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2006/03/31
- 「外傷を湿潤治療している・・・」に,これまで長野県の軽井沢病院で活動なさっていた黒岩先生が千葉市の千葉医療センターに移動となったため,登録病院を変更しました。
また,湿潤治療の講演もなさっていらっしゃるということで,「湿潤治療の講演をしている医師」にもお名前を加えさせていただきました。ありがとうございます。
- そして,4月15日(土)に茨城県日立市の聖麗メモリアル病院で,岡崎匡雄先生が湿潤治療の講演をします。院外からの参加も可能とのことですので,ご興味をお持ちの方は,同院医事課 酒主(さかぬし)さん(office@seirei-memorial.com,Tel 0294-35-7171 Fax 0294-35-7753)にご連絡下さい。
- 明日から4月というのに,松本は凍りそうな寒さです。昨日は夕方の時点で氷点下でした。春めいた気候が続いていただけに,余計にこの寒さは厳しく感じられます。
2006/03/30
- いよいよ(?),5冊目となる本の企画がまとまりました。「外科外来に役立つマニュアル」みたいなものです。局所麻酔の打ち方,持針器縫合をうまく見せるコツ,手指骨折の治療,鼻骨骨折は局所麻酔で・・・など,実際に即した治療手技を大公開,という内容になる予定です。
- 各地で講演するたびに名刺をいただきます。たまりにたまった名刺がおよそ1,000枚(医師とマスコミ関係者の名刺の数です。薬剤メーカーのMRさんの名刺は含まれていません)。一応,病院とか出版社名で分類していますが,いざ使おうとすると面倒です。
というわけで使ってみたのが「名刺ブレーン NS-NB1N」(コクヨ)です。超小型のスキャナ(10×6×2センチくらい)なんですが,とても使いやすいです。こういう名刺に特化したスキャナを使うのは初めてですが,名刺に書かれている病院名とか電話番号とか名前などを,かなり的確に自動的に見つけて勝手に読み込んでくれるし,縦書きも横書きも自動的に認識してくれるし,漢字とアルファベットを自動認識しているようだし,かなり頭がいいです。こんなに小さいのに,何でここまで自動認識できるんだろう,と感動してしまいました。また,データはエクセルファイル(.csv)に書き出すこともできるし,Outlookに連動させることも可能です。
なんだ,こんなに頭がいいのなら,もっと早くから導入するんだったな。
2006/03/29
- 4月28日の高崎市医師会での講演ですが,外部からの参加も可能なようですので,参加問い合わせ先情報を追加しました。
- 今日,1999年の「割り箸を咥えて転倒し,延髄に刺さって死亡した幼児」事件で,最初に診察した当直医に無罪判決が出ました。一般の方は「ひどい判決だ」と思われるでしょうが,恐らく大多数の医者や「それは当たり前だろう」と思っているはずです。ご両親の無念さはわかりますが,だからといって,この当直医に全責任を負わせるのは,間違いだと思います。
この子供に対して,完璧な診察と検査をし,完璧な治療をしたとしても,この子供は翌日に確実に死んでいます。細菌学的に考えれば,この患者さんは「脳が泥まみれになった」以上に細菌汚染されているようなもので,どんな治療をしても検査をしても,命が助かりません。だから,この子供が救急外来を受診し,頭部CT検査をして脳に割り箸が刺さっていることがわかったとしても,この子にはしてやれることは一つもありません。もしもこの子供の脳損傷が正確に診断できたとしても,事態は全く変わりません。
口に割り箸を咥えて走り,転倒して割り箸が口の奥深くに刺さり,それが脳に達していたということは,転倒して刺さった時点で既に,口腔内の常在菌が脳に入り込んでいたということになります。しかも,刺さったのは割り箸,つまり木材です。最も感染を起こしやすい異物です。このため,割り箸をすぐに抜いたとしても,脳の中身は細菌汚染されています。
ここで仮に,この子供を全身麻酔をかけて脳外科で手術したとしても,どういうことができたでしょうか。刺さった割り箸を取り出しただけでは,感染は必発です。割り箸の通り道がすべて細菌汚染されているからです。
