真皮の唯一の弱点,それが乾燥だ。乾燥させると真皮はすぐに死んでしまう。
そして同時に・・・「真皮の中にある表皮」である毛穴も汗管も死んでしまう。
そして,死んだものはもう生き返らない。
ということは,表皮欠損創(すりむき傷や熱傷)を乾燥させると傷は治らなくなってしまうのだ。当然の話である。つまり,「傷を乾かすと傷は治らない」のだ(「傷は治ると乾く」・・・というのが正しい)。
ここで「傷(表皮欠損創)にガーゼをあてる」という行為を考えてみよう。ガーゼ(あるいは家庭用の「キズ・バンソウコウ」も同じ)を傷にあてた場合,水分は完全にフリーパスである。つまり,傷は乾き放題。
・・・ということは,皮膚欠損創をガーゼで覆うと,傷(つまり真皮)が乾き,創治癒(つまり表皮遊離による創治癒)はストップしてしまう。
「傷にガーゼをあてる」ことは,少なくとも表皮欠損創においては創治癒を妨害するもの以外の何者でもない,ということになる。
じゃあ,何で傷を覆ったら良いかという事になるが,その答えが各種の「創傷被覆材(ポリウレタン,ハイドロコロイド,アルギン酸塩,ハイドロポリマー,ハイドロファイバー,ハイドロジェルなど)」である。これらについては後ほど,詳しく解説する。
(2001/10/01)