【生命体、岩に乗って宇宙空間を移動?】
 パンスペルミア説はロマンに満ちた楽しい仮説です。宇宙に生命が満ち溢れているんだ,というのはどっかの新興宗教の教えにもありましたね。まさに,殺伐とした人間社会を癒してくれます。

 でも,生物学サイドからすると,それは生物というものを全く知らない宇宙物理学者の机上の計算の話であって,生命というものをよく知らないからそんな夢みたいなお伽話を夢想できるんだろうなぁ,という感じがします。「宇宙には莫大な数の星があるんだから,そこに生命がいたって不思議ないよね」程度の大雑把な話をしてもらっては困るのです。
 「地球は広いし,生物は数え切れないほどいるから」と確率論的に考えれば,ペガサス(=足が4本で背中に羽が生えている)が地球のどこかに生きていてもおかしくありませんが,哺乳類の体の基本構造からは,ペガサスは絶対にありえない動物です。それと同じです。

 地球最初の生命体がどのようにして誕生したのか,というのは生物学界最大の謎の一つですが,誕生した環境についてはかなり条件が絞られてきています。それは海底の熱水噴出孔近くの比較的温度の低い噴出口で,泡のような構造をしている岩石でしょう。そして,最初のエネルギー代謝は間違いなく水素を利用したものです。ここまではかなりの確率で絞られています。
 そして,最初に誕生した生命体がエネルギーを環境から取り出すためには,最低限,「特定の性質を備えた岩石と,水と,熱」が必要であった,というのもほぼ確実です。それができたから,彼らの末裔として私たちが生きています。
 その後,原始生命体は水素を利用した呼吸(=電位差によりATPを作ること)から,二酸化炭素や硫黄,メタンなどを利用した化学的呼吸を多様化させることで「岩石」から離れることができ,同時に触媒となる金属を取り込むことで,「高温」環境も必要ではなくなります。

 しかし,最期まで手を切れなかったのは水です。地球は「水の惑星」だったからです。H2O は常に豊富にあり,「水がない」という条件は設定しなかったのでしょう。その結果,細胞質内の媒質として水が使われ,細胞外の媒質としても水を想定しました。水が豊富にある環境だから,「常に得られるもの」として「水」を想定し,「常に水が得られる」ことを初期設定として組み込んだのです。そして,海底の熱水噴出孔で誕生した生物にとって,この初期設定が最も合理的だったのです。
 もしも, H2O に乏しい環境で発生した生命体なら, H2O を使わない代謝系しか選択の余地がないし,そういう代謝系を初期設定にした生物が進化したはずです。

 このように考えると,原初の生命体とそれから進化した生命体は,生まれた時点での惑星の物理的・化学的環境を初期設定にするしかなかったと考えることができます。つまり,火星に生命体が誕生していたら,それは火星の環境を初期設定にしていたし,アルファケンタウリの惑星で誕生した生命体は,その惑星の環境を初期設定にするしかありません。つまり宇宙には,誕生した惑星の物理的・化学的環境の数ほど,生まれた生命体の初期設定があるはずです。
 逆に言えば,火星に生命体が誕生して隕石に乗って地球に到達したとしても,火星と地球では大前提となる環境が違いますから,恐らく火星生命は地球では生きていけないだろうと考えられます。これは,エウロパの生命,エンケラドスの生命についても同じです。

 そういうわけで,パンスペルミア説が成立するためには,「生命体はありとあらゆる環境で生きていける代謝系を予め備え,あらゆる環境でもエネルギーを取り出せる多種多様な代謝系を備えていた」と考えるしかなくなります。隕石などに付着した生命体は,自分の行き先を選べないから,ありとあらゆる状況に対処できるよう,膨大な数の代謝系とそれを記憶するゲノムを備えている必要があります。
 しかし,そのような莫大な量のゲノムを備えた生命体は,分裂速度が極端に遅くなります。古細菌には1000年に一度くらいのペースで2個に分裂すると考えられているものが見つかっていますが,それよりはるかに遅いはずです。
 となると,そういう「ほとんど分裂できない」生命体は,それより速く分裂する生命体より不利になり,もともと生まれた環境ではすぐに淘汰されます。これでは,隕石に乗って宇宙に旅立つ可能性はゼロです。

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【太陽系、地球周辺は小惑星で混雑】
 例によってひねくれた読み方をすると,こういう「地球周囲には小惑星がいっぱい!」という情報は,NASAの「狼が来るぞ」的自作自演プロパガンダではないかという気がします。つまり,CDCによる「パンデミックで人類滅亡」プロパガンダと同じです。
 NASAという組織は,その存在意義を常に政府に提示する必要があります。存在意義を示せなければ予算が削られ,やがて組織は消滅するからです。NASAを守るためには,NASAがアメリカにとって必要な組織だと言い続ける必要があるのです。
 しかし,1960年代,70年台のような「宇宙開発イケイケドンドン」の熱気は薄れ,スペースシャトルもついに幕を閉じました。それどころか,「なぜ人間を大気圏外に送り込まなければいけないのか? 苦労して送り込む意味はあるのか?」という疑問の声が上がる始末です。

