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2007/01/31
- 「外傷を湿潤治療している医師」に島根県益田市の益田地域医療センター医師会病院 外科 五十嵐雅彦先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
- 「パラダイムから見た医療」シリーズ第5弾,「学会ができた時,一つのパラダイムが完成する」を追加。次第にシャレですまない領域に足を踏み入れているような気がしますが,とりあえず,気がつかないフリをして書き進めようと思います。
- この関連でいくと,「CDCの感染対策ガイドラインも単なるパラダイムに過ぎない」ということに気がつきます。
CDCの提唱する「術後創感染(SSI)対策」を厳密に守っても創感染がちっとも減らないのは,解釈がまだ不十分なためではなく,CDCの方針そのものが間違っているからだと考えると簡単に解決します。つまり,「CDCの方針を真に受けてしまったから感染が減らないのだ」と考えればいいのです。CDCといえども,たかが一つのパラダイムです。いつかは破綻する日,馬脚を現す日が必ず来ます。
ところが,CDCガイドラインを聖書かコーランの如く,金科玉条の聖典として崇め奉っている純真な方々がいて,その方々が「インフェクション・コントロール」業界に集っています。だから,この方々の言うことを真に受けても,院内感染もMRSA感染も期待したほどは減りません。聖典と奉っているCDC自体が間違っているからです。
いずれ詳しく書きますが,CDCの院内感染対策,術後創感染対策が無意味なのは,「そもそも創感染とは何か,細菌とはどういう生物なのか,何が創感染なのか」という根本を考えていないからです。だから,何がなんだかわからない総花的ガイドラインができてしまうのです。
この「総花的ガイドライン」は日本褥瘡学会のガイドラインが総花的なのと根は同じです。総花的ガイドラインの特徴は,現場で役に立たないことにあります。
医学界には「聡明だった看護師がWOCナースになったとたんに石頭ナースになる」という超常現象がありますが(・・・もちろん,柔軟な思考ができるWOCも沢山いらっしゃいますよ),これもパラダイムの視点から解明できます。パラダイムを真実だと信じ込ませる教育を強制的に受けたからです。WOCナースが悪いのでなく,彼女たち,彼らたちが受けた教育(洗脳とも言う)が悪いのであって,彼女たち(彼らたち)に罪はありません。
2007/01/30
- いま,暇があると開いて眺めているのが『生物図録 視覚でとらえるフォトサイエンス』(数研出版)です。840円という値段が信じられないほど全ページにきれいな写真が掲載されていて,見ているだけで楽しいです。そして何より,生物学全般と基礎的医学の知識を見直すのに最適です。
医者を長年していると,医学知識さえ覚えていればいいと考えがちですし,その医学知識にしても,自分の専門に関する非常に狭いものになってしまいがちです。そのため,「医学の常識」という言い伝えとか思い込みで医療を考える癖がつき,科学的に嘘っぱちの治療(例:ゲーベンクリームを熱傷治療に使う,ユーパスタが褥創治療に使う,アトピー患者に尿素クリームを処方する,尿素は保湿剤である・・・)をしたり,薬剤の効能書きを鵜呑みにするお馬鹿な医者・看護師が増える原因になります。原因は,基礎科学を知らないことにあります。生物学的・化学的・物理学的に正しくない「正しい医学」というのはありえないのです。
というわけで,この図録を見ながら生物学の基礎を学び直しています。あやふやに覚えていたことが多くてとても勉強させられます。何より,そこらの文庫本と同じ値段であらゆる生物学が学び直せるのですから,非常にお得です。
例えば,大腸菌,ブドウ球菌,ミトコンドリア,葉緑体,ヒト赤血球を大きさの順に並べられますか? 答えはこの本の14ページにあります。
- 杜撰なプロットで超適当な豪華絢爛アクション映画を作る天才といえばリュック・ベッソン! 彼がまたまたお笑い映画で魅せてくれます。《トランスポーター2》。何しろ「トランスポーター」ですらないのにこのタイトルをつけるなんて,ベッソン先生,ナイスです。
えっ,この映画ってお笑い映画じゃなかったの?
