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2005/09/30
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,広島県福山市の福山第一病院 外科 軸原 温先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 「創面のMRSAは怖くない」を追加。表とかグラフとかを駆使した「こけおどし」の文章ですけどね。
- 今日は昼まで通常通りに仕事をして,それから名古屋に向かい,夕方から講演です。そして土曜日,松本に戻って夕方から講演。今月は「週末の連ちゃん講演」が続きます。鳥谷部先生が一言,「売れてない芸人みたいな生活だな」だってさ。ううむ,うまいこと言うなぁ。
2005/09/29
- 「MRSAがいなくなっても創面は無菌にならない」を追加。「生態系としての創面」シリーズの一つです。
私からすれば,いまさら言うまでもない当たり前の事なんですが,なぜか医療関係者(医者とか看護師とか)には,傷を消毒すればそこが無菌になると思い込んでいる人が多くて,話が通じなくて困ります。「消毒で無菌になるのは器具,消毒で無菌にならないのは生体」という知識が,医学の常識になってほしいものです。
- 9月21日にテレビ信州のニュース番組でこの治療を取り上げていただきましたが,それをDivXファイルにしました(約57MB)。ご覧になりたい方はご連絡下さい。
2005/09/28
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,静岡県浜松市のいがらし皮ふ科 形成外科担当:長渡裕子先生,栃木県宇都宮市の高橋外科・内科 高橋 昇先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 12月15日(木)に富山県耳鼻咽喉科臨床研究会で講演を行うことが決まりました。
- 「傷があって抗生剤を投与すればMRSAは必然的に登場する」を追加。ま,考えてみれば当たり前ですね。「術後離開創からMRSAが検出される」のは自然現象です。騒ぐ方がおかしいのです。
ちなみにこの「生態系としての創面」シリーズ(?)はこれでようやく入り口を過ぎました。まだまだ続きます。
2005/09/27
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,東京都足立区の足立東部病院 外科 領家俊雄先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
- 11月2日の山梨皮膚科医会での講演の会場などが決まりましたので,情報を追加しました。
- 今,出版予定の本の巻末に収録する「いろんな本,200字書評」を書いていますが,以前紹介した『鉄理論=地球と生命の奇跡』のところで,ちょっと難渋しています。この膨大な内容を持つ本の素晴らしさを伝え,本に興味を持ってもらえるような紹介を200字にするのは,やはり大変です。
- そういえば,先週末の講演旅行(?)で読んだのが,『人類進化の700万年』(三井誠,講談社現代新書)。これまでわかってきた人類の発生と進化に関する事実を非常にうまくまとめていて,あわせて年代測定の大変さとか,人体の一部の破片から全体像を探る試みとか,非常に興味深い内容となっています。
2005/09/26
- 「創面から黄色ブドウ球菌が検出される理由」を追加。これは次に掲載する予定の「創面からMRSAが検出されるのは当たり前,MRSAが検出された何が悪い」の前座的役割の文章です。
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,奈良県香芝市のマミ皮フ科クリニック 岡田 匡先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 9月22日(木)は池袋で開かれた城北・埼玉南部耳鼻咽喉科学術集会で講演。会場は8割がたが埋まり,質問も幾つかいただきました。これまで耳鼻科で日常的にしてきた行為(軟膏ガーゼによる鼻腔パっキングとか消毒薬の点耳とか)も根本から見直す必要があるのでは,という声を多数頂きました。
講演終了後,直ちにタクシーに乗って品川へ。ここで亀田総合病院の菊池先生,柿田医院の柿田先生,東京医大学生の内田君と集合しミニ宴会。1時間ほどでしたが,いろいろな話で盛りあがりました。
そして23日(金)は朝7時過ぎにホテルを出て羽田空港に向かい徳島空港へ。徳島空港ではシオノギ製薬のMRさんに迎えに着て頂き,時間がちょっと空いたため,ちょっとだけ徳島観光。有名な「鳴門の渦潮」が見られる鳴門講演に行ったものの,満潮の時間でないために渦潮は見られませんでしたが,それでも,強い潮の流れは迫力満点でした。