 そういうNASAにとって,PHA(Potentially Hazardous Asteroid)やNEA(Near Earth Asteroid)は格好のアドバルーンでしょう。こういう危険な天体があり,それが地球を直撃したら人類文明は崩壊の危機に・・・ということで予算請求の口実ができます。ちなみに,この「PHA」を「鳥インフルエンザ」に置き換えると,そのままCDCのアドバルーンになります。

 「そんなこと言ったって,PHAが地球を直撃したらどうするんだ! そういう小惑星の監視は必要だ!」という人もいると思いますが,私は「直撃されたら諦めるしかない。運が良ければ一部の人類は生き延びることができるだろうし,ホモ・サピエンスが全滅しても,小惑星直撃後の地球というニッチに適応した新生物が誕生するだろうからいいんじゃないの」と考えています。

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 H2Aの打ち上げが成功したが,H2Aの1回の打ち上げ費用が100億円というのを聞くと,これを利益の上がるビジネスとして確立させるのは大変だろうな,という気がする。
 何しろ「モノ」を打ち上げるだけで100億円である。「人間」を乗せて打ち上げ,その人間を生きたまま戻そうとするならものすごい巨額になることは容易に想像できる。実際,スペースシャトルは
1回打ち上げるのに12億ドル(=約1000億円!)かかっていたらしい。一方,昨年のGOP(国内総生産)を見ると,12億ドルというとカンボジアやアルバニア,モザンビークのGOPに相当する。1回の打ち上げで一国の国家予算が吹っ飛んでしまうわけだ。

 一方,スペースシャトルといえば国際宇宙ステーション(ISS)の建設と運営・維持に活躍したことは記憶に新しいが,素人目からするとISSで得られた成果が全く見えてこないのである(少なくとも私の目には)。日本人宇宙飛行士がISSでブーメランを飛ばしたり,メダカやモヤシを育てたりしたことは知っているが,それ以外にどういう成果が上がっているのだろうか。「ISSでブーメランを投げると手元に戻るんだろうか?」という疑問には答えてくれたが,宇宙で育てたメダカやモヤシが生物学上の大発見に結びついたという話は聞いたことがないし,ISSで合成した物質が素晴らしい特性を持っているとか新薬ができたというのは聞いたことがない。
 要するに「宇宙に行かなければわからないこと」と,「宇宙に行ってみてわかったこと」の間にすごくギャップがあるような気がするのだ。1000億円かけてスペースシャトルを往復させて得られた成果は1000億円に見合うものなのだろうか。
 素人考えだが,実はISSで行われている実験は何も人間が行かなくてもできるんじゃないだろうか。日本の誇るロボット技術を駆使すれば,大概の実験はできるんじゃないだろうか。ロボットでなく人間を宇宙に送るメリットって本当にあるんだろうか? 宇宙開発って実は費用対効果が悪過ぎないだろうか。

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【大規模爆発が発生の可能性 京大教授ら突き止める】
【スーパーフレア、太陽に似た恒星で多発】
 両方の記事はともにスーパーフレアについての最新知見を取り上げたものですが,結論が180°違います。
 前者の記事では,ある大学教授の「太陽で全く起きないと言えなくなった」という言葉を引用して,あたかも地球に恐ろしい影響が起こる可能性があるかのような結論を導いています。
 一方,後者の記事では中心性(恒星)から伸びる磁力線の先が岩石型の惑星であってもスーパーフレアが起きても不思議ではないと説明し,その上で,「太陽系で最も太陽に近い惑星である水星でさえ、太陽に十分近いとはいえず、また、スーパーフレアを起こすような磁力線をつなぎとめるほどの強い磁場も持たない」ことから,地球がスーパーフレアに見舞われる心配はないと結論づけています。

 ホット・ジュピターを持たない恒星でスーパーフレアが観測されたという事実はいいとしても,それをすぐに太陽系に結びつけるのは前者の説明には無理がありすぎます。不安を煽って商売にするのがマスコミの仕事,といえばそれまでですけどね。まぁ,この記事を読んで「太陽のスーパーフレアが襲って来たらどうしよう」と不安になる人はいないと思いますが・・・。

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【太陽系で新たな惑星を発見?】
 こういう記事を読むたびに,人類は太陽系についてもまだよくわかっていないのだなぁ,と思い知らされます。この記事に登場する「カイパーベルトの外側に存在するかもしれない天体」については,「2250億km(太陽・地球間の約1500倍)の軌道を周回」と説明されていますが,太陽と地球の距離の1500倍というのが遠いのか近いのかよくわかりません。

 太陽系の第8惑星(=現時点でわかっている最も外側の惑星)と地球までの距離が約40億kmで,これは太陽と地球の距離の30倍です。つまり,今回問題になっている天体は,私達が通常思い描く太陽系の大きさ(=海王星の軌道)の50倍も遠くにあります。
 つまり,太陽〜海王星を東京駅〜中野(=直線距離で10km)とすると,この記事で話題になっている天体は500km離れた岩手県一関のあたりか,滋賀県彦根市あたりということになり,海王星までの距離に比べるととんでもなく遠いことが実感できます。ちなみに,カイパーベルトは武蔵野市とか三鷹市あたりになります。

