キチンについての超テキトーな考察
現在,光文社新書の原稿を書いているところだが,そこで動物の進化について調べているうちにキチンについてちょっと考えたことがあった。しかし,基礎知識も不足しているし,データも全く集まらなかったため,思いついたことを書きとめたメモだけが残ってしまった。
ここから何かすごいことを思い付きそうな気もするし,全くの無駄考察にしかならないような気もする。
かといって,全く捨ててしまうのもなんだか惜しいのである。そこで,乱雑な走り書きメモなんだけど,こんなことを考えるなんてすごく暇だったんじゃないの,という証拠品として残しておこうと思う。
順不同で全然まとまりのない箇条書きだが,ご照覧いただければ幸いである。
- キチンを持つ生物
- 節足動物,昆虫の外皮(外骨格)
- 軟体動物の殻皮
- 菌類(キノコなど)の細胞壁
- キチンの構造は,セルロースと類似の構造をしている。
- なぜ菌類の細胞壁(=キチン)と植物の細胞壁(=セルロース)は異なった外骨格を持つのか。
- なぜ,節足動物,軟体動物,菌類はキチンを作るのか。
- それらが最初に出現した環境,状態がキチンを作るのに適していたからではないか。
- 植物がキチンでなくセルロースを骨格にしたのは,セルロースのほうが作りやすい環境で誕生した生物だったからではないか。
- 菌類の進化は陸上で起こったと考えられている。節足動物,軟体動物,菌類で一番最後に出現した。これは,菌類の細胞壁がキチンであることと何か関連があるのか。
- ある時期,ある条件に発生した生物はキチンを主成分とする「体の支持組織」を作り,その後に発生した生物は,別の組成の骨格を選ぶしかなかったのではないか。
- その後,生存環境は変化したが,キチンをベースにして体を作り上げてしまった以上,あとからをれを変えるのは変化させるリスキーな試みであり,以後もキチンを作り続けた。幸い,キチンを作り続けて生命自体を危うくするようなトラブルは起こらなかったのかもしれない。
- キチンを骨格とする真菌は大きくなれないのに,セルロースを骨格とした植物が大きくなれたのはなぜか?
- 軟体動物が海では繁栄し巨大になったのに,地上生活をする軟体動物が大きくなれないのはなぜか?
- 陸上生活(常に空気にさらされる)に適応するために選択されたのがキチンではない。キチンは陸上生活が始まる前から使われていた。
- 植物がセルロースを作り始めたのはいつか。それは水中か,それとも陸上か。
- キチンはカンブリア紀の海中で最も作りやすい物質だったのではないか?
- 菌類は乾燥に弱い。軟体動物も乾燥に弱い。節足動物は乾燥でも生きられる。違いはどこにあるのか。
- 軟体動物は脱皮しないが節足動物は脱皮する。なぜ節足動物は体の成長とともに脱皮する,というシステムを選んだのか。なぜ,選ばなければいけなかったのか。
- 節足動物,軟体動物,菌類の共通点は「光合成ができない」ことか?
- 他に共通点はないか?
- 光合成ができる植物にとって,セルロースが最も作りやすい物質だった? だから,光合成をしない生物はキチンを選んだ?
- セルロースの合成に光合成が必要なのでは?
- なぜ,菌類は光合成細菌との共生の道を選ばなかったのか。菌類と真正細菌はどのような共生をしているのか。
- キチンは恐らく,水中での生活では極めて都合のよい物質だったが,陸上で巨大構造を支えるのには適していなかったのではないか。それが菌類が大きくなれず,昆虫が大きくなれなかった理由の一つではないか(昆虫の場合は呼吸器系の制限もあるが)。
- キチンとセルロース,それぞれのメリット,デメリットは何か?
- 菌類が湿った場所を生存環境に選ぶのはなぜか。
- 恐らく,最初期に選択してしまった体の基本構造,代謝の基本様式は,変えられないのではないか。だから,最初期にキチンを選んでしまった生物はそれを変えられないし,変えずに生き延びられた生物のみが選択された。
- 草食動物,草食昆虫でセルロース分解酵素を持っているものはいない。全て消化管内にセルロース分解菌を共生させている。
- セルロースを分解できる動物がいないのはなぜか?
- 「ダコタ」の皮膚、現生動物に近かった
恐竜の「ダコタ」化石から,この皮膚は表皮と真皮の二重構造だったと結論できる,というのが今回の発表。生物の体表の構造はどの時点で変わったのか。なぜ変わったのか。
本当にまとまりがないな。でも,このアイディア,面白い,と思われる方がいらっしゃったら,勝手に持って行って研究してください。研究テーマくらいにはなるかもしれません。
(2009/04/10)
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