【外用剤に対する思い入れ】
私の外来には大学病院皮膚科などで「これは難治性の病気であり治らない」と宣告された皮膚疾患の患者さんが多数受診されている。慢性湿疹だったり,乳児湿疹だったり,アトピー性皮膚炎だったり,慢性下腿潰瘍だったりとさまざまだが,それらの8割くらいがプラスモイストやデュオアクティブの貼付だけで数日で治っているのだ。少なくとも,痒みに関しては貼付直後から軽快・消失することだけは間違いないようだ。
私としては,「外用剤を使って何ヶ月も治らないのであれば,外用剤に反応していないと考えられる。反応していない治療を続けても意味はないだろう。それなら,全く別の治療(=プラスモイストやデュオアクティブの貼付)に切り替えてみたらどうなるだろうか?」と単純に考えてしまう。皮膚科医ではないし,外用剤治療に対する思い入れもないからだ。
だが,外用剤での治療に思い入れを持っている皮膚科専門医の場合,おそらく「外用剤を使わない」という選択肢はないと思われる。その理由は「皮膚科は外用剤で治す。外用剤を使わない皮膚科医はない。外用剤で治せないのは皮膚科医として敗北」という意識があるためではないかと思う(単なる私の偏見かもしれませんが・・・)。要するに,「外科医が手術という手段」に固執するように,皮膚科医には「外用剤という治療手段」に対する愛着と執着と思い入れがあるのではないかと思う。
(2011/07/26)