動物咬傷の局所治療については以前書いたとおりであるが,このうち,創のドレナージについて「ガーゼドレナージでよい」と書いたが,この部分を訂正する。ナイロン糸,あるいは点滴留置針外筒を使う方法である。
私は最近,ナイロン糸を使っているが,かなりいいような印象を持っている。
まずは具体例の提示。
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ナイロンはあまり細いと創内に入れにくいので,1-0か2-0くらいがいいようである。本数は3〜5本くらいで十分。固定用の絆創膏は滅菌でないものでも良い。
創が深くない場合は翌日ナイロン糸を除去し,創は吸収性の良い被覆材かガーゼで覆う。創が深い場合は膿の量が少なくなってから(実際は少しくらい膿が出ていても大丈夫なようである)除去するが,ここら辺はケース・バイ・ケースといったところである。
もちろん,創の消毒は不要であり,創内の洗浄も本質的に必要ないと考える。重要なのはしっかりとドレナージすることである。この意味において,ガーゼよりはナイロン糸(あるいは留置針外筒)の方がより確実なドレナージとなる。
また,ナイロン糸は「入り口から飛び出ない程度」に入っていれば十分と思われる。
さらにもう2例ほど。
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なお,動物咬傷といっても脂肪層に達しないもの(=真皮内にとどまっている咬傷)ではドレナージは不要であるようだ。
また,私の外来では前もってナイロン糸を4センチくらいに切って5本ずつ滅菌したものをパックにしているが,これが結構便利である。
(2003/12/31)