感染を防ぐためには,割り箸の通り道を大きめに切除,つまりデブリードマンすることしかありません。しかし脳幹をデブリードマンすることは不可能です。患者が死ぬからです。従って,脳に汚染された異物が刺さった場合,助ける手段は存在しません。
この意味で,この子供さんを診察したのがどんな名医であろうと死は避けられない運命だったのです。
まして,「割り箸を咥えて走って転倒し,それが口の中に刺さって脳に達していた」というのは,通常起こりえない外傷です。教科書にも載っていません。それこそ,見たことも聞いたこともない外傷です。それを医者に予見しろ,それを想定して検査しろ,治療しろ,というのは無茶な要求ですし,非現実的です。このような外傷は,私の知る限り,前代未聞です。
箸を口に咥えて転倒する患者さんはたくさんいます。しかし,そのすべては口の中にちょっと傷がついているだけです。刺さったとしても骨にぶつかり,そこで止まります。つまり,喉に刺さった割り箸が脳に到達するためには,強靭な靭帯を突き破り,骨と骨とのわずかな隙間を通らなければいけません。脳に刺さっているなんて,通常は考えられません。
この子供さんのご両親の無念さはわかります。病院で見てもらったのに死んでしまったというのを納得できないのもわかります。診察した医者を恨む気持ちもわかります。診察したのが名医だったら助かったのではないかと思う気持ちもわかります。
しかしそれでもなお,医者の常識を超えたまれな外傷であり,患者を助ける手段が存在しないということも厳然たる事実なのです。
- また,スカを引いちゃいました。映画『クイーン・スパイダー』です。予算がない,アイディアがない,工夫もない,という三重苦にあえぐ情けないモンスター映画です。
2006/03/28
2006/03/27
- 「読書日記」に『とりぱん』を追加。「週刊モーニング」連載中の野鳥観察漫画の大傑作。これは絶対に本屋さんで手にとって見てください。素晴らしい作品です。
- 3月26日の読売新聞健康欄で『さらば消毒とガーゼ』が紹介されました。
- 『黄金比はすべてを美しくするか?』(マリオ・リヴィオ,早川書房)を読破。実に面白く,スリリングな名著です。「黄金分割」とも呼ばれる数字,φ=1.61803398・・・という一つの無理数をめぐる,人類の歴史,芸術の歴史,そして,数学と物理,そして宇宙の根源に迫る力作です。
数学の本を読むたびに思いますが,これらのように明晰で豊穣,厳格にして自由闊達な書がなぜ医学界にないのだろうかと,いつも考えてしまいます。
- アメリカ在住のジャーナリスト,町山智浩氏のエッセイ(サイゾー4月号)によると,以下のベストセラーはすべてでっち上げ,インチキ本であることが確認されているそうです。いずれも感動本に分類されるものだけにその嘘は悪質です。
- 『"It" と呼ばれた子』(デイヴ・ペルザー)
著者のデイヴが実母から受けた虐待をありのままに書いた,という触れ込みの感動本で,日本でもかなり売れた本ですが,2000年に「New York Times」がデイヴの弟を取材し,全て嘘であることが判明しています。
- 『サラ,神に背いた少年』『サラ,いつわりの祈り』(J. T. リロイ)
7歳の頃から実母に男娼をさせられていた少年の回想記,という触れ込みの感動本らしいですが,実は30代女性が自分で書いた架空小説をノンフィクションとして売り込んだもの。今年1月の「New York」誌がすっぱ抜いています。
- 『リトル・トリー』(フォレスト・カーター)
これはチェロキーインディアンのリトル・トリーが祖父から教えてもらったことなどを書いたもので,1976年に出版され,翻訳は現在でも売れている本ですが,作者はインディアンでもなんでもない白人で,おまけにKKKのメンバーにして過激な人種差別主義者であることが暴かれています。もちろん内容はデタラメで,先住民族をネタに金儲けをしただけの本。
町山さんも指摘していますが,アメリカでも日本でも,同じ内容でも「小説」だと売れないのに,「ノンフィクション」となると売れるんだそうです。最後の本なんかは,本当はたいしたことが書かれていないのに,「インディアンの祖父が私に教えてくれた叡智」なんてレッテルが貼られていれば,陳腐なことも深遠で哲学的な内容に思えてきますから,詐欺師のねらい目としては見事といえましょう。
