でも治せるよ」という回答があって笑っちゃいますね。
そうなんですよ。素人でも治せる熱傷を治せないのが(湿潤治療を知らない)熱傷専門医なのです。素人以下の専門医って存在価値ないじゃん。
- 裁判官「だまされてる。バカ」,大麻害少ないと言う被告に
「インターネットには無害と書いてあったから無害だ」との被告の言葉に,思わず口をついちゃったんだろうな。この裁判官の気持ち,わかるぞ。「体にいい悪いじゃない。違法だから駄目なんだよ。20歳にもなってそれも判らないのか。この馬鹿者!」ですよね。
- 緑色に輝く発光ゴカイ
昨日見たいろいろな写真の中で一番美しかったのがこれ。
- 毛とモはどっちが楽天か
以前から「毛」に似ているといわれていた楽天イーグルスのマークですが,それを確かめるためにわざわざ帽子を作り,それを被ってわざわざ仙台までやってきたべつやくさん,あんたは偉い!
2009/04/16
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,北海道札幌市の下田ひふ科クリニック 下田久美子先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
- 割りばし死亡事故,二審も医師の過失認めず
両親は上告しないということなので,これで裁判は終了です。ごく常識的な判断が下され,ほっとしています。以前にも書きましたが,この事件(?)に関しては,医者に落ち度はありません。この事例では,最善の治療をしても子供は100%死んでいます。
- 私が毎日チェックしているサイトの一つが「Daily Portal Z」です。よくもまぁ,毎日毎日,こんなネタを見つけて真剣に実験しているんだろ,と感心しています。とりわけ,食べ物ネタの記事は水準が高いです。
- メリケン粉からガムを作ってみた
漫画『美味しんぼ』の中で紹介されていた「貧乏ガム」の作り方を再現した記事です。「貧乏ガム」自体は見事に作れていますが,梅干ガムやブラックガム作成に暴走していくところがすごいです。
- 臨界フレンチトースト
何度見ても圧倒されるフレンチトーストの存在感! 美味そうです。この記事を読んだ人の半数は,食パン1斤と卵1パックをを買いに走ったはずです。それほどの迫力ある記事です。そういえば,このライターが以前書いた「そうだ,肉を脂で煮ればいいんだ」も素晴らしい記事でした。
- 大久保父子,理事も辞任=漢検協会が改善報告書-「取引検証に疑問」・文科省
「財団法人が不当に儲けている。けしからん!」と連日バッシングの嵐だが,この事件の裏側について,今日早朝の「ズームイン!!SUPER」で解説の辛坊治郎さんが「これは6時台には言えないけど,5時台だから言っちゃうか!」と,次のような解説をしていた。なるほどな,辛坊さん,いつもながら鋭いな。
- 漢検協会はこの手の組織としては珍しく,文部科学省の天下りを一人も受け入れていない。
- また,お上から運営資金をもらっている団体でもない。
- 要するに,お上から援助を受けているわけでもない組織が,自前で稼いだだけ,という見方もできる。検定料が高いや安いかは受験者が判断すること。
- 確かなことは言えないが,文部科学省の天下りを受け入れていたら,問題視されなかったのではないか。
- 騒動が治まったと思ったら,漢検協会トップに文部科学省の天下りお役人が顔を揃えていた,なんてことにならないとも限らない。この問題は長期的に見て行く必要がある。
現在も,漢検協会側が改善報告書を提出しては,それを文部科学省が拒否,という攻防が続いているようだ。そのうち,漢検協会には監視が必要,という空気を作り,しっかりした人が監視する体制を作ろうということになって,気がついたら天下りさんたちが・・・,というのはいかにもありそうな構図だ。
2009/04/15
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,大阪府豊中市のなかの外科クリニック 中埜廣樹先生,兵庫県神戸市の須磨浦病院 内科 鶴崎哲士先生,群馬県前橋市の深沢整形外科 深澤直樹先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 形成外科の専門医から「植皮をしなければ治らない。植皮をしなければ歩けなくなる」と説明を受けた1歳女児の足背熱傷です。さて,この診断についてどう思いますか?
