糖質セイゲニスト鍼灸師の〇〇です。
糖質セイゲニスト的には見逃せない「白米の胃内停滞時間」について、Twitter上でとあるトレーニー(トレーニングを指導する人)さんと議論したところ逆流性食道炎(RE)に話が及び「肉の大量摂取がダメで、穀物やポテト、フルーツはリスクを減らしたとされています。(原文まま)」という糖質セイゲニストの感覚と異なるご意見をいただき、添付PDFの論文を提示していただきました。
全文を読んだところ、私がこの論文のデータから導き出した結論は「蛋白質の摂取量を増やすことがREのリスク低減に役立つ」という糖質セイゲニストの感覚とかなり等しいものでした。
abstructでは「カルシウム、肉、油、塩は逆流性食道炎に対して摂取量との相関関係あり。たんぱく質、炭水化物、タンパク質由来のカロリー、ビタミンC、穀物、ポテト、果物、卵は負の相関関係あり。」と「どっちにもタンパク質あるなぁ?」という結論だったのですが、全文を読んでそのカラクリが判明しました。
先生のHPに載せていただき、英論文に精通した方からのご意見給われますと幸いです。
以下は私自身の結論に至る過程です。
論文自体のデータ(table 4)から読み取れることは以下の2点かと思います。
- フルーツ、蛋白質由来のカロリー、ビタミンCは同程度にかなりREのリスクを減らす。
たんぱく質、炭水化物、穀類とポテト、卵もリスクを減らすが、上記3つほど有意ではない。
- カルシウム、塩と油の摂取はREのリスクを高くし、特に塩はリスクを10倍近くにする。
肉もリスクを高くするが、上記3つほどではない。
この結論に対して、以下のように考えました。
「ビタミンC」は保存や調理方法によって失活してしまうので、あまりあてにできない。
摂取物の調査方法がアンケートによるものなので尚更である。
また「果物」と一言で言っても、バナナのようにデンプン質が豊富なものもあれば、レモンやアボカドの様に果糖も乏しいものまで栄養素的に様々なので、あまり信用のおける括り方とは思えない。
そうすると「蛋白質由来のカロリー」が最も信頼できる摂取物の括り方。
一方、「塩」のリスクが10倍近くとなっていたが、これは調査方法が「月の家庭全体での消費量(恐らくツボか何かを計測したと思われる)を家族の数で割る」という余りにも大雑把な物なので(塩漬けの塩等が正確に測れない)、全くあてにできない。
「油」についても塩と同様。
カルシウムはサプリメントでも摂取しない限り、意図的に多量に摂取することは難しいことと、上述のアンケートという調査方法から摂取量の判定が難しいことから割愛。
以上から、上記の結論に至りました。
ちなみにこのトレーニーさんは「糖質は消化しやすい(胃内停滞時間が短い)」と主張されているのですが、その根拠が「白米は摂取30分後に血糖値が最大、ステーキは摂取2時間後に血中アミノ酸が最大。この事実から、白米よりステーキのほうが消化吸収は遅いと言えます。(原文まま)」という、かなり乱暴と言うか「血糖値がピークを越えた(インスリンの作用によって下がり始めた)からって、食べた白米全部が消化吸収されたとは限らないでしょ!」という突っ込みどころ満載の主張なのですが、何故かTwitter上では正論で通っています。
実際、白米の胃内停滞時間は私が確認できた中では135分なので、血糖値のピークを過ぎても100分近く胃内に白米は残っていることになります。ちなみにトレーニーさんは「白米の胃内停滞時間105分」と主張されていますが、「白米がゆ」の間違いと思われます。
しかもこのメールを作りながら「血中アミノ酸濃度」で画像検索してみたら、血糖値と同じ30分でピークになるものしかでてきませんでした(笑)。添付画像をご参照ください。
画像取得先はこちら。
血中アミノ酸濃度は血糖値と違って、どんなに急激に上昇しても下降が緩やかな点は中々興味深いですね。恐らく血糖値のように速やかに(強制的に)下げる必要がない物質だからかと思います。
下記アドレスをクリックしていただくと、トレーニーさんと私のやり取りを直接ご覧いただけるかもしれません。
- https://twitter.com/u1_ebato/status/789360091367563264
- https://twitter.com/claymoreberserk/status/789339575244038144
このトレーニーさんは解剖生理学的なことは正しいことを発信してくれているのですが、論文を引用した時の主張はかなり眉唾なものが多いので、時々突っ込ませてもらっています。
ちなみに「食物の胃内停滞時間」について調べてみると、ステーキの胃内停滞時間は4時間という資料がありますが、恐らく消化しにくい脂質が残っているだけで、蛋白質は速やかに消化されているものと思われます。