CDCの術後創感染(SSI)対策に効果はあるのか
−「術後創感染」は独立病態ではない−


 このように考えてみると,CDCのそもそもの誤りは,「術後創感染」をあたかも独立の疾患(感染症)のように考えて対策を考えた点にあったことがわかる。要するに,術後創感染と言う特殊な病態があるのでなく,「血腫などの細菌の繁殖の場が最初にあって,そこで二次的に起こる細菌感染」という普遍病態があって,その一部分が術後創感染なのだ。集合関係で言うと下記のようになる。


 つまり「術後創感染」とは,「傷がなくて発生する軟部組織感染」の中の「たまたま手術をした後に起きた軟部組織感染」に過ぎないのである。このあたりがわかっていないと,「手術部位感染とは手術という特殊なことをしたから起きた特異な感染だ」と考えてしまい,手術操作との関連性にばかり目が行ってしまい,次のように判断を誤るのだ。

  1. 手術部位感染とは手術がらみの特異な感染だ,と考えると
  2. たまたま手術をした後に起きた軟部組織感染だ,と考えると


 だから,「術後創感染」だけを考え,その予防法や治療法を論じても何も解決しないし,術後創感染だけのデータを集めても意味があるデータとはならないのだ。しかし,「血腫などの細菌の繁殖の場が最初にあって,そこで二次的に起こる細菌感染」という病態全体のデータを集めれば,それはこのような感染全体に通じるものになり,総合的な対策が取れるようになり,結果として術後創感染を減らすこともできる。一見遠回りに見えても,これがもっとも確実で早道なのだと思う。

(2007/12/11)

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