皮膚科治療の常識・非常識


【有害な基剤】
 内服薬や注射薬の場合,基剤について注意を払う必要はない。基剤は無害な物質だからだ。ところが外用剤の場合,基剤は無害なものだけでなく,むしろ有害なものが多いからだ。
 これは要するに,無農薬野菜だけで鍋料理を作ろうとしたのに,鍋に入れる水が発ガン物質入りだった,鍋に有害物質が含まれていた,というのと同じだ。こうなると,無農薬野菜(=主剤)がいくら安全でも,水や鍋(=基剤)が有害だから,安全な鍋料理(=治療)にはならないことになる。

 有害な外用剤の基剤を列記する。まだ他にもあるかもしれないが,私が実際に有害性を確認したのは次の通り。これらは確実に創面を深くする。

基 剤 有害である理由 商 品 名
クリーム 界面活性剤が細胞膜を直接破壊する。 ゲーベン,エキザルベ,その他の〇〇クリーム
マクロゴール 吸水力が高く創面を乾燥させる。浸透圧差で細胞を破壊する。 アクトシン,テラジアパスタ,ブロメライン
蔗 糖 吸水力が高く創面を乾燥させる。浸透圧差で細胞を破壊する。 ユーパスタ,サトウザルベ
ポリマー 吸水力が高く創面を乾燥させる。浸透圧差で細胞を破壊する。 カデックス

 ちなみに,アクトシン軟膏の痛みはひどい。最凶・最悪な激痛である。また,テラジアパスタを使われた患者さんも「痛いなんてもんじゃない痛み」と表現している。恐らく,基剤のマクロゴールに問題があるのだろう。
 アクトシン軟膏やテラジアパスタを販売しているメーカーの方々は是非,自分の傷に自社製品を塗ってほしい。その上で,この商品を売り続けていいかどうか,考えなおして欲しい。あなた方がこれらの商品を売り続けている限り,犠牲者は増え続けていくのだ。はっきり言って,あなた方は加害者である。

(2011/08/04)

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