政治が家業になりつつあるようだ


 ひょんなことから,歴代の内閣総理大臣の卒業大学を調べていたら,面白いことに気がついた。昔ほど東大などの国立大卒が多く,ある時期から私立大学卒業者ばかりになっているのだ。例えば,岸信介以降だとこうなる。

岸信介東大法
池田勇人京大法
佐藤榮作東大法
田中角榮中央工学校
三木武夫明大法
福田赳夫東大法
大平正芳東京商大
鈴木善幸水産講習所
中曾根康弘東大法
竹下登早大商
宇野宗佑神戸商大
海部俊樹早大法
宮澤喜一東大法
細川護熙上智大法
羽田孜成城大経
村山富市明大政経
橋本龍太郎慶大法
小渕恵三早大院
森喜朗早大商
小泉純一郎慶大経
安倍晋三成蹊大法
福田康夫早大政経


 つまり,宮澤喜一が最後の東大卒業総理大臣で,それ以後は私立大学のみとなり,しかも,ハイソな大学名が並んでいるのである。昭和の御世なら大学に行っていない人間でも総理大臣になれたが,今は昔である。

 なぜこんなことを書くかと言うと,小泉総理あたりから「総理なりたくてなったんじゃないもん。やれっていわれたからやっているだけで,いつ辞めたっていいもんね」という総理大臣が続いているような気がするからである。それがあまりに露骨だったのが安部総理だったたけで,小泉,安部,福田といずれも権力そのものには淡白なんじゃないかという気がする。例えば小泉さん,頭の中にあったのは郵政民有化だけで,それが可決されれば後は野となれ山となれ,民営化選挙で自分が担ぎ出して手足のように使った新人議員に対しても,もうゴミ扱い。権力というオモチャで遊ぶだけ遊んだから,もう飽きちゃった,総理なんて辞めちゃおう・・・アメリカでプレスリーの真似もできたし・・・という感じだった。福田さんを見ても,総理大臣になってこれをやるんだ,という熱意が全く伝わってこないが,それも同じ理由なんじゃないでしょうか。

 現在の国会議員のほとんどは2世,3世議員である。多分,当の議員たちにとっても,国会議員になるのは親の作った会社に就職してエスカレーター式に社長になるのと同じかもしれない。だから,苦労して就職(=国会議員になる)したわけでもないし,総理大臣になったとしても苦労してまで続けようという気にもならない。2世,3世議員であるということ自体が自分の仕事になっているのだろう。要するに,家業としての国会議員,家業としての政治家である。


 このままいくと,衆議院は貴族院に名称変更してもいいかも。

(2007/12/19)

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