 というわけで,この記事をわかりやすく(?)言い換えると,「中野のあたりまでならほとんどわかっているけど,三鷹や武蔵野市あたりになるとよくわかっていないことが多く,このあたりの天体の動きを説明しようとすると,滋賀県のあたりに大きな天体が存在する可能性を否定できない」となります。

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【太陽活動に異変、地球寒冷期の前兆か?】
 太陽のようなガスでできた天体と,地球のような固体でできている天体では,そもそも磁場の生成メカニズムが異なりますが,太陽はちょっと前から地軸の両極(=地球で言う北極と南極)がどちらもプラス極という特異な状態になっています。マイナス極はどこに行ったのかというと,太陽の中心部に移動したと考えられています。そして,どうやらこういう変化は18世紀初頭のプチ氷河期であるマウンダー極小期という寒冷期と同じじゃないか,というのがこの記事です。
 ちなみに,地球温暖化と寒冷化ではどちらが人類の危機かといえば,圧倒的に寒冷化です。温暖化しても人類文明はほとんど影響を受けませんが(せいぜい,海抜の低い島などが浸水する程度),マウンダー極小期クラスの寒冷化(これだって本格的氷河期からすると序の口です)になると,現在の小麦生産の主な耕作地で小麦が作れなくなります。つまり「二酸化炭素による地球温暖化」なんて呆気なく吹っ飛びます。

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【暗黒物質、太陽近傍には存在せず?】
 これまで何度も暗黒物質(ダークマター)の問題を取り上げていますが,私はダークマターの存在については疑っています。ダークマターが存在するという理論を成立させるためには,銀河や銀河団の都合のいい部分に都合のいい量のダークマターが存在しなければならないからです。
 例えば,銀河は美しい渦巻き構造をしています。しかし,この構造が維持されるためには,銀河中心に近い恒星は遅く,中心から遠い恒星は速く動いている必要があります。でなければ,渦巻き構造はすぐに崩れてしまいます。しかし,これは重力の法則(万有引力の法則とその修正版である相対性理論)に反する動きであり,現実にこのような運動はありえません。
 そこでダークマターの登場となります。眼に見えないし,観測にも引っかからないが,質量を持っている何かが存在して銀河辺縁の恒星を強い引力で引きつけている,という理論です。
 しかし,これを認めるとなると「銀河中心の恒星にはダークマターの重力はほとんど作用せず,銀河辺縁の恒星には重力が強く作用する」ということになります。そんなに都合よく存在するのか,かなり不自然ではないかと私は考えます。

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【宇宙の加速膨張,反物質が原因?】
 宇宙が膨張していることはあらゆる宇宙の観測で確かめられています。しかも,その膨張速度は一定ではなく,加速度的に増加していることも観測されています。ここまではほぼ揺るぎない事実です。
 問題は,物理学における「力」として確認されているのは,重力,電磁気力,強い相互作用,弱い相互作用の4つだけであり,地球サイズ以上の範囲で効いているのは重力のみである点にあります。つまり,宇宙の運動を決めているのは重力(=引力)のみです。つまり,すべての天体は互いの重力で引き合い,やがて凝縮していくはずです。
 となると,「宇宙は膨張し,しかも膨張速度は増大している」という観測事実と矛盾してしまいます。
 この矛盾を解消するために仮定したのが「暗黒エネルギー」という斥力です。これで「加速度的宇宙の膨張」は説明できますが,問題は「そもそも暗黒エネルギーって何なんだよ」という質問に答えられないことです。「斥力があったら便利なんだよなぁ」ということから仮定された力だからです。
 そこで登場したのが今回の記事の「反物質による反重力(=物質との斥力)」です。ちなみに,反物質とは「質量とスピンが物質と同じで,構成する素粒子の電荷が逆」の物質をいい,陽電子(=プラスの電荷を持つ電子)は実際に観測されています。
 しかし,これにも問題があります。「物質と反物質が出会うと消滅し,光子が放出される」という物理学の標準理論があるからです。反物質が存在するとしたら,物質と触れ合わない宇宙のどこかしかないからです。そこで,今回の研究は「反物質のゆりかご」として「ローカルボイド」を想定したわけです。
 しかし,そのローカルボイドが反物質の集まりだとすると・・・と,新たな矛盾が生じでしまい,それを解消するためには新たな仮定が必要になり,そうなると・・・という事になりそうな気配が漂ってきます。

 地球や月や惑星サイズの世界ではニュートンの万有引力で全て説明できました。しかし,太陽系のサイズになると「相対性理論という微調整」が必要となりました。太陽系サイズ,太陽系近傍空間サイズであれば相対性理論はすべてを正確に記述する重力理論です。しかし,銀河系サイズになると相対性理論でも説明できない現象が観測され始め(例:銀河外縁の星の動きが速すぎる),銀河団サイズになると相対性理論では説明のできない「斥力」を考えないといけなくなります。そして,全宇宙サイズになると引力ではなく斥力が支配しているように見えます(これが宇宙の加速度的膨張)
 となると,ニュートンの万有引力の法則が「サイズ限定地域内での法則」だったように,相対性理論も「サイズ限定地域内での重力法則」と考えたほうが手っ取り早くないか・・・という理論も生まれるわけです。

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【超新星データ、暗黒流動の存在を否定】
 このあたりの話題になると私のような素人がついていくのはかなり難儀ですが,記事をまとめると次のようになるかと思います。  ・・・と,こうなるんじゃないかと思います(間違っていたらごめん!)

