物理的刺激による皮膚損傷の観察
【実験の目的】
皮膚表面に物理的刺激を繰り返し与え,皮膚がどのように損傷されていくのかを観察し,これが「皮膚損傷モデル」として使えるかどうかを検討する。また,その結果をハンドソープによる皮膚の変化と比較する。
【Material and Method】
自分の右前腕屈側に荷造り用ガムテープを張っては(無理矢理)剥がすという(自傷)行為を繰り返し,皮膚の変化を実体顕微鏡Dino-Lite Plusで撮影した。倍率は60倍とし,可能な限り同じ部位を撮影した。
【結果】
- 20回目を越えるあたりから痛みが強くなり,28回目終了時に「これ以上続けたら間違いなく出血する」という確信があり,マゾヒスティックな気分も十分に味わえたため,これにて打ち止めとした。
- 10回目あたりからガムテープを剥がしたところに徐々に発赤が認められ,20回目ではかなり赤くなった。
- 顕微鏡による観察では,8回目あたりから明らかに皮膚紋理が浅くなり,皮膚表層が損傷されていることがわかる。
- 肉眼的にはっきりわかる変化を起こすためには20回以上繰り返すことが必要だが(それ以前だと写真を撮ってもあまりわからないから),顕微鏡で観察する分には8~14回で十分と思われる。
- 皮膚損傷の変化,および,各種の皮膚潰瘍治療薬の変化を見るには,この「ガムテープを張っては剥がす」方法は有用である。
- ハンドソープによる皮膚の変化と比較すると,ハンドソープによる損傷はいかにも薬品で溶かしたというようにぬめっと一様に変化が見られ,一方のガムテープ損傷のほうは表面を物理的に引き剥がしたために変化は一様でないようだ。
さて,このようにして作成した傷は翌朝になってもまだ残ってヒリヒリしていたため,被覆材とハンドクリーム塗布でどうなるか実験を行ったが,結果は後日。
(2008/02/14)