Top Page
2007/07/31
- 同じ病院の小児科の先生から「とびひの治療って何かいいアイディアありませんか?」と質問され,以前から行っている方法,つまり,「患部をシャワーで洗いながら膿痂疹を全てつぶす,ハイドロサイトかプラスモイストを貼付して毎日交換,抗生剤は内服のみで外用軟膏は使用しない」を紹介しました。やはり2日で治癒しました。
治療のキモは,表皮内膿瘍を全て開放することと,それを吸収力のある被覆材で覆うことです。
同様に,内科の先生から「帯状疱疹の患部の処置で何かいいものはありませんか」と質問されたため,とりあえず,プラスモイストを貼付してみたら,やはり数日で滲出液がなくなり水疱が治癒しちゃいました。
- ヒッチコック・ファンがヒッチコック映画のいろいろなシーンをなぞって作った映画・・・らしんだけど,肝心のつくりがかなり雑で,都合のいい展開ばかり連続する《ボディ・ダブル》について。
- 数日前,『人体常在菌 ―共生と病原菌排除能』(牛嶋 彊,医薬ジャーナル社,2001)という本を紹介しましたが,ここで示されている基礎的データを活用すれば,「カテーテル刺入部の処置,人工心臓のカニューレ刺入部の処置,人工関節手術前の術野の消毒と術後処置」などの問題が,一元的に説明でき,そもそも刺入部の感染はどのような条件下で起こるのかについてもうまく説明できることがわかりました。いずれまとめて書く予定ですので,少々お待ち下さい。
- 以前から,「寝たきり褥瘡患者に栄養管理は不要!」,「寝たきり患者にカロリー投与すると状態が悪化する!」ことを確信しています。寝たきり褥瘡患者に高カロリー? NSTが介入してから患者の状態が悪化してませんか?
なぜそうなるのか。論理的に考えれば当然です。これについても,いずれ説明する予定です。
2007/07/30
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,大阪市北区のさたクリニック 佐田博之先生,埼玉県さいたま市の東大宮整形外科内科 富井重明先生,福岡市北区の福香会おくだクリニック 整形外科 奥田隆司先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 9月7日の苫小牧での講演ですが,参加問い合わせ先情報を追加しました。
- さて,先週27日の青森県保険医協会でしたが会場は満員状態で,質疑応答もその後の懇親会でもひっきりなしに質問をいただきました。多数おいでいただき,ありがとうございます。
その後,5人ほどの先生方と居酒屋に移動,さらにそれから午前零時も近いというのに3次会に突入。ホテルの部屋に戻ったら午前2時でした。
- 以前から,病原菌はなぜ宿主である人間を殺すのだろう,宿主殺してしまっては自分も生きられないではないか,なぜ生かさず殺さずという方針で共存共栄の道を探らないのか,と不思議に思っていた。これではまるで,地球環境を破壊して自らも破滅させようとしている「霊長の万物(と自称している)」と同じだからだ。そんな愚かな生物がいるとは思えないからだ。
そう思っていたら,この長年の疑問に答えてくれそうな本が最近出版されていることに気がついた。『病原体から見た人間』という本である。まだ最初のほうを読んだだけだが,「なぜ人間に病原性を持つようになったか」について見事に説明しているようだ。要するに,病原菌(と人間が呼んでいる細菌)にとっての本来の生態系とは何か,という問題らしい。人間の常在菌が人間に病原性を持たないのは,彼らにとって人体が本来の生育環境(生態系)だったからなのである。
- 参議院選挙で自民党が歴史的大敗! 選挙前,「私と民主党の小澤代表で,どちらがリーダーにふさわしいかを決める選挙です」と大見得を切っていた安部ちゃんは,大敗したのになぜか「私が選ばれなかった」とは言っていないようです(・・・7月29日夜11時の時点では)。この選挙でみんな,「お前はリーダーにふさわしくない,あんたがリーダー役をするのは御免だ,あんたがリードする方向に行って欲しくない」って審判したんじゃないでしょうか。
安部ちゃんは「改革を続行すると国民の皆様に約束しました。その約束を果たすために首相の座に・・・」とか言っていますが,投票した人の大多数が「安部坊ちゃんの考える改革はして欲しくない,そんな約束,果たして欲しくない」と思っていると思うんだけど・・・。
安部ちゃん総理,もしかして,記憶力が減衰しているんですか。某閣僚が「ア○ツハ○マーでもわかる」といっていたが,これはもしかして,総理大臣の記憶力を言っていたんですか?
