創外固定ピンの管理だけでなく、早期の感染も治療できたので報告する。
症例は70代女性。左骨盤骨折に対して後方プレート固定+創外固定術を施行したが,術後1週間で両側創外固定ピン刺入部周囲に発赤・腫脹・熱感・圧痛・自発痛が出現した。ピン周囲の蜂窩織炎と診断し,ピン周囲の壊死組織を骨膜・筋膜上までデブライドし,創面にカルトスタットを貼付した。なお,写真は右側のみ提示するが,処置と経過は左もほぼ同じである。
術後7日目:感染している | debridement直後 | アルギン酸塩で創面を覆う |
アルギン酸塩の上をプラスモイストで被覆。以後,毎日水道水洗浄とプラスモイスト交換を行った。
プラスモイストを貼付 | debridementから2日後 | debridementから7日後 |
術後4週で創外固定ピンを抜去する際には,ピン周囲はほぼ上皮化完成した。なお,もともと4週で創外固定は除去予定だったが,実際にはさらに継続することも十分可能であった。
debridementから2週間後 | debridementから3週間後 | ピン抜去後 |
創外固定術後早期の感染では,感染源は骨や金属でなく,ピンの圧迫で生じたピン周囲の皮膚壊死組織であることが多いと考えている。この場合、創外固定ピンを抜去しなくとも,壊死組織のデブライドメントと洗浄・湿潤療法で、治癒に導くことが可能であると,この症例で学ぶことができた。
(2006/08/04)