接触性皮膚炎と思われる症例:プラスモイスト使用例

三草会クラーク病院 整形外科 高橋大介


 症例は4歳の男児(行きつけの床屋の店長の息子さんです)。2年前の夏に右下腿後面を虫に刺され受傷しています。それ以降ずっと掻痒感が強く、掻いては出血しての繰り返しだったようです。皮膚科医でステロイド軟膏(?)を処方されるも緩解せず、半ばあきらめていたみたいです。

 3月のある日、いつものように髪を切りに行った際に話題のひとつとして店長に『湿潤(うるおい)治療』の話をしてみました。すると「その治療でうちの息子も治るのか?」と尋ねられました。僕自身、接触性皮膚炎(?)に対する湿潤治療は初めてだったので「治るかどうかはわかりませんが、悪い方向には行かないと思います」とお伝えしたところ治療に承諾していただけました。

 


 治療方法については

  1. まずシャワーで洗浄
  2. 白色ワセリンを患部に塗布
  3. プラスモイスト(またはラップ)を貼付
と説明しただけです。ご両親とも理解力が非常に高く、僕はプラスモイストを渡しただけであとは何もしてません(^^;

3月4日 4月8日 4月8日


5月9日 5月9日


【コメント】
 以前、夏井先生もおっしゃっていましたが接触性皮膚炎というのは掻痒感があるため掻いてしまい傷ができ、その傷のせいでさらに掻痒感が強くなり、また掻いて傷を悪化させるという悪循環なのでしょう。
 その際に掻痒感を抑えようとするのではなく、その原因である傷を治してしまえば掻痒感もなくなる。こういった発想の転換が重要なのかもしれませんね。

 僕は整形外科医なので皮膚に関してはほとんど素人です。もちろんすべての接触性皮膚炎にこの考えが当てはまるとも思っていません(まず、この診断名でいいのかすら自信がないくらいです・・・)。
 ただ、他の治療で治癒しない場合のひとつの手段としてはあってもいいとは思います。

(2006/05/26)

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