Top Page
2011/01/31
- 1ヶ月前,東京から足関節前面の直径7センチほどのⅢ度熱傷の患者さんが受診され,柿田医院を紹介しましたが,経過良好のようです。OpWT(=穴あきポリ袋+紙オムツ)だけで関節部でも入院・手術なしに問題なく治り,患者さんは普通に歩行しているようです。
患者さんを紹介すると通常,紹介状の返書が一度来るだけで,その後どうなっているのかよくわからないことがほとんどなのですが,柿田先生に紹介すると頻回に経過写真を送ってくれるので(下記の写真がそれです),紹介した方としても安心でき,信頼できます。
|
|
|
2010年12月28日 |
12月28日 |
2011年1月27日 |
同様に,おかだ小児科医院の岡田先生も紹介患者の経過をきちんと写真付きメールで報告してくれますね。
- 他の病院救急室でスキン・ステープラーで縫合された頭部裂創患者が受診された。その人によると,縫合した若い医者(研修医かな?)は「局所麻酔は痛いけど,ホチキス(=ステープラー)の方は痛くないから,麻酔せずにすぐにホチキスで縫いますね」と言って,いきなりステープラーで傷を縫合したらしい。それで,自宅に近い当院で抜鈎となったわけだが,その患者さんは「痛くないと説明されて縫われたけど,すごく痛かったよ」とのことだった。麻酔なしでホチキスを打てば痛いのは当たり前のことである。
局所麻酔の注射は確かに痛いが,細い針でゆっくり注射するとあまり痛くないし,程なく無痛状態になりその無痛状態は1時間以上続く。一方,ステープラーは注射針より太い針だから刺せば注射針より痛いし,麻酔もしていないためその後もずっと痛い。要するに,医学の常識があれば「局所麻酔よりステープラーの方が痛くない」なんてトンチキな説明はしないはずである。
なぜ,縫合した若い医者は「局所麻酔は痛いが,ステープラーは痛くない」と説明したのだろうか。理由は想像するしかないが,たぶん,その病院の先輩医師がそのように教えたからだろう。
そして,その先輩医師は長い医者人生の中で,「本当にステープラーを直接刺しても痛くないのだろうか? 痛くなく局所麻酔をする方法は本当にないのだろうか?」と考えたこともないし,工夫しようと思ったこともないのだろう。こういう医者にしか指導されなかった若い医者は本当に不幸だと思う。
こういう,「ものを考えない,工夫もしない」医者に指導された若い医者がその後,同じような「ものを考えない,工夫もしない」医者にならないことを祈るばかりである。
- 【アップルを悩ます天才のジレンマ】
詳しくは『ニューズウィーク日本版』 2011年2月2日号(1月26日発売)にありますが,カリスマ創業社長を擁する会社で何が問題かが詳しく分析されています。アイデアが豊かに湧き出る起業家が会社を興し,それが瞬く間にその業界をリードする大会社に成長することはよくあることですが(インテル,マイクロソフト,DEC,ウォルマート,ディズニー・・・),難しいのは2代目への継承です。1980年代に世界第2位のコンピュータメーカーだったDECは継承に失敗して身売りする羽目になり,天才ウォルト・ディズニーの独裁体制で発展したディズニーは彼の死後,20年間低迷しました(自分で考えないイエスマンしかウォルトは会社に残さなかったから)。逆に2代目への継承が見事にうまく行ったのはインテルでした。記事では「後継者育成が重要とわかっていても,天才起業家は自分がいない会社の未来像を想像したがらない」と指摘しています。
ということは,もしかしたら,ジョブズのアップル,ゲイツのマイクロソフト,孫のソフトバンク・・・というように,個人名と常にセットで語られる会社は成長期はいいが,2代目への継承に失敗するとヤバイ,ということなんじゃないでしょうか。
- 【子ども手当:全額国費求め決議 19市町村首長ら、前橋市内で会合 /群馬】
民主党は当初,「税金の使い道の無駄を省くことで20兆円くらいすぐに財源は見つかる」と豪語していたけど,結局は捕らぬ狸の何とやら,だったようだ。わずか2兆円,3兆円の支出で四苦八苦しているのだから・・・。
ここで話は一気にみみっちくなるが,たとえば一つの家庭だったら「無駄遣いをやめて財源を捻出」というのは可能だ。どこにどう使われているのかよく分かっているからだ。食費を減らすのか,光熱費を減らすのか,お父さんのタバコを減らすのか・・・と迷う余地もない。
しかし,市くらいのレベルになると「無駄を省く」のはちょっと大変になる。金の使い方の全体像を見渡すのが大変だからだ。どの道路が必要でどれが不要なのか,という問題一つとっても意見は一つにまとめにくい。その道路が無駄か無駄でないかはどの住んでいる地域で判断が異なるからだ。ましてこれが県のレベルとなると,無駄か無駄でないかの判断はもっと難しいし,どこにどれだけの金が使われているのかを監視するのはさらに困難になる。
・・・と類推をしていくと,国家レベルでの無駄を見つけるのはほとんど不可能だろう。そこには,個人レベルの無駄遣いから,ODAのような国際レベルの無駄遣いまで一緒くたに含まれているからだ。つまり,「税金の無駄遣いをやめましょう」というのは個人レベル~町内会レベルならうまくいくが,それより大きな規模になると難しいのではないかと思う。
「国家レベルの無駄遣い廃止」を本気でやるとしたら,多分,国のあり方そのものを根底からひっくり返す必要があるのではないだろうか。たとえば,「国の仕事は国防と外交だけにしてそれ以外に税金は使わない。それ以外の権限は全て県(地方自治体)に委譲するから,納税も含め,地方自治体が勝手に運営してくれ」とか,「国家公務員も地方公務員は一旦全て解雇する。その後,必要に応じで雇用する」とでもするしかないような気がする。つまり,フランス革命とかアメリカ建国とか,そのくらいの歴史規模の改革を必要とするんじゃないだろうか。
・・・というか,そもそも町内会以上の大きさの組織で「無駄をなくす」ことなんて,できるんだろうか?