 1970年代から「既存の理論では説明できない物理現象」が銀河や銀河団の観測で見つかっていて,それらがダークマター,ダークエネルギーであることはご存知のとおりで,上記のカシリンスキーさんは「ダークフロー」という名前をつけたわけでしょう。要するに,「説明つかないものなんでもダークと呼んじゃえ」という感じですね。
 しかし,「既存の物理法則で説明できないからダーク〇〇」とするのではなく,「既存の重力法則(宇宙の場合には一般相対性理論)は距離依存性・距離限界性があって,せいぜい太陽系サイズでしか成立しない近似式であり,それ以上の宇宙ではもっと大規模な重力法則が支配している」と考えるほうが自然な気がします。「一般相対性理論にダークマターとダークエネルギーで接木して無理矢理押し込めた」現在主流の理論体系より,よほどシンプルで美しい理論体系が作れます。

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【ヒッグス粒子,発見の可能性高まる】
 素粒子物理学で最大の謎(の一つ)が「なぜ物質には質量があるのか」です。物質は原子ででき,原子は素粒子から作られていますから,質量のもとは素粒子レベルで説明されるはずです。それがヒッグス粒子で「宇宙創成初期では素粒子は自由に動けたが,直後に起きた相対性の破れから真空の相転移が起こり,素粒子は運動の際に抵抗を受けることになった。その動きにくさが質量であり,抵抗を生じさせたのがヒッグス粒子である」という具合になります(正確な説明じゃないけど,正確な説明をしようとすると膨大な前提知識が必要になります)
 以上のようなことは50年くらい前に予想され,様々な素粒子が発見されましたが最後まで見つからなかったのがヒッグス粒子です。何しろ,宇宙創成直後の状態を作り出す必要があるからです。つまり,ほぼ完全な真空中を,ほぼ光速で素粒子が飛び回っている状態を作り,素粒子同士を衝突させなければいけません。そのためにヨーロッパに山手線とほぼ同じサイズの加速器を作って実験を繰り返してきたわけです。
 とまぁ,文章化すると「なんだ,それだけ?」と思ってしまいますが,この本を読むとこれがとんでもない実験施設であることがわかり,目がクラクラしてきます。なんと,山手線全体を「ほぼ絶対零度」に冷却し,しかもミクロン単位の精度で組み立てているのです。だから,なにか不具合が生じて実験器具を直そうと思っても,まず5週間かけて超伝導磁石を室温に戻す必要があり,月に行くより時間がかかるのです。

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【「暗黒物質は幻想」,新しい反重力理論】
 現在の最新の宇宙物理学の理論では,宇宙を構成する物質とエネルギーの96%は「観測されていない物質(ダークマター)」と「観測されていないエネルギー(ダークエネルギー)」であり,私たちが観測できている物質(分子や原子や素粒子)とエネルギーは4%にすぎない,となっています。
 なぜこのような考えが提案されたかというと, という経緯があります。このような観測結果を解釈するとこのような暗黒物質,暗黒エネルギーを想定するしかなくなったわけです。

 そこで今回の記事ですが,次の2つの仮定を提唱しているようです。
 しかし,量子重力理論では別の解釈も提唱されています。それは「相対性理論(=ニュートンの重力理論の拡張版)は適応範囲が限定されている理論であり,宇宙全体に適応できる理論ではない」という考えです。これが以前紹介した修正重力理論です。
 地球レベルではニュートンの理論は成立しますが,太陽系規模ではニュートン理論は成立しません。ニュートンの理論では水星の近日点移動問題が説明できないからです。つまり,ニュートンの万有引力の法則は強い重力場では成立しません。それを解決したのがアインシュタインの相対性理論です。彼は,重力による空間の歪みという概念で,見事に水星近日点問題を証明しました。つまり,ニュートン理論は太陽系レベルでは「相対性理論の近似解」に過ぎなかったわけです。
 となると,相対性理論(=ニュートン重力理論の修正版)は太陽系規模でしか成立しない理論ではないか,銀河系レベルで見ると相対性理論も近似解に過ぎないのではないか,という考えが提唱されたわけです。これが修正重力理論です。この考えによると,ダークマターもダークエネルギーも想定する必要はなく,相対性理論を「地域限定法則」とするだけで問題が解決します。
 私は個人的に,修正重力理論が好きです。理論体系がシンプルで美しいからです。

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【“ポストシャトル”,米宇宙計画の行方】
 人間は月に40年前に到着したし,宇宙に定常的に滞在できる宇宙ステーション(ISS)も作りました。しかし,次のターゲットは何かというとなかなか見えてきません。
 古典的なSFならここで「月まで行けたのだから次は金星,その次は火星,そしてその後は・・・」となりますが,現実的には「月に行ったとしてそれで何をするの? 月に行くだけのメリットとは何なの?」という疑問に答えられないでいます。月に基地を作るだけの経済的メリットがないからです。ましてや,金星や火星となると月よりも格段に遠く,よほどの経済的メリットとなる物(例:新エネルギー源,高価な貴金属,新素材など)が見つからない限り,経済的に引き合わないし,たとえ見つかったとしてもよほど輸送コストが安くないと駄目でしょう。
 以前,「街なかの宇宙の旅」という記事の紹介で書きましたが,太陽系は本当にスカスカです。地球をテニスボールの大きさで新宿アルタ前に置くと,火星は代々木駅,木星は渋谷駅となり,その他にはほとんど何もありません。要するに「何もない」のが太陽系の本当の姿です。一昔前のSFのように「人類が太陽系の中を自由に行き来する」ことは絶対にないんじゃないかと思います。(2011/07/12)