- 「あるある大辞典」での捏造,次々に明らかになっていますが,ま,あの番組で取り上げる内容はすべてガセネタみたいなもので,まともな内容は一つもないのはちょっと生物学の知識があれば誰でもわかっていたはずです。
「あるある」を検証するのもいいけど,「みのさん」の番組の健康情報も検証すべきでしょう。
2007/01/29
- 「パラダイムから見た医療」シリーズ第4弾,「腎不全の治療を例に取ると」を追加。
- 3月23日(金)に城南聖医会(聖マリアンナ医科大学の同門会)で講演することが決まりました。
- 先週金曜日は名古屋掖済会病院で講演でした。講演会場は満席で,多くの方においでいただきました。講演後の質疑応答も活発で,さまざまな質問をいただきました。ご参加頂き,ありがとうございました。
その後,病院近くの居酒屋さんで20人近い先生方と懇親会。酔っ払ってしまい,本音トーク爆裂モードになってしまいました。最後の方は,何を話していたんだったか思い出せません。困ったものです。
- 私の講演ではありませんが,2月24日(土)の第24回九州地域医学研究会 ランチョンセミナーで武内謙輔先生(有田共立病院外科)が「創傷治療におけるラップ療法の位置づけ」というタイトルで講演します。
- とある「創傷治癒」方面の学会で,ある先生が「ゲーベンクリームで治癒しないとして紹介された症例を,ラップ治療で治癒させた」と発表したところ,司会の先生から「ラップは望ましくない,ゲーベンクリームのアレルギー検査はしたのか」と質問があったそうです。この司会の先生,アホですな。
「治した治療」を非難し,「治せない薬」を擁護するなんざ,脳味噌が腐っているんでしょうか,それともオツムにおがくずでも詰まっているのでしょう。何より,ゲーベンが治療薬だと思っている無知が救いようがないです。もう少し勉強しろといいたいですが,おがくずが詰まっているんじゃ駄目か。ま,こういうタイプのアホ医者は,アホのまま死んでいくんでしょう。
それにしても,治療は治してなんぼだと思うのですが,なぜか,治せない医者ほど偉そうに学会で喋るというのも面白い現象です。
- 宮崎と岡山で相次いで鳥インフルエンザによるニワトリの死亡が見つかっています。このうち宮崎は高病原性のインフルエンザ(N5H1型)であることが確認されています。現在,新聞などの報道では「野鳥が原因では?」となっていますが,北からの野鳥の飛来はもうちょっと早い時期ではなかったでしょうか。今の時期は北からの渡りはそれほど多くないと記憶しています。おまけに,宮崎の鶏舎も岡山の鶏舎も,野鳥が入り込まないようにネットをしっかりと張って「野鳥との接触対策」は万全だったようです。となると,渡り鳥がウイルスを運んできた,というのはちょっと無理があります。
確か,韓国での鳥インフルエンザの感染拡大は幹線道路沿いに広がっていたというデータがあったようですし,1年ほど前の東欧での感染拡大は幹線道路や鉄道沿いであったと伝えられています。この場合は明らかに人間が運んでいたと思われます。大陸と日本の間を「渡りの時期」と無関係に移動している生物といえば,まず疑うべきは人間でしょう。荷物や商品,手荷物がウイルス(特に弱毒型)汚染されていても絶対に気がつかれないし,どこかの時点で少数のウイルスが鶏舎に持ち込まれ,鶏舎内で不顕性感染を繰り返すうちに強毒化して(下記参照)・・・と考えるほうが,よほど現実的です。
また,体内にウイルスを持っているハエもいるんじゃなかったでしょうか。
ちなみに,野鳥と鳥インフルエンザの関係について,日本野鳥の会のサイトで説明されていますが,ちょっとまとめてみます。緑の小文字は私のコメントです。
- ガン類やカモ類は,鳥インフルエンザのウイルスを普通に持っているが,これは強毒の高病原性鳥インフルエンザウイルス(今回宮崎で見つかったもの)ではない。
- 強毒のウイルスは,ニワトリやアヒルなど家禽の間で感染を繰り返すうちに突然変異で生じたものである(狭いところに密集して生活しているから,互いに感染し合ううちに変異するらしい)。
- ロシアやヨーロッパでの2005~2006年の野鳥での高病原性ウイルス感染があったが,これは家禽の感染で強毒化したたウイルスが自然界に流出したための感染と考えられている(確か中国では,鶏糞を魚のえさとして湖に撒いていた地域があるし,ほとんど放し飼いだし・・・)。
- ロシアや中国から日本への渡り鳥の移動のピークは11月から12月上旬。
- 鶏舎での野鳥侵入防止策は,野鳥からニワトリへの感染でなく,ニワトリから野鳥への感染を防ぐ意味がある。
2007/01/26
- 「熱湯による熱傷が3度熱傷になるわけがない」を追加。熱湯を浴びたくらいで3度熱傷になるわけはありません。当たり前です。理論的に考えればそうなります。なぜ熱湯を浴びたくらいで3度熱傷になるのか,私には理解できません。
そして,世の中の熱傷専門医と名乗っている大学病院や熱傷センターの先生方がこれまた,まともに3度熱傷と2度熱傷の区別がわかっていないのです。なぜかというと,3度熱傷として私の外来に紹介されたのに,保存的治療で2~4週間で完治する例が多いからです。つまり,3度熱傷として紹介されたのに3度熱傷でない症例が半数以上あるのです。症例の写真は全て撮っていますので証拠は揃っています。
ということは,まともに熱傷深度の診断もできない医者が「熱傷専門医」を名乗り,その医者に「3度熱傷ですから植皮手術が必要です。植皮しなければ助かりません」と説明され,しなくてもいい植皮手術をされている患者さんが全国各地にいるということでしょう。
碌に診断もつけられない専門医って何だ? しなくてもいい手術を勧める専門医って何だ?