2011/01/28
- 「熱傷:全症例(?)の治療経過」に症例を追加しました。
- 「ミニエッセイ」をちょっとだけ更新。
- 先週から下腿の低温熱傷が蔓延しております。原因のほとんどは湯たんぽで,今日一日で4人の新患患者が受診し,今月全体では10人近い患者が受診されています。今年もまた低温熱傷の季節かと思うと,ちょっと気分が重いです。
低温熱傷は10日目までに治るのが全体の5%くらいで,残りの95%は全層壊死になって全治3ヶ月くらいかかります。つまり,1月下旬に受傷したら治るまでに4月一杯かかる計算になります。湯たんぽは安価で便利ですが,直接肌につけたまま眠るととんでもないことになります。
- 【3Dが成功しない理由 それは我々の見るという行為自体が原因!】
私もずっと,3Dはキワモノ以上ではなく,今後も定着しないだろうなと思っていましたが,それに対する論理的な説明をしてくれるのがこの記事です。人間はそもそも,モノをどのように見ているのかから説いているため,非常に分かりやすく,しかも説得力があります。なるほど,現在の3D映画の「三次元の見せ方」は人間の生理に反するわけなんだ。だから,3D画像を長く見ていると変に疲れちゃうんだ。納得,納得。
- 【ユーザー間で分かれる絶賛と戸惑いの声 「フェイスブック」は日本でも本当にブレイクするか?】
私はFacebookはおろか,mixiもTwitterもやっていません。そのうちやってみようかなと思っていても,忙しくてヒマがないため手を出していないのです。世の中に取り残されているのかなぁ,という気もしますが,とりあえず自分の考えを表明したり,お互いに討論する手段は持っているので,当分はこのままでもいいかな・・・と。
2011/01/27
- 「ミニエッセイ」をちょっとだけ更新。
- 鮫パニック映画史上,最も多くのサメが登場し,最も多くの人が犠牲になり,最も長編の映画,それが《凶悪海域 シャーク・スウォーム》です。えっ,内容ですか? 全然覚えていません。
- 医者や看護師にとっては余りに日常的すぎるが、患者にとっては余りに非日常的なものに「入院」がある。医者は気軽に「手術しないと治りませんので、今週中に入院して下さい」と言うが、これを患者の立場に立ってみるととんでもないことではないだろうか。
入院というのは日常生活の全てを放棄することで成り立っている。仕事を休み、育児も家事も全て放棄しないと入院はできないのだ。
例えば,検査結果を聞きに行った病院でいきなり「明日入院して下さい」と言われたら何が脳裏に浮かぶだろうか。私ならまず、外来の患者をどうしよう、というのが脳裏に浮かぶ。1日や2日なら外来休診の通知を出すだけで何とかなるが、1週間、2週間となるとそれでは無理だ。家庭の主婦で近くに実家があって祖母が健在なら「おばあちゃん、何とかして!」で何とかなるが、そういう実家がなければ途端に途方に暮れるはずだ。主婦がいて成り立っていた家庭は、主婦がいなければ数日で機能停止してしまうはずだ。
病院では「入院治療」が余りに日常的すぎるため、日常の延長感覚で気軽に「では入院して治療ね!」と言ってしまうが,それは患者と患者家族に「非日常生活」を強いるものだ。そして多分,そういう異常さに全く気がついていない医者が結構いる。
- 【著作権法の改正案 国会提出へ】
以前にも,Wikileaksに関連して「人間の頭脳はIT技術を生み出したが,自分の生み出したIT技術を使いこなせていないのではないか? 原子力エネルギーと同じではないのか?」と書いたが,このような著作権の問題も根は同じだと思う。
印刷技術,電子技術が生まれる前の時代では「著作権とは?」という議論は不要だった。著作権を守ろうとしなくても著作権が守られたからだ。その頃,本が欲しかったら買うか,手で書き写すしか手段はなかった。本を丸ごと書き写すのは大変だ。それが嫌なら本を買うしかない。ショパンの曲を弾きたかったら楽譜を買うか,自分で音符一つ一つを書き写すしかないし,ベートーヴェンの交響曲が聞きたかったらコンサート会場に行くしかない。今から考えると不便極まりないが,作品を作った側,演奏する側からすれば単純明快で権利を侵害される心配も少ない。
しかし,印刷技術が生まれ,コピー機が発明され,パソコンでCDがコピーできるようになり,映像がデジタルデータ化されたとき,どう頑張っても著作者の権利が守れなくなってしまった。著作者の権利のことを英語では "Copy Right" というが,従来は著作者の権利は「(事実上)コピーができない」ことで守られてきたのに,人間の脳味噌が簡単にコピーを作れるようにしてしまったため,著作者の権利を守ることが基本的に不可能になったのだ。
もちろん,印刷技術の発明者,コピー機の発明者,コンピュータの発明者は「著作者の権利を破壊してやろう。著作者が食えない時代にしてやろう」とは考えずそれらを発明したわけだが,結果的にそれらの発明は著作者の権利を破壊したわけだ。問題は,「意図していなかったが結果的に破壊した」ことにある。アインシュタインが相対性理論で e = mc2 という公式を考えついた時点ではそれは単なる数式であり何を生み出すかはわからなかったが,結果的に原子爆弾ができてしまった。
多分,人間の知識欲と好奇心には限界がないのだろう。だからこそ,人類文明はここまで発達した。だが,際限ない食欲が身体を破壊するように,際限ない知識欲と好奇心が生み出すものを,人間の脳味噌は制御できていないのだ。私にはそうとしか見えないのである。
2011/01/26
- 「熱傷:全症例(?)の治療経過」に症例を追加しました。
- アメリカのオハイオ州在住の方から子供さんの顔面熱傷について相談メールをいただきましたが,そのメールの中で,治療をしてくれた病院の医師の治療方針は「ムピロシン三回/日投与,ガーゼ保護」とありました。
「熱傷にムピロシン? それは何かのおまじない?」と吹き出してしまいました。世界最先端と称されるアメリカ医学であっても,熱傷治療はこの程度なんですね。
- 【機内で携帯やメール、離陸前ならOK 4月から国内空港】
「航空機が止まっている間は機器に支障がない」ということが明らかになったことから,飛行機が止まっているなら通話もメールもしていいよ,となるようです。要するにこれまでは「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」ような携帯電話使用規制だったのでしょう。
- 【ホワイトハウスで反米ソング 中国人ピアニスト演奏】
ピアニストって誰だよ,って記事を読んだら,あの超絶技巧を誇る天才ピアニストのラン・ラン(Lang Lang)じゃないですか。一度だけ,彼のコンサートを聞いたことがありますが,ホロヴィッツ編曲版のリストの『ハンガリー狂詩曲第2番』を爆速でしかも正確に弾けていて度肝を抜かれました。
- 【惑星上の生命を焼く“悪夢”のフレア】
先日紹介した『“不機嫌な”太陽 ー気候変動のもう一つのシナリオ』にも書いていましたが,生命が誕生する条件を持つ星があっても,そこで生まれた生命が生き延びられるかどうかは全く別問題のようです。恒星の質量が小さいと宇宙空間から生命を直撃する宇宙線をブロックすることができず,質量が大きい構成は超新星爆発するからです。生命体にとって安定した環境を作る恒星は「大きからず,小さからず」という微妙な大きさでなければいけないようです。
おまけに,この記事にあるような連星のような巨大惑星(=ホット・ジュピター)を持っている恒星は,ホット・ジュピターのために活動性が変動します。これでは,惑星に生命体が誕生したとしてもすぐに絶滅してしまいます。
さらに,細菌のような生命体は他の天体で誕生することはあっても,多細胞生物や光合成細菌が誕生する確率はほぼゼロです。真核細胞も光合成も偶然の産物だからです。
知識が増えれば増えるほど,「高度な文明を持つ地球外生命体」はお伽話に思えてきます。
- 【「書くことの効果」実証される】
私は暇さえあれば本を読んでいますが,内容を覚えておきたいと思った本に出会った場合には次のようにしています。
- まず,全体を通して読み,なんとなく内容が理解でき,すごい本だと思う。
- 1章ごとに丁寧に読み直し,主要な文章をすべて書き写す(パソコンだからキーボードでの「書き写し」ですけどね)。全角文字で1~2万字くらいの文章になる。
- 全て写し終わったら書き写した文章を読み直し,内容を自分の言葉で要約して文章化する。
- それを簡略化して「本のレビュー」として自分のサイトに追加。
単なる読書の数十倍の手間と時間がかかりますが,私はこのくらいしないと本の内容を覚えられないためしょうがないのです。もっと頭がよければ簡単にパパっと覚えられるのでしょうが,頭が悪い人間は努力でカバーするしかありません。
2011/01/25
- 講演用のスライドをバージョンアップしました。最新版は1月24日作成のものです。ご覧になりたい方は本名,所属を明記してメールでご連絡下さい。
なお,以前ダウンロードしたことがある方は同じアドレスからダウンロードできますのでご利用下さい。
- 「ミニエッセイ」をちょっとだけ更新。
- 第二次大戦中のイタリアに侵攻した黒人アメリカ兵部隊が遭遇した奇跡と感動の物語を描く映画,《セントアンナの奇跡》をレビュー。
「キリスト教とカトリックの神学的知識を十分に持っていて,1943年のイタリアの状況と当時のアメリカ軍における黒人兵の状況についてよく知っていて,なおかつ天使の存在を信じている人」にはオススメ映画かと思われます。
それ以外の人間には,ただただメンドクサイだけの映画です(・・・なんて書くと,神様のバチが当たっちゃうぞ)。
- 【JTT、「世界最小最軽量」の一眼風トイデジカメ】
何だ,この小ささは! もしかしたらSDカードくらいのサイズですよね? しかも生意気に交換レンズまで! おまけに,静止画だけでなく動画まで撮影!