2006/03/24
2006/03/23
- 「外傷を湿潤治療している・・・」に,岩田佳久先生(愛知県名古屋市昭和区の岩田外科整形外科,愛知県岩倉市の岩倉病院)も加わっていただきました。ありがとうございます。
- 看護技術4月号に『さらば消毒とガーゼ』(春秋社)の書評が掲載されました。
- とてもお洒落でサスペンスフルな映画,《リプリー》の感想。あの名作《太陽がいっぱい》のリメイク映画です。基本的にはいい映画だと思いますが,これはちょっと・・・という部分にちょっと突っ込んだりして。
2006/03/22
- 「ZNC治療例」に「足背熱傷」を追加。
- 「外傷を湿潤治療している・・・」に以前から登録していただいている滋賀県のまつもと整形外科 松本先生ですが,同院のホームページができたというご連絡をいただき,リンクしました。
- 12月2日の静岡県整形外科医会の問い合わせ先情報を追加しました。
- 「平成の市町村大合併が地域医療を破壊」していることをご存知ですか? 北海道のせたな町で長年,地域医療に奮迅され,予防を主体とした素晴らしい医療体制を作り上げた村上先生という方が,辞職に追い込まれたのです。原因は市町村合併に伴って新たに就任した町長が,旧瀬棚町が築き上げた地域医療システムを認めなかったためらしいです。これは北海道の地方テレビ局でも取り上げられ,同局のサイトに詳しい経緯が掲載されておりますので,是非,ご覧下さい。
http://www.stv.ne.jp/tv/d-sunday/DStokushu/index.html
村上先生の無念さを思うと,胸が詰まる思いです。
- 週末ごとに新幹線や飛行機で移動していますが,その時間を利用して,というか,暇をつぶすためにHDD型のポータブルAVプレーヤー Creative Zen Vision で映画を見ています。レンタルDVDをMPM-201 (NHJ) でDivXファイルに変換し,それをZen Visionにコピーして鑑賞しているわけです。
たいていはB級モンスター映画などですが,もちろん,「アカデミー賞受賞感動作」なんてのも見ます。そこでいつも思うのが,「映画って繰り返し見たいものがないなぁ」ということです。CDなら何度も繰り返して聞くのに,映画DVDは一度見るともう当分見なくていいな,という感じになりますし,2度繰り返して見たくなった映画は数えるほどしかありません。
となると,映画DVDは妥当かという気になってきます。音楽CDの値段(1枚あたり2,000円~3,000円)に対応させると,映画DVDの値段なんてせいぜい500円程度の価値では内果,という気になってきます。少なくとも,4,000円出すほど価値のあるDVDには滅多にお目にかかれません。個人的な感想としては,DVDの値段は週刊誌と同じくらいでいいと感じています。
- よく,「DVDをどうやってコピーしているのですか? 違法ソフトなんかじゃないですよね?」という質問を受けますが,上記のようにMPM-201(現在では販売中止)でDivXファイルにしています。このマシンにDVDプレーヤーを繋いで〔録画ボタン〕を押すと勝手にコピーを作ってしまうんですよ。気分としては「えっ? 録画できるの?」という感じですね。現在のところ,ありとあらゆるDVDが問題なくコピーできています。「画面に映った画像をビデオで撮影」するような感じでコピーしているんでしょうか。
この機種は入手困難(不可能?)と思われますが,その他のマシンでも同様のコピー機能を持っているものがあります。
- COWON A2-30-WH(コウォンジャパン)
- SORELL SV-15(言葉の壁を越えて)
Cowon A-2でコピーが作れることは確認できていますが,Sorellについては未確認です。「移動の車中で手持ちの映画DVDを見たいけど,何枚もDVDを持ち歩くのもうざったいし・・・」という方にはいいかもしれません。
2006/03/21
2006/03/20
