家庭でできるすりむき傷,裂傷,熱傷の治療
−皮膚外傷の湿潤療法−
どこの家庭でもでき,早くきれいに痛くなく治せる治療法です。閉鎖治療(湿潤治療)に無知な外科医にかかるくらいなら,御自分で治療しましょう。病院に行くより数段早いし,何より痛くありません。
ここでは,実際の治療例をあげて,実際の手順について説明します。
必要なもの
- 水道水
- 食品包装用ラップ(できればポリエチレン製の柔らかいものがよい。以下,ラップと略す)
- 白色ワセリンかプラスチベース(どちらも薬局で売られている安価な軟膏です)
- 絆創膏(薬局で買おう。水分を通すタイプならなお良い)
- 包帯(薬局で買おう)
- タオルかガーゼ(滅菌ガーゼでないもの)
絶対に必要ないもの,絶対に使ってはいけないもの
- 消毒薬(マキロン,イソジン,オキシドール,赤チン,ヨーチンなど)
- 傷を乾かす粉末剤(キズドライ,キズアワワなど)
- 消毒薬の入っている軟膏,クリーム基剤の軟膏(オロナインH軟膏など)
実際の手順は次のようになります。
- 出血している場合は傷口を直接押さえて圧迫止血。決して心臓に近いところを縛ってはいけない。市販のアルギン酸があると便利だぞ。
- 傷周囲の汚れ(泥や砂)は水道水で湿らせたガーゼなどで拭いて落とす。しつこいようだが,汚れている傷であっても消毒は厳禁!
- 傷口の中に砂や泥が入っていなければ,傷の中は無理に洗わなくてもよい。もしもこれらが入っていたら,我慢して洗って落とそうね。
- ラップを傷よりやや大きめに切り,白色ワセリン(あるいはプラスチベース)があったらそれを「ラップに」塗り,ワセリンの付いた面を傷に当てる。
ラップだけでもいいが,ワセリンを塗ってからあてた方が痛みがすぐになくなる。
- ラップの周囲を絆創膏で固定。割に適当な張り方でよい(浸出液が漏れ出る程度でよい)。
- 傷が浅かったら,その上を直接包帯で巻く。傷が深そうだったら浸出液が多いので,それを吸い取るためにガーゼかタオルをあて,その上から包帯を巻く。
- 暑い時期では1日に2回以上取り替える(取り替えないとアセモができる)。寒い時期では1日に1回の交換でよい。取り替える際には創周囲の皮膚を十分に洗って,汗や垢を落とす。ワセリンをきれいに落とす方法はこちらをご覧下さい。
- 痛くなければ,浴槽での入浴は可能です。痛かったらシャワーで適当に流す程度でいいよ。
- 交換の頻度は暑い時期なら1日に2〜3度,寒い時期なら1日に1度でよい。「ぬるぬるして気持ち悪くなったら交換」という程度でいいと思う。暑い時期に張りっぱなしにするとアセモができるからだ。アセモができたら,これらの病院を受診し,登録されている医師を個人指名しよう。
- 洗う際は,創周囲の皮膚の汚れを落としたほうが気持ちいいので,石鹸をつけてもよい。創面には界面活性剤(石鹸やシャンプー)は本来はあまりよくないので,創面にこれらが付いたら十分に洗い流そう。
- 治療は上皮化が完了したら終了。具体的には「ピンクでツルツルぴかぴかの赤ちゃんみたいな皮膚」になり,浸出液が出なくなれば上皮化終了で,それ以上はラップを張る必要はない。
- 擦りむき傷のように広い面の傷の場合,上皮化完了後は3ヶ月程度,直射日光を避けたほうがよい。遮光の手段は何でもよく,市販の日焼け止めクリーム,色の付いた絆創膏や光を通さないテープ(絆創膏まけを起こさなければ何を使ってもよい)など,物理的に光を通さず,皮膚に悪影響が無ければ何を利用しても良い。
腹部や胸部など,普段露出しない場所だったら,特に気にする必要はないだろう。
この方法による実際の治療例はこちらをご覧下さい。
(2004/09/10)
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