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【土星の環,今はなき巨大衛星が起源?】
 どのようにして形成されたのが,いまだに諸説紛々なのが「土星の環」です。その「環」の生成過程についての新説です。
 ちなみに「土星の環」は安定したものではなく「アウストラロピテクスが樹上から地表に降りた頃にはまだ存在せず,1000万年後には消滅している」と考えられているそうです。
 ちなみに,土星の環の幅は30万キロ以上(つまり,地球から月までの距離と同じくらい)という巨大さですが,厚さはせいぜい数十メートル程度(!)と薄っぺらで,土星の環を集めて固めると直径10キロ程度にしかならないという試算もあるほどです。どれだけ物質密度が低いんだろう,と驚くと同時に,なるほどこれなら長期安定は望めないな,と納得できます。

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 この前,小惑星探査機「はやぶさ」についての本を読んでいて気になったことが二つありました。いずれもプリミティブというか人に尋ねるのも気恥ずかしいような疑問です。
  1. 小惑星はすごい数があるはずなのに,「イトカワ」を間違えずに見つけられたのはなぜ?
  2. 小惑星帯で「はやぶさ」が他の小惑星にぶつからないのはなぜ?
 だって,映画やアニメでは小惑星帯を越えるのに,うじゃうじゃとある小惑星をかわすのにすごい操縦技術が必要だったじゃないですか。また,小惑星帯を描いたイラストなんかを見ても,いびつな形をした小惑星が群れをなして動いている様子が描かれていますよね。だから,「はやぶさ」はそういう小惑星帯を無傷でかいくぐれたのはなぜなんだろう,とずっと疑問だったのですよ。

 で,調べてみました。またも私の無知が明らかになりました。大きさが1km以上の小惑星同士の平均距離って,なんと100万〜200万kmも離れているんですよ。地球と月の平均距離が38万キロですから,その3〜6倍ですぜ。つまり小惑星帯というのはむちゃくちゃスカスカで,地球と月の距離の3倍以上の距離に1kmサイズの天体が2個浮いているだけなんですよ。もちろん,それより小さなものはもっと多いはずですが,それにしたって,地球と月の間に大きな石ころが数個浮かんでいるだけ,なんて感じじゃないでしょうか。
 なるほど,それならぶつかりっこないし,「イトカワ」目指してプログラムされた「はやぶさ」が他の小惑星と間違えずに「イトカワ」に辿りつけたはずですね。

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 雑誌「Newton (ニュートン)」 2010年 09月号『地球 ー宇宙に浮かぶ奇跡の惑星ー』という特集を組んでいますが,これがとても読み応えがあります。様々な条件を検討しながら,40億年にわたって生命のゆりかごであり続けることの奇跡を説明しています。
 例えば太陽との距離がほんのちょっと遠かったら,地球のサイズがもうちょっと小さかったら,太陽の重さがもうちょっと重かったら,太陽が連星系だったら,天王星がホットジュピターだったら,地球の自転軸の傾きが23.4°でなかったら,もしも月がもうちょっと小さかったら,もしも地球の核が固体鉄と液体鉄の二重構造でなかったら(=地磁気が弱かったら)・・・これらのうちの一つでも当てはまったら,地球は「生命の星」ではありえなかったのです。つまり,天文学的な確率で私たちは地球で生活できているのです。
 さらに,バクテリア(原核生物)は宇宙のあちこちで誕生できるとしても,真核細胞が生まれたのは地球で1回きりの出来事でした。つまり,原核生物は宇宙に普遍的に存在しているとしても,真核生物も多細胞生物も恐らく地球に一回だけ起きた奇跡により生まれた偶然の産物なのです。
 つまり,上記の「地球という奇跡」と「地球に一度だけ起きた偶然」により,地球は「生命の星」になったのです。

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【街なかの宇宙の旅】
 地球がテニスボールの大きさで新宿アルタ前にあるとしたら,小惑星イトカワってどのくらい遠くにあるんだろう,ということで調べてみたのがこの記事。実際にそこまで移動して距離を実感している点が秀逸です。
 地球をテニスボールの大きさだとすると,太陽は750m離れた新宿御苑の入り口にあって直径7m,火星は代々木駅で3センチ,木星は渋谷駅で70cm(ハチ公の大きさと同じ),そして海王星は22キロ離れた東急東横線の菊名駅のあたりでバスケットボールサイズなんだそうです。
 地球の隣の惑星の火星はこのスケールで言えば新宿と代々木の距離に相当しますが,その間に何も無いというのがすごくないですか? 要するに,太陽系ってほとんどスカスカ,何も無いようなものなんですよ。