- 一昨日(3月18日)は横浜の神奈川県CAPD研究会で特別講演。会場は満員で立ち見の方もかなりいらっしゃったようで,通常の同会の参加者をかなり上待っていたということでした。通常通り,90分ほど話させていただき,その後,質問となりましたが,多くの方にとっては衝撃的な内容だったようです。私が18:30の新幹線に乗らないといけなかったため,質問の時間が15分ほどしか取れず,申し訳ありませんでした。
ちなみに,講演の後にCAPDの処置についてのシンポジウムがあったようですが,私の講演を受けて,どういう内容の討論になったのか興味があります。
- 掲示板では,今年4月からの医療保険改正の不合理さ,それによる地域医療の崩壊の危機についての書き込みが相次いでいます。少なくとも,中規模病院の救急医療は壊滅状態になるでしょうし,療養病床を主体とした病院も経営が難しくなりそうです。このままだと,ある日突然,その地域の救急病院が全てなくなった,なんて深刻な事態も起こるんじゃないでしょうか。
皆さんがお住まいの地域,大丈夫ですか? 夜に子供が熱を出し,救急病院に行こうと思って行きつけの病院に連絡したら,「もう救急はやっていません。この地域で救急患者さんを受け入れている病院はもうありません。救急患者さんを受け入れたいのですが,そうすると病院が潰れます」と電話で対応される日は,もうそこまで来ているかもしれません。
- なんていう深刻な事態はとりあえずおいといて,お馬鹿映画《メタモルフォーゼ》について。
- またも面白そうな数学読み物を発見。【黄金比はすべてを美しくするか? -最も謎めいた「比率」をめぐる数学物語-】(マリオ,リヴィオ,早川書房)。明日は休みなので,読んでみようっと。
2006/03/18
- 12月2日(土)に静岡県整形外科医会で講演することが決まりました。詳細については,決まり次第,掲載します。
- 「ZNC治療例」に「スポーク外傷」を追加。
- 今日は午前中に松本を出発して静岡に向かい,第20回神奈川県CAPD研究会で講演です。それに合わせて,スライドの後半部分に少し手を加えました。
2006/03/17
- 「ZNC治療例」に「両手背熱傷」を追加。ZNCは薄くてしなやかなため,指全体を巻いても厚くならず,多少の指の動きも可能です。
- 青年海外協力隊としてチリの診療所で看護師として働いている,という方から,とても嬉しいメールをいただきました。
チリではなぜか静脈鬱滞性の下腿潰瘍が多く,その多くが未治療で,10年以上にわたって大きな潰瘍に悩まされつつも治療を最初から諦めている人が多いそうです。そして,潰瘍があるために入浴もできず,恐ろしく汚い状態の患者さんばかりだったそうです。
そこで,まず傷と一緒に足を洗うことから始め,足のマッサージの方法を教え,そして潰瘍をラップで包む方法を指導したそうですが,傷が劇的に小さくなり(写真が送られてきましたが,本当に良くなっています),QOLが格段に向上したそうです。しかもラップはチリでも売られていて入手も容易とのこと。チリの田舎でも売られているそうですから,多くの発展途上国でも同様の治療が可能でしょうし,飲み水とラップさえあれば始められるこの治療は,まさにそのような国々の人たち向きかもしれません。ラップが高かったら,洗って再使用するのも簡単ですから,日本から1巻持ち込めば,100人くらい治療できそうです。
ちなみに彼女は,私のサイトから「傷の話」をダウンロードして,それをスペイン語に翻訳している最中だそうです。頑張ってください。
こメールに添付された患者さんの写真を見ると,傷も最初は治りたくて治りたくて,ウズウズしていたんじゃないかと思います。でも,治る力は持っていてもその力を発揮できる環境じゃないから,いじけてしまって10年以上経ってしまった。ところがある日突然突然,ラップを巻いてもらって傷が潤い始めたもんだから14年間の鬱憤を晴らすように一挙に治っちゃった。
そんな様子を思い浮かべてしまいました。
- しょうもない映画,《肉喰怪獣キラーツリー》について。
2006/03/16
2006/03/15
- 「外傷を湿潤治療している・・・」に,京都市中京区の京都逓信病院 外科 安藤善郎先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