そして大塚国際美術館へ。ご存知の通り,大塚製薬が作った美術館で,世界の名画1,074を原寸大の陶板に再現し,展示したものです。原画が極めて忠実に再現されていて,それはそれなりに面白かったです。
しかし,興味のない絵ばかり見てもしょうがないと考え,ゴヤの一点指名でゴヤの展示室へ。ここは凄かったです。夢にまで見た「5月3日」,「5月2日」,「チンチョン公爵夫人」,「ボルドーのミルク売り娘」を見て舞い上がりましたが,それはまだ,「黒い絵」の前座に過ぎませんでした。
さらにその奥の部屋には,あの「黒い絵」の全てがゴヤの暮らした家に飾られていたのと同じ順番で展示されているではありませんか。そして,最初の部屋に入った時,部屋の奥に飾られている「子供を喰らうサトゥルヌス」が目に入り,入り口で身動きができなくなりました。史上,最も衝撃的,最も恐ろしい絵です。本物でなく模造品だとわかっても恐ろしさに鳥肌が立ち,迫力と迫真性はその前から動くことを許さない力がありました。
ゴヤの家の2階の寝室に飾られていた「殴り合い」,そして最後の「犬」。私にとって,ゴヤは別格の存在です。一度でいいから,プラド美術館に行って「黒い絵」の原画を見たいと心底思いました。
そしてその後,徳島県耳鼻咽喉科医会研修会の会場へ。こちらの方は補助椅子まで満員となり,通常の倍以上の聴衆が参加されたそうです。徳島県では2回目の講演ということもあり,非常に多くの質問をいただきました。
その後に立食形式の懇親会があり,これに30分ほど出席してさらに質問攻めにあい,それから料亭のようなところでの二次会へ。7人ほどの先生が参加され,治療の話,創感染の話などをさせていただきました。
それが終わってから,以前から徳島で「湿潤治療」を実践していただいている三代内科の三代先生と「きれいなお姉ちゃんたちがいるお店」で合流し,ここに1時間ほどいて,さらにその後,三代先生の同僚(?)たちが待ち受けているワインバーに移動。最後の方は何を喋ったのか記憶がありませんが,ホテルに送ってもらい,鍵を受け取ったあたりで正気に戻り(?),部屋に戻ってスラックスをきちんとハンガーにかけたところでまた記憶を失ったようです。
そして翌朝,徳島空港から羽田に向かい,自宅へ。
先週末の,松本を出発してから松本に戻るまで2661kmの移動距離でした。ってことは,日本列島の端から端までだな。
2005/09/22
- 昨日(21日),朝いきなり,地元テレビ局の「テレビ信州」から取材の申し込みをいただき,午前10時から昼過ぎまで取材があり,夕方の番組で放送されました。週末に小学校などの運動会が集中しているため,「その前に擦りむき傷の正しい治療法を放送すべきだ!」と急遽取材が決まったそうです。
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,群馬県太田市の太田福島総合病院 歯科口腔外科 福島正樹先生,内科(病院長) 福島 実先生にも加わっていただけました。ありがとうございます。
- 「皮膚の傷が無菌であるわけがない」を追加。考えれば当たり前のことですね。こういう当たり前の感覚を忘れると「術後創が化膿して,創面からMRSAが検出された。毎日消毒してヨードホルムガーゼで処置したらMRSAは消えたが緑膿菌が検出されるようになった。バンコマイシンなどを投与して何とか緑膿菌を消したら,今度は・・・」と悩むようになります。
- 今日は例によって昼まで外来で仕事をして,それから新宿経由で池袋に向かい,夜は講演です。講演後の懇親会終了後,品川に移動して,そこで数人の先生方とミニ宴会,そして宿泊。
そして朝早く羽田空港に向かい徳島空港へ。
2005/09/21
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,愛知県半田市の小野整形外科医院 小野直洋先生を追加しました。小野先生はこれまで碧南市民病院に勤務されていてそちらで登録しておりましたが,実家に戻られてこの治療を引き続き行っていただけるとのことです。ありがとうございます。
- 「創面-生態系」仮説,その1を追加。今回は発端となる問題提起です。
- 明日,木曜日(22日)に東京(池袋)で講演をしますが,講演終了後は簡単な立食形式の懇親会があるだけ,ということが昨日判明しました。となると,たぶん私が夕食を食べる暇はなさそうです(恐らく質問攻め状態でしょうから)。
そうなると困るのが夕食です。一人でホテルのルームサービスなんてのも味気ないので,どなたか,品川駅近辺の居酒屋とかで一緒にミニ宴会でもしませんか?