あっ,そうか。熱傷治療はパラダイムなんだ。そのパラダイムの総本山が熱傷学会なんだ。そのパラダイムが正しいと信じる信者たちが集うのが学会だったり大学なんだ。診断や治療方針自体がパラダイムだから,間違っていることに気がつかないんだ。
- 雑誌「保健室」2月号に『「湿潤療法」のメリット・デメリット』という取材記事が掲載されました。
- どうやって感想を書けばいいのか苦しむほど内容のないアホバカ映画,《クイーン・コング》について。タイトルからお判りの通り,《キング・コング》のパロディー映画なんですが,ありとあらゆるギャグがすべりまくり,全然笑えないギャグが連続します。見ていて,心が殺伐となる映画です。
- 今日は昼まで外来診療をして,それから松本駅から名古屋に向かい,名古屋掖済会病院で講演です。
2007/01/25
- 2月11日の長野県での講演ですが,会場は小諸厚生総合病院の地域医療研修ホールとなりました。
- 「外傷を湿潤治療している医師」に大阪府池田市のマックシール巽病院 外科 打越史洋先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
- 医学書検索の専門サイトの医学書サーチにリンクしました。
- 「パラダイムから見た医療」シリーズ第3弾,「パラダイムを支えるシステム」を追加。
- そういえば,何人もの人からmixiへのお誘いをいただいていますが,いまだにmixiのサイトすら見たことがありません。だって,見ている暇がないんだもの。
2007/01/24
- 茅ヶ崎徳洲会総合病院での講演ですが,会場の都合から4月6日(金)に変更になりました。会場は茅ヶ崎市民文化会館です。病院外からの参加も可能ということで,問い合わせ先についても追加しておきました。
- 「パラダイムから見た医療」シリーズ第2弾,「正しいからパラダイムになったのではない,皆が信じたからパラダイムになったのだ」を追加。タイトルは長いけど,中身は薄い文章だったりして・・・。次回は,これを前提にさらに論を展開する予定です。
- 鳥谷部先生の2冊目となる著書,『これでわかった! 褥創のラップ療法 部位別処置事例集』(三輪書店)が出版されました。いわゆる治療の症例集で,部位別の超簡単褥瘡治療(・・・何しろ,どんな部位でもやっていることは同じ!)が一目でわかるようになっています。ご興味をお持ちの方は是非書店で手にとってご覧下さい。
もうちょっときれいな画像が見たいな,というご奇特な方はこちらをクリックしてください。
2007/01/23
- 3月23日(金)に茅ヶ崎徳洲会総合病院で講演することが決まりました。
- 誰に頼まれたわけでもないのですが,パラダイムという概念で医学全体を読み直そう,という壮大かつ馬鹿馬鹿しい試みに着手しました。私の考えでいくと,医学とは個々の「小パラダイム」からなる複合体です。ここで問題なのは,一旦パラダイムとして認められると,その根拠となる考えは検証されない,という点にあります。つまり,パラダイムとして確立した時点で,その根拠は不問に付されてしまうのです。
まず第1回目として,「パラダイムとは何か」です。
- 講演に使用しているスライドですが,ちょっとだけ手を加えました。いつものアドレスからダウンロードできます。
2007/01/22
- 1月19日(金)は埼玉県の坂戸鶴ケ島医師会で講演でしたが,講演会場は満員で補助椅子に座っている人も多数いらっしゃいました。質疑応答でも多数の質問をいただきましたし,講演後の立食形式の懇親会でも次々にいろいろな質問をいただきました。多数ご参加頂き,ありがとうございました。
その後は3人の先生方(+α)とお寿司屋さんに移動して(・・・何しろ,懇親会では全く食事が食べられなかった)夕食+お酒。とてもおいしい地酒が飲めてよかったです。ほぼ2時間,喋り続けていたような記憶が・・・。
- 超お下劣でしょうもなく下品なスプラッター・ホラー映画なんだけど,画面から溢れ出るパワーに圧倒される《エイリアンズ》を紹介します。冒頭からエッチシーンがあったり,本格的スプラッターシーンがあったりするため,決して万人にオススメできる作品ではありませんが,清濁併せ呑むことができる人ならこの面白さが判るはずです。
