前腕の広範囲表皮剥離創
今までにも何例か,「高齢者の表皮剥離」の治療例を提示したが,今回は受傷からちょっと時間がたってから治療を開始した例。
症例は70代後半(?)の男性。病棟で転倒して前腕に受傷。休日だったため主治医が処置し(消毒して軟膏ガーゼ),3日後に当科紹介となった。
- 初診時の状態。
- 剥離した皮膚の循環は非常に悪かったが,駄目もとで皮膚を伸ばしてはテープで固定した。受傷後時間がたっていたため,皮膚は収縮し,皮膚欠損部がかなりあった。
- ポリウレタンフォームドレッシングをあて
- 絆創膏固定はせずにそのまま包帯を巻いた。この例のように,周囲の皮膚も脆弱な場合は無理にドレッシング剤を絆創膏固定しなくてもよい。
- 治療開始6日目。やはりというか当然というか,一部の皮膚は壊死した。もちろん,それに構わず,ポリウレタンの被覆を続行。完全に壊死した皮膚のみ切除している。
- 治療開始17日目。急速に上皮化進行中!
- 治療開始22日目。わずかに皮膚欠損を残すのみ。この状態で他院に転院となった。ま,3週間でこれなら御の字でしょう。
この間の処置であるが,治療開始してから2日間は毎日創の状態を観察し,その後は3〜6日ごとにドレッシングを交換した(つまり,5,6日間は包帯を巻きっぱなし)。その際は,洗面器に水道水を入れて創部を洗わせるのみとした。抗生剤は全く投与していない。
(2002/11/13)
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