講演は21:00に終了し,立食懇親会が終わり次第,品川駅近くの「ストリングスホテル」に向かいますので,22:00頃からと遅くなりますが,食事(というよりお酒メインでいいです)を一緒にしてもいいよ,という奇特な方がいらっしゃいましたら,メールでご連絡いただけないでしょうか。
なお,翌日は8:50の飛行機で徳島に向かいますので,遅くても24:00には宴会終了となりそうですが,あしからず・・・。
急な話で都合が付かない方が多いかもしれませんが,よろしくお願い申し上げます。
2005/09/20
- 9月30日(金)に名古屋外科セミナーで講演することが決まりました。
- 来年6月10日(土)に東北外科集談会,日本胸部外科学会東北地方会(宮城県仙台市)で講演を行うことが決まりました。
- 16日(金)は横須賀共済病院で講演。会場は例によって満員状態。質疑応答も非常に活発でした。参加された方々に感謝いたします。また,なんと北海道から講演を聞きに来られたという先生もいらっしゃって,「ようやく念願の講演が聞けて,感激です」笑顔で挨拶されたのが印象的でした。
講演終了後は例のごとく居酒屋で懇親会。8人ほどの先生,看護師さんと楽しく焼酎なんぞを飲んでは与太話させて頂きました。そして夜11時頃タクシーに乗り,新横浜駅隣のホテルに向かい,12時前に到着してチェックイン。
翌17日(土)は朝8時にホテルを出発して新幹線に乗り名古屋に向かい,名古屋国際会議場へ。ここで開催されている日本救急医学会中部地方会で教育講演を行いましたが,会場は立ち見がギッシリの寿司詰め状態。ここでも沢山の質問をいただきました。
そして,講演終了後にまたもや名古屋駅に戻り,新幹線に飛びのって自宅へ。金曜日の昼から月曜日の夜までの全行程は2000キロ弱でした。
- 週末は出版予定の本に載せる「200字の本の短評」を幾つかを書き,さらに以前から構想していた「生態系としての創面,黄色ブドウ球菌(MRSA)と傷の治癒,MRSAは医者の手助けがないと繁殖できないもやしっ子」という文章を一気に書きました。原稿用紙にして30枚を超えてしまいました。この週末,文章を構想しては一気に書く,で終わりました。
この文章,今週中にはお目にかけられると思います。
2005/09/16
- 今日は例によって昼まで外来をして,それから「特急あずさ」に乗って東京に向かい,横須賀共済病院で講演です。ちなみに,横須賀という街に行くのは生まれて初めてです。
講演後には懇親会があって,それが終わってから横浜に移動し宿泊。翌朝,新幹線に乗って名古屋に移動し,日本救急医学会で教育講演,という予定になっています。
- 春秋社から出版する本の原稿書きに追われています。現在,「私が影響を受けた本」ということで本の短評を書いています。これまでサイトで取り上げた本がほとんどですが,1冊あたり200字という制限がきついため,文章は全て新たに書き直しています。昨日までに3冊分仕上げました。
200字という字数で魅力も内容も過不足なく伝えるというのは,物書きとして挑戦のしがいのある課題です。大変な反面,とても面白いです。
200字で『カラマーゾフの兄弟』の面白さを伝える,200字で『鷲は舞い降りた』の素晴らしさを表現する,200字で『マタイ受難曲』の魅力を文字にする・・・など,なかなか面白いでしょう?
