手を洗おう


 医療関係者,特に医師の皆様,余計なことかもしれませんが,処置の際はよく手を洗いましょう。別に石鹸をつけて洗う必要はありません。十分に水道で水洗いしただけで効果があります。

 また,出血している創,浸出液のある創,確実に細菌が常在化している創(褥瘡のような慢性創)の処置をする際は,素手でしないようにして下さい。このような場合は必ず,ディスポーザブルの手袋をつけて処置し,血液や浸出液が医師自身の手につかないようにしましょう。言うまでもありませんが,こういう場合に素手で処置すると,医師の手を介在して感染が広がることになります("colonization" であって感染していない創の細菌であっても,他の患者にとっては感染起炎菌になる可能性がありからです)
 また,患者の血液に血液感染するウィルスが含まれている可能性もゼロではありません。


 私は「手術創,外傷創の消毒は有害無益。術後創の無菌操作も無駄」と言っていますが,それと上記のような「無造作な処置」をしていいということにはなりません。術後創の無菌操作は無駄ですが,素手で創に触って血液で汚染されるのは,医師にとっても,他の患者にとっても危険です。

 消毒が不要であり,創面や皮膚が無菌でないからといって,処置者の手が汚れていい事にはならいないのです。


 ちなみに,私の外来を見学なさった方はおわかりと思いますが,私は診療の場ではしつこいほど頻繁に手を洗っています。患者が代わるたびに手を洗うのは当然として,少しでも汚れた場合はすぐに洗います。もちろん,少しでも出血していたり,開放創の場合は素手で扱わず,ディスポーザブル手袋をはめて操作していますし,創縫合する際は必ずマスクもしています。

 これらの注意は,あなた自身の身を守り,他の患者さんの院内感染を防ぐ最善の方法だと思います。

(2003/11/04)

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