ちなみにこのメーカー,超ミニサイズのビデオとかも作ってますね。「小さいメカ大好き人間」の心の琴線に触れるようなモノを創っているメーカーです。
2011/01/24
- 「歯科領域と湿潤治療について」という質問に回答しました。
- 『“不機嫌な”太陽 ー気候変動のもう一つのシナリオ』についてのレビューを追加。
- 「ミニエッセイ」をちょっとだけ更新。
- ちょっと面白い経過の患者さんが受診された。
自宅の犬に右前腕屈側を噛まれ,傷が浅かったために特に治療もせずに治った。しかし21日後に同部が突然腫れてきたため受診。高度の腫脹と発赤,圧痛を認め,抗生剤の点滴を4日連続。5日目に発赤の中心部に波動を触知したため切開し,排膿した(膿の性状から黄色ブドウ球菌と思われる)。以後は順調に経過。
何が面白いかというと,傷が治って20日間異常なかったのに21日目に突然感染を起こした,という点だ。普通なら「噛まれた際に創内に入った細菌が20日間分裂せずに眠っていて,21日目に突然増殖を始めた」,あるいは「噛まれて創内に入った細菌がゆっくりと増殖して21日目に感染症状を起こした」と説明すると思うが,これって本当なのだろうか。
なぜかというと,感染起炎菌は黄色ブドウ球菌と思われたからだ。この細菌はご存知のように20~40分に一度分裂し,40分に一回分裂するとしても24時間後には6.8×1010倍に増えるのである。
つまり,仮に「20日間分裂しなかった」とするなら,[当初は分裂できない環境だった]⇒[20日後に突然,分裂できる環境に変化した]ことになる。つまり,皮下組織の状態(=物理的・化学的性状)が20日目で激変したことになり,これはどう考えても不合理だ。
となると,唯一の合理的説明は,「噛まれた直後に脂肪組織内などに血腫ができて吸収されずに残り,20日目ころに黄色ブドウ球菌が何らかのルートで侵入して血腫に接触し,増殖して感染を起こした」しかないと思う。多分,これが正解だろう。
- そういえば,先日講演した高雄病院の江部先生の本の宣伝を忘れていました。糖質制限食による話題の糖尿病治療です。
というわけで,江部先生から頂いた本を読んでみました。内容は極めて論理的で納得いくものです。
「そうか,糖質制限か・・・」と考えていたら,私の食生活は偶然にも,あまり糖質を食べない食事であることに気が付きました(唯一の例外は日本酒だけ!)。朝食はブランなどのシリアルだけ,昼食は仕出しのヘルシー弁当(御飯の量は少ないです),そして夕食はお酒を飲みながら野菜たっぷりのお鍋と焼き魚だけでご飯や麺類は一切口にしていません。それでおなかが空くわけでもないし,もっと食べたいとも感じていません。
- ・・・というわけで,『生命の跳躍――進化の10大発明』を読み始めました。まだ最初の3章(生命の誕生,DNA,光合成)しか読んでいませんが,予想違わず面白いです。さすがはニック・レーンです。
ちなみに,生命誕生の場について私は「海底の熱水噴出孔周囲の泥で最初の生命が誕生した」という説で理解していましたが,この本では「アルカリ熱水孔周囲の鉱物の網目で誕生」という新しい説が紹介されています。さまざまな状況証拠から,どうやらこの「アルカリ熱水孔」の方が生命誕生の場の本命かな,という気がします。
また,光合成についてはあまり知識がなかったので,「光合成」の章は驚きの連続でした。別個に誕生したであろう光化学系ⅠとⅡがシアノバクテリアの中でなぜ統合されたのか,なぜ酸素が発生してしまうのか,・・・というあたりの説明は非常に面白かったです。そして,動物の支持物質であるコラーゲンと植物の支持物質であるリグニンの共通項として酸素を持ち出すあたりもすごいです。
ニック・レーンの広大無辺な知識と未知への尽きぬ探究心に脱帽です。勉強好きで好奇心一杯の天才には,我ら凡人は太刀打ちできません。
- 【抗生物質を壊す多剤耐性菌、国内定着の恐れ】
真核生物(動物や植物,カビ,アメーバ・・・)の「遺伝子」と,細菌の「遺伝子」は全く意味合いが異なります。細菌にとって遺伝子は共有物であり,地球全体が巨大な遺伝子プールであり,ネットに繋がったコンピュータでクラウド上のデータにアクセスするように,細菌たちは自己のアイデンティティを壊さない範囲内でどんどん遺伝子を取り入れては組み込んでいきます。つまり,世界のどこかで誕生した耐性遺伝子は,必ず日本の細菌に入ってきます。それが嫌なら鎖国して人的交流を遮断するしかありません。
この記事の感染者は80代女性で病院の入院患者であり,何らかの病気の治療で入院していたのでしょうから,耐性菌侵入は防ぎようがありません。耐性菌が死ぬのが許されないとしたら対策はただ一つ,「病院に入院しない。抗生剤を使わない」だけです。
それと,「細菌が検出された」⇒「その細菌が死因である」とはならないことです。毎度書きますが,colonizationとinfectionを混同してはいけませんが,現実にはこれは混同されています(実はCDCも混同しています)。これでは正しい対策が取れるわけがありません。
いずれにしても,たかが耐性菌が出たくらいで医者もマスコミも大騒ぎ,という愚行はそろそろおしまいにした方がいいと思います。
- 【フランス文化の一部、タバコを守れ!】
過去のフランス映画を観ていると,ほとんどすべての登場人物がタバコを吸っています。それが当時のフランスの文化だから当然です。同様に,2000年以前のアメリカ映画でも大多数の人間が喫煙者です。これは江戸時代を舞台にした映画にチョンマゲを結った人間しか登場しないのと同じです。
だからといって,「喫煙シーンがある映画を排除すべき」というのは間違いです。同様に,「サルトルがタバコを吸っていたのだから喫煙は正しい」というのも間違いだし,「喫煙できなければフランス文化の伝統が破壊される」と考えるのも間違いです。タバコは慣習であり,慣習は文化の一部ですが,一つの慣習が消えても文化のアイデンティティが消失するわけではありません。チョンマゲを結わなくなっても日本文化の本質は変わらないのと同じです。
2011/01/21
- 「外傷を湿潤治療している医師」,「熱傷を湿潤治療している医師」に岡山県倉敷市の平成南町クリニック/玉田二郎先生にもご参加頂きました。
- 途中までは緻密に計算された骨太社会派ミステリー映画だと思っていたら,ラスト5分で真相が明かされ,その真相ときたら・・・という,評価の難しい作品,それが《消されたヘッドライン》です。どっかでボタンを掛け違った感じです。
- 【バクテリアを“栽培”するアメーバ】
記事中のキイロタマホコリカビとは要するにかの有名な粘菌のことです。粘菌は生育条件が悪くなると胞子(子実体)を作って新天地を求めますが,この記事によるとその際,食料となる真正細菌を子実体に一緒に入れているらしいです。イメージとしては,トウモロコシや小麦の種を携えて新天地を開梱する開拓民,という感じですね。
この記事を読んで,「シロアリは受精卵の中に腸内細菌(=セルロース分解菌)を封入して子どもに伝える」というのを思い出しました。粘菌もいずれ,その方向に進化するんでしょうか?