- 4月21日の東京での講演(杉並区整形外科医会・外科医会合同学術講演会)の問い合わせ先などの情報を追加しました。
- 『眼の誕生 -カンブリア紀大進化の謎を解く-』(アンドリュー・パーカー,草思社)を紹介。これは文句なしに素晴らしい本です。緻密な思考と大胆な発想,それを裏付ける膨大なデータと綿密な考証があり,それをもとにこれまで誰一人として考えたことのない発想により,進化論最大の謎に挑む意欲作です。
作者の考えが正しいかどうかなんて問題ではありません。彼の思考の過程と論理の展開の仕方が素晴らしいのです。ページをめくるたびに新たな発見がある稀有の科学書です。
- ある養護教諭の方から花粉症の治療についての情報をいただきました。現在,花粉症の治療として「アレルシャット」という商品(「アレルシャット」とネット検索すればすぐに見つかります)がフマキラー(株)より市販されています。「鼻の入り口に塗るだけで花粉やハウスダストの吸入をブロック!」といううたい文句のもので,綿棒で鼻腔の入り口にこれを一日に数回塗るだけ(塗り方は同社のサイトで図解で説明してあります)のものですが,この養護教諭の方には非常に効果があったそうです。
で,この商品についてこの方が調べてみたら,その正体は白色ワセリンそのものらしいのです。なるほど,ワセリンを塗ってそのべたつきで花粉をトラップし,それ以上中に入らないようにする,という発想ですね。というわけで,この方は「アレルシャット」の替わりに白色ワセリンを塗ってみたそうですが,使用感は全く同じで,花粉症治療効果も同じだったそうです。
白色ワセリンは,眼軟膏や口内炎軟膏の基剤として昔から広く使われていますから,鼻腔に塗る分には全く無害で安全と思われます。私はまだ(?)花粉症を発症していないため,この方法の有効性については我が身で試すチャンスがありませんが,花粉症にお悩みの方,この方法を(自己責任の下で)試してみる価値がありそうですが,いかがでしょうか?
それにしても白色ワセリンは手荒れや主婦手湿疹,踵のガサガサ,乾燥肌・・・と万能選手ですが,まさか花粉症まで守備範囲だとは! 恐るべし,白色ワセリン!
2006/03/14
- 「ZNCでの治療例」に「前腕犬咬傷による皮膚軟部組織欠損創」を追加。
- 昨日から今日にかけて,北海道の三草会クラーク病院の高橋先生,鹿児島赤十字病院の片平先生が見学にお見えです。偶然にも日本の北と南からの見学となりました。
ご存知のように,ここ数日は日本全体が冷え込んでいて,松本も例外ではありません。鹿児島の片平先生はとても寒そうにされていましたが,札幌の高橋先生は「そんなに寒くないですね」とのことでした。
2006/03/13
- 先週土曜日(11日)は名古屋国際会議場で開かれた日本フットケア学会のシンポジウムにシンポジストとして出席しました。いつもの講演とは勝手が違い,20分という非常に短い時間しかなかったため,創を湿潤に保つ意味,治療例ときて,創感染の頭のところで時間切れになってしまい,消毒については全く触れる時間がありませんでした。聞いている人も,何がなんだか判らない部分があったかも知れません。今まで行った講演で最悪の内容だったと思います。
これからは講演時間が十分にとれない場での講演は引き受けないようにしよう,と反省しています。
- 「ZNCでの治療例」に「項部手術創離開」を追加。
- 基本的には幽霊屋敷映画ですが,幽霊が出そうでなかなか出てこない映画 《えじき Dead Bird》について。
- それにしても,土曜から日曜にかけての天候の変化にはちょっとびっくり。土曜日の名古屋は非常に暖かく,半袖で歩いている人も見かけました。ところが日曜日の夕方,長野に近づくと雪が降り,積もっているじゃないですか。もちろん,松本も雪が舞っていました。まさに三寒四温ってやつですね。
2006/03/11
- 鳥取県立中央病院皮膚科の河上真巳先生から母指先端に潰瘍を生じた非定型抗酸菌症の1例という投稿をいただきました。いきなりこういう症例がきたら,かなり悩みますね。私だったら診断がつけられなかったかもしれません。