安部ボクちゃん,いまだ「私は美しい国づくりのために・・・」って言っているけど,美しいばかりの鈍感力です。
2007/07/28
- 26日夜は東京都港区整形外科病診連携の会で講演でした。会場はほぼ満員状態で,質疑応答も非常に活発でした。講演後は同じホテル内で立食形式の懇親会でしたが,食事をとる暇が全くないほど,次から次へと質問をいただきました。多数ご参加いただき,ありがとうございました。
- 「本の感想コーナーからその本が購入できるようになると便利ですが」というメールを時々いただくので,それならというわけで,アマゾンのアフィリエイト・サービスを取り入れました。
- というわけで,27日は昼過ぎまで秋葉原のあたりをぶらつき,羽田から青森空港に向かいました。さすがは飛行機,1時間で到着しました。
ちなみに,宿泊ホテルにチェックインして講演までの間,テレビでも見るかとつけたら,「笑っていいとも」放送中! 思わず時計を見てしまいました。ちょっと意表をつかれてしまいました。
- その青森ですが,涼しいかなと思ったら大間違い! 30℃を超えていました。青森での講演の様子はまたあとで。
2007/07/26
- 人体常在菌に関する総合的研究書,『人体常在菌 ―共生と病原菌排除能』(牛嶋 彊,医薬ジャーナル社,2001)について。腸管常在菌,皮膚常在菌,口腔常在菌などについての知見が基礎的データを添えて網羅されていて,ありとあらゆる疑問に答える名著だと思います。何より,常在菌たちが高度で精妙な共同生活をしている様子に感動します。
創傷治癒,創傷治療,創感染,院内感染に興味をお持ちの方に必読の書と断言します。
人体常在菌―共生と病原菌排除能
- 今日は夕方まで外来診療,それから東京に移動して(このあたりは松本よりかなり楽),午後7時から東京都港区整形外科病診連携の会で講演,そして27日は昼過ぎに羽田空港から青森空港に飛び,午後7時から青森県保険医協会で講演の予定です。
2007/07/25
2007/07/24
- 今年12月7日(金)に大阪府立急性期・総合医療センターで講演することが決まりました。
- 皮膚科の月刊誌,Monthly Book Derma 7月号に依頼原稿「創傷治療の基本手技と実際」が掲載されました。基礎的説明から実際の治療について統合的に書いてみました。
ちなみにこの号は「実践創傷治療ABC」と題された特集号です。
- ケアネットテレビで8月より,「Dr. 夏井の創傷治療台革命」という58分番組が繰り返し放送されます。内容は先日東京で行った講演を収録したものです。よろしかったらご覧下さい。放送日などは上記サイトからダウンロードできます。
- 外来見学もそろそろ受け入れようかと思っていますが,何しろスペースが狭いため,来年6月の新病院移転までは次のような条件付きとなります。それでもよろしければ,メールでご連絡下さい。
- 1名のみの見学としてください。
- 初期研修医の見学は原則として引き受けておりません。
- 1日のみの見学となります。遠方の方のみ,1泊2日としてください。
- 「お肌にいいコラーゲンがいっぱい。食べるとお肌ツルツル!」なんてコマーシャルや食べ物番組が多いけど,いつまでこんなインチキで騙すつもりなんでしょうか。食べたコラーゲンがそのまま肌のコラーゲンになるわけないじゃん。
「食べたコラーゲンが肌のコラーゲンになる」というインチキが通じるなら,「心臓が悪い人はハツを食べましょう」ってのもありだよ。あるいは「記憶力が衰えてきたら脳味噌料理を食べましょう」とか,「貧血だったらすっぽんの血を飲もう」というのもありだな。
2007/07/23
- 先週土曜日は福岡県保険医協会で講演でした。会場は満員で150人を越える方においでいただき,質疑応答も活発でした。多数おいでいただき,ありがとうございました。
終了後,10人ほどの先生方と懇親会。ここでもいろいろな話をさせていただきました。そしてそれから3人の先生と博多名物の屋台でギョーザなどを堪能。屋台で食べるのはこれで2度目か3度目ですが,本当に美味しいですね。こういうのが近くにあったら,毎日通っちゃいますね。