- 【放鳥のトキ、秋田・仙北に これまでの飛来地で最北】
数が少ないのにここまで遠くに飛ばれては,トキの自然繁殖は難しそうですね。このような長距離(?)飛翔をするトキが続出するようであれば,人工的にトキをもっと増やしてから放鳥しなければ自然繁殖は不可能でしょう。
ちなみに,もともとロシアや中国北部のトキは渡り鳥,日本や北部以外の中国のトキは留鳥のようです。人工繁殖したトキは渡り鳥の遺伝子が目覚めちゃったんでしょうか。いずれにしても,トキにはトキの論理があって,それに従って行動しているんでしょう。トキにとっては人間の思惑とか都合なんて知ったこっちゃない,というところでしょう。
2011/01/20
- 「熱傷:全症例(?)の治療経過」に症例を追加しました。
- 「ミニエッセイ」をちょっとだけ更新。
- 『“不機嫌な”太陽―気候変動のもうひとつのシナリオ』をようやく読み終えた。とにかく,読んで理解するのに膨大な知識が必要な本である。地球の誕生から現在までの歴史,宇宙の進化,銀河系の構造,素粒子理論,生命の発生と進化,人類の歴史と気候変動・・・などが絡んでいるからだ。もちろん,基礎的知識については本書の中で説明されているが,やはり十分な知識があった方が楽に読み進められるし,理解も深くなる。
そして何より,本書を読み進めるうちに,それまでバラバラだった分野の知識が思いがけないところで結びつくのだ。これが最高に面白く,スリリングですらあった。知らないことを教えてくれる本も面白いが,既存の知識同士が結びつくことで新しい「知の地平」が目の前に広がることを教えてくれ本はさらにすごいのである。
この本でもっとも感動的なのは,「地球の気象変化には宇宙線が大きく影響している」という科学分野を打ち立てたスベンスマルクが,たび重なる批判に対して誠実な態度で証拠を積み重ねることで論破する不屈の姿だ。何しろ彼の敵は気象学の専門家であり,「二酸化炭素による地球温暖化」という「世界の常識」なのだ。特に後者は科学を離れて国際政治の取引材料になっているし,二酸化炭素による地球温暖化をとなえることで世界的に有名になった科学者もいる。そして彼らの一部は,政治の世界と結びついているのだ。スベンスマルクはこんな連中を相手にしたのだ。もちろん,正しい知識は「二酸化炭素増加は地球温暖化とはほとんど無関係」である。
いずれ時間があればきちんとしたレビューを書いてみようと思っている。
- 【地引網が大好きだ】
うわぁ,楽しそう! 近くでやっていたら絶対に参加したいです。
2011/01/19
- 熱傷や皮膚欠損創について,今後明らかにしてみたいことは次のようなことです。とはいっても,基礎的実験や動物実験が必要だったりするため,一臨床医にすぎない私には荷が重いものばかりです。未来の研究者に解決を委ねます。
- 湿潤治療で上皮化したⅢ度熱傷創(全層皮膚欠損創)に関する未解決の問題
- 知覚
- [全層皮膚欠損⇒肉芽が創面を被覆⇒周囲から皮膚が再生]という過程で再生した皮膚の知覚はほぼ正常と思われる。
- どのような過程で知覚は再生しているのか?
- ミクロで神経の再生(?)は確認できるのか?
- 再生皮膚の湿度
- 分層移植した皮膚は乾燥しているが,湿潤治療で上皮化させた全層皮膚欠損の再生皮膚はそれよりは乾燥していない。
- その理由は?
- 再生皮膚上の細菌叢
- 細菌の種類は?
- その細菌の代謝はどうなっているのか? 何を栄養にしているのか?
- 移植皮膚の上の細菌叢の菌種はどうなのか?
- 指尖部損傷・切断指
- 湿潤治療で治療すると切断指に断端神経種ができないようだ。なぜできないのか?
- 断端部の神経のミクロ所見はどうなっているのか?
- 従来の治療ではなぜ断端神経種ができたのか? 断端神経腫の形成に治療(乾燥,消毒薬,種々の軟膏)が関与していた?
- 【プリオン:空気感染は「非常な少量でも致死」】
「口⇒気道⇒脳」という経路でプリオンが感染した,と記事では説明していますが,それはさすがに無理があるんじゃないでしょうか。
プリオンは209個のアミノ酸から構成されるタンパク質で分子量は33,000~35,000です。一方,物質が脳に入るためにはblood-brain barrier (BBB) を通る必要がありますが,BBBは分子量500を越える分子は通しません。つまり,病原体である異常型プリオンが脳に入るためには「アミノ酸に分解されてBBBを通り,脳で再度異常型プリオンとして再合成される」か,BBBが機能していないか,どちらかが必要になります(・・・他に可能性があるのかなぁ?)。
このあたりについて,きちんと説明されているんでしたっけ?
- 【JR常磐線:上野-仙台間,直通特急存続要望 南相馬市長ら,JR水戸支社に /福島】
上野を10時ちょうどに出発した「スーパーひたち」が仙台に到着するのは14:09で,同じ10時に上野を出た東北新幹線なら11:30過ぎに仙台に到着します。ちなみに両者の値段の差は1,200円ほどです。しかも,直通の「スーパーひたち」は1日に3本のみ,一方の新幹線は1時間に4本ほど出ています。
つまり,上野から仙台に移動する手段として常磐線特急と新幹線を比べると前者に勝ち目はありません。需要があるのは「仙台からいわき・水戸へ」か「上野からいわき・水戸へ」という中距離移動の特急だけでしょう。
- 【技術記者が解説する「ウィキリークスを潰せない理由」(後編)】
昨日紹介した記事の後編です。ドメイン名などについての基本的な知識が勉強できます。
- 【音楽に強い2万円台の安価なタブレットは使えるか】
雨後の筍の如く新製品ラッシュが続いているのがAndroidタブレットPCです。どれを見ても似たような外見で,しかも機能的にもほとんど差がないため,どれを買ったらいいか迷うほどです。そんな中でひと味違うというか,一味足りない感じなのがCreative Ziioです。ちなみに,Creativeといえば,私のような10年以上昔からのmp3プレーヤーユーザーにとってはもっとも気心の知れた仲間みたいなメーカーです。
このタブレットPCのどこがひと味違う(ひと味足りない)かというと,無線LAN以外の通信機能がないことです。WiFiどころかSIMも搭載していません。「ネットに繋げないんじゃ使い道がないよ」と思ってしまいますが,逆に言えば,「SIMを搭載していない=毎月の通信費がかからない」わけだし,音楽プレーヤー,動画プレーヤー,その他のデータビューワとして使うのであれば十分実用的です。
- 【暗黒物質でできた見えない銀河を検出】
私は,「重力理論(相対性理論を含む)は近似解であり,さらに精度の高い修正重力理論が取って変わるべきであり,修正重力理論においてはダークマター(暗黒物質)もダークエネルギー(暗黒エネルギー)も必要ない」という考えの方を信じています。要するに,アインシュタイン=ニュートンの重力理論を一部修正するだけでダークマターは必要なくなりし,理論体系としてシンプルです。
- 【再生可能エネルギーだけの未来は来るか】
これまで何度か書いていますが,再生可能エネルギー(=非化石エネルギー)だけで人間活動をまかなえるか,という問題の本質はエネルギーを作り出す技術にあるのでなく,創りだしたエネルギー(=電力)を貯蔵・移動する技術にあると考えています。
例えば太陽光発電なら,赤道直下の砂漠一面に太陽光パネルを置いて発電すれば大量の電力を作り出せますが,砂漠で作った電力を都市に運ぶ手段が限られている点に問題があります。石油のように「砂漠から都市にタンカーで運ぶ」ことができません。逆に言えば,電気を貯める軽量・単純なシステムを発明できたら,世界のエネルギー問題は恐らく解決します。
2011/01/18