- 本の原稿を執筆中だが,いつも苦労するのは「まえがき」と「あとがき」である。今書いている本も残りは「あとがき」だけなのだが,それがなかなか書けないのだ。何を書いたらいいか,何を書いているのか,時々わからなくなるからだ。
「まえがき」の目的は決まっている。書店で本を手に取った人が一番最初に読むのは「まえがき」であり,その最初の1行目で心を掴むことが目的だ。そして数行読むうちに「この本はすごく面白いらしいぞ。立ち読みではとても読みきれるものじゃないから買ってやるか」と思ってくれれば,もうこちらのものである。
「あとがき」は演劇で言えばカーテンコール,コンサートで言えばアンコールのようなものだろうと思うが,本文に書きたいことは書き尽くしたわけで,書きたいことはもう残っていないのである。全く無関係のことを書くわけにもいかないから,無難なところで執筆中の苦労話とか,執筆中のエピソードとか,あとは出版社と編集者への謝辞くらいしか思いつかないのである。要するに,何を書いていいかよくわからずに書き始めているから筆が進まないんですね。
2009/04/14
- 昨日は週刊現代の取材がありました。5月後半の週刊現代に取材記事が載る予定,とのことです。
- 医学生の臨床実習1500時間義務付け,卒後研修減に対応
ここ数年の文部科学省の方針は,どれも的外れです。現場を知らない人間が方針を決めているからではないでしょうか。
「医師不足の一因になったとされる卒後の臨床研修は事実上,半分に短縮される形になったが,同研修で行われてきた基礎的な部分を卒前研修に組み込むことを狙った」
と理由付けしていますが,たとえ「医師不足」が「卒後臨床研修」の問題だとしたら,研修が終了した医師たちが現場に戻ってきたら「医師不足」は解消されるはずです。しかし現実はそうなっていません。とすれば,上記の分析は間違っていることになります。
医師になりたての2年間はとても貴重です。そのため,指導体制がしっかりしている病院で研修するのと,指導体制がない病院で研修するのでは,2年後に大きな差になります。それが判っているから,指導体制がしっかりしている病院に研修医が殺到し,そういう体制のない病院は嫌われているだけのことです。給料の問題でも待遇の問題でもありません。田舎の病院だから嫌われているわけでもありません。
そういう根本問題を放置しておいて,医学部に臨床実習を押し付けても解決にはなりません。問題の本質はそういうところにはないからです。
- 旧東ドイツを支えた国家保安局,それがシュタージだ。国家体制を維持するためにシュタージは国民を監視し続けた。そういう東ドイツの歴史の暗部を抉り出した映画が《善き人のためのソナタ》だ。これは掛け値なしの大傑作にして超感動作! ラストシーンは涙,涙,そして涙でした。
- 社員の幸せを露骨に追求する会社 年功序列,終身雇用,低成長――伊那食品工業が問う「会社とは何か」
昨日読んだいろいろなニュースや記事の中で,一番面白かったのがこれ。「会社は従業員を幸せにするために存在する」という会社の基本方針がなんだか新鮮だし,「経営は腹八分目」という方針なのに売り上げが毎年増えているらしい。
- おカンムリ顔 石原慎太郎東京都知事
松村師匠,お見事! 400億円をドブに捨てようとしている知事が3400万円の無駄遣いを怒っている,っていう構図だったんだ。「石原銀行」のことをすっかり忘れていました。
- 最近のNHK夜9時のニュース番組「ニュースウオッチ9」でニュースを読む一人の女性アナウンサの声がすごく耳障りです。変に鼻にかかっていて,不自然で作為的な発音に聞こえます。そのため,この人の声が聞こえると他の番組に変えてしまいます。聞いているといらついてくるからです。これって私だけでしょうか?
2009/04/13
- 4月28日(火)18:00から日本医科大学 救急医学教室/高度救命救急センターでの講演が正式に決まりました。
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,大阪府済生会千里病院 豊田泰弘先生,栃木県宇都宮市のフェアリーベルメディカル 市原征洋先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 「帯状疱疹の治療例」を追加。
- しんぶん赤旗日曜版4月12日号の32面に取材記事『新常識 やけど治療』が掲載されました。
- 人類繁栄はニッケル“飢饉”のおかげ?