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,長野県飯田市の飯田市立上村へき地診療所 内科 鷲山久之先生にも御参加いただきました。ありがとうございます。
- 「本屋さんに並んでいる本の著者はほとんど生存しているが,楽譜屋さんに並んでいる楽譜の作曲者はほとんど死んでいる」の後半を追加。ソラブジ,メシアンからリゲティまでです。
2007/07/20
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,香川県高松市の大橋内科胃腸科 大橋英司先生にも御参加いただきました。ありがとうございます。
- 「本屋さんに並んでいる本の著者はほとんど生存しているが,楽譜屋さんに並んでいる楽譜の作曲者はほとんど死んでいる」ということに,なぜか,気がつきました。
そこで・・・というわけではなく,さしたる理由も必然性もありませんが,「著者はなくなっているがまだ著作権が切れていない」作曲家がどんなピアノ曲を書いていて,それが現在,演奏されているかについて「適当に」まとめてみました。取りあえず今回は,1983年没のヒナステラまで。
2007/07/19
- 8月24日の高知での講演ですが,会場は高知商工会館(高知市本町1-6-24, Tel.088-875-1171)です。
- 昨日,赤城農水大臣の「ガーゼと絆創膏」について書きましたが,今度はタレントの佐藤江梨子さん。頤部に絆創膏を張ってインタビューを受けていました。何でも,マカロニでやけどしちゃったとか。誰か,デュオアクティブETのことを教えてあげてください。
2007/07/18
- 中越沖地震でけが人の治療に携わっていらっしゃる先生,いらっしゃいますか。瑞光メディカル社より「治療材料のプラスモイストV,プラスモイストWを提供したいが」との申し出をいただきました。必要な方は瑞光メディカル者の倉田さんplus_moist@zuiko.co.jpにお気軽に連絡をお願いします。
- 事務所費問題で渦中の赤城農水大臣ですが,昨日の閣議に登場した姿が注目を浴びましたね。左前額部と左頬部にやけに目立つガーゼと絆創膏! しかも無精ひげもかなり目立ちます。
いったい何が彼に起きたんでしょうか。記者会見でも「公務中の怪我ではないので」と答えていたけど,それじゃ答えになってないよ。「地震の揺れで転んじゃって」って適当に答えておけばいいのに・・・。
あと,無精ひげと怪我は全く無関係? ひげも剃れない状況って何? 髭剃りならコンビにでもキオスクでも買えるし,よほどの安ホテルでもなければ置いてあるよね。要するに「髭剃りが手に入らない」という状況は余程のことじゃないでしょうか。じゃあ彼はどこに泊まっていたんでしょうか。
さて,この「農水大臣の怪我」が問題になったのは,ガーゼを張っていたからなんですね。もしも彼の主治医(?)がデュオアクティブETを知っていたら,ニュースにもならなかったはず。デュオアクティブをぎりぎり小さく張って登場したら,数メートル離れたらそこに張っていることすら見えませんし傷も隠せますから,「大臣,どこで怪我をしたんですか?」という質問すら記者から出なかったはずです。もちろん,ニュースにもならなかったでしょう。
というわけで,もしも赤城大臣,あるいは知人の方がこの記事をお読みでしたら(見てないって),デュオアクティブETを張ってくれる医者を受診したほうがいいと思います。もちろん,政治家の方が顔面に怪我をした場合も同じです。あと,芸能人も・・・。
こういうニュースを見るたびに,まだまだ湿潤治療は広まってはいないなぁ,と思い知らされます。
- 最後の最後に真相が明かされると,ありゃぁ,それが真相かい? という気になってしまう,擬似シリアルキラー映画,《アメリカン・サイコ》について。
2007/07/17
2007/07/14
- 埼玉県の中学三年生から次のようなメールをいただきました。
湿潤治療に興味を持ち,勉強しています。また,学校の保健室でも湿潤治療ができるように,いろいろ努力しています。そしてこのたび,心肺蘇生と湿潤治療などの講習会を開くことになりました。突然のメールは失礼と存じますが,湿潤治療についてのアドバイス,資料などがありましたらいただけませんでしょうか。