- 『ゴッドハンド輝』の作者,山本航暉先生から日本最高の焼酎(と私が勝手に呼んでいる)『がらるっど』を頂きました。これは感動的に旨い酒です。山本先生,ありがとうございました。
- 以前紹介した《ソーラー・ストライク》という映画と縁もゆかりもない映画,《ソーラー・ストライク セカンド・メルトダウン "MELTDOWN:Days of Destruction"》を紹介。あまりに杜撰な作りなんで,ツッコミを入れながら見るのに最適です・・・ってか。
- 【技術記者が解説する「ウィキリークスを潰せない理由」(前編)】
世界最強の国家アメリカがなぜ個人運営のサイト一つ潰せないのか,インターネット犯罪の捜査はなぜ難しいのか,そもそもインターネットとはどのような仕組みになっているのか・・・などについてとても分かりやすく解説する記事です。
結局,インターネットの基本システムは性善説に立脚しているため,「情報を取り締まりたい・握り潰したい側」より「情報をばら蒔きたい側」に有利になった,という気がします。
- 【100円ライターを,分解して,こうやって,ああやってすると,バイクになっちゃった!】
これはすごいです。2個の100円ライターを分解してその部品からミニアチュアのバイクを作っちゃいました。説明は中国語ですが,詳細な図が付いていますので,これを参考にすれば作れそうです。
それにしても,何でこんなことを考えついたんでしょうか。こういう,創意工夫を見るとわけもなく感動してしまいます。
- 【東芝 dynabook 春モデル発表,見る角度で色の変わる Qosmio T750/T8B など】
私は,世界で初めてノートパソコンが販売された頃からノートパソコンを使っています。安物プラモデルみたいな筐体のノートパソコン,銀色に輝く「銀パソ」,マグネシウム合金で強度を誇るノートパソコン,モルフォ蝶や牡丹の花が美しく飾るノートパソコン,ランボルギーニのエンブレムが誇らしげなノートパソコン・・・など,ありとあらゆるノートパソコンを見てきましたが,このQosmioのような「見る角度によって色が変わる」筐体は初めてじゃないでしょうか。これで「重さ1kg以下,厚さ1.5cm以下, SSD 128MB」だったら,絶対に欲しいです・・・というか,買います。
- 【ジョブズCEO,病気治療に専念=後継者問題再燃―米アップル】
iPod以降のアップルの快進撃はいわば,スティーブ・ジョブズの「俺はこんな製品が欲しいんだ!」という個人的な思い入れを洗練されたデザインで実現したことで始まりました。iPadもAir Macもすべて,ジョブズの頭の中にあったものを製品化したものです。逆に言えば,いつかは「ジョブズなしにジョブズのような」製品を生み出さなければいけなくなるわけです。
考えて見れば,創業者の個人的才能が全ての発想と創造の根源である会社にとって,最大の問題は常に後継者問題でした。アップルもその問題に直面しつつあるというだけのことですが,他のIT企業もいずれこの問題にぶつかるはずです。
2011/01/17
- 「湿潤治療の講演をしている医師」に,東京都昭島市の昭島病院 外科/上原 淳先生もご参加いただきました。ありがとうございます。
- 講演用のスライドをバージョンアップしました。最新版は1月16日作成のものです。ご覧になりたい方は本名,所属を明記してメールでご連絡下さい。
なお,以前ダウンロードしたことがある方は同じアドレスからダウンロードできますのでご利用下さい。
- 「ミニエッセイ」をちょっとだけ更新。
- 先週ころから,低温熱傷の患者さんからのメールでの問い合わせが多くなってきて,今年もまた「低温熱傷の季節がやってきた」という感じです。皆様,湯たんぽやホッカイロは注意してお使いください。
- 先週金曜日,京都の高雄病院で講演したが,その際,アトピー性皮膚炎(同院では多くのアトピー性皮膚炎の治療を積極的に行っている)について質疑応答があり,そこで考えたことがあったので,忘れないうちにまとめておく。
私は図らずも,アトピー性皮膚炎(と皮膚科医から診断され,数ヶ月~数年間,通院治療を受けているのに治っていない)を治療することになってしまった。とは言っても,私の皮膚科の知識は医学部学生以下だし,治療手段と言っても「乾燥を防ぐ」ことしか知らないから,せいぜいデュオアクティブを貼るかプラスモイストを張るかワセリンを塗るくらいである。皮膚科の先生から「そんなの治療じゃないよ」と言われそうだ。
ところが,それでほとんどの患者さんが治ってしまう。しかも,数日とか1週間とか,短期間で・・・。
例えば次のような感じである。
- アトピー性皮膚炎 ⇒ボディーソープとシャンプーを止めさせ,ワセリンを頻回塗布すると大体すぐに治る
- 接触皮膚炎とか慢性湿疹 ⇒デュオアクティブかプラスモイストで数日で治る
- 皮膚掻痒症 ⇒フィルム貼付,ワセリンの頻回塗布で結構よくなる。
- 乳児湿疹 ⇒ベビーソープとベビーシャンプー,弱酸性ビオレの使用を止めさせ,ワセリンの頻回塗布だけでほとんど治る。浸出液が多い場合はプラスモイスト貼付。
- 乳児脂漏性湿疹 ⇒シャンプーを止めさせるだけで大体よくなる。
せいぜい数十例の治療例だが,まとめると次のようになる。
- 種々の皮膚疾患があるが,乾燥を防ぐだけで治るものが結構ある。
- その乾燥をもたらすのはボディーソープとかシャンプーなどではないか。
- 体を洗って汚れを落とすという人間の生活習慣が,皮膚科疾患の根本原因ではないのか。つまり,皮膚疾患の多くは「生活習慣病」である。
- 「肌には汚れがついている。その汚れを洗い落とさないと皮膚は不健康になって老化する」という先入観が諸悪の根元。
- [皮膚が乾燥⇒痒い⇒掻く⇒傷ができる⇒さらに痒い]という悪循環
- 痒みが強い場合には「皮膚掻痒症」という病名がつき,傷ができて浸出液がでる場合には「湿疹」という病名がつき,子供の場合には「アトピー性皮膚炎」という病名がつく。足底にできれば「水虫」という病名がつく場合もあるし(偽水虫は結構ある),特定の原因がなく治らない潰瘍なら「難治性潰瘍」という病名がつく。
- しかし,根本原因は一つ。だから,すべて同じ治療で治ってしまう。
これが正しいとすると,すべての皮膚疾患・皮膚科疾患は二つに分けられることになる。
- ボディーソープとシャンプーを止めてワセリンを塗ったりプラスモイストを当てたりするだけで治ってしまう疾患
- それでは治らない疾患
山勘だが,前者が6~7割を占めているような印象を持っている。これらはそもそも一つの治療法で治るのであれば異なる病名で呼ぶ必要はない。むしろ,従来のように異なった病名をつけて呼ぶと「病名が異なるなら治療法も変えるべき」と考えてしまいかねない。「治療が同じなら,見た目の病態像が異なっていても一つの疾患(群)として扱う」くらいの大胆な発想が必要だろう。もちろん,過去の皮膚科の常識はすべて捨て去る必要がある。
そしてその上で,後者に含まれる疾患の病態像を新たに構築し直せばいい。その場合も,「皮膚の再生のための最善の治療がなぜ有効でないのか?」という視点から,その疾患の病態像を見直す必要があると思う。
私は皮膚科医ではないので無責任な提案ができるが,このくらい大胆な発想を持つ皮膚科医が現れて皮膚科疾患の体系を根本から組み立て直さない限り,皮膚科に未来はないんじゃないかと思っている。
- 【看護師不足に悩む手術現場,担当者ら不安拭えず】
看護師さんの仕事の中で手術室の器械出しというのはかなり特殊な部類です。というか,そもそも「看護」なのかという疑問もあります。器械出しには普通の意味での「看護」の要素はありません。患者さんと会話することもないし,患者さんの不安を取り去ることもできません。
