創傷被覆材は一般に褥瘡の処置に使われているし,販売しているメーカーも褥瘡への使用を第一選択として宣伝・販売しているようだ。
しかし,実は私が提唱している「新鮮外傷での使用」が最も効果的なのである。
まず,褥瘡と新鮮外傷に創傷被覆材を使用する場合,新鮮外傷が有利な点を列挙してみる。
一方,被覆材の製造・販売をしているメーカーにとっても実は大きなメリットがある。
現在,多くの被覆材のメーカーは褥瘡を念頭にそれぞれの商品を売っている。もちろん,高齢化社会をにらんでの戦略だろうと思うが,その様子はさながら,褥瘡というパイをめぐっての取りあいのように見える。
しかし,擦過傷を含む新鮮外傷と褥瘡では,患者の数は段違いである。パイの大きさが全く違っている。なぜ,もっと大きなパイを相手に商売しないのか,不思議な気さえする。
しかも,新鮮外傷の場合,患者は大抵「怪我をするほど元気」であり,ほとんどは健康人だ。そのため,正しく被覆材を使いさえすれば「傷が治るのが目に見える」ほど速く,治癒する。
逆に褥瘡患者の多くは基礎疾患を持っていたり,高齢者だったりするわけで,よほど浅い褥瘡でもない限り,2週間で治癒する症例はまれだ。
つまり,被覆材を使う医療者側にとっても,新鮮外傷のほうが「使った甲斐がある」のだ。
「創傷被覆材は褥瘡に使うもの」と思いこんでおられる医者・看護婦の方々も少なくないと思うが,新鮮外傷に使ってみると,本当に感動するほどの治療効果が得られるのである。
日々の診療で感動することが無くなったなぁ,とお感じの医療関係者の皆様,是非,新鮮外傷にこれらの被覆材を使ってみてください。そうすれば久々に新鮮な感動を味わうことができます。
(2001/11/01)