これは以前紹介した真核生物誕生の謎に絡んでくる発見ではないかと思われます。ちなみに上記の「人類繁栄」は言いすぎで,正しくは「真核生物の繁栄」とすべきですね。
現在の真核生物はα-プロテオバクテリアのメタン生成菌内部への共生から誕生したと考えられていますが,誕生した直後の共生体が酸素が多い場所にいなければα-プロテオバクテリアの持つ酸素分解能は生かされず,共生関係は解消されたはずです。つまり,誕生したばかりの「原始真核細胞」が維持されるためには,20数億万年前の海水面は酸素が豊富な状態でなければいけないことになります。そして,この時期の大気には酸素が多く含まれていたことは証明されています。
問題は,そのちょっと前(といっても数億年前だが)の大気の主成分はメタンだったことにあります。光合成細菌は真核生物が誕生する数億年前に既に登場していましたが,それでも大気はメタンが主体でした。つまり,酸素を発生する生物が生まれたというのに,大気は依然としてメタン主体だったのです。それが突然(?)「メタンを含まず酸素の豊富な大気」に変化した理由がこれまで謎とされていました。
この謎に対する一つの答えの候補が今回の発見なのでしょう。
- 【核心】高速道路休日1000円 大渋滞は幻 募る不満
早くも馬脚が現れてしまったようです。「結局は国交省の中で税金をぐるぐる回しているようなもの。だれもが享受できるようなガソリン税の値下げなどの方がまし」というコメントが全てを物語っています。
2009/04/10
- 「キチンについての超テキトーな考察」。キチンについて思いついたアイディアを順不同に並べただけなんで,読み流してください。もしかしたら,一つくらいは今後の研究テーマになりそうなアイディアがあるかもしれません。
- 交尾目的で肉を贈るチンパンジーのオス
思わず苦笑しちゃった研究結果。詳しいことは記事をお読み下さい。
「俺たち,チンパンジーと全然違わないじゃん!」と反省しなくてもいいです。どうせ私たちは「毛が3本多いサル」,あるいは「裸のサル」なんですから。
ちなみに,メスに餌をプレゼントして,その隙にエッチしちゃえ,というのは霊長類様の専売特許ではありません。なんと昆虫も同じ戦略を取っています。体長1センチにも満たないガガンボモドキ(シリアゲムシ目ガガンボモドキ科ガガンボモドキ)のオスも全く同じことをしています。チンパンジーならまだしも,ガガンボモドキですぜ。しかも,「食い逃げ」のメス,「やり逃げ」のオスまでいるんですよ。彼らは,針の頭より小さな脳みそで状況を判断しているのです。昆虫脳,恐るべし!(3月13日の記事)
- 農薬?伝染病?ミツバチ大量失踪 果物高騰も
数年前からアメリカ,そしてヨーロッパ各地で大問題になっている謎の現象,それがこのミツバチ大量失踪で,世界各地で申し合わせたかのようにセイヨウミツバチが姿を消しています。原因はいまだに不明です。
「ミツバチがいなくなってハチミツが取れなくなるとくまのぷーさんが困る」なんてのが問題ではなく,農業が大打撃を受けます。ハウス栽培にしろ果樹園にしろ,受粉にセイヨウミツバチが使われているからです。いずれ,果樹や作物の価格に跳ね返るし,農業自体が根底から危うくなる可能性も指摘されています。
この問題については次の本がよくまとまっているようです。
2009/04/09
- 日経メディカル4月号に『裂創をきれいに速く治す -テープで固定,深い傷でも治療可能-』が掲載されました。
- 太陽黒点なし,百年ぶりの活動極小期か
太陽の活動低下,地球への影響は?