しかも,器械出しの技術は極めて特殊なため,他の看護業務(病棟勤務や外来勤務)と共通する要素はほとんどありません。しかも,手術が高度になるにつれて覚えることはどんどん増えます。そのため,器械出しのベテランになればなるほど他の看護業務に移動しにくくなります。他の看護業務との共通点がまるでないからです。つまり,看護師としての「つぶし」がきかなくなります。看護師さん本人にとって,これはあまり嬉しいことではないと思います。
というわけで,器械出しは医者の仕事にしてしまえばいいんじゃないでしょうか(・・・もちろん,医者も不足しているけどね)。医者なら手術の器械・器具のことは熟知しているし,特に教育も不要です。私も大学病院時代,緊急手術なのに看護師の手配がつかないことがあって,ぶっつけ本番で器械出しをしたことがありましたが,何の支障もなく手術できました。ま,私でもできるんですから,外科医なら誰でもできるんじゃないでしょうか。
- 【センター試験,冷え込みや雪で5600人影響】
これまで何度か書いていますが,日本で一番気候が厳しく,荒れ模様の天気が続いて交通が乱れ,おまけにインフルエンザが大流行期になるのは1月末から2月にかけてです。それが前もって分かっている時期に入学試験やセンター試験をぶつけるのは馬鹿じゃないでしょうか。これじゃまるで,台風が来ているのが分かっていてサーフィンに行って溺れるおバカさんと変わりません。
絶対にトラブルが起こると分かっている時期にセンター試験を行い,去年もトラブルが起きて今年もまたトラブルが起きちゃいました,というのを何年続ければ気が済むのでしょうか? 確かに今年は大きなトラブルはなかったようですが,それは偶然の結果であり,受験生は「果たして試験開始に間に合うのか?」といの痛くなるような思いをしているはずです。これは受験生には酷です。
4月入学という他の国がほとんどしていない風習を止めれば,入学試験は5月から6月になり,天候によるトラブルもインフルエンザ流行も気にする必要はなくなります。
2011/01/14
- 今週号の少年マガジンの『ゴッドハンド輝』の数シーンでまたもやプラスモイストが登場しています。山本航暉先生,いつもいつもありがとうございます。
- 本格派の傑作サスペンス映画という評価の高い映画ですが,私の好みには合わなかったのが《デジャヴ》です。この手の映画にタイムトラベルを使っちゃダメです。タイムトラベルを使えるなら推理もクソもありませんから・・・。
- 先日,ちょっと紹介した『“不機嫌な”太陽―気候変動のもうひとつのシナリオ』の最初の数ページを読んでいます。何やら面白そう。どうやら,雲の生成に宇宙線が関与していて,大気圏に届く宇宙線の量は太陽の活動が左右する,というのが大まかな筋書きなのかな? 違っているかもしれないけど。そしてどうやら,地球が数回経験した全球凍結(Snowball Earth:地球全体が赤道にいたるまで全て凍結。これまで3回ほどあったらしい)の謎がこれに絡んでいるようです。それと何より,宇宙全体の構造から地球の気候変動を解明しようとする気宇壮大さがいいです。
全球凍結に関する本(例:『凍った地球―スノーボールアースと生命進化の物語』 (新潮選書))をいくら読んでもよくわからないのは,なぜ全球凍結が始まったのか,それはなぜ終了したのかです。これまでだと大陸移動の結果として巨大大陸ができて海流が変化して寒冷化したとか,地表面積が増加したためとか,いろいろな仮説が出されていたと思いますが,どれも隔靴掻痒の感がありました(・・・と私は感じています)。
それが,大気圏に降り注ぐ宇宙線が増えて雲が多く作られ,それが太陽の光を遮り・・・となると,非常に分かりやすくなります。また,これまで未解決だった様々な謎(例:太陽がまだ暗かった太古の時代に実は地球は温暖だった)も解明できるようです。
ちなみに,最近相次いで,「二酸化炭素増加⇒地球温暖化」という通説に対する反対意見が発表されています。また,温暖化することは問題ではない,本当に怖いのは寒冷化だ,という意見も出ています。温暖化では人類は滅びませんが(一部地域で住めなくなる程度で,高緯度地方は逆に暮らしやすくなる),寒冷化は人類を確実に滅ぼすからです。
2011/01/13
- 「熱傷:全症例(?)の治療経過」に症例を追加しました。
- 「ミニエッセイ」をちょっとだけ更新。
- 医局で聞いたちょい面白い話。肺気腫とそれを診断した医者の会話です。
- 「タバコを吸ってますか?」
- 「もちろん,昔からずっと吸っているよ」
- 「タバコを持っています? ほら,注意書きのところに肺気腫になる危険がありますよ,って書いていますよ。この肺気腫にかかっちゃったんですよ」
- 「なんか書いていることはわかっていたけど,肺気腫って何なのかわからなかったんで,タバコを吸っていたんだ」
というわけで,タバコのパッケージの警告文は医者以外の人間には危険情報として認識されていないようです。
- 【岡山大,夜でも充電可能な次世代太陽電池を開発中! 】
可視光だけでなく赤外線でも発電でき,しかも酸化鉄という極めて安価でどこにでもある物質を使って作れる,夢のような太陽電池です。実用化したらすごいです。
2011/01/12
2011/01/11
- 「紙オムツのポリマーを使ったクッション」ネタ,まだまだ続きます。
- 「ミニエッセイ」をちょっとだけ更新。
- ワセリンによる手荒れの予防・治療法は患者さんに非常に喜ばれるが,患者さんに説明する時にちょっとしたコツがある。ワセリンを塗ってペーパータオルなどでべたつきを拭き取った後,「ちょっと手を濡らしてみましょう」と水道の蛇口まで連れていき,手を水で濡らしてもらうことである。
すると十中八九,患者さんは「水をはじいている!」と歓声を上げるはずだ。ワセリンは油だから油が水をはじくのは当たり前だが,自分の手が水をはじく様子を実際に見るとやはり驚くのだ。そして,ワセリンが皮膜になって手を守っているということを実感してくれるのだ。
もちろん,患者さんを水道のあるところまで連れていって,水道の蛇口で手を濡らしてもらうというのはちょっと手間だが,そのちょっとした手間をかけるかかけないかが大きいと思っている。医者や看護師がちょっと手間をかけて患者さんに喜んでもらう,それがサービスじゃないかと思う。
- 近未来のメキシコを舞台にしたSF映画,《マインド・シューター "Sleep Dealer"》を紹介。発想自体は悪くないのですが,いろいろな要素を詰め込み過ぎて印象が散漫になってしまったようです。無駄な部分をそぎ落として,セットにもうちょっと金をかけてリメイクすれば傑作映画になりそうです。
- 今読んでいるのが,『本当は謎がない「古代史」 』(ソフトバンク新書)。
例えば古代の資料についての筆者の姿勢は,「日本書紀・古事記は政治的歪曲があるから歴史資料として扱うべきでない,という考えがある。それを言うなら世界中の史書は似たりよったりだ。それなのに,中国や朝鮮の史書については全面的に記述を信用するというから不思議だ」というように単純明快で極めて論理的です。
ちなみに,読む人を想定して書かれた公式文書(例:魏志倭人伝)は資料的価値が低いです。読む人に阿って書かれた可能性が高いからです。逆に資料的価値が高いのは,家計簿,出納帳,借金の証文などです。読まれることを想定せずに書かれたからです。
- 【鳥,魚,カニ…大量死ミステリー 米で報道過熱】
【鳥の大量死はなぜ起きたのか?】
アメリカのマスコミはどんどん加熱していて,いよいよ黙示録の終末予言の始まりか,なんて騒ぐおバカさんまで出る始末。何でも聖書に結びつけるアメリカンな人々,頭悪すぎ!