イギリスって,時々こういうパワフルなお馬鹿映画を作ってくれるんで面白いです。ゾンビ映画の大傑作,《ショーン・オブ・ザ・デッド》とかね。
2007/01/19
2007/01/18
- 「外傷を湿潤治療している医師」に大阪府大東市の小林産婦人科クリニック 小林弥仁(院長),小林克弥(副院長)先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
- 「腹部手術後の創離開(創感染)の治療例」に6例目を追加。50代後半男性ですが,肉芽収縮が途中でストップした症例です。高齢者でない患者さんにこういう現象が時々見られるようです。
- 雑誌「タベダス」でいつもお世話になっている松井さんから新しい本が届きました。『自炊力革命 オヤジたちは家庭内自立を目指す』(パッククッキング倶楽部メンズ部会編著,BABジャパン)です。タベダスではいつも紹介されている「電気ポットとポリ袋で作る料理」をまとめたものです。前半はこの調理法の由来,メリットが書かれ,後半で料理のレシピ,調理法のコツ,注意点がまとめられています。
とにかく,ポリ袋と電気ポットだけで,主婦も脱帽する本格的な焼きそば,蒸しパン,カレーライス,中華粥を作ってしまうというのだから,やはり驚いてしまいます。これなら鍋も汚れず,コンロのまわりも汚れません。材料をポリ袋に入れて空気を抜いて口を縛り,お湯が入った電気ポットの中に入れて再沸騰ボタンを押してタイマーをセットし,出来上がりを待つだけという簡単さです。
私は全く料理はしませんが,これならできそうです。手始めに,本格焼きそばでも作ってみようか,という気になってしまいます。これから一人暮らしをするんだけど料理をしたことがないとか,自炊をしたいんだけど面倒なことはしたくない,という人にはお薦めでしょう。
- さて,多くの皆様には全然役に立たないけど,変なデジタルガジェット好きにはちょっぴり役に立つかな,という情報です。以前,MP4 WatchというMP3プレーヤーと動画再生機能を持つ腕時計があるよと書きましたが,実はすぐにゲットして使っております。ま,こんなレアものというか,役に立つかどうか判らないけど面白いものが好き,という方もいらっしゃるかもしれませんので,その使用感をまとめてみます。
MP3プレーヤーとしての必要な機能は大体持っています。ちょっと音楽を聴こう,という分には困りません。容量も2GBと普通ですし,機能的にもまずまずでしょう。問題はイヤーフォン端子が2.5mmという特殊サイズであること(普通のイヤーフォンは3.5mm)。この型のイヤーフォンは大きなパソコンショップなどにはありますが,その場合でも選ぶほど商品が並んでいません。付属のイヤーフォンがあまりよくないので,パソコンショップで2.5mm端子のものを見つけたらとりあえず買っておいた方がいいようです。
ちなみに,イヤーフォン端子は時計の左上に付きますが,これはどう考えても右上ですね。半袖の時期なら問題になりませんが,冬の時期だとコートの袖に引っかかってしまいます。
前回も書いたことですが,腕時計とイヤーフォンを繋ぐ線が鬱陶しいので,是非,Bluetoothに対応して欲しいです。それはともかくとして,2GBのMP3プレーヤーは18,800円前後しますから,普通にMP3プレーヤーとして使えるだけで儲けものでした。
USBでパソコンに繋げ,充電もできますが,肝心のUSB端子が特殊な形をしていて(mini-Aでもmini-Bでもない),付属のケーブルをなくすと使えなくなります。ここはやはり,もっとも一般的なmini-Bにすべきでしょう。
それと,USB端子もイヤーフォン端子もむき出しで防水にはなっていません。雨の日には使えません。
それともう一つの機能である録音機能ですが,これは十分実用的です。歩いていてふと思いついた更新ネタとかキャッチフレーズとか,腕時計に簡単に録音できるので便利です。普通に携帯電話で話しているような感じで話せばきれいに録音されますし,雑談程度のものも拾ってくれます。映画を見ていて,ちょっと思いついた感想とかツッコミとか,メモ代わりに録音しています。
ただ,録音開始ボタンが独立しているわけでないため,録音するためには4回ボタンを押す必要があり,ICレコーダーのように録音ボタンを押せば録音開始というわけにはいきません。これはもう「こういうものだ」と割り切って使うしかありません。