2005/09/15
2005/09/14
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,大阪府枚方市の星屋クリニック 星屋泰則先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 外来で診察している時間以外,原稿書きばかりしています。食事中も原稿のチェックをしていて,なんだか,意識がある時間は原稿のことばかり考えているようなものです。
「某首相は郵政に対するストーカーだ,と考えると判りやすい」なんて与太話を書こうと思いましたが,思い付きをまとめる時間がありません。ま,与太話なんでいいですけど。
2005/09/13
- 11月25日(金)に野崎徳洲会病院で講演することが決まりました。
- 今週が締め切りとなる「臨床外科」誌からの依頼原稿を書いている最中です。それと同時に,一般向け書籍の原稿も書いています。この同時進行が結構大変なのですよ。文章のリズムというか文体というか,それが全く逆だからです。
一般向けの文章はどうしても饒舌というか遊びが多いというか,リズムに任せて書き進むことが多く,むしろその方が生き生きした文章になります。また,脱線や余計な知識を書くことも時に必要です。しかし医学の専門論文ではその逆で,表現は抑制的,鎮静的でなければいけません。このあたりの違いは非常に大きく,頭の切り替えがかなり大変なんですね。
- 私が常に使っているMP3プレーヤーは "Rio Carbon", 移動の最中にDVDからコピーした映画を見ているのはポータブルAVプレーヤーの "NHJ MPM-201" というマシンです。残念なことに,最近相次いで両社とも,日本から撤退しました。
MP3プレーヤーは技術的なハードルが低いため,最初に商品化して販売したのは小さなメーカーでした。どうしても携帯できない重さだったハードディスク型MP3プレーヤー, "Creative Jukebox" といった商品を経て次第に小型化され,次第に使いやすいものとなりました。現在使っているRio Carbonはサイズも重さもiPodより小さく,電源の持ちもiPodをはるかに凌ぐ高性能のものです。MP3ファイルのコピーもエクスプローラーで簡単にでき,専用ソフトも要りません。コピー回数は○回まで,なんて無粋なこともいいません。実に使いやすいものです。
さまざまな韓国メーカーが実に魅力的な製品をどんどん出していたものです。
しかし,これらの商品が売れるとなると,大きなメーカーが乗り出してきます。その先鞭をつけたのがアップルであり,それを追いかけているのがソニーやパナソニックなどです。これらの大企業が本気で参入してくれば,もう小さなメーカーが太刀打ちすることは難しくなります。現在ある「小さなメーカーのMP3プレーヤー」はいずれ消えていくのでしょう。
しかし,私にとっては魅力的なマシンが次々に消えることと同じです。これらの大企業の製品はどれも,「著作権保護」にうるさく,ユーザーにとっては使い勝手の悪い商品ばかり作るからです。AVプレーヤーにしても,これらのメーカーが作ると「わが社のパソコンと連動して使ってね」というものになり,その他のメーカーのパソコンで作った動画ファイルをコピーしようとするととんでもなく面倒,なんてものがあったりします。
その点,MPM-201は使いやすいのです。DVDを何の制限もなしにいきなりコピーでき,それをパソコンに持っていくことも自由です。そもそも「コピー制限」とか「著作権保護」なんて概念を持っていないマシンです。「自分が自分の金で買ったDVDを自分で買ったポータブルマシンで見たいだけなのに,何でそれが自由にできないの?」という普通の人が普通に持つであろう疑問に答えてくれる唯一のマシンです。しかしもうこのマシンは,市場に残っていません。そして将来的に,このMPM-201のような「いい加減な」マシンが出ることはないでしょう。
Rio Carbonはまだ売られているようだし,いずれもう一個買っておこうと思います。しかしMPM-201はもう入手する手段はないも同然です。手に入るうちにもう一台買っておくべきでした。
2005/09/12
- 先週金曜日(9月9日)は東京都多摩市の新天本病院で講演でした。病院6階の講演会場は満員状態で,中には片道3時間半かけて講演を聴きに来てくださった先生もいらっしゃったそうです。参加者の講演中の「ノリ」もよく,質疑応答も非常に活発で,とても楽しく話させていただきました。ありがとうございます。
講演終了後は,同院の院長先生,副院長の看護師長さん,そして多数の研修医,看護師の皆さんと懇親会へ。会場は病院近くの,無農薬野菜を使ったイタリアンレストラン。料理はとても美味しく,院長先生とワインを空けまくってしまいました。
遅くまでお付き合いいただき,ありがとうございました。
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,東京都板橋区の医療法人社団 正風会 小林病院 外科 小林 匡, 山村 進先生,そして広島市の康成病院 内科・泌尿器科 小林達也先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- いずれ詳しく書こうと思っているが,皮膚に傷ができて,そこが無菌ということは絶対にない。細菌の立場になってみると,創面というのは要するに,適度の湿り気があって栄養がある場所だ。絶好の繁殖場である。ここに入り込むなというほうが無理なのだ。だから,傷には必ず細菌が出現する。これは要するに,自然現象だ。
ここで,「細菌が入り込んだ。大変だ!」と消毒したり抗生剤を投与してその細菌を除去できて無菌になったとしよう。その無菌状態は維持できるだろうか。もちろん不可能だ。そこが無菌になれば,今度はそこを狙っていた別の細菌が入り込むだけだから。