- 「大腿部熱傷のZNC治療例」を追加。ついでに,「ZNCでの治療例」をまとめたコーナーも作りました。順次,症例を追加してきますが,まずはあまりエグくない症例から・・・。
- 10月20日に予定していた盛岡市医師会での講演ですが,医師会側の都合により10月13日(金)に変更となりました。
- 今日はこれから名古屋に向かい,フットケア学会のシンポジウムに参加します。そして,終わり次第,中部国際空港に移動の予定です。またもや忙しい週末になってしまいました。
2006/03/10
- 6月2日の田主丸中央病院(福岡県久留米市)での講演の詳細が決まりましたので,追加しました。外部からの参加も可能ですが,事前に連絡してください,とのことです。
- 「外傷を湿潤治療している・・・」に,愛知県海部郡甚目寺町の公立尾陽病院 外科 市川健次(院長),奥田直人,高橋清嗣,八木斎和,奥田直人 先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
2006/03/09
- 最後まで見るとなんとなく全体像がつかめるんだけど,見ている途中では何がなんだかわからない映画,《サスペクト・ゼロ》について。ホラーでもスリラーでもサイコホラーでもスプラッターでもない中途半端な映画でした。
- 昨日は,病院見学に訪れている富山大学の研修医と宮崎大学の学生が,当科外来を一日だけ見学。
2006/03/08
- 「外傷を湿潤治療している・・・」に,青森県上北郡七戸町の公立七戸病院 外科 松本陸郎先生,櫻庭弘康先生,大阪市東住吉区のウマノ整形外科クリニック 馬野隆信先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
ちなみに,県ごとの登録施設数を数えてみたら,兵庫県の38を筆頭に,北海道と大阪の27,東京の21,愛知の18となっています。各県の人口をこの数字で割って得られる「一施設当たりの人口」はどうなるのかな?
- 6日から7日にかけて,兵庫県伊丹市のいちやま整形外科の一山先生が見学に見えられました。
- 医学雑誌,とくに毎月学会から送られてくる学会雑誌,活用していますか?
私は,全国学会への事前申し込みとか認定医更新のお知らせとか,そういう情報のために購読しているようなもので,中身はほとんど読んでいない(何しろここ数年,形成外科の仕事を全くしていないし・・・)。そのため,年の始めに昨年1年分の雑誌をまとめてゴミ箱に捨てることになる。価値がほとんどないからである。
なぜかというと,索引も目次もない本は,本ではないからだ。いくら学会雑誌をきれいに本棚に並べていたとしても,そのままでは必要な情報を引き出せないからである。これが海外雑誌ならPubMedで検索できるが,日本国内の医学雑誌を対象とした無料検索サービスは現在のところまだないため,情報を簡単に引き出せないようになっていて,活用しようがないのだ。
これが商業医学雑誌なら背表紙に「特集・抗生剤使用に関するガイドライン」などと書いてあるからまだ利用のしようがあるが,学会雑誌にはそれすらないわけで,情報源としては価値はほとんどない。
こう書くと,「興味を持ちそうな論文に付箋でも付けておけばいいんじゃない」と反論される人もいると思うが,これも意味がない。「興味のある論文」とはあくまでもその時点での興味であって,時間がたてば「興味の対象」はどんどん変化していくものだ。「将来の興味の中心」を現時点で予想することは細木数子さんでも不可能である。つまり,論文の中身全てが検索できなければ,そこにいくら素晴らしいことが書かれていても,それを将来活用することはできないのだ。
それならいっそ,学会雑誌の論文なんてインターネットで公開したらいいのではないだろうか。そうすれば,Googleなどで簡単に検索できるし,より多くの人に読んでもらえるはずだ。学会雑誌だって,ゴミに出されるくらいならネットの上で検索・引用される方が幸せではないだろうか。
どうせ医学論文なんて他の文献の引用に次ぐ引用である。オリジナルの部分がほとんど書かれていない論文だって日本では珍しくないはずだ。医学論文は他の論文からのコピー&ペーストで成り立っているのだから,最初から引用に便利なようにネットに公開しちゃえば手間が省けていいぞ。
