被覆材の交換間隔


 被覆材を使った褥瘡治療,外傷治療を行っている人から必ずといっていいほどいただく質問の一つに「どのくらいの頻度で取りかえるの?」というのがある。

 私は「○日ごとに交換」というやり方はしていない。症例の創の状態,周囲の皮膚の状態,浸出液の量,季節,部位,被覆材の種類・・・などにより,交換時期が変わるからだ。「ハイドロコロイドは一度張ったら1週間そのままでいい」というような治療は時に,トラブルを起こす事がある。


 私の交換の目安を被覆材ごとにまとめてみると次のようになる。

要するに浸出液の量や,傷の深さによって交換時期は変わってくる。


 例えば鼻の頭の創面をハイドロコロイドで密封する場合,夏場だったら毎日交換が必要だし,汗っかきの患者さんだったら一日2回以上交換してもいいと思う。逆に冬場だったら数日間そのままでも大丈夫だろう。


 もしもハイドロコロイドを使って毎日交換を余儀なくされるようであれば,浸出液吸収能の高い他の被覆材(例:ポリウレタン,ハイドロファイバー,ハイドロポリマー)に変えるべきだろうし,変える事で日々の処置はずいぶん楽になるはずだ。

 そしてもしも,このサイトを見て「外傷の湿潤療法(うるおい療法,閉鎖療法)」を初めて実行しようという医師の方がいらっしゃったら,最初のうちは毎日,処置のたびに被覆材を交換し,創面を自分で洗浄して治癒の状態を自分の目で確かめられた方がいいと思う。数例経験すれば,ハイドロコロイドの溶けたのが膿とは違う事,ハイドロコロイドやアルギン酸で閉鎖した創面の臭いが感染によるものでないことが次第に納得できるはずだ。

(2002/08/16)

左側にフレームが表示されない場合は,ここをクリックしてください