要するに細菌とは,常に勢力争いをしていて,新しい繁殖の場はないかと常に勢力を広げようとしている生物だ(ちなみに,複数の細菌が勢力争うをせずに共存共栄している場があって,それが腸管や皮膚のフローラである)。そういう世界に「傷という細菌の真空地帯」が生まれたのだから,一つの細菌を退治しても次の細菌が登場するだけだ。どの細菌が定着するかは,恐らく創面の湿度などの物理的環境が決めている可能性が高いし,場合によっては細菌が最適の環境を自ら作り出しているかもしれない(バイオフィルムは多分このために細菌が作ったものじゃないか?)。
つまり,創面に出現した細菌を攻撃しても埒があかないのである。いたちごっこである。意味がないことである。意味のない事を一生懸命にしている医者や看護師が圧倒的多数を占めているのが現実である。
それなら最初から,創面を安定した細菌のフローラにしてしまえばいいのでは,という発想が生まれる。フローラができてしまえば,それ以外の細菌は入ってこないし,感染源となる物質がなければそれから「感染」に移行することもない。
あるいは,バイオフィルムを作ってもらって「細菌は細菌,人間は人間」と棲み分けてもらうとか。「バイオフィルムは抗生剤を通さない厄介者」と考えるのでなく,「バイオフィルムは細菌が部屋に引きこもっているようなもの」と考えれば,むしろ創面のフローラ形成に寄与しているありがたいもの,とならないだろうか。
黄色ブドウ球菌は「皮膚の準常在菌」だが,「傷も生態系」と考えると,彼らが湿った皮膚に生息している意味はここにあるんじゃないだろうか。それなら,MRSAが鼻腔にいても意味があるし,検出されたからと大騒ぎするほうが異常である。
2005/09/09
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,佐賀大学附属病院 形成外科 古賀美穂先生もご参加いただきました。ありがとうございます。また古賀先生は福岡の病院にも土曜日のみ勤務しているため,こちらの病院もリストに加えました。
- 現在,アクネ(にきび)について掲示板でさまざまな情報交換が行われています。中でも菅野先生の詳細な書き込みは非常に参考になります。ご興味をお持ちの方は,是非お読み下さい。
- 『日本語に主語はいらない』(金谷武洋,講談社選書メチエ)という本は面白い。従来に日本語文法は英語文法ををもとに日本語の文法をでっち上げたもので,「英語を基準に日本語を解釈する」と論理が逆立ちしている,と主張する本で,あわせて新しい日本語文法を提唱している。
今までの日本語文法だと「日本語では主語が省略されることが多く,論理性に欠ける言語である」的な教え方になっているが(自虐的文法観,って奴だな),それを見事に覆し,これまでモヤモヤしていた部分が霧が晴れたようにすっきりする。何より,日本語独自の論理性に感動してしまう。
『英語を学べばバカになる』という本もそうだが,「英語が世界の標準言語」という間違った思い込み,「英語が全ての言語の基本」という先入観を持って他の言語や他の文化を解釈してしまう(チョムスキーの生成文法がこれだ)ことの恐ろしさ,無意味さがよくわかる。
この2冊,絶対にお勧めである。
- 今日(9日)は昼まで病院で仕事をして,それからJRに乗り,八王子経由で多摩市の新天本病院に向かい,夕方から講演です。
2005/09/08
- 昨日から今日まで,京都の小島先生が見学に見えられています。未滅菌手袋での創縫合にまず驚かれたとの事ですが,「縫合前に傷の中を全く洗わない」ことにもびっくりされたとか。
- 春秋社から出版予定の「一般向けの書籍」ですが,そろそろ全ての章が完成です。もちろん,初稿ですからこれから全体の内容の整合性を合わせたり,表現を統一したり,イラストを決めたりと,まだまだ作業は続きますが,これで一つ山を越したことになりそうです。
2005/09/07
- 来年1月25日の小県医師会での講演ですが,問い合わせ窓口の情報を追加しました。
- 「外傷を湿潤治療している・・・」に,愛知県瀬戸市の井上病院 内科 伊藤喜亮先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
- 昨日,九州に上陸した台風は各地で甚大な被害を出し,現在も日本海を北上中。被害を受けた方にお見舞い申し上げます。
で,ここ,松本ではどうかというと,台風の被害は全くなし。一昨日の朝に雨が降ったくらいで,現在は雨すら降っていません。風も「ちょっと吹いたな」程度です。
何でも土地の人に聞くと,ここで「被害を出した台風」というと,伊勢湾台風のことで,それ以降生まれた人は,台風というものを知らないらしいです。さすがは四方を2500~3000メートル級の山で囲まれている土地です。
2005/09/06
- 「外傷を湿潤治療している・・・」に,東京都品川区のいすゞ病院 外科医長 内藤 修先生,群馬県渋川市の本沢医院 本澤龍生先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
- 来年1月13日の札幌の中村記念病院で講演しますが,参加の問い合わせ先情報を追加しました。
- 昨日から長崎大学の川原先生が見学中です。昼頃まで見学の予定ですが,台風がかなり心配です。
2005/09/05
- 9月2日(金)は神戸徳洲会病院で講演。院外の先生も参加され,多くの方に参加して頂きました。質問も多数いただきました。ありがとうございます。
講演後の懇親会にも多数の先生に加わって頂き,いろいろな話をさせて頂きました。お付き合いいただき,ありがとうございました。
- 来年1月25日(水)に長野県の小県医師会で講演することが決まりました。
- 「〔糖尿病+腎不全(人工透析)+ASO〕は要注意」を追加。この3社合併で生じた皮膚潰瘍,皮膚壊死はかなり面倒です。デブリードマンすればするほど,壊死が進行する事があります。
- ハリケーン「カトリーナ」によるアメリカの人的,物的被害は日を追うごとに増えているが,報道を見ていると「アメリカってこの程度の国なの?」という気がしてくる。世界一豊かな超大国って,こんなものなの?
