《201X "Die Jahrhundertlawine "★★★(2008年,ドイツ/フランス/オーストリア/ベルギー)


 ドイツ製のテレビ向け映画。中身は普通というか,結構しっかりと作っている作品ですが,なぜか《201X》という,いかにも《2012》のパチモンですよ,ってなタイトルを付けられたばかりに,キワモノ扱いされてしまったというかなり不幸な作品。

 ちなみに,リゾート地の村を大雪崩が襲って住民や観光客が被害に遭うというディザスター映画ですが,力点が雪崩の様子でなく,被害にあった住民たちが力を合わせて雪に埋もれている他の被害者を救助する様子を描くことにおかれている点で,ちょっと珍しいかもしれません。

 ちなみに,DVDジャケットを見ると,ものすごい雪崩が起きて摩天楼聳え立つ大都市を襲う映画・・・のように見えますが,もちろん嘘八百でございます。


 舞台はアルプスの麓の静かな村。ここで働く青年医師のマルクと山岳警備隊で働いているアンネは恋人同士だった。しかし,アンネの弟ミヒャエルがスノーボードの最中に遭難し,アンネとマルクはヘリで救助に向かうが,あと少しというところで助けられず,ミヒャエルは滑落ししてしまう。そして責任を感じたマルクは村を去ってしまい,二人は別れてしまう。

 9年後,パリで働いていたマルクはテレビで「アルプスの村で9年前に遭難した青年の死体が発見された」というニュースを聞き,それがあのミヒャエルであることを知り,彼は久しぶりに村に戻る。彼は9年ぶりにアンネと再会し,アンネに8歳の男の子がいることを知るが,二人の間には気まずい雰囲気が漂い,アンネは彼と話そうともしない。

 そして翌日,村ではスノーボード大会が開かれるが,前夜からその地帯は大雪に見舞われていた。山岳警備隊のチーフであるアンネの父親は村長に大会を中止して避難するように進言するが,リゾート開発に村の発展を託そうと考える村長は大会を強行する。そして表彰式の最中,村に未曾有の大雪崩が襲いかかる。リゾート客や村人は教会に逃げ込み何とか難を逃れるが,多くの家やホテルが雪に押しつぶされてしまう。襲いかかる雪崩に逃げ場を失ったマルクはアンネとともに車の中に逃げるが,車ごと押し流されてしまい,二人は気を失う。

 教会に逃げ込んで生き延びた人々はアンネの父親の指示で直ちに雪に埋もれている人々の救助活動を始めるが,吹雪と風が彼らの前に立ちはだかる。一方,教会の中の負傷者たちにも容赦なく極寒が襲ってきて,軍の救援ヘリもあまりの悪天候に飛び立てないでいた。刻々と時間が過ぎていくばかりで,村人は窮地に追い込まれ・・・という映画です。


 雪崩に巻き込まれて,ホテルの残骸が雪原からと顔を出すだけ,という様子を見ていると,今回の「3.11 大津波」直後の様子が二重写しになります。そして,避難所となった教会の中で人々が互いに助け合い,物資を分けあっている姿や,他の人のために何かしようと立ち上がる人たちを見ているとちょっとグッときます。中でも,歌手の女の子(だと思ったけど)が怪我人を介抱しながら落ち着かせようと小さな声で賛美歌を歌い,やがて他の人たちもその声にあわせて歌いだす,というシーンはちょっと泣けます。また,吹雪の中での救助作業も無理に盛り上げようとせず非常にリアルに描かれているし,努力しても死んでいく人を助けられない様子もきちんと描かれていて,このあたりの作り方は非常に真摯です。

 多分,ハリウッドのディザスター映画なら主人公マルクとかつての恋人アンネが力を合わせて救助活動の先頭に立ち・・・という展開になるんでしょうが,この映画では二人は車の中に閉じこめられて,しかも雪の下で酸素が刻一刻と無くなっていく,という状況でひたすら救助を待つだけとなります。主人公が頑張れば何とかなる,というアメリカ映画とはひと味違う展開となっています。


 一方,悪天候を理由にヘリ出動を渋る空軍の司令官に対し,その村で山岳救助ヘリのパイロットをしている女性(もちろん民間人)が一喝するシーンなんかもいいです。もちろん,部下の生命を守るために無謀な飛行を認めまいとする司令官の考えもわかるんですが,「日本の自衛隊ならもう飛び立っているぞ。どうした,ゲルマン魂!」と言いたくなるのも事実です。

 ちなみに,映画は冒頭,山小屋に戻ってきたカップルがじゃれあい,彼女がバスタブに入り,彼とこれからイチャイチャするんだよね,というシーンで始まります。パニック映画,ホラー映画なら「最初に殺される馬鹿ップル」という設定なんですが,これは裏切られました。いうまでもなく,この馬鹿ップル(に見えるの)はマルクとアンネなんですが,何事も先入観を持って見てはいけないって事がよくわかります。


 というわけで,この最悪の邦題さえなければそんなに悪くない映画でした。

(2011/07/01)

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