症例は50代の女性。バイク運転中に転倒し,右下腿に倒れたバイクがのしかかって挟まれる形になった。救急車で近位に搬送されたが,下腿遠位部全体に血疱形成と皮膚欠損があり,当院を紹介され,同日,当科を受信した。
なお,この患者は入院はせずに通院のみで治療している。
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感染のない水疱,血疱の治療は基本的に同じである。フィルム材を水疱(血疱)表面に貼付し,そこから水疱液(血疱液)を穿刺吸引し,軽く圧迫するだけである。水疱液(血疱液)が再度溜まったら吸引を行い,注射針の孔はフィルム材か絆創膏で閉鎖し,貼付したフィルム材は原則的に剥がさないようにする(水疱膜,血疱膜が破れるから)。
なお,感染症状を伴った水疱,血疱の場合は直ちに水疱膜や血疱膜を除去することは言うまでもないだろう。
上記を繰り返し,水疱液(血疱液)が溜まらない状態が数日間続いたら,積み重なったフィルム材を剥がしてよい。もう既に上皮化しているはずである。
なぜ,水疱(血疱)を直接穿刺しないかというと,水疱膜(血疱膜)を破らないようにするためである。
この原理は「ゴム風船に針を刺しても破れない」というマジックと同じである。針を刺すところにあらかじめセロハンテープを張っておくと,針を刺してもゴム風船は破れないってやつね。
(2004/06/24)