 ちなみに,太陽に一番近い恒星は4.6光年の距離にありますが,上記の縮尺にあてはめるとどのくらいの距離にあるか計算してみましょう。太陽と地球の距離が1億5千万kmで,一方,1光年は約9兆4千6百億kmです。つまり1光年は地球と太陽の距離の6万倍となり,太陽のお隣りの恒星までの距離は地球と太陽の26万倍くらいになります(・・・計算,合っているかなぁ?)
 上記のスケール(太陽と地球の距離が750メートル)でいうと,[0.75km × 26万 = 約20万km]となり,太陽とお隣の恒星の距離は20万kmになるはずです。20万kmといえば,地球と月の距離がおおよそ38万kmですからその約半分になります。
 ということは,太陽を直径7mの球だとすると,もっとも近い恒星でも20万kmも離れているのです。その20万kmの間には恒星は一つもないのです。無茶苦茶,スカスカ状態です。

 実際,太陽を中心とした半径10光年の範囲には恒星は8個あります。これはどのくらいの密度かというと,太陽などの恒星を直径1cmのビー玉にすると,10光年はだいたい太平洋の大きさになります。つまり,太平洋にビー玉が8個があるだけ,というのが私たちの太陽系が所属している天の川銀河の姿なのです(もちろん,銀河中心のバルジでは違っていますが)。おまけに,その8つの恒星には惑星の存在は確認されていません(ちなみに,一番近い「惑星を持っていることが確認された恒星」は60光年離れていたはずです)。  こういうのがわかると,宇宙人なんていないし,いたとしても地球を彼らを見つけることなんてないし,UFOでやってくることなんてありえない,ということがわかりますね・・・残念ですが・・・。

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【“逆向き”に公転する太陽系外惑星】
 「主恒星の自転の向きの逆回転する軌道を描く惑星が見つかった」という記事です。なぜこれが問題になるかといえば,太陽系などの「恒星ー惑星」系の成立を説明する従来の理論では説明できないものだからです。

 惑星は見つけるのが困難です。自ら光っていないからです。だから,主星(恒星)の僅かな光度の変化を検出し,それが惑星によるものと推論するわけです。そのようにして見つかった太陽系外惑星を「系外惑星」と呼びます。
 太陽系の場合,太陽に近い,水星,金星,地球,火星は岩石が主成分の「小さくて重い星」,その外側は木星,土星,天王星,海王星というガス型惑星です。つまり,太陽に近いところに「重くて小さい岩石惑星」,遠いところには「巨大で軽いガス惑星」,という配置です。この配置を説明するために,惑星学の専門家は様々な仮説を提唱してきました。
 ところが,系外惑星の研究が進むにつれ,これに反する惑星が次々に発見されます。それが「ホットジュピター」で,これは,太陽と地球の距離の1/10の軌道を木星が回っているようなものです。そしてどうやら,この「ホットジュピター」が稀でないのです。
 そこで,我が太陽系の構造は宇宙普遍のものか,という疑問が生じてきます。・・・となると・・・というのがこの記事です。

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【「ディスカバリー」が軌道に,打ち上げ成功】
 山崎さん,無事に宇宙に行けてよかったです。今後は国際宇宙ステーション(ISS)とドッキングし,機材の運搬の仕事をされるようです。
 さて,この ISS というのは地表どのくらいの高さを回っているかというと,地上から約400kmです。400kmというと直線距離では「東京〜神戸」「東京〜秋田」「仙台〜金沢」の距離であり,直線の高速道路があったら4時間で到着できる位置です。つまり,宇宙とはそれほど近く,そして普通の手段では決して行けない世界です。

 私は地球や宇宙の画像を壁紙にしていますが,その中でとりわけ好きなのがこの宇宙から見た地球の画像です。地表を大気の層が覆っていることが判りますが,この写真でわかるようにそれはごく僅かな厚さしかありません。この外に出ると酸素はなく,強烈な宇宙線が降り注ぎます。人間が暮らせるのはこの僅かな厚みの中でしかないのです。

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【一般相対理論,銀河団規模で証明】
 これだけで「一般相対性理論で銀河団レベルの物理現象は説明できる」と断言できるのか,私にはわかりません。
 地球レベル,惑星レベルではニュートン力学は万能の理論で,ニュートン力学で説明できない現象はありません。しかし,水星の近日点(太陽に最も近い位置)の移動だけはニュートン力学では説明できません。それを説明したのがアインシュタインの相対性理論であり,水星の近日点の移動はまさにアインシュタインの理論で完璧に説明できました。
 では,ニュートン力学とアインシュタインの相対性理論の不一致点はどのくらいかというと,角度にして「100年で43秒」です。1度(=60秒)より小さな値に過ぎません。日常感覚からするとゼロに等しい値ですが,物理学では無視できない数値です。だから,この「43秒」を理論的に説明できる相対性理論に軍配が上がったわけです。
 しかし,その相対性理論も万全ではなく,銀河や銀河団レベルのサイズになると相対性理論で説明できない現象(宇宙の膨張速度,銀河団の辺縁銀河の回転速度)が次第に観測されるようになり,それを説明するためにダークマターやダークエネルギーと言う概念が導入されました。今回の記事は,銀河のレベルでも相対性理論が成立している証拠となる観測データを取り上げたものです。

