【Y.近藤:ショパンの第3ソナタのフィナーレと「巨人の星」の交響的融合】
Symphonic Fusion on Finale of Chopin's Sonata No.3 & the theme song of Star of Giants
カプースチンの「前奏曲第1番 Op.53-1」がなかなか先に進まないため(中間部の左手のベースがムチャクチャ記憶しにくい),もうちょっと弾き易そうな難曲(こういうのを自家撞着的表現という)はないかとパソコンのHD内を渉猟し(楽譜はすべてPDF化している),以前挑戦したものの「なんちゃって演奏」しかできなかったこの曲にロックオン。以前弾けなかった部分の指使いを徹底的に検討して再挑戦することにした。
この曲についてちょっと説明。
今から17年ほど前(?),当時,東京大学医学部5年生だった Y.近藤さん(現在は東大附属病院の内科医)が作曲した大傑作。
もともとは,「東大ピアノの会」の宴会か何かで「そういえば,ショパンの第3ソナタのフィナーレとアニメの『巨人の星』の主題歌って似てるよね。2つを重ねて弾いたら面白くね?」という話題になり,「なら,やってみっか」と近藤さんが学業の傍らに作曲した,と聞いています。
聞いてみる(弾いてみる)とわかりますが,ものすごい完成度の高さで,素人の余技のレベルをはるかに超えています。ショパンの原曲のパッセージと『巨人の星』のメロディーが極めて高いレベルで渾然一体に「融合」していて,その見事さはまさにゴドフスキー級。「素人にもわかる派手(で簡単)なパッセージ」と「玄人ウケする演奏困難な多声部同時進行」がバランスよく組み合わされていて(このバランス感覚は実に見事),正式の演奏会から忘年会の余興まで使える最上級のアンコールピースでしょう。プロ相手でも素人相手でも,同じくらい「ウケる」稀有のピアノ曲です。
ちなみに,Y.近藤先生の医学部学生時代の演奏を聞いたことがありますが,ホロヴィッツの『カルメン』や,アルカンの『ピアノ・ソロのための協奏曲』などの難曲を軽々と正確に演奏していてプロ顔負けの腕前でした。
というわけで,私の指使いです。以前弾けなかった部分,いい加減に弾き飛ばしていた部分の指使いを熟考しました。譜面にとらわれずに左右の配分を考え,大胆に変更しています。逆に言えば,このくらいまで手を加えて工夫して初めて,私が弾ける曲です。
11月18日の時点で本格的に練習を始めて10日ほどですが,あと数日で「ノンペダル & インテンポ」で通して弾けるかな,という感じです。
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(2015/11/19)
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