実は野生動物の大量死は結構起きています。人間の目に付くところで死んでいればニュースになり,目に付かなければニュースにならない,という違いがあるだけです。
- 9日(日)の夜,NHK教育でドビュッシーの交響詩『海』を取り上げていた。久しぶりにこの曲を聞いたし演奏も素晴らしかったが,何度聞いても私にはこの曲が「海」には聞こえない。オーケストラの様々な音が邪魔でしょうがないのだ。同じフランス人が描いた「海」なら,ラヴェルのピアノ曲『洋上の小舟』の方がよほど本物の「海」のイメージに近い,と昔から思っている(・・・ドビュッシーには悪いけど)。
- 【月内部に地球に似た核=アポロ観測データを再分析―NASA】
太陽系のことを知れば知るほど,地球の衛星の月は不思議な存在です。まず何より,主星に比べて大き過ぎます(直径でいうと地球の直径の1/4だが,こんなに大きい衛星を持つ惑星は太陽系にない。また,衛星軌道も主星からかなり離れている)。その月に固体の内核と液体の外核があるらしい,というのがこの記事です。
ご存知のように,地球の中心には主に鉄からなる核があり,中心の内核は固体の鉄で,その周囲を液体の鉄からなる外核が取り巻いているという構造をしています。そしてこの核が地球に地場を作り出しています。この地磁気が強烈な太陽風から地表を守るガードの役目を果たし,原始地球に誕生した原初の生命体を守ってくれたと考えられています。逆に火星では固体の内核はあるものの液体の外核がなく,そのため磁力は極めて弱く,太古に火星に発生したかもしれない生命体は守られなかった,と考えられています。
今回の発見は,月に固体の核とともにその周りに液体の外核が取り囲んでいるというものです。・・・ということは?
- 【オートフォーカス電子メガネ emPower!】
メガネっことしてはマジで欲しい商品です。レンズ全体を視線によって自動的に切り替えるというアイディア,すごいです。
- その他,気になっている本。とりあえず買っといて,暇ができたら読もうかな・・・と。前者はあの名著『ミトコンドリアが進化を決めた』の著者,ニック・レーンの最新作です。
2011/01/07
- 「ミニエッセイ」をちょっとだけ更新。
- 昨日,紙オムツのポリマーを利用したクッションというちょっとビンボ臭い工夫を紹介しましたが,早速,ポリマーを扱っている会社の方から次のようなメールを頂きました。
吸水後のゲルを上手く活用する発想には脱帽しました。
吸収後のゲルは仕事柄日常的によく目にしているのですが,多分,我々の紙おむつ業界では,吸収させる事ばかり目が向いており,吸収後のゲルを利用するなどの発想は誰も出ないと思いました。いい勉強になりました。
- 以前から,「陥入爪という病気はない。爪郭炎は深爪という生活習慣が原因だ」と考えていて,テーピングと爪やすりによる治療法などを紹介しましたが,もうひとつ,肥満の問題が大きいのではないかと気が付きました。これは「手の親指を深爪しても爪郭炎はあまり起きないが,足の第1趾を深爪すると高率に爪郭炎を起こす」ということがあるからです。実際,治療に難渋する「深爪性爪郭炎」の多くは肥満している人が多いです。
両者の違いは何かというと,「手の親指には体重はかからないが,足の第1趾には体重がかかる」ということでないかと考えています。
- 近未来,旱魃の続くオーストラリアで巨大山火事が起こり,街に迫ってきた時に起こるであろう大災害を描く,良質なディザスター映画,《シティ・オン・ファイアー "Scorched"》を紹介。派手さもケレン味もないテレビ用映画ですがかなり面白いです。
- 【豪州の洪水は被災者20万人,新たな大雨で被害拡大の懸念も】
・・・という映画を紹介しといてなんですが,こういうニュースもあったりします。ちなみに今回洪水があったのは北東部ですから,オーストラリア大陸の中では雨が多い地域じゃなかと思います。
最近の地球のあちこちでの雨の降り方を見ていると,降るときにはタガが外れたように際限なく降って洪水を起こし,降らないところでは以前にも増して徹底して降らなくなる,という両極端へのブレが大きくなっています。
- 【カシオ,ダブルヒンジ構造デジカメ TRYX などを正式発表】
久しぶりに「何,このデジカメ!? なんかよくわかんないけど,すげぇよ。格好いいじゃん」と(心のなかで)叫んでしまったのがこれ。カシオ,やるなぁ。
以前,カメラ部分と液晶部分が別々に動くデジカメを使っていましたが,低いアングルや高いアングルから撮影するときにとても便利だったことを思い出しました。
- 【世界最速,底から注ぐビールサーバー(動画)】
「なんじゃぁ,こりゃ! どうなっとるんじゃ!」という言葉が思わず口から出るであろう動画です。コップは使い捨てということですが,「コップの底からビールが湧いて出てくる」様子を見たら,そんなのどうでもよくなります。
2011/01/06
- 「紙オムツを使った超安上がりなクッションの作り方」を追加。
- 今,読んでいるのが『DNA誕生の謎に迫る! 遺伝子の本体DNAはどうつくられたか? 構造,進化,複製から起源の謎をひも解く! 』(サイエンス・アイ新書)です。一般向けの本で「左ページに文章,右ページは図やイラスト」という構成ですが,文章はこなれていて読みやすく,中身もなかなか濃いです。
DNAのような複雑な構造を持つ遺伝物質が太古の昔にどのように作られたのか,それは当初どのような構造をしていたのか,DNAとRNAの構造の違いの本質は何なのか・・・というような問題を分かりやすく解説していて,私のような「中途半端な生物学の知識を持つ医者」にはとてもありがたい本です。ちなみに私は,共有結合と水素結合の意味をこの本で再確認しました。なるほど,そういう事だったんだよね・・・ってね。
- 【2011年は「セクシー素数」の年】
「2011は11個の連続した素数の合計」というのがなんとも素敵ですが,誰がどうやって見つけたんでしょうか。ラマヌジャンあたりでしょうか。
- 【北アメリカでマルハナバチが激減】
セイヨウミツバチの謎の大量失踪に次いで,マルハナバチ,お前もか・・・というちょっと不気味な事件です。原因は全く不明で,このあたりも,ミツバチ大量失踪と似ています。このハチは農作物の受粉に広く活用されていて,代役となる昆虫はいませんから,農業に与える影響はかなり大きいはずです。
- 【「集団自殺」に突き進む日本人】
辛辣でショッキングなタイトルですが,このまま進んでいけば断崖絶壁しかないのが分かっているのに,進む方向を変えようともせず,断崖から落ちないような工夫もしようともしない国,それが日本だと警告を発しています。このままだと確実に労働者が減少し産業も社会も衰退していきます。
この問題も切実なものですが,とりあえず私は,今から10数年後に始まり,それから10年続くであろう「団塊の世代の大量死」を乗りきれるのか,そちらの方が心配です。現在の日本の死者が年間で110万人くらいですが,15年後には160万人となり(何しろ団塊の世代は最も数が多い世代です),死者は1.5倍に増加します。つまり,「高齢者が自宅で急変したら病院に救急車で運び,救命処置をする」という現在のシステムのままなら,現在の1.5倍のマンパワー(医師・看護師)と病院ベッドが必要になります。