 私個人としては,ダークマター,ダークエネルギーという「観測されていない物質とエネルギー」にあまりに依存しすぎていることが気に入りません。なにしろ最新理論によれば,宇宙を構成するあらゆる物質とエネルギーの96%は「未だかつて観測されておらず,存在すら確かめられていない」ものだからです。確かにこれで相対性理論は守られるし,銀河の運動も説明できるようになりますが,その代償は小さくなく,幽霊のような物質とエネルギーの存在を認め,宇宙は「幽霊物質と幽霊エネルギーで成り立っている」としなければいけなくなります。
 個人的には,こういう「幽霊」を導入する必要があるのなら,いっそ,「相対性理論は銀河レベルでは成立しない局所的重力理論である」とするほうがはるかにすっきりするような気がします。

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 【暗黒物質の初検出に成功か】
 最近,ダークマター(暗黒物質)の存在に疑義的な本を読んでいるので,この発表についても「眉に唾をつけて読む」ことになります。

 ダークマターとはそもそも,銀河団の辺縁にある銀河の速度が予測値より速すぎる,銀河の外縁部分の回転速度が予測値より速すぎる,という厳然たる観測事実を説明するために作られた概念です。銀河団(銀河)の観測から得られた銀河団(銀河)の質量と,それをもとにニュートンの万有引力の理論,アインシュタインの一般相対性理論から計算して得られる銀河(恒星)の回転速度が2倍以上違っていたのです。つまり,ニュートン=アインシュタインの理論が正しいとすると,銀河団外側の銀河や,銀河外側の恒星の回転速度が速すぎるため,それらは重力に打ち勝って飛び出してしまい,銀河団も銀河も現在のような形を保てないはずです。
 この矛盾を説明するために,「銀河中心にはまだ観測されていない謎の物質(ダークマター)があるはずだ」という説が唱えられ,その質量は,全宇宙の物質とエネルギーの3割を占めているとされています(残り7割は「観測されていないエネルギー「ダークエネルギー」です)。実際,ダークマターを想定すると,ニュートン=アインシュタインの重力理論は破綻しません。つまり,従来からの重力理論を守ろうとするなら「宇宙の物質/エネルギーの96%は,未だ観測されていない物質とエネルギーで満たされ,観測されているものは4%に過ぎない」と想定するしかありません。
 しかし,「観測されない」とは,既存の物質,素粒子と相互作用しない,ということを意味します。相互作用していれば,それは観測に引っかかるからです。
 果たして,そんなに都合のよい物質があるのか,ということが問題になります。

 というわけで,「ダークマターというわけのわからんものを導入してまで重力理論を守るのは不自然。観測データに合うように重力理論の方を変えたらいいじゃないか」という考えが以前から提案されています。私も,どうもこちらの考えの方がしっくりきます。「理論と観測データが乖離しているなら,理論を建て増ししてツギハギするより,全く新しい理論を構築した方が手っ取り早いし,美しい理論が作れる」からです。

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 オリオン座流星群,極大期に
 へぇ,オリオン座流星群ってハレー彗星が放出した砂粒大のチリだったんだ。52年生きてきて,初めて知りました。要するに,ハレー彗星が76年周期で太陽の周りを回っていて,小惑星帯より内側に入ると太陽熱で彗星核の氷が昇華し,そのことで氷に閉じ込められていた砂粒が放出されて「水星軌道上のチリの帯」になり,そこに地球が突入するための現象らしいです。

 でも,この記事を読んでいると矛盾した記述があることに気がつきます。「地球がちりの塊の中を通過する可能性は彗星が地球に再接近する時期が最も高く,その年に流星群が活発化する」というのは理解できますが,そのちょっと後に,「ハレー彗星は現在,遠日点(太陽から最も遠ざかる位置)の辺りを移動しているため,今年のオリオン座流星群はちりの塊とは関係がない」という説明があることです。後者の説明が正しいとしたら,今年のオリオン座流星群はハレー彗星由来でないことになり,別の彗星によるもの,としか読めません。それとも,オリオン座流星群はハレー彗星の放出物質以外でも起きているのかなぁ?

 ハレー彗星が地球に再接近したのは1986年です。それならこの年にオリオン座流星群はもっとも活発になっているはずなのに,によると「2006年に突然活動が活発化」したとあります。この現象についていろいろ調べましたが理由がよくわかりません。
 それと,宇宙空間で砂粒大の「彗星のチリ」が数千年間,同じ位置に漂っているということですが,それだけの時間,力学的に安定して漂っていられるというのも,ちょっと理解できません。

 ・・・と昨日,オリオン座流星群とハレー彗星の疑問についてちょっと書きましたが,さっそくいろいろと教えていただきました。なるほど,そういうことだったのですか。これでまた一つ,賢くなったような気がします。
 また,「ナショナルジオグラフィックの翻訳はちょっと質が悪いような気がします」という指摘もいただきました。確かに,翻訳が悪いと意味がわかりにくくなりますね。
 まさに,聞くは一時の恥,聞かぬは一生の恥,というやつです。

