頚部術後創離開:プラスモイストによる治療例


 80代半ばの女性。2月22日,頚髄症で椎弓形成術を受ける。術後,創部の血腫形成から感染を起こし,創は離開した。このため,3月14日に当科紹介となった。


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  1. 3月14日の初診の状態。項部に長さ8センチ,幅2.5センチ,深さ2センチの離開創を認める。

  2. 局所のアップ。創部に数箇所,筋膜縫合と思われる縫合糸があったが,術後十分に日数が経過していたため全て除去した。壊死組織はまだ残っていたが,特に切除はしていない。創の左右,および尾側にそれぞれ数センチのポケット形成を認めたが,創内の洗浄やガーゼ充填などは行っていない。

  3. プラスモイスト(プロトタイプのため表面が白かった)を貼付した。軟膏類,その他の薬剤は一切使用していない。


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  1. 3月29日の状態。創周囲のポケットがほぼ埋まっている。潰瘍底の肉芽形成は良好。

  2. 4月4日の状態。肉芽表面にベラーク様の白い組織が覆っている。鑷子で摘めば剥がせるのだが,特に感染を起こしている所見はなく,創収縮も順調に起こっているため,そのまま切除せずに経過を観察した。

  3. 4月8日の状態。創が急速に収縮しているのがわかる。


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  1. 4月14日の状態。当初,傷が開いていた状態での退院を渋っていた家族も,ここ数日の急速な治癒過程を見て退院に同意し,処置法(といっても傷を入浴時に洗い,そのあとプラスモイストを張るだけだが)を説明の上,退院となった。退院後の通院は週1回のみとした。自宅では家族が処置を行っていたが,特に問題は生じなかった。

  2. 5月9日の状態。完治! 瘢痕拘縮を認めるが,特に不自由との訴えないため,経過観察している。

(2006/03/00)