分層植皮と全層植皮の違いは次のようになる。
\ | 移植皮膚の厚さ | 移植皮膚の生着 | 発毛の有無 | 生着後の皮膚の収縮 | 生着後の外見 | 採皮部位 |
分層植皮 | 薄い | 容易 | なし | 大きく収縮 | 正常皮膚には見えない | どこでもいい |
全層植皮 | 厚い | たまに生着しないことも | あり | 少し収縮 | 一応,正常皮膚みたい | 部位は限られる |
要するに,分層植皮は「容易に生着して,どこからでも皮膚が取れ,面積の制限もないが,生着しても縮み,外見も普通じゃない」という手術法であり,全層植皮は「外見は分層植皮より自然で,生着すれば縮みにくいが,皮膚が取れる場所も面積も限られ,毛も生えてくる(=毛根を含むため)」という手術法なのである。
分層植皮には薄め分層皮膚と厚め分層皮膚移植があるが,厚いほど外見が正常皮膚に近くなるが採皮した部分は治りにくい(これについては後ほど説明する)。
ちなみに,手術手技の難易度であるが,どちらも難しくはない・・・というか,容易な手術である。形成外科医からすると「植皮を失敗する方が不思議」なくらいであり,研修医でもできる手術の一つが植皮術である。つまり,一度教えてもらえば誰でもできる簡単な手術である。
また,皮膚を採取する技術も難しくない。全層皮膚はメスとハサミがあれば誰でも取れる。一方の分層皮膚は,電動ダーマトームという機械さえあれば誰でも正確な厚さの皮膚が取れるし,慣れてくれば安全カミソリだけでも採取できる。
(2011/05/16)