太陽の活動と地球の気候の関連性についてはまだよくわかっていないことも多いですが,17世紀後半の長期間続いた太陽活動低下では,かなりの寒冷化が見られました。そうなると,現在の「地球温暖化」なんて呆気なく吹き飛ばされて,一挙に寒冷化すると予測する研究者もいます。
一方で,今冬の北極,氷の脆弱化が進む,ウィルキンズ棚氷,南極大陸から分離・・・という事実もあります。
恐らく,確実に言えるのは次の2点くらいじゃないでしょうか。
- 太陽の活動が長期間安定しているならば,人間活動による温暖化の効果が強く出る
- 太陽の活動の長期低下が続くようであれば,(人間の活動にかかわらず)温暖化でなく寒冷化に傾く
- マイバッグの死角 万引対策に苦慮
コンビニやスーパーのレジ袋の使用を止めると本当に二酸化炭素が減少に役立つのか,というと全く役に立ちません。無意味です。それは「地球に優しい」ごっこに過ぎません。
掘り出した石油からガソリンなどの各種燃料を作り,プラスティックを作り,繊維を作り・・・と,色々なものを作って最後に使い道のないものが残り,そこから作ったのがペットボトルでありレジ袋です。つまり,ついこの前まで捨てていたものから作ったのがペットボトルとレジ袋です。
だから,レジ袋をいくら減らしても石油消費量は変わりません。レジ袋を使わなくなれば,これまでレジ袋作りに使われていた成分が,従来どおりに「ごみ」として捨てられるだけです。これはペットボトルも同じです。
逆に,レジ袋を廃止すれば,それに変わる商品を作る必要があり,それには必ずエネルギー消費を伴います。それが「捨てられる石油成分」から作られるなら問題はありませんが,「そうでない石油成分」から作られるのであれば,結果的に石油消費量は増えます。
本気で「人間活動に伴う二酸化炭素増加を防ぐ」のなら,ターゲットはレジ袋でもペットボトルでも割り箸でもありません。車の製造を縮小し,車の運行と飛行機の運航を制限するだけで,石油の使用量は大幅に減少します。「エコ」を前面に打ち出した番組を作っている某テレビ局も,自局番組の放送時間を短くすれば本格的な「エコ」が達成できます。
そういう本質的な議論をせずに,目に付きやすいレジ袋を槍玉に挙げるからこんな万引き事件が・・・・。
レジ袋を早く復活しましょう。ペットボトルの分別・リサイクルもさっさと止めましょう。これらは,無駄にエネルギーを浪費するだけの「エコごっこ」です。ペットボトルのリサイクルをやめるだけで,石油消費量は減少します。
2009/04/08
- 4月28日(火)の夜,日本医科大学で講演することになりそうです。
- 5月23日の滋賀県での講演(小児科イブニングカンファレンス)ですが,会場が琵琶湖ホテルに変更となりました。
- テポドン2号が落下したら迎撃は可能だったのか
今回の北朝鮮衛星(?)発射問題に関する議論で,極めてまっとうな意見だと思ったのがこれ。
この記事にも書いてあるが,今回の事件でPAC3を発射せずに済んで一番胸をなでおろしているのは防衛省だと思う。万一,発射物(あるいはその一部)が落下してきて,それに対してPAC3を発射し,「打ち落とせませんでした」,「当たりませんでした」,「当たりましたが破片が散らばってかえって被害が拡大しました」,では済まないからだ。そんなことになったら,これだけ巨額をかけてミサイル一つ落とせないのか,それじゃ装備しても無駄じゃないか,という議論になりかねないからだ。間違っても,PAC3の配備数はこれではまるで足りない,日本全国の海岸線にPAC3を配備せよ,なんて方向に議論は絶対に向かわないはずだ。
いつ,どこから飛んでくるか判らない高速飛行する兵器に対し,到着する前にそれを感知し,軌道を予想し,それにめがけて高速飛行する兵器を打ち込んで確実に当てて100%破壊する,というのはどんなに技術が進歩しても不可能ではないだろうか。相手が事前に「明日の午前9時45分ちょうどに,○○めがけてミサイルを発射します。速度は○○,最高高度は○○にしていますから,打ち落としてください」と連絡でもしてくれれば話は別だろうが・・・。
国民の生命財産を守るのは国の役目である。しかし,その「国を守る」という目的のための手段としてPAC3が有効である,ということにはならないし,ミサイル防衛システムがなければ国民を守れない,というわけでもない。「国民を守る」「国を守る」という目的達成のための手段は軍事力だけではなく複数あるからだ。
「常に目標だけでなく,その上位の目的を念頭から離すな。目的達成に利用できる目標は数個ある」というのは戦争論の基本である。
- パルサーから伸びる巨大な宇宙の“手”
神の造形,と言いたくなるような美しい写真です。もうちょっとサイズが大きかったらデスクトップの壁紙に使いたいです。
- <イタリア地震>現地学者「来る」予知 市が自粛求める
理論的には地震予知は不可能です。私も不可能だと思っています。破壊現象に再現性はないからです。予知は再現性があるからこそ可能です。
今回の「予知した」という学者ですが,おそらく「たまたま条件が揃って当たった」程度ではないかと思います。
- 「ブラックジャック」漫画家の「貧乏」月収なんと70万円しかない?