あと,操作ボタンが合計6個で,これらですべての機能を使い分けます。各々に割り振られている機能がちょっとわかりにくいのが難点です。また,説明書もかなり簡略化されています。ま,この類のデジタルガジェットを買うくらいの人が対象ですから,この程度のマニュアルでもいいのかもしれませんが・・・。
2007/01/17
- 「腹部手術後の創離開(創感染)の治療例」に5例目を追加。ついでに,同ページの頭の部分もちょっと加筆。
この写真を見てもお判りの通り,当院ではこの程度の傷の状態で外来通院となります。もちろん,患者さんも家族も納得して退院していただいております。つまり,「手術の傷が治らないから退院できない。手術の傷が完全に治るまで退院しない」という患者さんが激減しました。
- ・・・というわけで(詳しくは昨日の更新をお読み下さい),「読書日記」もジャンル別にしました。こんなことばかりしていると,「忙しい,忙しいなんて書いているけど,本当は暇なんじゃない,この人って」とか思われちゃうよな。
2007/01/16
- 「腹部手術後の創離開(創感染)の治療例」に第4例目を追加。こういう感じにたるんだおばあちゃんのお腹って,若者の患者より早く治るんですね。つまり,高齢者ほど治りが悪いというのは嘘です。
- タイトルの格好良さで以前から気になっていた映画,《存在の耐えられない軽さ》について。1960年代の「プラハの春」を背景とした恋愛映画です。
- 映画の感想もだいぶ数が増えてきて,どこに何が書いてあるかわかりにくい,という声もありましたので,取りあえず,映画タイトル順バージョンも作りました。
この分でいくと,読書日記もジャンル別バージョンも作る必要があるかな?
2007/01/15
- 「腹部手術後の創離開(創感染)の治療例」に1例追加。
- 昨日夕方,長野から松本に向かう特急電車に乗ったのですが,乗り込んですぐに愛機シグマリオンを取り出して文章を書いていたところ,後ろの席に乗り込んだ20代半ばと思われる男性から,「それ,シグマリオンですよね。私も長いこと使っていたんですよ。重さとキーボードの重さのバランスが最高ですね」と,話しかけてきました。もう市場から消えて長いことがたつマシンなので,使っている人を見て,つい声をかけたんでしょう。私もその気持ち,わかります。つい,同志,って思っちゃうんですよね。
「私もいつも使っているんですが,実は自宅にもう一台,予備機があるんですよ」と言ったら,ちょっと羨ましそうでした。
2007/01/13
2007/01/12
2007/01/11
- 6月2日(土)に大阪で開かれる第5回 O2Conferenceで講演することが決まりました。
- 「目ウロコ本」発見!! 『歴史とはなにか』(岡田英弘,文春文庫)です。地味なタイトル(失礼!)に騙されてはいけません。歴史とは科学ではない,歴史とは物語であり文学なんだ,歴史的事実なんてどこにもないんだ,と明確に解き明かしているものすごい本です。今,夢中で読んでいます。
歴史という概念がもともとない文明(インド文明,イスラム文明),天下を取ったのは正統だったから,という前提条件で過去を記述するしか能のない文明(中国文明),その中国文明に対抗するために,俺たちの国はもっと正統だぞ,と勝手に主張した文明(日本),歴史には全く関心がなく現在と未来しか頭にない文明(アメリカ),歴史とは(野蛮な)アジアと(崇高な)ヨーロッパ文明の衝突であり,常に変化していくものだ,という文明(ヨーロッパ)など,全く共通する概念すらないのがわかります。
歴史とは事実の積み重ねだ,歴史書に書かれていることは事実だ,と思い込んでいる人は是非,この本を手にとって見てください。
2007/01/10
- 8月5日に仙台市で開かれる第16回日本意識障害学会の情報を追加しました。
- 室蘭市医師会雑誌からの依頼原稿を送付。毎度,同じようなことを書いている文章ですけどね・・・。
- クズ映画を断罪するのも気の毒なほど出来の悪い映画,それが《リビングデッド ザ・ビギニング》です。一応ホラー映画の体裁をとっていますが,怖くもなければ気色悪くもなく,淡々としょうもない会話がダラダラと続くだけの映画です。なんでこういう映画を作っちゃったんだろう?