メールの文章は中学生とは思えないほどしっかりしていて,年長者に対しての礼を一生懸命尽くして書いた文面になっていて,まずそれに感心しました。そして,治療を知ってもらうために懸命に努力している様子も,文章からひしひしと伝わってきて感動しました。メールを読みながら,目頭がウルウルしてきました。
この感動は,以前「ホロヴィッツのハンガリー狂詩曲第2番を演奏会で弾きたいので,楽譜をいただけないでしょうか」と小学校5年生からメールをいただいて以来のものです。日本の未来はまだまだ明るいな,なんて思っちゃいました。
そして同時にパラダイムシフトはこのようにして起こるのだな,と改めて思いました。この中学生のような若い人が増え,某病院救急部部長のような19世紀医者が御臨終を迎えたとき,創傷治療にパラダイムシフトが起こるのでしょう。それを実感しました。この中学生のような人がいる限り,確実にパラダイムシフトは起きます。旧世代がいくら邪魔しても,それが正しい限りパラダイムシフトは必然の未来です。
中学三年の鈴木君,がんばれよ!
- 外来見学についてですが,こちらをご覧下さい。見学再開は早くても来年6月以降になりそうです。
2007/07/13
- 「こんな質問をいただきました」に,【手術やケガの痕の気になります/5年前のケガの痕もきれいになりますか?】を追加。
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,長野県松本市の品川内科医院 院長 庭本博文先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- ぶっ飛び系ハチャメチャ系おふざけ・おちゃらけ系豪華絢爛系大物俳優系映画の代表作(?),《マーズ・アタック》について。本当にくだらなくて面白い映画です。まさにティム・バートン監督の面目躍如といったところでしょう。
- 昨日,患者さんに湿潤治療について説明していたら,「それってもしかしたら,少年マガジンの『ゴッドハンド輝』で紹介されていた治療ですよね。それなら知っています」といわれました。さすがは少年マガジンです。知名度が違います。おかげさまで,すんなりと理解していただきました。『ゴッ輝』にはいつもお世話になっています。
要するに,素人ですら「消毒してはいけない,創面を乾燥させてはいけない」ということを知っている時代になったのです。それなのに,それに逆行するように「傷を消毒せよ」と書いてある「最新外傷マニュアル」を作っている病院があるそうです。そんなの作ったら,それこそ素人にも馬鹿にされるよ。
2007/07/12
- この本は面白ろかった。ちょっとした仕事の合間に読み始め,あまりの面白さに読み止められなくなり,結局数時間で読み終えてしまった。そして感動した。『素数ゼミの謎』(吉村仁,文芸春秋社)だ。
卵から孵化してそのあと幼虫の状態で17年間も地中生活し,正確に17年ごとに大量羽化する北米の謎のセミ,それが「17年ゼミ」だ。なぜ17年も幼虫でいるのか,なぜ一地域で大量発生するのか,なぜ計ったように17年なのか,そもそも,なぜ17年なのか,なぜ16年ゼミも18年ゼミもいないのか(ちなみに,北米には17年ゼミのほかに13年ゼミがいる)・・・。
これらの疑問にはさまざまな説明がなされてきたがどれも「帯に短し,襷に長し」だった。この疑問に対し,著者は数学を武器に戦いを挑む。そして,13年ゼミと17年ゼミのみが存在し,その他のセミが存続できなかった理由を明快に説明する。16年ゼミも18年ゼミも子孫を残せなかった理由を明らかにする。それが「素数ゼミ」という概念だ。その論証は極めて明快・明晰だ。
しかも本の装丁は絵本仕立てで,絵が多いし,難しい漢字にはフリガナも振ってある。使われている数学もせいぜい中学1年程度だろう。その上で,氷河期から現代に至るセミの進化の歴史を壮大に解き明かし,進化論の面白さを余すことなく描きつくしている。
科学に興味を持つ全ての中学生,高校生,大学生,そして社会人にこの本を薦める。科学の面白さの全てがこの本にある。
2007/07/11
2007/07/10