現行のシステムを維持してマンパワーと施設を増やすか,システムそのものを作り直すか,道は二つに一つではないかと思います。
- 【iPhoneもしのぐ世界最強ケータイ】
世界で最も売れている携帯電話はiPhoneでもなければBlackberryでもありません。2003年発売のノキア1100です。ネット接続もできなければワンセグも見られず,できることといったら通話とメールのやり取りだけです。しかし,世界のどこでも使えます。まさに「携帯電話界のカラシニコフAK-47」です。
・・・と書いてきて,私も実はXperiaでなくノキア1100で十分であることに気が付きました。Xperiaを通話用にしか使っていないからです(使い始めて半年も経つのに,使い方を勉強する暇が全然なくってさ・・・)。XperiaもiPhoneも「アーマライトM16カスタム」みたいなものですが,私にはAK-47で十分なんですね。
2011/01/05
- 『働かないアリに意義がある』の書評を追加しました。
- 福岡県の先生から次のようなメールを頂きました。
私の担当している特別養護老人ホームに胃瘻からのリークが多い方がおられます。瘻孔周囲皮膚のびらん・発赤が続き,ワセリン塗布,プラスモイスト使用なども試みておりましたが,うまく皮膚炎をコントロール出来ませんでした。胃瘻栄養中止も検討するほどでした。
そんな時,【右結腸人工肛門の周囲がビランがひどく難儀しています】という記事を読みました。褥瘡や熱傷とは違い,液性成分のみの問題ではなく,消化管内容が問題だったのだとハタと気付きました。
そこで,上記の方法を使ってみたらナースが驚きの声をあげました。2年来の問題が片付いたのです!! 現在では,私の指示ではなく,ナースが自発的にガーゼとポリマーの最適比率を検討する段階にまでなっております。
とても嬉しかったのと,同じような悩みをかかえておられるdoctor/nurseや患者家族の方の一助になるのかもしれないと思い,ご報告申し上げる次第です。
お役に立てたようでよかったです。
- 【元NYタイムズのピュリツァー賞敏腕記者が見たウィキリークスの正体と正しい内部告発のあり方】
ウィキリークスについての分析記事は多数ありますが,ウィキリークスとシー・シェパードって似ていませんか? 目的のためには手段を選ばないという論理とか,視野狭窄的論理とか・・・。両者について,そのうちじっくりと論じてみようかなと思っています。
- 【あっ,コース間違えた!国学院大ヒヤヒヤ初シード】
1月3日の午後2時ころ,駅伝中継をテレビでこのシーンを見ていた全国の家庭で悲鳴が上がったんじゃないでしょうか。走者が1年生だったことを考えると,もしもこれで11位に終わったら「あの駅伝でコースを間違えて11位になった人ね」と一生言われ続けたんじゃないでしょうか。
それにつけても思うのは,先頭を走るものの辛さです。先頭を走っていると自分でコースを見つけるしかありません。2番手,3番手はそういう先頭走者の後をついて走ればいいだけで,先頭者の辛さとは無縁です。今回の国学院大チーム最終ランナーを見て,そんなことを思いました。
- 【中学生の背を刺し男逃走 土浦のホームセンター駐車場】
茨城県がニュースになるのは無差別殺人とか,県議会選挙事務所に保冷車突っ込み殺人事件とか,無差別傷害事件とか,そう言うのばかりです。
そういえば,「選挙事務所保冷車突っ込み殺人事件」発生から2週間以上たっていますが,犯人はまだ捕まっていません。「犯人」は地元民なら誰でも知っているようですが・・・。
2011/01/04
- セブン&アイグループ労働組合連合会の雑誌「パンプキンクラブ」2011年1月号に,『キズ・火傷を早くキレイに治す「うるおい治療」』が掲載されました。一般向けに市販されている雑誌ではありませんが,読者は非常に多い雑誌でしょうから治療を広く知ってもらえそうです。
- 「熱傷:全症例(?)の治療経過」に症例を追加しました。
- 「ミニエッセイ」をちょっとだけ更新。
- 【もち詰まらせ高齢者10人死亡,東京など】
人が死ぬことは異常なことだろうか,それとも自然なことだろうか。嚥下機能が低下してきた高齢者にとって,餅による窒息死は不慮・不測の死なのだろうか,忌み嫌うべき異常な死なのだろうか。
多分,それは数ある高齢者の死因の一つに過ぎないと思う。単に,数日間に死者が10~20人集中するから目に付くだけで,交通事故の死者が年末年始に集中したり,インフルエンザの死者が冬期に多いのと変りないと思う。
また,調べてみるとわかるが,餅による窒息死と同じくらいご飯による窒息事故が発生している。その意味で危険性はご飯も餅も同じだ。違いは発生時期が集中しているかどうか,マスコミが報道するかどうかでしかない。
2011/01/03
- 恐らく,若い観客にとってはつまらない映画,中高年以上の観客にとっては容赦なく辛辣でそしてなお心優しい感動作,それが《人生は,時々晴れ》だ。
- 先日,ちょっと紹介した『働かないアリに意義がある』 (メディアファクトリー新書)ですが,ムチャクチャ面白かったです。ハチやアリが解決しなければいけない問題とは,「最小限のコードサイズで,ありとあらゆる問題に対処できるプログラム(アルゴリズム)を作れ」ということなんですね。何しろ昆虫の脳は針先より小さいですから,これでどんな問題も解決しなければ絶滅します。おまけにハチやアリは巨大は社会を作って生きているわけで,対処しなければいけない問題は膨大です。それに対する解答が「働かない働きアリ」だったのです。
- 同様に,正月中に読み終えたのが『名画で読み解く ハプスブルク家12の物語』 (中野京子,光文社新書 366)です。これまで何冊か中野京子の本を読みましたが,どれも面白く,この本も例外ではありません。まさに「中野京子に外れなし」です。
2011/01/02
- かのSF超大作映画にそっくりのタイトルとそっくりの設定の映画ですが,規模も予算も本家の1/100ほどと思われるチープなSFパニック映画,《アルマゲドン2007》を紹介。ここまでチープだとかえって楽しいです・・・いろいろとツッコミを入れられて・・・。
2011/01/01
- 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
- 心温まる最高に素敵なシャンソン・ミュージカル映画,《幸せはシャンソニア劇場から "Faubourg 36"》をレビュー。本当に良い映画です。
- 2010年12月30日,つまり2010年最後の本屋さん巡りで見つけた本が『働かないアリに意義がある』 (メディアファクトリー新書)です。著者の長谷川英祐さんは進化生物学者で,「働き蟻の7割は働いていない。1割は一生働かない」ことを発見した方のようです。ちょっと面白そうなんで,思わず手にとってレジに向かいました。
- うさぎ年にちなんで
超おデブで福々しく豊満なウサギちゃんたちのネット画像を集めてみました。