こんなことを書くと,著作権はどうなるんだ,という話になる。そこで,医学論文を書いている全ての医者に問いたいのだが,あなた自身の著作権を守るのが大事なのだろうか,それとも,多くの人にその論文を読んでもらい引用してもらう方が大事だろうか。
私なら絶対に後者である。どうせ大したことを書いているわけでもないし,著作権を主張するほどの内容でもない。こんなものでよければ,いくらでもコピー&ペースとして欲しいとさえ思っている。読まれずに埋もれるくらいなら,私の著作権なんて守ってもらわなくていいから,無断コピーが出回って欲しい。そして多くの人に読んで欲しい。
さらに言えば,医学雑誌のほとんどは書店で売れるより,定期購読の方が圧倒的に多い。この点が一般の雑誌,一般書籍と異なっている。一般書籍は長い期間に渡って少しずつ売れるが(短期間に爆発的に売れたらベストセラーだ),医学雑誌は翌月以降になったらほとんど売れないはずだ(特集号はまた別だろうが)。要するに,一般書籍は長期戦,医学雑誌は短期決戦であり,両者は売れ方が違っている。
まして,学会雑誌は書店で売られることはない。学会の会員にならなければ手に取ることも読むこともできない。つまり,どんなに立派な内容の論文であっても,それは所詮,「死んだ論文」なのである。
この論文を生き返らせるのがネット公開だと思う。そうすればネット検索に必ず引っかかるし,何ヶ月後でも何年後でも読んでもらえ,引用してもらえる可能性が出てくる。このように考えると,発売から数ヶ月を経過した医学雑誌(特に学会雑誌)の内容をネットで配信することは,著作者や出版社の利益を本当に損なうものなのだろうかと思う。
少なくとも学会雑誌のネット公開に限れば,従来の著作権とはバッティングするかもしれないが,著作者の利益は全く損なわれないのではないだろうか。
2006/03/07
- 「外傷を湿潤治療している・・・」に,山形県東置賜郡川西町の介護老人保健施設「かがやきの丘」 施設長 一柳邦男先生,兵庫県尼崎市の大澤外科医院 整形外科 大澤正実先生,新潟県小千谷市の小千谷総合病院 総合診療科 関口 隆先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。ちなみに関口先生はこれまで,千葉県の病院に勤務されていてこのほど新潟に移られたそうです。
- 北海道整形外科外傷研究会会誌に依頼原稿「新しい創傷治療」が掲載されました。
- たまには素晴らしい映画について語ろう。《コーチ・カーター》! 駄目チームが熱血コーチの元で強くなる,というよくあるパターンのバスケットボール映画だが,コーチが常に選手たちの将来を見据え,目先の勝負にこだわっていないところが感動的だ。最後にコーチが選手たちに語る言葉が胸を熱くさせる。
2006/03/06
- 「外傷を湿潤治療している・・・」に,水戸市の石井外科内科医院 石井隆志,石井慎子先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 先週金曜日は岩手県立井沢病院で講演でした。岩手県では3年ぶりの講演でした。会場の後ろは立ち見の方が一杯の満員状態で,質疑応答も活発でした。講演終了後は病院内の食堂に場所を移して懇親会でしたが,1時間くらいの短い時間でしたがとても活発に質問を頂きました。多数の方にお集まりいただき,ありがとうございました。
- 先日,雑誌「インフェクションコントロール」の悪口(というか,単なる正直な印象ですね)を書きましたが,この雑誌の出版元,メディカ出版主催のセミナーに勉強のために参加したのはいいけれど,あまりのひどさに呆れ果てたというメールを頂きました。CDCのガイドラインをそのまま復唱するだけの講師がいて,しかもその講演の中で矛盾していることを喋っていたそうです。そこで,「どちらが正しいのですか?」と質問したところ,「ガイドライン制定は別部門なので」とかいって逃げ,さらに質問すると,訳の判らない言い訳でお茶を濁したそうな。
質問にろくに答えられない講師がする講演って,なんでしょうか? しかもこの講演,有料なんですぜ。こりゃ,詐欺ですね。こういう有料セミナーを開催するのであれば,あらゆる質問に答えられる人に講演させるべきだし,それが最低限のルールでしょう。要するに,メディカ出版社はその最低限のルールさえ知らない出版社だと断言せざるをえません。
