【皮膚科だから外用剤・・・でいいのか】
こんなことを考えるのは私が皮膚科医ではないからだ。ちょっと昔,皮膚科の先生と話をした時に「皮膚科医が外用剤(軟膏類)で治すのは当たり前で,外用剤を使わなくなったら皮膚科医ではない」という話が出て,その時は聞き逃していたが,後々考えるとこれって面白い考え方だなと思ったのだ。これは「外科医だから手術で治す」,「形成外科医だから皮弁形成・複合組織移植をする」みたいなものであり,皮膚科や形成外科に限らず,様々な診療科の医者が無意識のうちにこのような考え方をしていると思う。これは一見もっともな考え方に思えるが,実はこれが治療手段を無意識のうちに制限してしまうのだ。
確かに,ほとんどの例はこの論理で何とかなり,例えば皮膚科を受診する患者さんのほとんどは外用剤で治っているはずだ。問題は
という場合だ。
- 本質的に外用剤(軟膏類)が最前の治療ではない疾患が昔からの流れで皮膚科疾患に入っている
- 外用剤治療をしているうちに,外用剤以外の治療法に適した状態に変化してしまった
もっとも多いのが1と2であり,3のように他の診療科に治療を依頼することは少ないと思う(特に,大学病院の場合には)。もちろん,前医が見逃していることを大学病院で発見し,新しい治療が奏功する可能性もあるが,疾患が元々,前述のA,Bの場合は,1や2の対策では治らないことだ。
- 別の外用剤に切り替える。
- 大学病院・地域中核病院の皮膚科に紹介する。
- 他の診療科に紹介する。
(2011/07/21)