アクトシン軟膏(R)を傷に塗るとどうなるのか その3


【目 的】
 これまで2度行ったアクトシンを傷に塗布する実験では,いずれも塗布直後から痛みが発生し,潰瘍を作ることを確認したが,いずれも「ガムテープ50回剥離」で行っていた。剥離回数を少なくした場合にも同様の現象が発生するのかについて人体実験した。


【Material and Method】
 筆者自身の左下腿内側にガムテープを貼付して剥がす作業を10回行った部分,20回の部分,30回の部分を作成し,全てにアクトシン軟膏を塗布しガーゼで覆った。一日に2回ほど実験部位を洗って顕微鏡で撮影し,また軟膏塗布とガーゼ保護を行った。
 観察は実体顕微鏡Dino-Lite Plusで行い,拡大率は60倍とした。


【結 果】

実験前の健常な皮膚


10回剥離 20回剥離 30回剥離

 剥離回数が増すほど痛かったが,10回の部分は触ってもそれほど痛くない。これにアクトシンを塗布したが,10回,20回の部分はほとんど痛くない。30回の部分のみ塗布直後からチクチクした痛みがあったが,前回ほどの痛みではなかった。


23時間後:10回剥離 20回剥離 30回剥離

 丸一日経過した状態。10回,20回部分はやはり痛みがなく,30回部分はチクチク痛いがそれほど強い痛みではなった。


52時間後:10回剥離 20回剥離 30回剥離

 36時間を経過する頃から,10回剥離部も30回剥離部も一様に痛くなった。前日までは滲出液はほとんどなかったのに,52時間の状態ではどの部分も滲出液が認められる。
 なお,前回の記録から30時間ほど時間が空いてしまったのは,病院の引越しで撮影する暇がなかったためである。


74時間後:10回剥離 20回剥離 30回剥離

 そして3日目。全ての部分で小さな潰瘍が認められ,特に30回剥離部は全体に潰瘍が認められた。痛みは強く,これで実験終了とした。


【感想めいたこと】
 アクトシン塗布で痛みが出るのは深い表皮損傷であることが確認できた。軽度の表皮損傷ではアクトシンを塗布しても当初は痛くないようだ。しかし,ある限界を超えたとき,創面には潰瘍が出現して同時に疼痛が発生するようである。
 今回の実験では,その引き金を引くのがアクトシンの主剤なのか基剤なのかは不明だが,軽度の皮膚損傷でもアクトシンの連日塗布は,損傷を深くして潰瘍化させるだけだと確認できた。

 現時点では,アクトシン軟膏は「皮膚潰瘍を深くする特効薬」としか考えられない。

(2008/04/03)

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