同社はこれからも院内感染のセミナーを開くでしょうが,参加するのは金をドブに捨てるような物です。人の言うことを鵜呑みにするのが得意な人,人に騙されるのが趣味の人,金をドブに捨てるのが好きな人,他人の言葉に疑いや疑問を持ったことがない人以外にはお勧めできません。
なお,メディカ出版,雑誌「インフェクションコントロール」の関係者からの反論がありましたら,どんどんお寄せ下さい。討論しましょう。
2006/03/03
- 10月20日(金)に岩手県の盛岡市医師会で講演を行うことが決まりました。
- 今日は11時半頃まで外来診察をして,それから12時ちょうどの電車に乗って長野に向かい,長野新幹線,東北新幹線を乗り継いで岩手県水沢市の胆沢病院で講演です。大学時代の同級生が企画してくれたものです。
- 「病院感染対策の専門誌」と銘打った雑誌が【インフェクションコントロール】(メディカ出版)である。以前は面白い論文が載っていたため,定期購読していたが,ここ数年間のあまりの内容のひどさに,ついに定期購読を中止することにした。この雑誌は医学雑誌でなく,宗教雑誌だからである。
CDCガイドラインという教えをどれだけ正確に記憶しているかを競い合っている連中が集っているだけのお馬鹿雑誌に成り下がってしまったようだ。この雑誌に投稿しようとすると,「私はCDCガイドラインを心のそこから信じています。CDCガイドラインに反することは一字一句書きません」という誓約書(=踏み絵)を書かせているんだろうな。多分,カルト宗教もこんな感じなんでしょう。
3月号は奇しくも『EBMに基づいた創感染対策 -手術創・褥瘡を中心に-』という特集になっているが,どれもこれもCDCを引用するばかりで,何一つとして科学的議論はない。ただひたすら,CDCの教えを書き写すだけである。これじゃ,医学論文でなく写経である。暇だったら,一つ一つの論文の矛盾点,非論理的な部分を指摘するところである。何しろ突っ込みどころ満載のお笑い雑誌なのである。
そういえば,この特集のタイトルは笑っちゃいます。『EBMに基づいた創感染対策 -手術創・褥瘡を中心に-』を英語にしてみましょう。どうなるでしょうか。
A Guideline Based Evidence-Based Medicine・・・??
えーと・・・,"Based"が二つ重なっていますけど・・・。こういう英語表現って,あるんでしょうか? 英語圏の医者が見たらプッと噴き出すはずです。この特集に論文を書いた先生たち,このタイトルのおかしさに気がつかなかったんでしょうか? 一人くらい,気がついてもよかったと思いますけど・・・。
私にこの雑誌から投稿依頼がくることは金輪際ないと思いますが,もしも間違って依頼が来たら,「こういう馬鹿なタイトルの特集に論文を書くほど落ちぶれていねぇやい!」って啖呵を切ってやるんだけどな。
2006/03/02
- 「外傷を湿潤治療している・・・」に,広島県福山市の福山青葉台病院 外科・消化器科・プライマリケア担当 金子克彦先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 久し振りに超興奮本を発見。『目の誕生 -カンブリア紀大進化の謎を解く-』(アンドリュー・パーカー,草思社)だ。とにかく,ちょっとした空き時間があれば,すぐに手にとっては読みたくなるほど面白い。光刺激という面から生物進化の謎に挑戦する意欲作である。
- スティーヴン・セガール監督・出演の映画《沈黙の陰謀》について。これは間違いなく,セガールの映画で最悪の駄作です。彼の映画の悪いところだけ集めて煮詰めると,こんな映画になるんでしょうか。
2006/03/01
- ちょっと真面目に「抗酸菌,非定型抗酸菌がらみの皮膚潰瘍」についての考察。といっても,治療経験は数例ですし,どうすれば治療できるのかについてのよい方法を知っているわけでもありません。特に,膿胸で胸腔ドレーンを入れた挿入口の難治性潰瘍化には,いつも苦慮しています。どなたか,よい方法をご存知の方がいらっしゃったらご教示下さい。