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 土星に太陽系最大の環を発見
 いわゆる「土星の輪」の外側に,はるかに巨大な「輪」があった,という記事です。土星本体から土星の輪(E環)までの距離は64万キロで,これは地球と月の距離(約38万キロ)の約2倍弱になりますから,人間の感覚ではかなり遠くにあることがわかります。この「新しく見つかった輪」の外側縁と土星の距離は1300万キロですが,地球と火星の平均距離が7800万キロですから,かなりの範囲に広がっていることが判ります。ちなみに,この7800万キロというのは,太陽(の中心)から水星までの平均距離の5800万キロより大きいんですね。

 ちなみに,地球の直径は1万3000km弱ですが,これを直径13cmのボールにすると,3.8m離れたところに直径3cmの月があり,1.5km離れたところの直径14mの太陽が浮いている,ということになります。太陽と地球の間の1.5kmの間には直径5cmの水星,直径12cmの金星があるだけです。直径7cmの火星は地球からさらに750m先です。このように日常的なサイズに縮めてみると,太陽系って思ったよりスカスカであることが判ります。

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 皆既日食というのは,地球から見て月と太陽の見かけ上のサイズがほとんど同じだから起こる現象である。もしも月の見かけのサイズがもう少し小さければ皆既日食にはならないし,逆にもっと大きければ太陽は大きな月に隠されてしまうため,世界の広い範囲で同時に皆既日食が見られることになるはずだ。
 しかし,「地球から見たときの太陽と月の見かけ上のサイズがほとんど同じ」というのは考えてみれば不思議な現象ではないだろうか。これは一体,偶然の一致なのだろうか。それとも,〔太陽−惑星−衛星〕のサイズと距離の関係は,「衛星上から見た太陽と衛星の見かけのサイズは同じになる」ようになっているのだろうか。
 火星ではフォボスによる皆既日食が見えるのだろうか。木星ではエウロパによる皆既日食があるのだろうか。それとも,たまたま地球だけにある特殊な現象なのだろうか。
 と,このように思考実験していくと,水星では「太陽の見かけ上の大きさ」はかなり大きくなるため,それと同じ「見かけ上の大きさ」を持つ衛星もかなり大きくならなければいけない,ということになる。そうなると,月より大きな衛星が必要になりそうだ。一方,水星の直径は約4880キロ,月の直径は3470キロであり,水星はそれ自身と同じくらい大きな衛星を持たなければ皆既日食が見られないことになる。
 このように考えていくと,太陽と月の見かけの大きさがほぼ同じと言うのは偶然ではないかという気がしてくるが,どうなんだろうか。皆既日食の記事を見るたび,いつも気になってしょうがない。どなたか,このあたりをご存知の方はご教示いただけないでしょうか。

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 昨日,「月がいつも同じ面を地球に向けているのはなぜ?」という素朴な疑問を書いたところ,数人の方々からからメールで教えていただきました。ありがとうございます。新しい知識が得られるってのは,何歳になっても面白いものです。ちなみに,理由について知りたいなという方は,下記のサイトをお読みください。  なるほどね。よくわかりました。要するに,地球に同じ部分を向けて公転するのが最も力学的に安定しているというわけです。実際,他の惑星とその衛星についても同じ現象が観察されているそうです。

 ってことは,これは太陽と地球に関しても同じに作用するはずですよね。つまり,やがて地球の自転スピードは遅くなり,公転速度と自転速度が一致したところで安定するんでしょう。そうなったら,太陽に常に向いている面はムチャクチャ熱くなり,その裏側は凍っている,ということになりそうですね。そうなると,大気の循環や海水の循環はどうなるんだろうか? 表側の大気圏の水蒸気濃度は上昇するでしょうが,裏側の大気の組成はどうなるんだろうか? 地球の自転速度が遅くなった場合,地球の核(コア)の固体鉄と液体鉄の回転にも変化があるんだろうし,そうなると地磁気も変化してくるんでしょうか? いずれにしてもその状態になったら現生の生物は棲めそうにないし,深海底の熱水噴出部のメタン好性細菌と共生する生物しか生息できなくなるんじゃないでしょうか。次から次へといろんな疑問が頭に浮かんでくるんだけど,それを解決するだけの基礎的知識と学力がないのが哀しいです。

 ってことは,月の公転周期と自転周期がほぼ一致しているのに,地球の公転周期と自転周期が一致していないのは,各々の質量の違い,公転中心との距離(=公転周期の長さ)の違いがあるから,ということでいいのかな? そして,いつ頃になったら地球の公転と自転周期が一致するんだろうか? これも結局は,引力と遠心力,そして地球の形状(回転楕円体の形)で求められるんでしょうが,それを解決する数学能力がありません。もっと勉強しておけばよかったなぁ,と思うのはこういうときです。

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 もしも空に向かって垂直に立つ道路があり,その道路を車で走れると想像してください。あなたはこの車に乗って時速60キロで運転しています。さて,どのくらい車を走らせたら大気圏を突破して宇宙空間に到達できるでしょうか。半日でしょうか,2日でしょうか,1週間でしょうか,それとも1ヶ月くらいでしょうか。
 「スペースシャトル,大気圏再突入」というのは中間圏への突入ですが,この高さまで行くのに車でたった1時間半しかかかりません。あなたが住んでいるところから90kmのところに「大気圏突入ポイント」があるんですよ。日常感覚から言えば,もうここが宇宙空間だと思います。90kmといえば,石岡駅と東京駅の営業距離数が大体このくらいです。なんだかすごく近くてびっくりします。

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