海洋アドベンチャー映画としては普通に面白かったです。前半がちょっとかったるくて,「格好いいお兄ちゃんとビキニ姿のダイナマイトバディお姉ちゃんがイチャイチャする青春お馬鹿映画かな,こりゃはずしたかな」と思い始めた頃,ようやくテンポが良くなり,そのあとは快調にスリリングなシーンが連続します。というわけで,これからこの映画を見る人は最初の20分は美しい水中映像とビキニ姉ちゃんのダイナマイトバディを楽しんで時間をつぶしてください。その後,面白くなりますから。そうそう,手元にトロピカルカクテルなんぞを準備して観るのもいいでしょうね。
内容は簡単です。沈没船を探して一山あてる事を夢見てるダイビング・インストラクターの青年(ポール・ウォーカー)がいて,彼には美人でグラマーな恋人(ジェシカ・アルバ)がいるわけね。そして伝説の沈没船を偶然見つけるんだけど,なんとそのそばには飛行機も沈んでいて,機内を探すと大量の麻薬が見つかっちゃった,というお話です。もちろん,その飛行機はマフィアが麻薬密輸のために飛ばした飛行機で,マフィアのボスは血眼になって飛行機と積荷を探しているわけね。
そこで警察に,「あそこに麻薬を大量に積んだ飛行機が・・・」と届け出れば話は簡単なんだけど,そうすれば,その一帯は立ち入り禁止になり,沈没船の財宝も持ち出せなくなってしまいます。それを避けるためにもしばらくは沈没船も飛行機のことも秘密にしようということになるんだけど,次第に周りに怪しげな男たちが寄ってくるし,ボートは襲われるし,駆け抜けして麻薬を売りさばこうとする奴はいるし・・・という映画です。
ストーリー的にはどこかで見たことがあるような感じですし,破綻もないかわりに驚くような展開もありません。謎解きの要素もありますがいたってシンプルですし,ジェシカ・アルバの超ビキニ姿はまぶしいばかりですがそれ以上のお色気シーンはありませんので,家族そろって見ても安心です。
それと,沈没船に関する法律の知識が得られるのも面白かったな。トレジャーハンターが沈没船を見つけてもそれで占有権を主張することはできず,その船がなんという船で,その具体的証拠を提示しなければいけないのだそうです。知らなかったなぁ。今度,沈没船捜査をするチャンスがあったらこの知識を活用することにしようっと。そのほかにも,沈没船(海底でバラバラになっている)を探すテクニックやら,必要な装備やら,海面に引き上げる方法やら,そういうのも一口メモ的に面白いです。
そして何より素晴らしいのは海中の映像! アルバとウォーカーの泳ぐ姿の美しいことといったら,お見事の一言に尽きます。イルカみたいという表現がありますが,優美で躍動的なしなやかな肢体の動きは何度見ても飽きることがありません。そして同時に,海中の魚の様子がとてもきれいに撮影されていて,まさに「プラネットアース」級の美しさです。特に,サメと一緒に泳ぐシーンは特筆物の素晴らしさ,眼福でした。
とまあ,ここまでは褒めておきますが,最後の見せ場とも言うべき海中での格闘シーンがとてもわかりにくいことが唯一残念! 海中なんで言葉は出せないし,ゴーグルをかぶっているから顔もよくわからないので,誰が誰と格闘しているのか,勝ったのはどっちの方なのかが,全くわかりません。最後の爆破シーンが結構良かっただけに,この格闘シーンのわかりにくさが残念。ダイビングスーツの色分けをするとか,映像的にもうちょっと工夫すればよかったのに・・・。
いずれにしても,観て損した気分にはならないと思います。トロピカルカクテルなんぞを準備して観たらきっと気持ちいいでしょうね。
(2007/11/06)