《ミートマーケット 人類滅亡の日》 (2001年,カナダ)


 これまで見てきた数多くのクズ映画の中でもダントツに完成度が低い作品です。なんでも2000ドルで作ったんだとか・・・ってことは20万円ちょっと? 20万円だったら他にもっと有効な使い道があるだろう,といいたくなりますね。ちなみにこの作品,以前紹介した《ミートマーケット ゾンビ撃滅作戦》の続編らしいのですが,第1作目(これもムチャクチャ低レベル映画でございました)よりも明らかにレベルが落ちています。おまけに,第1作目の登場人物をそのまま使っているのはいいとしても,それらの登場人物の説明すらないのです。つまり,何かの間違いでこの第2作目だけ見た人には,この登場人物が人間なのか別のものなのか,最後の覆面レスラーが何なのかすらわかりません。

 ストーリーはというと,どっかのマッドサイエンティストが人間をゾンビにする病原菌をばら撒いたらしく街はゾンビで溢れかえり壊滅状態,というところから始まります。そこで生き残った人間たちは軍事施設(?)に立てこもっているらしい。そこに,前作に登場したヴァンパイアのお姉さん2人組他数名はその軍事施設に連れ込まれるんですね。そこではわけのわからん研究をしていてその実験台として人間を集めていたり,ゾンビと戦う戦士を養成したりしているらしい(と思うけど,映画を見る限り何をしているんだか全然わからん)。そこで実験台にされてしまったヴァンパイアさんが研究施設の博士か何かに反撃して,そしたら研究用に飼っている(?)ゾンビたちが逃げ出したりして,皆ゾンビに喰われちゃったりして,ヴァンパイアお姉さんもゾンビに囲まれてコリャ駄目だ,とその時,覆面レスラー・アズールが登場してプロレス技でゾンビたちをやっつけたかと思うとすぐにいなくなり,アレレと思うまもなく終わっちゃう,という素晴らしい映画です。


 映画としては78分,正味70分ほどの短い映画なのですが,この70分がやけに長く感じられます。ダラダラ,まったりとストーリーが進み,意味不明のシーンも多数あり,前後の脈絡がつかめません。超絶的理解力と超人的推理力が絶対に必要です。

 そしてさらに,日本語吹き替えがこれまで聞いたことがないほどの低レベルです。「台詞棒読みレベル以下で素人より下手な日本語吹き替え映画」っていうのは何本も見たことがありますが,この映画の吹き替えはそれらに比べても数段下手じゃないだろうか。特に,悪の組織のリーダーらしいお兄ちゃんの吹き替えさんにはやる気も何も感じられません。恐らく,素読みせずにいきなり録音しちゃったとしか思えません。どこでこんなに下手な日本語を話す日本人を見つけてきたんでしょうか。この映画,最大の謎です。


 ゾンビメイクは30年位前のセンスだし,やたらとゾンビさんたちが人間の手足や臓物をパクパク食べています。いかにも作り物という感じの血だらけの千切れた頭部とか,ピンポン玉にマジックで黒く塗っただけの目玉とか,惜しみなく噴出したり撒き散らされる赤インクと思われる血液とか,そういうところは作り手たちが楽しんで作っている様子が見て取れます。

 そういう安物・作り物のオンパレードの中で,唯一,本物を使っているのが蛆虫です。蛆虫が盛大に登場し,腐肉の上をゴニョゴニョ動き回っていて,その様子はまるで「壊死組織のマゴット(蛆)によるデブリードマン」のビデオを彷彿とさせます。


 ゴミ溜めの中から拾ってきたようなクズ映画を笑って見られる心の広い人にだけお勧めする映画です。

(2008/03/27)

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