超売れっ子漫画家でもこの程度? という金額です。もちろん,個人で働いているならこの金額で十分ですが,アシスタントを6人抱えているとなると,確実に赤字です。
テレビ化,映画化されたんですごいお金が入るんだろうな,と思ったら,映像使用料ってすごく安くてびっくりしますね。
アンパンマンやプリキュアのようにキャラクターが商品化されるものなら儲かるのでしょうが,そういう要素のない漫画では単行本の売り上げしか収入源がないということも納得できます(原稿料そのものは非常に安いから)。
そして,「販売部数に応じて印税を引き上げるべき」という佐藤氏の主張も頷けるものです。本は作れば作るほど製造単価が下がるからです。印税方式(通常は印税は10~11%が上限)は確かに本が売れるほど著作者に多く入ってきますが,出版社にとっては製造コストの低下分が大きく効くため,より大きな収益となります。逆に,著作者は「本が売れた分だけ翌年税金が増え,収入は増えない」ことになります。
- 複数のアリバイ主張=逮捕前聴取に中容疑者-舞鶴高1殺害・京都府警
<舞鶴高1殺害>「コメント控える」30回…にじむ捜査難航
警察の記者会見を見て,みなが首をかしげたんじゃないでしょうか。物証も自白もなく,出てくるのは状況証拠ばかりです。
2009/04/07
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,青森県弘前市のさわだ整形外科 澤田雅章先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 宮城県でかつて開業なさっていた70代半ばの先生からちょっと嬉しいお手紙をいただきました。それによると,
- 長年,内科医として開業していたが,引退して息子に代を譲り悠々自適の生活をするつもりだったが
- 近い将来,宮城県で大地震が起こることは確実なので,その時は内科医でもけが人の治療ができないと困るだろうと思い
- いろいろ情報を集めているうちに,これまでの常識を覆す治療が行われていることを知り,興味を持ち,
- あなたの本を手にとって読んでみた。長年の疑問が氷解して面白く痛快な内容だった。これなら自分でも治療ができそうに思えた。
- しかし,内科医なので細かい部分がよくわからない。
- 初心者丸出しの質問で恥ずかしいが,いろいろ教えて欲しい
という内容なのです。
この手紙に感動してしまいました。70代半ばで既に引退をなさっている大先輩が,将来起こるかもしれない宮城県地震では自分も怪我人の治療をしなければと一念発起し,自分の息子と同年代の私に教えを乞うているのです。この先生の人間としての懐の深さに感服,感動しました。
- 90分の中にあれもこれも・・・と詰め込みすぎたため,結局何がなんだかわからなくなってしまったオカルト映画,《ストーン・カウンシル》を紹介。
- 大量絶滅の原因はガンマ線バーストか
今から約5億万年前のオルドビス紀は三葉虫の時代で,オルドビス紀の海のあちこちで三葉虫が繁栄し,わが世の春を謳歌していました。しかし,4億3500万年前,その三葉虫を含め全生物種の85%が突然姿を消します。いわゆる,「オルドビス紀末の大量絶滅」です。今まで,なぜこの大量絶滅が起きたのかは不明とされていましたが,その原因についての一つの考察です。
私はエデュアカラ紀からオルドビス紀にかけての古生物オタクなので興味深く読みましたが,ガンマ線の物理特性から考えると,かなり近い距離からのガンマ線バースト襲来が必要になりますので,さまざまな条件が同時に成立しなければ起こらないような気がします。
- ネットを見ていて見つけた,ちょっと面白そうなグッズ。「携帯型エスプレッソマシン」です。
