上皮化しやすい肉芽,しにくい肉芽・・・そして細菌


 あくまでも主観だが,引き締まった感じの肉芽は早期に治癒するが,水っぽくてブヨブヨしている肉芽はなかなか治らない。もちろん,乾燥した肉芽も治癒しないが(当たり前だ),湿潤治療をしていてよくお目にかかる「治りにくい肉芽」とは,水っぽくてブヨブヨという奴だ。こんな時にステロイド軟膏を塗布して水分吸収能の高い被覆材を併用すると引き締まった肉芽になり,上皮化が再開するようになることが多い。

 要するに,この2つの肉芽の状態を分けているものは,単純に水分量ではないかと思われる。この水分量の調節に関する仮説を既に考えており,後ほど公開する。

 そして,それぞれの水分量とか浸出液の組成などによって,定着できる細菌の種類が恐らく決まるはずだ(細菌ごとにそれぞれに適した発育環境が決まっているから)


 だから,「緑膿菌が繁殖しているから難治性になった」と考えるのはおかしいと思う。緑膿菌はあくまでも,自分の棲息に最適の水分条件の肉芽を選んだだけだからだ。もちろん,緑膿菌が自分に最適の肉芽水分量を維持するために,肉芽側に何らかの作用を及ぼしているという可能性はあるとは思うが,メインは前者の方ではないだろうかと思われる(・・・根拠はすぐ後に書く)


 となると,緑膿菌の除去は創の治癒にどのように働くだろうか。次の2つのうちのどれかだ。

  1. 緑膿菌を除去したとしても「緑膿菌に適した水っぽい肉芽環境」に変化があるわけでないから,結局それは「治りにくい肉芽」であることに変わりはなく,緑膿菌の除去で傷の治癒が速くなるわけではない。
  2. 緑膿菌が「水っぽい肉芽の維持」に働きかけているのであれば,緑膿菌の除去でその作用がなくなり,肉芽の過剰水分は幾分改善され,治癒がやや早まる。

 このどちらかが正しいかというと,現実の傷をみていると,前者の方ではないかと思われる。「緑膿菌が出現したので除菌を試みて,それに一応成功したが,それでも傷は治らず,結局別の細菌が出現した」という例しか見たことがないからである。

(2005/10/05)

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