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,大阪府泉北郡忠岡町の八木レディースクリニック 八木重尾先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 「こんな質問をいただきました」に【テラジアパスタについて】を追加しました。
- 巨大クモ・パニック映画としてはかなりまとも作品,《スパイダー・パニック》について。ま,典型的B級映画ですけどね。
- 石岡第一病院での一日目の仕事が終わりました。皆さん,とても気を使ってくださって,とても仕事がしやすく,かえって恐縮してしまいました。
唯一困ったことは,電子カルテ(来年導入される予定とか)でなく,全て手書きであることです。もうかれこれ,5年ほど手で字を書かない生活をしているため,本当に漢字が書けなくなっていました。「転倒」とか「貼付」という漢字すら思い出せない体たらくです(・・・単なる老化現象という声も・・・)。
それでわかったのですが,電子カルテでよかったと思うのは,長い文章(患者さんへの説明の内容とか)を書くのが格段に簡単な点です。手書きで長い文章を書くのは本当に大変。しかも,複数の患者で同じような文章になるため,コピー&ペーストが使えるか使えないかでかなり違います。
2007/07/09
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,福島県郡山市の財団法人 脳神経疾患研究所附属総合南東北病院 形成外科 村松英俊先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 先週金曜日は石川県の石川県立中央病院で講演でした。300人収容の大会議室は2/3が埋まり,質疑も活発でいろいろな質問もいただきました。お集まりいただき,ありがとうございました。
講演後は院長先生,座長の常塚先生,そして研修医の皆さんと宴会。美味しい地酒をいただきました。
- さて,上記の講演である研修医の先生から「縫合するかしないかの基準は?」という質問をいただきました。もちろん,私の基準は単純明快です。
- 局所麻酔の注射をさせてくれるなら絶対に縫合。
- 麻酔注射を拒否したり暴れたりする場合は
- テーピングで何とかなりそうな大きさ,深さ,部位の場合にはテーピングと圧迫。95%の患者はこれで対応できる。
- 口唇のようにテーピングしても剥がれる場合,眼瞼縁などテーピングが難しい場合,関節部でテーピングしても剥がれる場合で乳幼児の場合は,全身麻酔下に縫合。ただし,そのような例は少ない。
しかし,ではこの基準に従えば誰でも傷が縫合できるかというとそうではないでしょう。実際,上記の質問をした研修医に「あなたは縫合の仕方,局麻の仕方をきちんと教えてもらいましたか?」と逆質問すると,見よう見まねで何となく教えてもらったような気がする,ということでした。もちろんこれは,この病院に特有な現象ではなく,どの病院の研修医も外傷の治療法については似たり寄ったりの状況でしょう。全国各地の研修医たちは,救急外来当番のときに縫合が必要な患者が来たら外科系指導医に「こうやって縫合するんだよ」と教えてもらう,という方式で教えてもらっているはずです。
では,これで縫合の仕方が覚えられるかというとちょっと無理です。縫合が必要な患者は一晩にせいぜい一人か二人受診する程度ですし,次に縫合する機会は1週間後です。これでは前回の経験が次に生かせません。これはちょうど,一回5分の英会話練習を一週間に一度だけしているようなもので,これで英会話ができるようになれと言われても無理です。
それではどうしたらいいでしょうか。英会話ができるようになるのは簡単です。英語しか使えない状況が朝から晩まで続き,それを1週間連日続けたら,どんな人でも日常会話くらいはできるようになります。それを外傷治療に応用するだけです。それがこれまで私が相澤病院で完成させた教育システムです。もちろん,このシステムは2007年6月に崩壊しましたが・・・。
具体的にいうとこうなります。
- 顔面と手の外傷の治療がどちらもできる医師を「傷の治療外来」専任とし,日中に救急外来を受診した外傷患者を全て治療する。夜間に救急室で治療をした外傷患者も全てフォローする。