2009/04/06
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,北海道小樽市の済生会小樽病院 整形外科 三名木泰彦先生,茨城県常陸大宮市の常陸大宮市国保美和診療所 内科 薄井尊信先生にも加わっていただきました。ありがとうございました。
また,薄井先生は「湿潤治療の講演をしている医師」にもご参加いただいています。
- ある整形外科の先生から相談を受けた症例がありますが,私の知識ではどうしたらいいのかわかりません。そこで皆様のお知恵を借りたいと思います。何かありましたら,下記BBSに書き込んでいただけないでしょうか。よろしくお願い申し上げます。
なお,このような症例相談がありましたら,症例の経過と経過写真を私に送っていただけましたら対応します。
- 心臓細胞の自己再生を確認
心筋細胞も分裂・増殖していることが確認されたという記事です。ただしそのスピードは極めてゆっくりで,25歳の人間で年に1%程度とのこと。「今回の発見がきっかけとなって心筋細胞の自己再生を速める治療方法が開発されれば,これまで移植に頼ってきた心臓の再生治療は一変するだろう」ということですが,自己再生速度が極めて遅いことによるメリットとデメリット,再生速度を速めたときに起こることなど,まだまだ問題は多そうです。分裂速度が遅いということは何かとのトレードオフなのでしょうから。
- 北「ミサイル」発射に300億円=韓国高官「食糧難解消が先決」と批判
「衛星打ち上げ成功」=3段ロケット,金父子の歌送信-北朝鮮メディア
「何も軌道に入らず」=北の打ち上げ失敗か-米防衛司令部
「日本は軍事的脅威に免疫ない」 駐日特派員の見方
というわけで,北朝鮮のミサイルに振り回された週末でした。「金日成,金正日将軍の歌を流すために300億円かけて衛星を打ち上げた」というおとぎ話は説得性ゼロなんで笑うしかありませんが,「300億円あったら国民が数年間飢えずにすむだろう」なんて常識が通じる国でもないし・・・。
現在の北朝鮮にとって外貨を稼ぐ手段がミサイルと覚醒剤くらいですから(偽札作りという商売もしていたっけ),そのために打ち上げたんでしょうね。今回は,1段目の切り離しが正確にでき,飛行航続距離も3000キロに伸びたよ,ということを顧客に示せたのですから北朝鮮としては目的達成ということでしょう。核技術は持っていてもミサイル技術はそれほどない西アジアの某国あたりが買ってくれるかな?
2009/04/03
2009/04/02
- 医学書院から『外科の常識 素朴な疑問50』というちょっと面白い本が出版されましたが,私も「傷に消毒は必要か 毎日通院させていませんか?」という文章を執筆しております。自分の体を犠牲にした消毒薬の実験を掲載するという暴挙に出ているのは私です。
ちなみに,目次をパラパラめくると結構面白いです。ちょっと気になったタイトルを並べてみますね。
- 抗菌薬の点滴は術後3日間?
- 風にうがいは有効か
- 胃腸手術後の経鼻胃管は必要か
- EBMは絶対か
- 虫垂切除で断端埋没は必要か
- 虫垂の病理組織検査は必要か 何のための病理診断ですか?
- 腹腔鏡下手術中の胆管造影は必要か 造影で胆管損傷が防げる?
- 胃腸吻合で漿膜筋膜縫合は必要か 念を入れてやりすぎると狭窄?
- 胃腸手術後の絶食は必要か 絶食で縫合不全が防げる?
- 胃がん手術で網嚢切除は必要か 腹膜再発を防ぐため?
- 手術前の肺機能検査は必要か 術前検査って何だろう?
- 大腸手術前の腸管処置は必要か やりすぎてMRSA感染症?
- 抜糸はなぜ7日目か 1週間が7日だから?