2007/01/09
- 3月3日の岡山での講演の詳細が決まりましたので追加しました。
- 「外傷を湿潤治療している医師」に埼玉県草加市の埼玉草加病院 外科部長 原口美明,外科医長 笠巻伸二先生,兵庫県川西市の九十九記念病院 院長(内科) 鴨井公司先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- そういえば,『もやしもん』第4巻(石川雅之,講談社イブニングKC)が発売になってましたね。もちろん買いましたが,皮膚と皮膚常在菌,その皮膚に何とか取り付こうとしている外来菌の関係が,きちんと説明されていました。
- 「天使とアメリカ映画」という観点から《キャスト・アウェイ》を見直してみました。なんのことはない,天使が主人公を守ってくれていますよ,っていう映画だったんだ。「あの箱は何だったの?」とずっと疑問だったけど,これで氷解しました。
2007/01/08
2007/01/07
- ここのところ,クズ映画しか紹介しなかったため,たまには一級品の映画を紹介しましょう。《そして、ひと粒のひかり》。コロンビアの田舎の17歳の女の子が生活のために麻薬の運び屋をするという非常に重い内容なのですが,爽快な感動を与えてくれます。
- 目の調子が悪いため,何か異常があったら眼科を受診しなければいけないため,この連休中は松本のアパートに一人でこもっています。となると,朝起きてから夜寝るまで,人と話をせずに一日終わっちゃうんですね。
暇なんでホームページの更新なんぞをしています。
さて,その松本ですが,昨日は朝からずっと雪が降り続き,積雪20cmくらいです。松本というと雪が降るんじゃないか,と思っていらっしゃる方も多いかもしれませんが,確かに非常に寒いところですが,実はほとんど雪が降らない地域で(・・・というか,雨もあまり降らない),雪が積もるのは年に数回しかありません。
2007/01/06
- 以前から親交がある(・・・といってもメールのやり取りだけど)イギリスのピアニスト,Eric Himyさんから彼の最新の2枚のアルバム,"Homage to Mozart" (CENTAUR, CRC 2849), "Homage to Schumann" (CENTAUR, CRC 2858)が送られてきました。使用しているピアノはSteingraeber & Soehneで,ワグナーやリストが所有していたことでも知られる老舗のピアノですが,今回彼が使用したのはドイツで1895年に作成されたもので,最新テクノロジーで蘇らせたもの(・・・とか言うことがメールに書いてあった),ということでしたが,非常に柔らかで温かみのある音で,しかも低音の響きが豊で,なかなか良かったです。
ちなみに収録曲は次の通りです。このうち,サリエリの曲をエリック自身が編曲したものですが,非常に美しいです。中音域の朗々としたメロディー,それを支えるバスと高音域のオブリガードが同時に響くところなんて最高でした。上記の彼のサイトを見ると,楽譜の1ページ目が閲覧でき,近く出版されるようです。これは楽譜を取り寄せねば!
