動物咬傷や人間(マイク・タイソンとか)による咬傷は創感染がほぼ必発である。特に歯や牙が脂肪層に入っている場合,感染の危険性は極めて高くなる。そういう「咬傷」の治療について私見を述べる。
なぜ,感染する率が高いかというと,
咬傷に対し,私がしている治療法は次の通りである。
創内を洗って細菌の絶対数を少なくする,という発想もあるだろうが,多分「机上の空論」であろう。
受傷直後であればこれでいいと思うが,受傷後,ちょっと時間が経過した場合は,既に傷口(入口部)が閉じかけてくるため,局所麻酔下に入口部をちょっと広げ,確実にドレナージが効くようにしたほうがいいだろう。
いずれにしても,確実にドレナージを効かすことが最優先されるべきであり,そのために必要であれば切開を加えるし,切開しなくても確実にドレナージできると判断されれば,無理して切開する必要はない。
また従来から,嫌気性菌を除去するためにオキシドールで創内面を洗うなどの方法が行われてきたと思うが,これも全く無意味。
創部の圧痛がなくなればドレナージ終了とし,プラスモイスト貼付のみでよい。
顔面の咬傷の場合でも縫合しない方がいいようだ。縫合しなくても傷はきれいに治るし,縫合したことで感染が起こるとさらに傷が残るからだ。さらに,傷跡はいつでも修正できる。
(2010/10/14)