- 研修医は一人ずつ2~3週間,その外来で研修を受ける。
- 局所麻酔の基本,縫合の基本から始まり,熱傷,褥瘡,術後感染創,動物咬傷の治療などを実際の患者さんの治療を通じて教える。
この方式なら,2~3週間,ずっと外傷治療を見るしかないわけで,これくらいの期間があれば救急外来で出会う外傷のほとんどを直に教えることができます。実際の患者さんでなければ教えられないことが多いし,患者さんから教わることは万巻の教科書に勝ります。
また,自分で縫合した傷がどのように治るかを最後までフォローできるというメリットもあります。救急外来で縫合させても,そのあとのフォローができないと研修医へのフィードバックがかかりません。
このように指導したら,救急外来の外傷患者の8割以上が任せられるようになるし,その病院の救急外来全体の動きもよくなります。これがうまく回るようになると,地域医療全体のレベルも上がります。
問題は,研修医のためにそこまで考えた診療体制,教育体制を実際に作れるのかというところにあります。
- 外来見学に関するメールを幾つかいただいておりますが,新しい病院に変わったばかりでどのくらいの患者さんが受診されるか不明ですし,外来スペースも狭いこともあり,申し訳ありませんが,当分,外来見学は受け入れることができません。
2007/07/06
- 今日は午前中に上野に向かい,東京⇒越後湯沢⇒金沢と移動し,石川県立中央病院で講演です。石川県で2度目,4年ぶりとなります。
- 主演のミラ・ジョヴォヴィッチの美貌とナイスディ,しなやかな動きを見ている分には楽しめるのですが・・・という映画,《ウルトラヴァイオレット》について。
- というわけで,昨日はずっと引越し荷物の搬入と片付けでした。何とかダンボールは全て開けましたが,荷物はそこらに積み重なっています。何とか夕食を取れそうなところも見つけました・・・というか,歩いていける範囲内にある飲食店が2つか3つしかないんですけどね。
また,コンビニはありますが,コンビニで売っていないちょっとした日用品を買おうとすると,かなり遠くまで行かなければいけないのはさすがにちょっと不便。
2007/07/05
- 11月11日(日)に大阪で開催される日本家庭医療学会のワークショップで講演することが決まりました。
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,滋賀県東近江市の湖東記念病院 脳神経外科 上杉哲平先生にも加わっていただきました。感謝します。
- というわけで,昨日(4日)夕方に石岡駅に到着し,翌日昼過ぎの荷物搬入に備えてホテルにチェックイン。石岡駅周辺をちょっと歩いてみましたが,「コンビニがない!」というのが第一印象でした。私は完全外食なのでコンビニさえあればどこでも暮らせるんですが,さすがにコンビがないと・・・。その後,病院近くにコンビニがあることが判明。よかった。
2007/07/03
- 7月21日の福岡での講演ですが,「福岡県保険医協会の会員限定」とのことです。会員外の方でどうしても参加ご希望という場合は必ず,保険医協会事務局まに事前にお問い合わせください。
- 私事ですが,明日の午前中に荷物を運び出し,明後日に石岡の部屋に荷物が入る予定です。数日間,ホームページの更新が難しいかもしれません。
ただし,メールで御相談などにはいつでも対応できるようにしてありますので,お気軽にどうぞ。
2007/07/02
- 「外傷を湿潤治療している医師」に,東京都足立区の福岡クリニック 整形外科 矢澤 光先生,島根県鹿足郡津和野町の津和野共存病院 内科 門脇秀和先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- これまた伝説のアホ映画として有名な《アタック・オブ・ザ・キラー・トマト》について。殺人トマトが人類を襲い,人類は存亡の危機に直面しちゃうのでありました。
- というわけで,本日より石岡第一病院勤務となります。外来診療開始はおそらく来週あたりからになると思いますが,茨城県内とか常磐線鉛線で,傷が治らなくて困っている人はご相談ください。