- Homage to Mozart
- Salieri/Himy Vieni a me sull'ali d'oro from Armida
- Mozart Sonata K.333
- Fabregas Hommage a Mozart (Premiere 2006)
- Romette Variations on the Second Movement of the Mozart Sonata No.16 in C Major K 545 (Premiere 2006)
- Mozart/Kempff Pastorale
- Mozart/Liszt Don Juan Fantasy
- Homage to Schumann
- Arabesque Op.18
- Carnaval Op.9
- Schumann/Liszt Widmung
- Schumann/Liszt Fruehlingstacht
- Symphonic Etude
- Traumerei
で,エリックには悪いけど,やはり私とシューマンの相性,悪いです。何でシューマンの作品が「ピアノの名曲」に入っているのか,いまだに理解できません。単調で種類に乏しい演奏技巧,響きの鈍重さ,ピアノの音域ごとの響きの差に対する感性の欠如,一つのリズムに固執するしつこさ,弾きにくくて苦労した割には演奏効果は上がらない,緊張感を持続できない作曲家としてのスタミナ不足など,どこをとっても素人っぽすぎて嫌いです。ショパンの爪の垢でも煎じて飲んで欲しいものです。
私が唯一,シューマンのピアノ曲で評価しているのは,彼の最後のピアノ曲となった『暁の歌 Op.133』,そして最初期の『6つの間奏曲 Op.4』のみです。
せっかくなので,ほぼ20年ぶりくらいに『交響練習曲』全曲を聴いてみました。このエリックの演奏は通常版ではなく,初版(だったかな?)を部分的に取り入れたもので,さらに,遺作の「5つの練習曲」も通常版の中に挿入して演奏しています。また,遺作の挿入順番は楽譜の番号どおりではありません。エリックの演奏自体は非常に見事でしたし,なかなか楽しめました。
ただ,やはりシューマンはシューマンでした。ピアノの88鍵の鍵盤を縦横無尽に使うという爽快感と柔軟性に欠けるんですね。ピアノでなければいけないピアノのために生まれた曲,という絶対性が感じられません。
で,今回思ったけれど,本家と分家は違うな,遺作はやはり遺作だな,ということです。同じ主題による変奏曲(練習曲)なんだけど完成度がかなり違います。
私の記憶では,20世紀後半くらい(1970年頃?)から「交響練習曲は遺作を含めて一つの作品として弾こう」という動きがあり(それ以前は,遺作を演奏するピアニストはほとんどいなかったと思う),最初は「フィナーレの前にまとめて5曲」という形で演奏するピアニストがいたりしたけど,それじゃあまりに芸がなさ過ぎるというので,今回のエリックのように,オリジナルの12曲の間に5曲をバラバラにさりげなく入れる,という形の演奏が多くなったと思います。それで,どこに入れたら一番自然か,全体の流れを考えるとどこにどの遺作を入れるべきかと,いろいろな工夫がありました。
でも,やはり何度聞いても違和感が大きく,曲の流れが分断されます。格が違いすぎるためでしょう。たとえは変だけど,結婚式の親族紹介のときに,「これは長男です,次いで長男の嫁,長男の息子,釣り仲間のスーさん,長男の娘,私の長女,そして長女の旦那さん,隣に住むヤマちゃん,長女の娘,私の弟,ゴルフ仲間のサルさん,私の妹・・・」と親族に紛れてわからないように小声で隣人を紹介しているような感じです(・・・判るかなぁ?)。
そういえば,ピアノのサイトを作っていた頃,盛大なシューマンの悪口を書いたっけ。入り口はこちら。これを読んでもまだ悪口が読みたいというご奇特な方はこちらへどうぞ。
なお,シューマン君の名誉のために付け加えておくと,教科書的には「シューマンは弱い薬指を強化するために,薬指を吊り上げて他の指をまず鍛え,そのあと薬指だけ重点的に鍛える機械を使い,それで指が故障してプロのピアニストへの道を断念した」と書かれていますが,これはどうやら間違いで,最近では「薬指の関節にできた腫瘍が原因ではないか」と言われているようです。
医学的に見れば,指の関節に発生する腫瘍は極めてまれなので,指節骨か軟部組織に巨細胞腫などが発生したんでしょうか。軟部組織の巨細胞腫はまれではないし,大きくなると運動障害の原因になります。また,腱や神経を囲むように大きくなるため,切除をするためにはかなり繊細な手術手技が必要ですから,恐らく1840年代では手術は不可能でしょう。第一,まだ麻酔も発達していないしね。
