爪甲剥脱,つまり俗に言う「爪が剥がれた」状態である。経験者はご存知と思うが,非常に痛い。しかも,ただでさえ痛いのに,病院で治療を受けると,これがまた輪をかけて痛い。
消毒されると飛び上がるほど痛いし,爪が剥がれたところ(爪床)にソフラチュールガーゼ(網目状になっているやつね)を当てられて次の日の診察でこれを剥がされると,拷問のように痛い。
しかし,実はこの「爪が剥がれた」時に創傷被覆材による密封療法を行うと,全く痛くなく,極めて早期に治癒する。患者さんいわく,「どれほど痛いかと思って覚悟してきたら,全然痛くないんで拍子抜けした」だそうだ。
論より証拠,実例を示そう。これは70歳男性,自宅で敷居に躓いて転倒したもの。直ちに当科を受診している(なお,本来の写真はもっと鮮明なのだが,非同業者以外にはちょっとショッキングかと思われるため,サムネイル程度の大きさに縮小してある)。
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これまで「爪を剥がした」ことがある人にとっては,ほとんど信じられないことだろうと思う。3日でお風呂に入れ,普通の靴が履け,痛みが全くなく,2週間で治療終了なのだから・・・。
同様に,剣道の練習中に爪を剥がしてきた中学2年生の女子生徒がいたが,同じ治療をしたところ全く痛くないため,3日目から剣道の練習を再開し,体育の授業も休まず受けていたという。
また,3日目からポリウレタンを使っているが,この被覆材の高い吸水能のおかげで,少々の浸出液,出血があっても靴下が汚れるようなことはなかったという。
(2001/11/20)