皮膚移植術の種類


  1. 分層植皮 ⇒分層皮膚を移植
    1. シート状植皮(=採取した皮膚をそのまま傷の部分に移植)
    2. 網状植皮(=採取した皮膚に短冊状に切れ目を入れて広げて移植)
    3. パッチ状植皮(=採取した皮膚を切手くらいのサイズに切り分け,ばらまくように移植)
  2. 全層植皮 ⇒全層皮膚を移植


 分層植皮と全層植皮の違いは次のようになる。

移植皮膚の厚さ 移植皮膚の生着 発毛の有無 生着後の皮膚の収縮 生着後の外見 採皮部位
分層植皮 薄い 容易 なし 大きく収縮 正常皮膚には見えない どこでもいい
全層植皮 厚い たまに生着しないことも あり 少し収縮 一応,正常皮膚みたい 部位は限られる

 要するに,分層植皮は「容易に生着して,どこからでも皮膚が取れ,面積の制限もないが,生着しても縮み,外見も普通じゃない」という手術法であり,全層植皮は「外見は分層植皮より自然で,生着すれば縮みにくいが,皮膚が取れる場所も面積も限られ,毛も生えてくる(=毛根を含むため)」という手術法なのである。

 分層植皮には薄め分層皮膚と厚め分層皮膚移植があるが,厚いほど外見が正常皮膚に近くなるが採皮した部分は治りにくい(これについては後ほど説明する)


 ちなみに,手術手技の難易度であるが,どちらも難しくはない・・・というか,容易な手術である。形成外科医からすると「植皮を失敗する方が不思議」なくらいであり,研修医でもできる手術の一つが植皮術である。つまり,一度教えてもらえば誰でもできる簡単な手術である。
 また,皮膚を採取する技術も難しくない。全層皮膚はメスとハサミがあれば誰でも取れる。一方の分層皮膚は,電動ダーマトームという機械さえあれば誰でも正確な厚さの皮膚が取れるし,慣れてくれば安全カミソリだけでも採取できる。

(2011/05/16)

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