それにしても,「練習曲の時代」ともいうべき1830年代にこの程度の曲を「交響練習曲」と名づけて発表するセンスところは,まさに「プロに紛れ込んだ素人」である。要するにこの時代は,いろいろなピアニストがピアノの表現の限界に挑んだ時代である。その中で,単一技巧を極限まで研ぎ澄ました時に未曾有の音世界が生まれた。それがショパンの「練習曲集 Op.10」でありリストの「パガニーニ練習曲(1833年版)」である。それに比べると,「交響練習曲」のピアノ曲としてのレベルはどうだろうか。これは要するに,単に単一技巧を並べただけではないのか。
これが1810年代に発表された曲なら,私もここまで酷評しない。しかし,世の中が既に「新たな表現の実験の場としての練習曲」に移っていたのである。
2007/01/05
- 雑誌『Progress in Medicine』からの依頼原稿を郵送。そのあとは室蘭医師会からの依頼原稿と,看護雑誌からの依頼原稿が待っています。
- 講演に使用スライドにちょっとだけ手を加えました(2007年1月3日バージョン)。以前,ダウンロードについてお問い合わせていただいた方は,同じアドレスからダウンロードできます。
- 年末から片目の調子が悪く,昨日,眼科を受診しましたがちょっと厄介な状態です。現在,両眼視するのが辛い状態です。両眼視できないと抜糸ってすごく難しいんですね。あと,異物除去とか。それと,パソコン画面に向かって長い文章を打つのもちょっと辛いです。
2007/01/04
- 寒々しいほど予算をケチりまくったチープな戦争ホラー映画,《デッドマン ソルジャーズ》について。DVDのジャケットに騙されちゃいけないよ,という見本です。
それにしても最近,ろくな映画を紹介してないな。みんな,クズ映画ばかりじゃん。
- 三輪書店から出版予定の本の第1回目の校正完了しました。年末年始はこれにかかりきりでした。
それが終わったかと思ったら今度は,昨年10月に東京で行った講演記録の校正です
- 日本褥創学会のガイドラインを見ていると,これはパラダイムの見事な例だということに気がつきます。理論的根拠が一応あり,それを支持し必要とする業界があり,その業界と学会のつながりがあり,それを支える教育体制があり,権威付けがあります。
だから,日本褥創学会の内部にいる限り,これは強固な治療体系に見えます。「ガイドラインと言ったって,エビデンスレベルCの治療法だけ並べるなんて,ナンセンスだよ。恥ずかしくないのかな? 馬鹿じゃないの?」と馬鹿にされていることすら気がつきません。自分たちが拠って立つところが真理だと信じているからです。このあたりは,天動説を信じているのと同じ精神状態です。
なぜ,「(いわゆる)ラップ療法」を日本褥創学会が否定するかというと,自分たちのパラダイムの外側にある治療だからです。自分たちの治療理論を否定するものに見えるからです。天動説を信じている天文学者にとっては,地動説は認める,認めない以前の問題だったのと同じです。
2007/01/03
- 著作権シリーズ第2弾,「私の死後50年後,私は死んでいるんだけど」。あなたが平均寿命まで生きてそれからさらに50年後って想像できますか? 私にはできません。
こういう具体的なことを考えずに,死後50年だ,70年だと論じることはナンセンスではないかと思います。
- さぁ,今日からお仕事開始だ。3日頑張れば,また休みになるし・・・。
- 正月の松本って,食事をするところを探すのが大変です。昨晩も,いろいろなところに行ってみましたが,全て満席で予約でいっぱいの状態で入るどころの騒ぎではありませんでした。普段なら余裕で入れるちょっと高級そうなお店も,ラーメン屋も蕎麦屋も満員状態でした。松本って,こんなに人がいたんだっけ?
2007/01/02
- 「外傷を湿潤治療している医師」に以前から登録していただいている下永吉耕一先生先生が,福岡市博多区の友田病院 整形外科にご転勤されたため,登録病院を変更しました。
- 以前からいろいろ考えていた「著作権」について書いてみることにしました。まず最初は,「著作権はパラダイムだ」です。
- 明日から,通常業務開始です。早起きするのが,ちょっぴり辛い感じです。
2007/01/01
- 「こんな映画を見るなんておめでたいね」という意味でオメデタイ映画,《ダ・ヴィンチ・ウォー》を紹介しまいましょう。超低予算クズ映画の金字塔,という位置づけでしょうか。ま,《ダ・ヴィンチ・コード》と間違ってレンタルショップで借りる人はいないと思いますけどね。
ちなみに,《ダ・ヴィンチ》という名前のついたクズ映画,ほかにも数編あるようです。見たいような,見たくないような・・・。