自然災害といっても,地震とハリケーンは全く違う。地震は突然やってくるが,ハリケーンはあらかじめ来るのがわかっているものだ。来るのが判っているならその被害を最小限に抑えられそうなものなのだが,なぜかアメリカはそういうことは考えていないようだ。ハリケーンが来て大被害が起き,それからいつも大騒ぎしていて,この面では全く学習能力を欠いているとしか思えない。
アメリカは「自由」を国是として建国された。自由が最も尊いものだと考えている。だから他の国にも「(アメリカの考える)自由」を押し付けてくる。それが正しいことだと信じ込んでいる。
だから,この国では貧乏になるのも自由,金持ちになるのも自由,災害にあうのも自由であり,それに国家が介入してはならないと考えている。
アメリカ合衆国憲法には「国家は○○してはいけない」と,国に対する禁止事項ばかりが並んでいるという世界にもまれな憲法を持っている国だが,それは全てこの「自由」を尊ぶ精神かららしい。
いくら世界一の金持ち国家であろうと,世界一の軍事国家であろうと,「自由」が保たれていようと,国民の生命や財産,健康を守れないのであれば,それはどこか間違っていないか。世界中に軍隊を派遣する前に,自国の人間をハリケーンから守るべきじゃないか。何しろハリケーンは来るのが何日も前からわかっているものなのだ。
小泉首相とその取り巻き連中(平蔵君とか)も民主党も,アメリカ型の「小さな政府」を目指している。アメリカのような国のシステムにすることが正しいと思い込んでいる。
これは果たして正しいのか? アメリカ型のシステムにするための「改革」って,本当の改革なのか? アメリカって手本にすべき本当に素晴らしい偉大な国家なのか?
2005/09/02
2005/09/01
- 来年1月13日(金)に札幌の中村記念病院で講演することが決まりました。
- 「外傷を湿潤治療している・・・」に先日登録していただいた東京都町田市の町田胃腸病院ですが,院長先生,副院長先生はじめ,常勤医全員がこの治療を行っているとの事で全員のお名前を加えさせていただきました。
- いろいろな病院から外来見学に来ていただいておりますが,その時に嬉しいのが,当院の1年目の研修医(当科で2週間ずつ研修する)の創縫合,創処置の様子を見て「これが1年目の研修医ですか?」と驚かれることです。特に,持針器を使った創縫合は「外科医より手つきがいいし,速い」といわれることも・・・。
実際,当院の1年目の研修医は全員,顔面裂傷を縫えるし,熱傷の初期治療ができるし,感染創の治療ができます。当然,救急室には指導医もいて彼らがすることをチェックしているし,翌日は私が必ず見ていますが,彼らの処置や判断でミスはほとんどありません。
なぜそうなるかというと,私が最初から,「1年目の研修医が2週間で顔面裂傷が縫え,熱傷治療ができる」ようにとシステムを作っているからです。
人間が怪我をする部位は,顔面と手です。実際,顔面裂傷,手指の裂傷,それに火傷を加えると,救急外来で扱う外傷の8割以上がカバーできるはずです。逆に言うと,救急外来で仕事をするなら,顔面裂傷,手指の裂傷,熱傷の治療ができなければ使い物にならないということです。それなら,当科研修の2週間のうちに,それらができるように指導すればいいだけのことです。
考えてみたら,極めて常識的な判断ですよね。
2005/08/31