- 半抜糸は必要か 傷が開くのが怖いから?
- 医師に白衣は必要か
- BBSに「認知症患者の爪はがす,「ケア」主張退け元看護課長に有罪」という話題が取り上げられています。
どうやら,爪白癬で厚くなった爪を普通に切っていたら,フットケアについてよく知らない看護師が「爪を剥がした!」と騒いだだけの事件のようです。爪白癬の爪は非常に脆くて,簡単に剥がれることは常識ですが,その常識を知らない不勉強な同僚看護師がいたようです。
そして,十分な調査もせず,現場も知らずにマスコミ報道に沿って「虐待ありき」を前提に記者会見した病院側の対応が,さらに火に油を注いだようです。一番最初の記者会見のときに,爪白癬の写真とケアした写真を提示し,これは虐待ですか,と言えばよかったのです。
フットケア学会,日本看護協会は全力を挙げてこの不当判決に抗議すべきではないでしょうか。
- 夕刊廃止で新聞記者「社内失業」 総務,広告,営業などに配置転換
欧米では既に新聞というメディアの衰退が顕著です。日本では新聞配達という特異なシステムがあったために「新聞メディアの衰退」が覆い隠されているだけのことで,実は裏側では・・・ということだと思います。
漫画雑誌の発行部数も週刊誌の発行部数も減っています。新聞もその衰退メディアの一員に過ぎないということでしょう。要するに,「情報を集め,それを紙に印刷し,その紙を販売したり配布することで利益を得る」というシステム自体が現状に合わなくなり,行き詰まっているのだと思います。
2009/04/01
- 謎のウイルスの蔓延で人類のほとんどが滅びて・・・,というのはパニック映画の定番中の定番の設定で凡作が多いのですが,その中では大傑作といえるのが《28日後…》です。これはいいです。
容赦ない暴力表現(もちろん,それも絶対に必要な表現です)があるため万人向けの作品ではないかもしれませんが,多くの人に見て欲しい傑作です。
- 鳥谷部先生のサイトの掲示板の「北海道地方会報告」というスレッドが面白いです。
このままで行くと,WOCナースはどうなっちゃうんでしょうか。「ラップなんて言葉を口にするのも汚らわしい!」と信念を絶対に曲げないのがWOCナースの特徴(私が知っているWOCナースの9割以上がそうでした)ですが,在宅医療の現場ではOpWTがどんどん広まっているし,褥瘡学会でも「事実上黙認⇒消極的支持」となってくると,WOCナースは「2階に上げて梯子を下ろされる」状態になるんじゃないでしょうか。
- 男性の4割「すっぴん」にガッカリ 彼氏に見せるタイミングに悩む
正しくは「化粧をすれば肌が荒れる。化粧を止めれば肌荒れが止まる」です。
その証拠に,化粧美人ほど素肌が荒れていますが,荒れているのは顔と手,つまり,化粧品を使っている部位の皮膚だけで,背中や下腿の皮膚は荒れていません。
知人の女性は「自分の顔を好きなように作れるから化粧は楽しいんだよ」と言っていましたが,キャンバス自体が荒れてしまってはどうしようもない気がします。
- 駅弁って本当に美味しいですか? 駅弁を食べるたびにそう思ってしまいます。
私は講演などで週末にJRを利用しますのでたまに食べますし,全国の有名駅弁はかなり食べたと思います。先週も,京都から東京に向かう新幹線でも「駅弁グランプリ受賞作」というのを食べたばかりです。
でも,どれも似たり寄ったりの味で,突出して美味しいというのに出会ったことがありません。上記の京都駅のグランプリ弁当も,ごく普通のお弁当でした。要するに,味付けはどれも似ているし,調理法も煮物か揚げ物に偏っているし,違いといえば牛肉やお魚の産地だけです。駅弁には「冷めても美味しく食べられる。時間を置いても安全に食べられる」という制限があるため,どれも似たような味になるのでしょう。
その地方の特産品を使っているのは判りますが,「冷めても食べられる」ことを目的に調理法が選ばれ味付けされているため,駅弁になってしまうとどれも似てしまうんでしょうね。